【強制性交等】少年が強制性交等未遂罪
少年と強制性交等未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市城南区に住むA君(高校3年生)は友人が彼女と性交したとの噂を聞きました。性交体験がなかったA君はこの噂を聞いて「女性とセックスしてみたい」と思うようになりました。彼女のいなかったA君はどうやって女性とセックスしよう考えていたところ、インターネットサイトで「女性の襲い方」という動画を見て、人通りの少ない路上で背後から女性を襲う方法を選択しました。そして、A君はある日、福岡市城南区市内の路上を歩いていた女性Vさんを後ろから羽交い絞めにして路地裏に連れ込み押し倒し、馬乗りになり「やらせろ!」などと言って服を脱がせようとしました。しかし、A君は想像以上にVさんに抵抗された上、Vさんが大声をあげて助けを求めたため怖くなってその場から逃走しました。後日、Aさんの自宅に福岡県早良警察署の警察官がやってきて、A君は自宅の家宅捜索を受けるとともに、強制性交等未遂罪で逮捕されてしまいました。その場にいたAさんの両親は息子が逮捕されたことに驚き、警察官に詳しく事情を聞こうとしましたが詳しく教えてもらえませんでした。そこで、A君の両親は少年事件を専門に取り扱う弁護士にA君との接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~強制性交等未遂罪~
強制性交等未遂罪とはどんな罪なのでしょうか?
強制性交等罪は刑法177条に規定されています。
刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有機懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
一般に、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使をいいます。そして、強制性交等罪の暴行の程度は、相手方(被害者)の反抗を著しく困難しらしめる程度であることが必要とされています。具体的には、相手方を殴る、蹴る、叩く、武器を使用して殴る、叩く、馬乗りになる、羽交い絞めにする、縄などで縛るなどが「暴行」に当たるでしょう。
「性交等」には、性交の他に、肛門性交(アナルセックス)、口腔性交(オーラルセックス)も含まれます。性交とは膣内に陰茎を入れる行為、肛門性交とは肛門内に陰茎を入れる行為、口腔性交とは口腔内に陰茎を入れる行為をいいます。
今回、A君は性交する目的でVさんに「暴行」を加えたものの「性交」までには至っていないため、強制性交等未遂罪で逮捕されています。
★少年事件の流れ(逮捕後から少年審判までの流れ)についてはこちらもご参照ください→★少年事件の流れ★
~少年に対する処分と弁護活動~
少年は身体的にも精神的にもまだまだ未熟ですから、その未熟さゆえに犯行に至ってしまった、という側面もなくはありません。
そこで、少年事件で適用される少年法では、原則として少年に刑罰を科さないことを前提としています。
その代わりに、なぜ少年が犯行に至ってしまったのか、どうすれば将来、再び罪を犯さないことができるのかについて詳しく調査を受けます。
その上で、少年に保護処分を科す必要があるのか否か、必要があるとしていかなる処分が適当かが決められます。
なお保護処分には
①少年院送致
②児童養護施設・児童自立支援施設送致
③保護観察
の3種類があります。
①少年院送致は、少年を少年院に入所させ、そこで一定期間矯正教育などを受けさせる措置です。
②児童養護施設・児童自立支援施設送致は、児童養護施設・児童自立支援施設で、少年の更生を図るものです。施設に入所する点では少年人と同様ですが、少年院よりかは比較的制限の緩やかな生活を送ることができます。少年に頼るべき親などがいない場合に下されることの多い処分です。
③保護観察は、どの施設にも入所せず、通常の日常生活を送りながら少年の更生を図るものです。ただし、一定期間、保護観察所の指導・保護下に置かれることになります。親などの監督が規定できる場合は、比較的この処分がくだされることが多いでしょう。
そのほか、少年に成人同様刑事処分、刑事処罰を受けさせる必要が相当と判断された場合は、
検察官送致(いわゆる逆送)
という決定を受ける可能性もあります。
少年に社会内での更生可能性が期待できれば期待できるほど保護観察などの軽い処分を受ける可能性は高くなります。
だからこそ、少年による強制性交等事件では、その少年本人だけでなく、その周囲のご家族等が協力して更生のための環境づくりをしていく必要があります。
少年事件に強い弁護士がいれば、そのサポートを行うことができます。
例えば、被害者の方への謝罪は、少年自身やその家族がどういったことをしてしまったのか反省し受け止めることにつながると考えられますが、特に強制性交等事件のような暴力や脅迫をともなう性犯罪事件では、被害者の方へ直接連絡を取りお詫びをすることは非常に難しいです。
弁護士が間に入ることで、少しでも被害者の方の不安を軽減し、かつ少年やその家族の謝罪や反省を伝えられることが期待できます。
また、少年が再犯をしない環境づくりのためには、少年自身の反省だけでなく、その原因を探り対策を立てることも重要です。
第三者であり少年事件の知識・経験のある弁護士であれば、家族には相談しづらいことも相談しやすく、客観的なアドバイスをもらうことも可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談(ご案内はこちら→無料法律相談のご案内)、初回接見サービス(ご案内はこちら→初回接見サービスのご案内)を受け付けております。