たばこの不始末~失火罪とは?

2019-09-27

たばこの不始末~失火罪とは?

たばこの不始末での失火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市八幡東区内の賃貸アパートに一人で暮らすAさんは、一日タバコ2箱を吸う大のタバコ好きです。Aさんは、寝る前に布団の横になってタバコを吸うことを習慣としていたところ、この日は、仕事の残業時間が長引き、吸い終わったタバコ火を布団横に置いていた灰皿できちんと消したことすら覚えていない程疲れていました。そうしたところ、Aさんが寝入ってから30分程経過した後、消し損ねたタバコの火が布団に引火し、アパート一室の壁や柱を焼損してしまいました。Aさんは慌てて110番通報し、自身や消防隊の消火活動により火は消し止められました。その後、福岡県八幡東警察署などの調べにより出火の原因が、Aさんのタバコの不始末によるものであることが判明し、Aさんは重過失失火罪の被疑者として事情を聴かれることになりました。今後のことが不安になったAさんは、刑事事件専門の弁護士に無料相談を申込みました。
(フィクションです。)

~ 失火とは ~

失火とは、過失によって出火させること、をいいます。
ここでいう「過失」とは、物を燃やす認識、認容がないまま、「不注意」によって一定の作為・不作為を行うことをいいます。そして、「不注意」とは、一定の行為をするべきではない、あるいはすべき義務があるにもかかわらず、その義務に違反すること、つまり注意義務違反のことをいいます。
これに対し放火とは、故意に目的物の焼損に原因力を与えることをいいます。ライターで紙などに火をつけ、これを目的物に投げ入れる行為がその典型です。

失火は「過失」により、放火は「故意」により、火を点けるということになります。

~ 失火の罪とは ~

失火の罪は、刑法及び森林法に規定されていますが、ここでは刑法上の失火の罪をご紹介します。

= 失火罪①(刑法116条1項) =

失火により、人が住む住居(現住住居)、他人所有の非現住建造物などを焼損した場合に成立します。
法定刑は「50万円以下の罰金」です。

= 失火罪②(刑法116条2項) =

罪名は上記①と同じですが、
失火により、自己所有の非現住建造物、建造物以外の物などを焼損したことに加え、公共の危険を生じさせた場合にはじめて成立します。
法定刑は①と同様です。

= 業務上失火罪(刑法117条の2前段)

業務上必要な注意を怠って上記①、②の物を焼損した場合に成立する罪です。
ここで「業務」とは、職務上常に火気の安全に配慮すべき社会生活上の地位をいいます。業務者としては、ボイラーマン、調理師、石油類販売業者やその従業員などが挙げられます。
法定刑は「3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金」です。

= 重過失失火罪(刑法117条の2後段)
 
重大な過失によって上記①、②の物を焼損した場合に成立する罪です。
「重大な過失(重過失)」とは、業務上の過失以外で、行為者の注意義務に違反した程度が著しいことをいいます。つまり、わずかな注意義務を払えば結果発生を回避できた場合をいいます。
法定刑は③と同様です。
   
~ 失火罪と重過失失火罪の線引き ~

失火罪の法定刑は「50万円以下の罰金」、重過失失火罪の法定刑は「3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金」と両者に大きな開きがありますから、失火罪が適用されるのか重過失失火罪が適用されるのか気になるところです。

この点、両者の線引きはなかなか難しいと思われます。

・どんな注意が義務が要求されるのか
・わずかな注意を払えば結果の発生を回避できたか否か

の判断は個別具体的事案により異なるからです。
ただ、一般的に、

たばこの不始末による引火
・調理油を放置したことによる引火
 

は重過失失火罪を適用されることが多いでしょう。

本件の場合、Aさんが布団という燃えやすい物の横(どれくらい離れているかは不明ですが)に火元となりうる灰皿を置いていたことは大きな失態というべきでしょう。灰皿はベランダ等周囲に可燃性の物がない場所に設置するべきですし、かつ、そのことはAさんにとっても容易だったといえるからです。この点だけをみると、Aさんが重過失失火罪の被疑者とされていることが理解できるのではないでしょうか?

~ 賃貸会社(所有者)への賠償義務は? ~

失火した場合、刑事上の責任のほか、民事上の責任も負う可能性があります。
賃貸アパート、マンションで失火した場合、失火責任法の適用により、重過失がない限り、不法行為に基づく損害賠償責任は負いませんが、契約違反を理由に損害賠償責任を負う可能性があります。
賃貸契約を結ばれる際は保険の加入もお忘れなく。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、重過失失火罪などをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの予約受付を承っております。

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