【窃盗】常習累犯窃盗で逮捕

2020-04-07

【窃盗】常習累犯窃盗で逮捕

常習累犯窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市西区に住む主婦のAさんは,令和元年5月1日、同区内にある100円ショップで日用品(販売価格108円)を万引きしたところ保安員に見つかり窃盗罪の現行犯で逮捕されてしまいました。実は、Aさんは、過去5回、万引き(いずれも窃盗罪)で検挙されたことがあり、そのうち3回は刑務所に服役しました。1回目の服役は平成20年12月1日から平成21月6月1日(懲役6月)まで、2回目は、平成25年4月1日から同年12月1日(懲役8月)まで、3回目が、平成29年3月1日から平成30年1月1日(懲役10月)まででした。逮捕後、Aさんは、窃盗罪ではなく常習累犯窃盗罪で起訴されました。
(フィクションです。)

~ 常習累犯窃盗罪とは ~

常習累犯窃盗罪は、万引きなどの窃盗罪を繰り返し、さらに窃盗既遂罪あるいは窃盗未遂罪を犯した場合に問われ得る犯罪です。
「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律(以下、法律)」の3条に規定されています。
以下、規定の内容及びAさんの行為が常習累犯窃盗罪に処せられるのかみていきたいと思います。

法律3条の規定は以下のとおりです(ひらがな部分は実際はカタカナです)。

常習として前条に掲げたる刑法各条の罪又はその未遂の罪を犯したる者にしてその行為前10年内にこれらの罪又はこれらの罪と他の罪との併合罪に付き3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たるものに対し刑を科すべきときは前条の例に依る

この規定を分解すると、

1 前条に掲げたる刑法各条の罪(刑法235条(窃盗)、236条(強盗)、238条(事後強盗)、239条(昏睡強盗))の罪又はこれらの未遂の罪を犯したこと
2 1記載の犯罪を常習として犯したこと
3 1記載の犯罪又はそれらの犯罪と他の犯罪との併合罪につき、懲役6月以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たことがあること
4 3が、行為前の10年以内に3回以上あること

となります。

= 1について =

本件で1に掲げる罪又はこれらの未遂の罪を犯したことが必要です。

= 2について =

「常習として」とは、反復して特定の行為を行う習癖をいいます。常習性の有無については、行為者の前科・前歴はもちろん、性格、素行、犯行の動機、手口、態様、回数などを総合的に検討して判断されます。したがって、「常習性」の認定は前科のみで判断されるわけではありません。

* 常習性が否定された裁判例 *

過去の窃盗前科の犯行態様が、ドライバーを使って古いアパートの錠を外して侵入し現金を盗んだ、という人が、本件で、スーパーマーケットの缶詰2個を万引きしたという事案で、動機・態様を著しく異にしており、本件が窃盗の習癖の発現としてなされたものであるとは認められないとして常習性が否定された裁判例(東京高裁:平成5年11月30日)があります。

= 3について =

「1記載の犯罪」とは、刑法235条(窃盗)、236条(強盗)、238条(事後強盗)、239条(昏睡強盗)の罪又はこれらの未遂罪をいいます。
「刑の執行を受け」とは、刑務所内に服役したことを意味します。つまり、執行猶予の場合は含まれませんが、執行猶予が取消され、服役した場合はもちろん含まれます。そして、10年以内の3回の刑のうち最後の刑の執行に着手されれば足り、執行が終了したことを要しないとされています。したがって、最後の刑について仮釈放となり、その仮釈放中に常習として窃盗等を行った場合でも、3の要件を満たすことになります。

= 4について =

「10年以内」とは、10年以内の3回の刑のうち最初の刑の執行終了日が10年以内であれば足り、その執行開始日が10年以内である必要はないと解されています。

= Aさんについて =

1の要件→◎:Aさんは、本件で万引き、つまり窃盗罪を犯しています
2の要件→△:常習性の判断は上記で記載した事情を総合して判断しますが、過去の前科も万引きだったことからすれば常習性は認められやすいでしょう。
3の要件→◎:Aさんは、過去、窃盗罪につき3回服役していることが認められます。最後に刑の執行に着手されたのは平成29年3月1日です。
4の要件→◎:Aさんの最初の刑の執行終了日は平成21年6月1日です。これは行為日(令和元年5月1日)から遡って10年以内に含まれます。

以上から、Aさんは常習累犯窃盗罪に処せられる可能性が高いといます。

~ 常習累犯窃盗罪の法定刑は? ~

法律3条では「前条の例に依る」とされています。そこで前条、すなわち法律2条を見ると、法律2条では

窃盗を以て論ずべきときは3年以上の有期懲役に処す

とされていますから、常習累犯窃盗罪の法定刑は

3年以上の有期懲役

ということになります。
執行猶予付きの判決を受けるためには、「懲役3年以下」の判決の言い渡しを受けることが必要ですから、常習累犯窃盗罪で有罪となると、基本的に

実刑

を覚悟しなければなりません。

しかし、法律上の減軽事由(刑法66条等)に当たる事情がある場合は、法定刑が減軽され、執行猶予付きの判決を獲得できるハードルを低めることはできます。
法律上の減軽事由には、情状に特に酌量すべき点が認められる

情状酌量

の場合もあります。
お困りの方は弁護士までご相談ください。

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