Archive for the ‘窃盗罪’ Category

【窃盗・万引き】起訴状が届いた!

2020-03-28

【窃盗・万引き】在宅の万引き事件で起訴状が届いた!

在宅の万引き事件と起訴状について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県小郡市に住む主婦のAさん(63歳)は、スーパーで食料品を万引きしたとして保安員に見つかり、その後、小郡警察署の警察官に引き渡されました。Aさんは、小郡警察署に駆け付けた夫が身柄引受人となることを誓約したことから逮捕されずに済みました。その後、Aさんの万引き事件は在宅事件として捜査が進められ、Aさんも小郡警察署で取調べを受けるなどしました。そして、Aさんの万引き在宅事件は福岡地方検察庁久留米支部へ送られました。Aさんは検察庁でも検察官による取調べを受けました。Aさんは、検察官によって窃盗罪で起訴され、Aさんの元には、裁判所から「起訴状謄本」が届けられました。
(フィクションです)

~ 在宅事件の検挙から起訴までの流れ ~

在宅事件とは身柄を拘束されないまま、捜査を受けたり、裁判を受ける事件のことです。
在宅事件であっても場合によっては起訴されることがあります。
在宅事件の検挙から起訴までの流れは以下の通りです。

・検挙→・捜査(警察、検察)→・刑事処分(起訴あるいは不起訴)

捜査では警察、検察に呼ばれて取調べなどを受けます。
身柄事件と異なり、捜査の時間的制約がなく、検挙から刑事処分まで数か月、数年かかることも稀にあります。
在宅事件で起訴されると「起訴状」という書類が裁判所からご自宅に送られてきます。

~ 起訴状とは ~

起訴状とは、検察官が刑事裁判を起こすため、公訴提起(起訴)と同時に裁判所に提出する書面のことをいいます。

検察官の刑事処分(終局処分)には大きく、

① 起訴
② 不起訴

の2種類があり、①起訴には

ア 正式起訴
イ 略式起訴

の2種類があります。
検察官は、起訴と同時に被告人の数に応じる起訴状謄本を差し出さなければならず、その起訴状謄本が裁判所から被告人の元へ送達されることになっています。
したがって、

起訴状謄本が送達された

ということは、

検察官の公訴提起、つまり起訴を受け、刑事裁判を受けなければならない(略式起訴の場合は公開での法廷での裁判を受ける必要はありません)

ということを意味しています。

~ 起訴状にはどんなことが書かれてあるの? ~

詳細は「起訴状、画像」などとキーワードを入れて検索していただき、現物をご覧になっていただくのが早いかと思います。

まず法令で記載しなければならないとされているものとして

・被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項
・公訴事実
・罪名

のほか、

・被告人の年齢、職業、住居及び本籍(ただし、被告人が法人であるときは、事務所並びに代表者又は管理人の氏名及び住居)
・被告人が逮捕又は勾留されているときは、その旨

です。この他、起訴状には

・起訴年月日、起訴した検察官の指名・検察官の所属検察庁名、起訴された裁判所名

が記載されています。

なお、この中では「公訴事実」が最も重要です。
「公訴事実」とは、起訴された罪に関して

あなたがいつ、どこで、どんな方法によって、何をしたか、被害者は誰で、どの程度の損害が発生したか

などのことについて記載されています。

~ なぜ起訴状は送達されるの? ~

では、なぜ起訴状は被告人へ送達されることになっているのでしょうか?
それは一言でいえば、

刑事裁判の準備のため

です。つまり、被告人に起訴状に書かれてある事実を知らしめることによって、

・その事実について認めるのか認めないのか
・認めるとして、認めないとしてどんな主張をし、どんな証拠を提出するのか

という準備のきっかけが与えられるわけです。

~ 刑事裁判と起訴状 ~

そして、刑事裁判(正式起訴された場合)では、検察官が起訴状を朗読し、朗読後、裁判官から

起訴状を読んだか
・公訴事実について認めるか、認めないか

を聴かれます。
ですから、起訴状を受け取った際は、そのまま放置することなくしっかり読んで、ご自身の主張を固めておく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご自宅に起訴状が届いた方で「どうすればいいか分からない」と困っている方は一度弊所の無料法律相談をご利用ください。
24時間、無料法律相談、初回接見サービスの受け付けを行っております。

【窃盗】置引き窃盗と早期釈放

2020-03-10

【窃盗】置引き窃盗と早期釈放

置引き窃盗と早期釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市中央区の大学に通うAさん(20歳)は、ATM機でお金を引き出そうとしたところ、ATM機横に財布が置かれてあるのを見つけました。Aさんはそれを手に取って中身を見ると、財布の中には1万円札1枚が入っているのを確認しました。Aさんは、普段お金に足りないことに不満を抱いていたことから、「自分のものにしてしまえ」と思って財布の中から1万円札を抜き取りました。その後、ATM機の上に財布を置き忘れたことに気づいたVさんが、その約5分後ATM機の元へ戻ってきました。Vさんは、財布は無事手に戻すことができたものの、1万円札を抜き取られたことに気づいたことから警察に通報、被害届を提出しました。そうしたところ、Aさんは窃盗罪で福岡県中央警察署に逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~置引き~

置引きとは、置いてある他人の財物を持ち去る行為をいいます。
置引きは、刑法などの法令に規定されている罪名ではなく、「ひっったくり」や「万引き」と同様、窃盗罪の態様として慣用的に使われている言葉の一種です。
なお、平成30年度版犯罪白書によれば、置引きは、万引き、車上狙い(荒らし)に次ぐ3番目に多い窃盗の手口とされています。

置引きは窃盗罪(刑法235条)あるいは占有離脱物横領罪(刑法254条)に当たる可能性があります。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法254条
 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

窃盗罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、占有離脱物横領罪は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」と両罪は法定刑に大きな違いがあります。
窃盗罪と占有離脱物横領罪を区別する基準は、被害者の財物に対する支配が及んでいるか否かという点です。及んでいる場合は窃盗罪、及んでいない場合は占有離脱物横領罪が成立します。
本件では、VさんがATM機に財布を置き忘れたことに気づき約5分後に取りに戻ったというのですから、Vさんの財布及びその中の財物(お金など)に対する支配は認められるものと思います。したがって、Aさんには窃盗罪が適用され、処罰される可能性が高いでしょう。

~逮捕後の流れと早期釈放~

逮捕後の流れは以下の通りです。

①逮捕→②警察署の留置施設へ収容→③警察官の弁解録取→④送検→⑤検察官の弁解録取→⑥勾留請求→⑦裁判官の勾留質問→⑧勾留決定

警察官に①逮捕されると、警察署内にある②留置施設(留置場)へ収容されます。
その後、③警察署で弁解録取という手続きを受けます。その上で釈放される場合もありますが、釈放されない場合は、①逮捕から48時間以内に④検察官の元に送致する手続き(送検)を取られます。

検察官の元でも⑤弁解録取の手続きを受けます。その上で釈放される場合もありますが、釈放されない場合は⑥勾留請求されます。勾留請求は、検察官の元に送致される手続きが取られてから24時間以内になされます。

勾留請求されると、今後は、⑦裁判官による勾留質問という手続きを受けます。その上で釈放される場合もありますが、釈放されない場合は⑧勾留決定が出されたと考えていいでしょう。勾留決定が出た場合は「勾留状」という裁判官名義の令状が発布され、勾留状に基づき指定の留置場等へ収容されます。

①から⑧までの手続きに要する時間はおおよそ3日間ですから、早期釈放というのは通常①から⑧までの間で釈放されることをいいます。
警察官、検察官、裁判官の判断で釈放されることもありますが、そこに弁護人の働きかけがあればより釈放される可能性を高めることができます。
早期釈放をお望みの場合は弁護士まではやめにご連絡ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談(ご案内はこちら→無料法律相談のご案内)、初回接見サービス(ご案内はこちら→初回接見サービスのご案内)を受け付けております。

【窃盗】執行猶予獲得のためには

2020-03-03

【窃盗】執行猶予獲得のためには

窃盗罪執行猶予獲得について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県みやま市に住むAさんは,数年前から万引きを繰り返すようになり,過去3年以内に,1回、窃盗罪で微罪処分を受け、1回、窃盗罪で罰金20万円の略式命令を受けていました。そして,ある日,Aさんはスーパーで再び万引きしたところを保安員に目撃され窃盗罪で逮捕されてしまいました。Aさんの逮捕の通知を受けた母親は,何としてでも実刑だけは避けたいと思い,執行猶予付き判決の獲得を目指して弁護士に刑事弁護を依頼することにしました。
(フィクションです)

~Aさんの処分は?~

Aさんは過去3年以内に同じ窃盗で罰金刑を受けています。これは前科1犯とカウントされます。また、微罪処分を受けたことは前歴としてカウントされます。そして、犯行時から3年以内に同種前科1犯、前歴1回があると、次の刑事処分は

正式起訴(公判請求)

される可能性が高いです。
正式起訴されると、Aさんが過去すでに罰金刑の前科を有していることから、検察側から

懲役刑

を求刑される可能性が高いでしょう。
懲役の長さは

6月から1年

が相場だと思われます。
仮に、実刑判決が言い渡されると、Aさんは刑務所に服役しなければならない可能性が出てきます。
実刑を回避するには、執行猶予付き判決を獲得しなければなりません。

~執行猶予とは~

刑の執行猶予とは,有罪判決をして刑を言い渡すに当たって,情状により,その執行を一定期間猶予し,その期間を無事経過したときは刑の言渡しを失効させる制度のことをいいます。刑の執行猶予には,大きく分けて「刑の全部の執行猶予の制度」と,「刑の一部の執行猶予の制度」の2種類があり,前者はさらに,「最初の執行猶予の制度」と「再度の執行猶予の制度」の2種類に分けられます。

最初の執行猶予(付き判決)を受けるための要件は,刑法25条1項に規定されています。

刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間,その刑の全部の執行を猶予することができる

1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

つまり,最初の執行猶予(付き判決)を受けるには

1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号,あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること

が必要ということになります。

~上記1について~

窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
また、上記のように、はじめて正式起訴される場合は、判決で、

懲役6月から1年

を言い渡されることが相場です。
したがって、上記1の要件は満たします。

~上記2について~

上記2については、まずは

・なんら前科のない人
・前科があっても罰金刑(実刑,執行猶予付きを含む)以下の前科を有する人

は含まれる、と考えてよいです。
この点、Aさんは罰金刑の前科しか有していませんから「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に当たります。

~上記3について~

情状は,犯罪そのものに関する情状(犯情)とその他の一般情状に区別されます。
犯情とは,犯行動機・態様,被害結果などの要素があり,万引きが終わった後ではいかんともしがたい事実です。
他方,一般情状については,万引き後でも,いくらでも有利に動かすことができます。事実を認めるのであれば,まずはスーパー側に謝罪することが必要でしょう。そして,反省を深め,被害者が被った被害に思いをいたし,被害弁償を進め,可能であれば示談を締結する必要があります。それが,裁判では,有利な情状として考慮され得るからです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件での執行猶予獲得をご検討中の方は弊所までお気軽にご相談ください。
24時間、無料法律相談(ご案内はこちら→無料法律相談のご案内)、初回接見サービス(ご案内はこちら→初回接見サービスのご案内)を受け付けております。

【窃盗】窃盗の認知件数、戦後最小

2020-02-13

【窃盗】窃盗の認知件数、戦後最小

窃盗と認知件数について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡事務所が解説します。

先日2月10日、警察庁より2019年の刑法犯認知件数の確定値が発表されました。それによると刑法犯全体の認知件数は前年比6万8779件減の74万8559件で、戦後最小を記録したとのことです。ちなみに戦後最多だったのは2004年(平成16年)の285万4061件ですから、それから比べると大幅に減少していることが分かります。また、人口1000人当たりの認知件数も5.9件と戦後最小だったとのことです。では、窃盗犯の認知件数はどうだったのでしょうか?

~ 認知件数とは ~

その前に、認知件数とは何を意味するのかご存じでしょうか?

認知件数とは、警察が「ある事実」を「犯罪」として認めた件数をいいます。

認知には

・110番通報、窃盗などの被害届、名誉棄損などの告訴、告発を受理する場合のように、警察が受動的に〈犯罪〉を認知する場合の受動的認知

・児童ポルノや贈収賄、賭博や薬物事犯などのように、積極的に捜査を進めて行って〈犯罪〉を認知する場合の能動的認知

があります。

しかし、警察に被害届や告訴状を提出したとしてもそこに記載されてある「事実」が本当に「犯罪」に当たるかどうかはまだ分からないという場合もあります。また、警察が積極的に捜査を進める場合でも、捜査過程では、捜査対象となっている「事実」が「犯罪」に当たるかどうかはまだ分かりません。

警察は、こうした不確定な事実をも認知件数に含めているわけはなく、本当に犯罪に当たると判断した事実にかかる刑法犯のみを認知件数の対象としているのです。

なお、刑法犯とは、以下に代表されるような刑法に規定された犯罪類型のみを指し、それ以外の犯罪は含まれていないことにも注意が必要です。

窃盗(刑法235条)

・殺人(刑法199条など)

・強盗(刑法236条など)

・放火(刑法108条など)

~ 窃盗の認知件数 ~

2019年の窃盗の認知件数も53万2565件戦後最小だったとのことです。

ちなみに、窃盗の認知件数の戦後最多は2002年237万7488件だったそうです。また、近年の傾向を見ても窃盗の認知件数は徐々に減少してきていることが分かります。

2015年 80万7560件 

2016年 72万3148件 

2017年 65万6498件 

2018年 58万2141件 

警察は窃盗の手口別に

・他人の家、建物に立ち入って窃盗を行う侵入盗

・車などの乗り物の窃盗を行う乗り物盗

・上記以外の非侵入盗

の3つに区分しており、2019年では、

・侵入盗   5万7808件

・乗り物盗 18万7101件

・非侵入盗 28万7656件

とのことです。それぞれの手口ではさらに細かく手口が分かれていますが、非侵入盗の中では「万引き」が9万3812件と最も多く、前年(9万9692件)と比べても減少率が他の手口に比べて低いのが特徴です。

~ 窃盗に関する罰則 ~

最後に窃盗に関する罰則などについてご紹介します。

まず、刑法235条に規定されている罰則は「10年以上の懲役又は50万円以下の罰金」です。 

刑法235条

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

また、窃盗という単語は強盗罪の一種である事後強盗罪(刑法238条)という罪名にも出てきます。

刑法238条

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪は窃盗犯(既遂犯、未遂犯を問わない)が、窃盗後に被害者や目撃者などに暴行、脅迫を加えて成立する犯罪で強盗罪の一種ですから、罰則は「5年以上の有期懲役」です。

その他、刑法犯ではありませんが、盗犯等ノ防止及処分二関スル法律、という刑法とは別の法律の3条に常習累犯窃盗罪という罪が規定されています。

常習累犯窃盗罪は、簡単に言うと、窃盗などでの服役を繰り返し、さらに窃盗を犯した場合に成立する犯罪で、罰則は3年以上の有期懲役とされています。

刑法犯、窃盗犯の認知件数自体は減少したものの、まだまだ完全になくなったわけではありません。ということはご家族などが窃盗罪を犯したとして警察に認知され、警察に逮捕されることはまだまだありえます。特に、窃盗は日常生活に身近な犯罪といっても過言ではありませんから、その可能性は高いと言えるでしょう。万が一ご家族が窃盗で逮捕された場合は窃盗に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部の弁護士まで初回接見、弁護活動をご依頼ください。

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【万引き】逮捕から勾留前に釈放~福岡県太宰府市

2020-01-30

【万引き】逮捕から勾留前に釈放~福岡県太宰府市

福岡県太宰府市に住む会社員のAさんは、同市内にあるスーパーで万引きしたとして福岡県筑紫野警察署に窃盗罪で逮捕されました。Aさんは、逮捕後、筑紫野警察署内の留置施設に収容され、警察官の「弁解録取」を受けました。その後、Aさんは検察庁へ送致(送検)され、検察官の「弁解録取」を受けましたが、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないと判断され釈放されました。逮捕の通知を受けたAさんの妻が弁護士にAさんとの接見を依頼。依頼を受け正式に弁護活動を始めた弁護士が、検察官に釈放に向けて働きかけを行ったことが釈放の要因となったようです。
(フィクションです。)

~ 万引きと窃盗罪 ~

刑法犯の中で万引きの認知、検挙件数が多いのは以前から変わりはありません。
つまり、万引きは比較的犯しやすい犯罪ともいえそうです。
しかし、万引きは刑法の窃盗罪(刑法235条)に当たる犯罪です。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

認知、検挙されるとAさんのように逮捕されることももちろんあります。
万引きだからとって軽く考えてはいけません。

~ 勾留前に釈放されることがある ~

では、逮捕後はどのような流れを辿るのかみていきましょう。
逮捕後は概ね以下の流れを辿ります。

「逮捕」→警察の留置施設に収容→警察官の「弁解録取」→留置→検察官送検→検察庁での弁解録取→検察官の勾留請求→裁判官の勾留質問→裁判官の勾留決定

「逮捕」から「裁判官の勾留決定」までは概ね2日間を要します(送致の翌日に勾留が決定した場合は3日間)。
裁判官が勾留決定すれば、勾留状に記載された留置施設に収容されます(通常は逮捕直後に収容された留置施設を指定されます)。
期間は10日間で、その後「やむを得ない事由」がある場合は期間を延長されることもあります。

ただ、「逮捕」から「裁判官の勾留決定」までに釈放されることがあります。
そもそも身柄を拘束される大きな理由は、被疑者に

①罪証隠滅のおそれ
②逃亡のおそれ

が認められるからです。
そこで、こうしたおそれがないと判断された場合は、法律上「釈放しなければならない」とされているのです。

勾留前の釈放権限を持つのは、弁護士でも裁判官でもなく警察官、検察官です。
ただ、警察官、検察官は罪を追求する側ですから、上記①、②のチャックがどうしても甘くなってしまうことがあります。
違法、不当逮捕事案が発生しているのも事実です。

そこで、警察官や検察官により適切な判断をしていただくため、弁護士が警察官や検察官に働きかけを行う必要性が生じます。
本件は、弁護士が検察官に働きかけを行った結果、釈放が実現されたケースでした。
ただ、それでも釈放が実現できないことがあります。
そうした場合に備えて、弁護士は裁判官にも働きかけを行います。
具体的には、勾留裁判に対する意見書を提出したり、場合によっては直接裁判官と面談するなどします。

~ 釈放されても安心できない ~

こうした働きかけによって、無事に釈放されててもそれで事件が終わりというわけではありません。
勾留される前に釈放された場合、私選で弁護人を選任しなければ、釈放後の弁護活動を受けることはできません(国選の弁護人は選任されません)。
にもかかわず、捜査の手が緩められることはありません。
釈放された反動から、反対に取調べが厳しくなることも予想されます。
取調べ対応や被害者への被害弁償、示談交渉をお望みの場合は私選の弁護士に弁護活動を依頼しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。

【窃盗罪】アルバイトがお店のお金を盗んで窃盗罪~佐賀市

2020-01-10

【窃盗罪】アルバイトがお店のお金を盗んで窃盗罪~佐賀市

窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

佐賀市に住むAさんは、同市内のコンビニで深夜アルバイトの仕事をしていました。そして、Aさんは、深夜、誰もいなくなったところを見計らって、店のレジの中から1万円札10枚を取り、これを自分のものにしました。ところが、それから週数間経ったある日、Aさんは店長に呼ばれ、「お店の売上額と実際に手元に残っている額が異なる。」「あなたがレジのお金を盗ったのではないか。」「佐賀北警察署に被害届を提出する。」と言われました。そこで、Aさんは、「このままでは逮捕されるかもしれない」と思い、お店側に被害弁償することを申し出ましたが、「本当に被害弁償してくれるか分からない。」「被害金額が大きいので、警察に被害届を出すことになると思う。」などと言われて受け付けてもらえませんでした。困ったAさんは、被害弁償と示談交渉を弁護士に依頼するため、無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 窃盗罪について ~

他人の物を勝手に盗った場合は窃盗罪に問われます。
Aさんも窃盗罪に問われています。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

また、他人の物を勝手に盗った場合でも、その物が自己の占有下にあると認められる場合は横領罪、業務上横領罪に問われます。
横領罪は刑法252条、業務上横領罪は刑法253条に規定されています。

刑法252条1項
自己の占有する他人の者を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

刑法253条 
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

この点、Aさんはアルバイトです。
アルバイトの場合、通常、お店のお金の管理までは任されておらず、お金に対して「自己の占有下にある」と認めることは困難でしょう。
よって、Aさんは窃盗罪に問われる可能性が高いです。

~ 警察に被害届を提出すると言われたら? ~

刑事事件化する前に、一刻も早く相手方と被害弁償、示談交渉に臨みましょう。
もちろん、被害弁償、示談交渉はご自身で行うことも可能です。
しかし、場合によっては、事例のように門前払いを受けることも予想されます。

そうした場合は、被害弁償、示談交渉は交渉に慣れた弁護士に任せましょう。
弁護士は示談交渉に関する知識、経験を有していますから、弁護士であれば適切な形式、内容で示談を締結できる可能性が高くなります。
示談締結の際に、「捜査機関に告訴や被害届を提出しない」旨の条項を盛り込むことができれば、逮捕などの捜査を受けるおそれもなくなるでしょう。
弁護士が当事者の間に入ることによって、相手方からの不当な要求や態度に対しても毅然とした態度で交渉に臨むことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪、横領罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談、初回接見のご予約を承っております。

【窃盗】他人に万引きさせたら?

2019-12-22

【窃盗】他人に万引きさせたら?

他人に万引きさせた場合の窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県水巻町に住むAさんは、無職でお金がなく、日頃の食糧費を賄うことにも苦労していました。そこで、Aさんはスーパーで食料品を万引きしようと思いましたが、1年ほど前に同じ万引きで有罪判決を受け執行猶予中だったことから「刑務所に行きたくない」と思い、妻Bさんにスーパーで万引きするよう言いました。最初、Bさんは断りましたが、Bさんも同じ家族としてく生活に困っていたことからAさんの言うとおりスーパーで万引きしました。そうしたところ、Bさんが福岡県折尾警察署に窃盗罪で逮捕され、Aさんも窃盗罪の教唆犯として逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~ Bさんの罪 ~

今回、実際に万引きしたのはBさんです。
ですから、まず罪に問われるのはBさんでしょう。
そして、Bさんが窃盗罪に問われることは明らかです。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

★窃盗罪についての詳しい解説はこちら→★窃盗罪

~ Aさんの罪 ~

しかし、直接万引きしていなくても罪に問われることがあります。
それが共犯の場合です。

共犯は、

①他人と意思疎通して協力しあって犯罪を実現する「共同正犯」
②人を唆して他人に犯罪を実現させる「教唆犯」
③他人の犯罪の実現を容易にするため手助けする「幇助犯」

の3つに区分されます。

今回、Aさんは①の共同正犯に問われているようです。

共同正犯は刑法60条に規定されています。

刑法60条
 

「共同して実行した」とは具体的には

・共犯者間(AさんとBさんの)意思の連絡(通謀の意思連絡)
・共同実行の事実

が必要とされています。
しかし、本件のように、共同正犯の事案では、直接は万引きをしていないものの、直接万引きをしたと同視できるという場合(共犯者間の意思の連絡はあっても、共同実行の事実が認められない場合)もあります。
この場合、Aさんは共謀共同正犯という理論によって窃盗罪に問われる可能性があります。
共謀共同正犯は共同正犯の中の一つです。

なお、共犯者間の意思連絡が認められない場合、Aさんは共同正犯でなく教唆犯に問われる可能性があります。
「教唆」とは、まだ犯罪に対する実行の決意をしていない他人(今回の場合、Bさん)を唆して、犯罪実行の決意を生じさせることをいいます。
教唆犯は刑法61条1項に規定されています。

刑法61条
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。

教唆が成立するには、

・人を教唆すること
・それに基づいて被教唆者(Bさん)が犯罪を実行すること

の2つの要件がそろうことが必要とされています。

教唆犯は、自ら犯罪を実行した者(正犯者(今回の場合、Bさん)といいます)と同様の地位にあるとみなされ、正犯者と同様の刑を科すとされています。
つまり、共同正犯でも教唆犯でも「正犯」とされることに変わりはありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、万引きをはじめとする窃盗罪などの刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見(ご案内はこちら→★初回接見のご案内★)、無料法律相談(ご案内はこちら→★無料法律相談のご案内★)の予約を受け付けております。

 

【窃盗・横領】嘉麻市~窃盗罪?横領罪?

2019-12-09

【窃盗・横領】嘉麻市~窃盗罪?横領罪?

福岡県嘉麻市に住むAさんは、同市内にあるコンビニエンスストアにてアルバイトをしていました。Aさんは主に、レジや商品の補充・陳列の仕事を任されていました。
ところが、Aさんは、ある日、深夜のアルバイトに入り、バックヤードで管理されていた現金を横領したことをきっかけに、店側にばれないように少しずつっ現金を持ち去ることを繰り返すようになりました。そんな中、Aさんは店長に呼ばれ横領のことを追及されて白状したことから、そのまま店長とともに福岡県嘉麻警察署に出頭しました。Aさんは、店長から「全額弁償してくれるなら被害届を提出しない。」と言われており、まだ事件は刑事事件化していません。そこで、Aさんは今後どうすればよいか相談するため、弁護士との無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)

~ 窃盗罪?横領罪? ~

職場のお金や商品を勝手に持ち去ったという場合、まず横領事件として報道されることが多いかと思います。
しかし、だからといって、必ずし刑法の横領罪が成立するとは限りません。

横領罪は刑法252条に規定されています。

刑法252条

1 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

つまり、横領罪が成立するには、横領した者が「自己の占有する他人の物」といえなければならないのです。
「自己の占有」するかどうかは、

・店側と従業員との委託関係
・従業員の権限、委託の範囲

などから判断されます。
この点、本件のAさんはアルバイトです。
アルバイトはお店のお金の管理までは任されないのが一般的です。Aさんはレジや商品の補充・陳列を任されていたようでした。
したがって、Aさんには

・お金の管理に関して店側との委託関係が認められず
・その権限もない

ことから、Aさんが勝手に持ち出したお金は「自己の占有する他人の物」とはいえず、Aさん横領罪ではなく窃盗罪(刑法235条)に問われます。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

~ 窃盗罪で示談交渉する際の注意点 ~

窃盗罪で示談交渉する際の注意点をいくつか挙げます。

まず、示談交渉にあたっては、これから弁償しようとする額と被害者の主張する金額とがおおむね一致しているかどうか確認する必要があります。
もし金額に大きな開きがある場合は、交渉過程において詰める必要があります。
また、示談交渉にあたっては、金額以外のその他の条件もきちんと詰める必要があります。のちのち示談を成立させたといっても、その内容しだいで捜査機関や裁判所に与えるインパクトは大きくことなるからです。
少しでも有利な条件で示談を成立させるには、弁護士の力を借りた方がよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。窃盗罪での示談交渉をご希望の方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの受け付けを行っております。

【窃盗】糸島市~車いす生活の父親が万引きで逮捕②

2019-12-01

【窃盗】糸島市~車いす生活の父親が窃盗罪万引きで逮捕②

車いす生活の父親が万引きした件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県糸島市に住む高齢の男性Aさん(79歳)は、5年前に脳梗塞を患い半身不随となって電動車いす生活を余儀なくされていました。Aさんは、10年前にすでに妻に他界され一人暮らしを送っていましたが、自宅から車で約10分のところに長男夫婦が住んでおり、週末に食事などの世話を受けていました。ある日、Aさんは、食料の買い出しに、所持金5000円をもって自宅から電動車いすに乗って近いスーパーに出かけました。Aさんはスーパーに入ると旬のカキを見つけました。ところが、Aさんは「お金を使うのがもったいない」と思い、電動車いすに乗ったまま車いすにかけていた手提げ袋にかき2個を入れ、レジで精算することなく店外に出ました(万引き)。そうしたところ、Aさんは、Aさんの行動を一部終始みていた保安員に「おじいちゃん、精算がお済でないですよ。」などと声をかけられその場で窃盗罪で現行犯逮捕されてしまいました。そして、Aさんは、スーパーに駆け付けた福岡県糸島警察署の警察官に身柄を引き渡されそのまま警察署内の留置場に収容されてしまいました。一方、逮捕の通知を受けた長男夫婦はこれを聞いて驚き、父親を釈放してもらうため弁護士に接見とその後の弁護活動を依頼しました。

~ はじめに ~

前回の「車いす生活の父親が万引きで逮捕されました①」では、

・万引きは窃盗罪に当たる立派な犯罪であること
・万引きで逮捕される可能性は十分あること
逮捕の条件として「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」が必要とされること

を解説しました。
本日は、逮捕後の流れなどについて解説します。

~ 逮捕されると留置場に収容される ~

逮捕されると留置場(正式には留置施設)に収容されます。
留置場は、全国の各都道府県警察署内に設けられた、主に被疑者の逃走、罪証隠滅行為を防止するための施設です。
一定の場合(運動、診断、入浴等)を除き、8畳ほどの簡素な居室の中で生活することになります。規則正しい生活を強いられ、場合によっては共同で狭い居室の中で生活しなければなりません。また、食事は出ますが、警察署内に調理する場所はなく、専ら外注した弁当を配膳されます。当然、好きなもの、食べたいものが配膳されるわけではありませんし、冷めていて温めることもできません。入浴は、夏場は週に2回、冬場は週に1回とされていることが多いようです。

~ 逮捕後の流れ ~

留置場(正式には留置施設)に収容されると、警察署内で、司法警察員による弁解を聴く手続、すなわち「弁解録取」の手続が取られます。その上で、身柄を拘束する必要があるか否かを判断され、警察官が拘束する必要がないと判断したときは釈放され、必要がある判断したときは逮捕から48時間以内に、犯人及び事件を検察官の元に送致する手続を取られます(送検)。また、送致を受けた検察官によっても「弁解録取」という手続が取られます。そして、身柄拘束の必要がないと判断された場合は釈放され、必要があると判断された場合は、犯人を受け取ってから24時間以内に、裁判官に対し勾留請求の手続を取られます。勾留請求されると裁判官による「勾留質問」を受け、勾留するか釈放するか判断されます。勾留決定が出た場合は10日間拘束されます(ただし、不服申し立ての制度あり)。

逮捕→(警察での)弁解録取→送致(送検)→(検察での)弁解録取→勾留請求→裁判所での勾留質問→勾留

~ 逮捕された場合はただちに釈放に向けて動き出そう ~

留置場の生活は自由がきかず過酷なものです。また、その期間が長引けば長引くほど過酷さを極め、逮捕された方にとっては相当な負担となるでしょう。
近年は、Aさんのような高齢者が比較的軽微と言われる万引きを繰り返し、留置場に収容されることが多いようです。しかしながら、対応する留置場はバリアフリー化が進んでおらず、留置場内では介護に不慣れな警察官が対応しなけばならないため、逮捕された方にとっても警察官にとっても大変な苦労をされているとのことです。

そもそも、その前に、Aさんのような一見して罪証隠滅や逃亡のおそれが認められそうにもない方がなぜ逮捕されたのか、そしてなぜその後釈放されないのか疑問の残るところです。
今年6月には同様の高齢者の方が17日間も留置場に拘束されていたと報道されています。
一見逮捕の必要のない事案についてはただちに釈放に向けて動き出す必要があります。
父親などのご家族が逮捕され、いっこくもはやい釈放をお望みの場合は弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。専門のスタッフが無料法律相談、初回接見の「予約」を24時間体制で受け付けております。お気軽にお電話ください。

【窃盗】糸島市~車いす生活の父親が万引きで逮捕

2019-11-30

【窃盗】糸島市~車いす生活の父親が万引きで逮捕

車いす生活の父親窃盗罪逮捕された件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県糸島市に住む高齢の男性Aさん(79歳)は、5年前に脳梗塞を患い半身不随となって電動車いす生活を余儀なくされていました。Aさんは、10年前にすでに妻に他界され一人暮らしを送っていましたが、自宅から車で約10分のところに長男夫婦が住んでおり、週末に食事などの世話を受けていました。ある日、Aさんは、食料の買い出しに、所持金5000円をもって自宅から電動車いすに乗って近いスーパーに出かけました。Aさんはスーパーに入ると旬のカキを見つけました。ところが、Aさんは「お金を使うのがもったいない」と思い、電動車いすに乗ったまま車いすにかけていた手提げ袋にかき2個を入れ、レジで精算することなく店外に出ました(万引き)。そうしたところ、Aさんは、Aさんの行動を一部終始みていた保安員に「おじいちゃん、精算がお済でないですよ。」などと声をかけられその場で窃盗罪で現行犯逮捕されてしまいました。そして、Aさんは、スーパーに駆け付けた福岡県糸島警察署の警察官に身柄を引き渡されそのまま警察署内の留置場に収容されてしまいました。一方、逮捕の通知を受けた長男夫婦はこれを聞いて驚き、父親を釈放してもらうため弁護士に接見とその後の弁護活動を依頼しました。

~ 万引きは窃盗罪 ~

まずもって確認しなければならないのは、どんな態様・方法であるかを問わず、万引きは

窃盗罪

という立派な犯罪であるということです。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

~ 万引きで逮捕されるの? ~

万引きも犯罪である以上、逮捕される可能性は十分にあります。

そして、万引きといえば、保安員等に万引きの瞬間を目撃され、店外に出たところで逮捕される

現行犯人逮捕

のイメージが多いかと思いますが、逮捕には「現行犯逮捕」のほかに「通常逮捕」、「緊急逮捕」の3種類があり、通常逮捕や緊急逮捕によっても逮捕されることがあります。
現行犯逮捕と通常逮捕、緊急逮捕との違いは、前者は逮捕状を不要とする、後者は逮捕状を必要とする(緊急逮捕の場合は事後的に必要とする)点です。つまり、万引きといっても現行犯逮捕によりその場で逮捕されることはもちろん、逮捕状により後日逮捕されることも十分あり得るのです。

~ どんな場合に逮捕されるの? ~

逮捕には条件があります。
それは「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」です。

逮捕の理由とは、簡単にいうと

犯人が罪を犯したと疑われること

です。
犯人が罪を犯したとかどうかは、様々な証拠に基づき判断されます。本件のような現行犯逮捕の場合は、「万引きを見た」という「保安員の供述」が決め手となるでしょう。

次に、逮捕の必要性については、まずは逮捕の必要性に関する刑事訴訟規則を確認していただきます。
それによると、

刑事訴訟法143条の3

逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。

つまり、逮捕の必要性とは

罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあること

をいいいます。
そして、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあることは、

被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情

から判断する、としているのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881ま

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