【刑事事件】勾留執行停止中に逃走③

【刑事事件】勾留執行停止中に逃走③

勾留執行停止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県博多区に住むAさん(会社員、55歳。窃盗前科2犯を有し、1犯目は罰金30万円の命令、2犯目は懲役1年6月、3年間執行猶予。本件はその執行猶予中の犯罪)、ディスアウンとストアで家電製品3点を万引きしたとして福岡県博多警察署に窃盗罪で逮捕され、その後起訴されました。そして、ある日、AさんはAさんの兄(58歳)と面会した際、父親が病い倒れ急逝したこと、葬儀は3日後であること、を聴かされました(母親は5年前に他界)。そこで、Aさんは、その葬儀に参列したいと思い弁護士に相談したところ、弁護士に勾留執行停止の申立てをしてもらい、勾留執行停止の期間「2日間」という条件で釈放されました。ところが、Aさんは予定とおり葬儀に参加しましたものの、「長い留置場の生活は辛い。」「このまま逃げてしまえ。」と思い、監視にあたっていた検察庁職員の目を盗ん葬儀場から逃走を図りました。その後、Aさんは佐賀県内にいるところを警察官に声をかけられつかまってしまいました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ はじめに ~

前回の「勾留執行停止中に逃走②」では、

勾留執行停止の意義
勾留執行停止の取消し

についてご説明しました。
本日は、

勾留執行停止と保釈との違い
勾留執行停止中に逃走した場合の罪

について解説したいと思います。

~ 勾留執行停止と保釈との違い ~

一番大きな違いは、釈放にあたって、保釈は保釈保証金を必要としますが、勾留執行停止の場合はお金を必要としない点です。
したがって、勾留執行停止中の場合、釈放中に逃走したとしてもお金を没収される、ということはありません。
次に、保釈は起訴後にしか認められませんが、勾留執行停止は起訴前でも可能です。
ただし、保釈が取消事由が認められるまで釈放が続くのに対して、勾留執行停止で釈放される期間は数時間から長くても数日程度です。
報道された東京都の事例でも、3時間しか釈放が認められていませんでした。

~ 勾留執行停止中に逃走した場合の罪 ~

勾留執行停止中に逃走した場合、何らかの罪に問われることはあるのでしょうか?
この点、逃走罪(刑法97条)に問われることが考えられます。

刑法97条
 裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、1年以下の懲役に処する。

「裁判の執行により拘禁された」者とは、現に刑事施設(刑務所、拘置所)・留置施設(留置場)などに拘禁(収容)されている者をいいます。
これからすると、勾留執行停止中の方はこの「裁判の執行により拘禁された」者には当たりませんから、勾留執行停止中に逃走したとしても逃走罪には問われません。

しかし、勾留執行停止中の者が逃走した場合、それをかくまったり、助けたりした方は犯人蔵匿罪や犯人隠避罪が成立します。逃走した本人が罪を問われず、かくまった者が罪を問われるというのはなんだかおかしな話です。もっとも、逃走した本人も、誰かにかくまってくれとか旅費をくれなどとお願いして助けてもらったときには、犯人蔵匿罪の教唆犯や犯人隠避罪の教唆犯に問われることがあります。

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