Archive for the ‘少年事件’ Category

【北九州市の少年事件】商業施設のトイレを壊した18歳の男子高校生逮捕~②~

2022-09-15

北九州市の商業施設において、トイレなどを壊した18歳の男子高校生逮捕された事件を参考に、少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

昨日コラムで、器物損壊罪について解説しましたが、今回の事件で逮捕されたのは18歳の少年です。
18歳の少年が器物損壊事件のような刑事事件を起こして逮捕された際、検察庁に事件が送致されて犯罪捜査が行われている間は、成人事件とほぼ同じ手続きが進みますが、警察や検察庁の捜査を終えて家庭裁判所に送致後は、少年事件特有の手続きが進むこととなり、家庭裁判所から検察庁に逆送されない限りは、昨日解説したような法定刑に定められている刑事罰を受けることはありません。

少年事件の特徴

少年事件特有の手続きを紹介します。

(1)観護措置
家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る必要がある場合には、観護措置がなされます。
観護措置には、在宅で家庭裁判所調査官の観護に付する場合と、少年鑑別所に送致する場合がありますが、多くの場合後者の方法で行われます。
期間は通常4週間(少年法第17条3項、4項本文)として運用されており、最長で8週間(少年法第17条4項ただし書き、9項)とされています。
 
(2)調査
家庭裁判所では、審判に付すべき少年について事件の調査が行われますが、この調査には法的調査と社会調査があります。
法的調査とは審判条件や非行事実の存否に関する調査をいい、社会調査とは少年に対してどのような処遇が最も有効適切であるかを明らかにするための調査をいいます。
このうち社会調査は、裁判官の調査命令を受けた調査官によって、少年、保護者、学校の先生に対する面接を通して実施されます。

(3)審判
審判では、裁判官が、法的調査と社会調査を踏まえて、少年の最終的な処遇を決定します。
少年保護事件では、成人のように公開法廷での公判が開かれることはなく、非公開の審判という手続きで審理が行われます(少年法第22条2項)。

少年事件の手続きについては こちらをクリック

特定少年

今年の4月から成人年齢が18歳に引き下げられたのに合わせて、少年事件の取り扱いも大きく変わった点がいくつかあります。その中の一つが「特定少年」についてです。
改正少年法では、18歳と19歳の少年を「特定少年」と位置付け、引き続き少年法が適用されますが、原則逆送事件の対象事件が拡大されると共に、起訴された場合に、実名報道されることがあります。
ちなみに今回の事件は器物損壊事件なので、原則逆送事件には該当しません。

少年事件に関するご相談は

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、少年事件に関するご相談を24時間、年中無休で受け付けております。
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【北九州市の少年事件】商業施設のトイレを壊した18歳の男子高校生逮捕~①~

2022-09-14

北九州市の商業施設において、トイレなどを壊した18歳の男子高校生逮捕された事件を参考に、器物損壊事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要

今年の7月ころ、北九州市小倉北区の商業施設において、電気コードが切断されるなどして、自動洗浄機能付きトイレやハンドドライヤーが壊される器物損壊事件が発生しました。
施設から通報を受けた福岡県宗像警察署が防犯カメラなどを調べて捜査をした結果、18歳の男子高校生が容疑者として浮上し、この男子高校を逮捕したとのことです。
逮捕された男子高校生は、警察の取調べに対して容疑を認めているようです。
(9月13日配信のテレビ西日本の記事から抜粋しています。)

器物損壊事件

他人の物を故意的に壊すと「器物損壊罪」となります。
器物損壊罪は刑法第261条に規定されている法律で、その法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
「懲役」とは、刑務所に収容されて刑務作業が科せられる自由刑の一種です。
他方、「罰金」や「科料」は国にお金を収める財産刑のことで、言い渡された金額を国に納付すれば手続きは終了しますが、納付するお金が用意できない場合は、労役作業に従事しなければなりません。

器物損壊罪の特徴

器物損壊罪は親告罪です。
親告罪は、被害者等の刑事告訴がなければ被疑者(犯人)を起訴できません。
刑事告訴は、警察所等の捜査機関に対して告訴状を提出するか、刑事手続きの過程で警察官が作成する告訴調書によって明らかにされます。
刑事告訴には、告訴不可分の原則というルールが定められており、この客観的原則として、一個の犯罪事実の一部について、告訴又はその取消があったときは、その犯罪事実の全てに効力が及ぶとされています。
また主観的原則として、親告罪について、共犯者の1人又は数人に対して告訴又はその取消があった場合は、他の共犯者に対してもその効力が生じるとされています。

器物損壊罪の弁護活動に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、器物損壊事件等の刑事事件を専門にしている法律事務所です。
器物損壊事件を起こして警察の捜査を受けておられる方、ご家族、ご友人が器物損壊事件を起こして警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、刑事事件専門の弁護士による無料法律相談や、逮捕されている方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスのご予約を

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【福岡県内の少年事件】お子様が少年鑑別所に収容されたら

2022-07-19

【福岡県内の少年事件】お子様が少年鑑別所に収容された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県内の少年鑑別所

福岡県内には少年鑑別所が2ヶ所あります。

【法務少年支援センターふくおか(福岡少年鑑別所)】
〒815-0042 福岡市南区若久6丁目75番2号

【法務少年支援センターこくら(小倉少年鑑別支所)】
〒802-0837  北九州市小倉南区葉山町1-1-7

少年鑑別所ってどんな施設?

少年鑑別所とは、医学や心理学、教育学等、様々な専門知識に基づいて、少年の資質の鑑別を行う施設のことです。
少年鑑別所に収容される期間は、基本的には4週間ですが、非行内容や少年に特別な事情がある場合は、最長で8週間までは延長されることがあります。
少年院と同じだと勘違いしている人が多いようですが、少年鑑別所は、基本的に少年審判を受けるまでに収容される施設で、審判での処分が決定して収容される、少年に対する矯正教育を目的にした少年院とは全く異なります。

少年鑑別所では、鑑別所職員(技官)との面接や、様々な検査等による資質鑑別と、少年の行動観察が行われています。
少年鑑別所に収容されてすぐに、身体検査や技官との面談、心理検査等が行われ、その結果に応じて、少年個々の特性に合わせた個別の鑑別が実施されることになります。
収容期間中は、検査や面接以外にも、運動や読書、ビデオ視聴、作文などの時間が設けられています。

少年鑑別所で鑑別結果は、鑑別結果通知書という書類にまとめられて家庭裁判所に提出されますので、少年鑑別所での生活態度や、検査結果がその後の審判に大きく影響することは言うまでもありません。

少年鑑別所って面会できますか?

少年鑑別所に収容されている少年との面会は大きく、付添人である弁護士が行う付添人面会と、少年の家族等が行う一般面会に分けられます。

付添人(弁護士)面会

弁護士が、警察署の留置場に収容されている少年に面会するのとは異なり、少年鑑別所での面会は、面会できる日時に制限があります。
少年鑑別所によって多少違いますが、面会できるのは、基本的に平日の午前8時30分~午後5時です。(面会時間に制限はない。)
基本的に、土日、祝日の面会は認められていませんが、事前に予約をしたり、特別な事情がる場合は、土日、祝日であっても面会が認められる場合があります。
また警察署の留置施設では、少年と弁護士の間にアクリル板が設置されている接見室での面会となりますが、少年鑑別所での面会は、そのようなアクリル板はなく、少年鑑別所の職員が面会に立ち会うことはありません。

一般面会

少年鑑別所に収容されている少年と面会が許されるのは、近親者、保護者、その他鑑別所が必要と認めた人だけですので、少年の友達や恋人が面会しようとしても拒否されるでしょう。
面会できるのは、付添人(弁護士)と同じで、平日の午前8時30分~午後5時ですが、1回の面会時間は15分程度に制限され、少年鑑別所の職員が面会に立会い、必要に応じて面会の内容が記録されます。

少年事件に強い弁g粗衣

福岡県内の少年事件お困りの方、お子様が少年鑑別所に収容された方は「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部」にご相談ください。
また弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部 初回接見サービス をご利用いただければ、福岡県内の少年鑑別所に収容されている少年に、少年事件専門の弁護士が面会いたします。

早良警察署の少年事件 盗撮容疑で逮捕されたら・・・~後編~

2022-06-07

早良警察署の少年事件 盗撮容疑で逮捕されたら・・・~後編~

【早良警察署の少年事件】昨日に続いて、少年が盗撮容疑で警察に逮捕されてからの流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。


盗撮容疑で早良警察署に逮捕~逮捕されてから~

~昨日のコラムの続き~

盗撮容疑福岡県早良警察署逮捕されたA君は、警察署に連行されて警察官の取り調べを受けた後に留置場に収容されました。
取り調べでは、小型カメラに保存されていた過去の盗撮データについても追及を受けました。
A君は、取り調べを担当した警察官から「しばらくは家に帰れない。明後日に検察庁に送致するので今後については検察官次第になる。」と言われて今後の流れに大きな不安を抱えています。
またA君の両親は、A君に面会しようとしましたが警察に断られてしまい、A君と同じ不安を抱えています。
(フィクションです。)

【少年事件】逮捕後の流れ

~検察官に送致されるまで~

少年事件であっても、警察に逮捕されて検察庁に送致されるまでは、成人と同じ手続きとなります。
逮捕から48時間以内に釈放されない場合は、管轄の検察庁に送致されて、検察官がその後について判断します。
検察官は、少年を

①釈放する

②勾留を請求する

③勾留に代わる観護措置を請求する

④家庭裁判所に送致する

を判断しなければいけません。

②③については請求された裁判官が、勾留勾留に代わる観護措置を決定するかどうかを判断します。
また④については、送致を受けた家庭裁判所において、観護措置の要否が判断されます。

~その後~

②勾留が決定した場合

勾留が決定すると、指定された勾留場所(警察署の留置場)において、10日~20日の身体拘束を受けながら引き続き警察官や検察官の取調べを受けることになり、勾留期間満期と共に家庭裁判所に送致されます。

③勾留に代わる観護措置が決定した場合

勾留に代わる観護措置が決定すると、少年鑑別所に収容されて10日間は、上記した②と同じ勾留期間中の扱いとなりますが、その後は、そのまま観護措置に移行し、少年鑑別所に収容されたまま約4週間の観護措置となります。
勾留に代わる観護措置は、身体拘束を受ける場所が少年鑑別所であったり、勾留期間が10日間と決定している(延長がない)というメリットがありますが、勾留期間後にそのまま約4週間の観護措置期間に移行するので、あらためて裁判官の判断がなされぬまま身体拘束が継続するというデメリットもあります。

【少年事件】家庭裁判所に送致後

家庭裁判所に事件は送致されると、その後は少年審判に向けて手続きが進むことになります。
観護措置が決定した少年は、少年審判までの約4週間を少年鑑別所で過ごすことになりますが、観護措置が決定しなかった場合は、少年審判までの期間在宅で過ごす少年もいます。
この間に家庭裁判所では、事件だけでなく、少年や家族についてにまで調査が行われ、そもそも少年審判を開く必要があるのかを含めて判断されます。
そして少年審判が開始されない場合は、審判不開始という決定がなされて手続きが終了することになり、少年審判が開かれた場合は、少年審判で少年の処分が決定することになります。

少年事件の流れについては こちらを で詳しくご案内しているので参考にしてください。

また今年の4月に少年法の一部が改正されています。
改正少年法については ⇒⇒こちらをクリック

少年事件のご相談は

福岡市早良区少年事件でお困りの方や、まだ未成年のお子様が、福岡県早良警察署逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
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早良警察署の少年事件 盗撮容疑で逮捕されたら・・・~前編~

2022-06-06

早良警察署の少年事件 盗撮容疑で逮捕されたら・・・~前編~

【早良警察署の少年事件】本日より二日間にわたって、少年が盗撮容疑で警察に逮捕されてからの流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。


盗撮容疑で早良警察署に逮捕~逮捕されるまで~

福岡市早良区に住む高校生のA君(16歳)は、通っている学習塾の女子トイレに忍び込み、個室に盗撮用の小型カメラを仕掛けました。
仕掛けた小型カメラは、数カ月前にインターネットで購入したもので、これまで通っている高校の女子更衣室や、商業施設の試着室等の盗撮に成功していたのですが、今回は誰かにカメラが発見されたらしく、仕掛けたカメラを取りに行くとカメラがなかったのです。
それからしばらくしてA君は、自宅を訪ねて来た福岡県早良警察署の警察官に盗撮容疑で逮捕されました。

~明日のコラムに続く~
(フィクションです。)

盗撮行為

福岡県内で盗撮をすれば、福岡県迷惑防止条例違反となります。
まずは福岡県迷惑防止条例について見ていきます。
福岡県迷惑防止条例で盗撮について規定されている条文は第6条で、その内容は以下のとおりです。

第六条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。

 

(中略)

 

2 何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、正当な理由がないのに、前項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。

一 通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し、又は写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を用いて撮影すること。

二 衣服等を透かして見ることができる機能を有する写真機等の当該機能を用いて、衣服等で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着の映像を見、又は撮影をすること。

三 前二号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。

 

3 何人も、正当な理由がないのに、第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。

一 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること。

二 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。

盗撮行為の罰則規定

上記したような盗撮をして有罪が確定すれば「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられることになります。
また常習的に盗撮行為をして処分されている場合は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と、より厳しい処分となる可能性があるので注意が必要です。

盗撮事件のご相談は

福岡市早良区の盗撮事件でお困りの方や、ご家族、ご友人が福岡県早良警察署に逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
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明日は、盗撮事件で逮捕された少年の、逮捕後の流れについて解説します。

少年事件での不処分

2020-06-29

少年事件での不処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~
高校1年生のAくんは、福岡県大牟田市にある商業施設内の女性トイレに盗撮目的で侵入しました。
しかし、誰もトイレに入ってこなかったことからトイレから出ようとした際に、入ってきた女性と鉢合わせとなり、Aくんは慌てて走り去ろうとしました。
しかし、女性の叫び声を聞きつけた清掃員が、Aくんを取り押さえました。
その後、Aくんは福岡県大牟田警察署で取調べを受けた後、Aくんの母親が迎えに来て釈放されました。
今後も建造物侵入の容疑で何度か警察署での取調べが続くようですが、どのような処分となるのかAくんもAくんの両親も心配です。
(フィクションです。)

不処分について

家庭裁判所が、審判を経て少年に言い渡す終局決定には、次の5種類あります。

①審判不開始
不処分
③保護処分
④検察官送致
⑤都道府県知事または児童相談所長送致

今回は、②不処分について説明します。

家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、または、保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければなりません。
この決定を、「不処分決定」といいます。

このように、不処分決定には、
(1)家庭裁判所が保護処分に付することができないと認めた場合、になされるものと、
(2)家庭裁判所が保護処分に付する必要がないと認めた場合、になされるもの
の2種類があります。

(1)保護処分に付することができない場合の不処分決定

法律上または事実上、保護処分に付することができない場合には、裁判所は不処分決定としなければなりません。
具体的には、非行事実の存在が認められない場合、少年に心神喪失、死亡、所在不明、疾病、海外居住等の事情が生じた場合、そして審判条件を欠く場合などです。

(2)保護処分に付する必要がない場合の不処分決定

事件について、要保護性が存在しない、または小さくなっていることから、保護処分に付する必要がなく、児童福祉法上の措置や刑事処分の必要もない場合には、家庭裁判所は不処分決定とします。
例えば、調査・審判の過程で、関係者による働きかけが行われた結果、要保護性が解消され、再非行の危険性がなくなった場合には、不処分決定がなされます。
また、別件で関係者による働きかけが行われていたり、保護処分に付されているために本件では特に処分をする必要がないと認められる場合もあります。

非行事実に争いのない場合、関係者による働きかけが講じられた結果、要保護性が解消したため保護処分に付する必要がないとして、不処分決定がなされることが多いです。
この働きかけは、家庭裁判所の調査官や裁判官による指示、説諭、訓戒、誓約書徴取だけでなく、審判手続を経ること自体や観護措置による少年鑑別所での処遇も含まれます。
そして、付添人による少年に対する働きかけも重要です。
付添人は、少年の内省への働きかけ、被害者への謝罪・被害弁償、家庭環境や学校環境、交友関係等の環境調整を行い、少年の要保護性を解消することにより、保護処分に付する必要性がないと裁判官に認めてもらうよう働きかけます。

上のケースにおいても、捜査段階からしっかりと環境調整をしていくことで、審判では要保護性が解消されたと認められ、不処分決定が言い渡される可能性はありますので、できるだけ早くから働きかけることが大切です。

このような活動は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
少年事件は、成人の刑事事件とは異なる部分も多いため、少年事件の特色について把握している経験豊富な弁護士であれば、迅速かつ適切な活動を期待できるからです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こしてしまい、対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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特殊詐欺事件で保護観察

2020-06-15

特殊詐欺事件で保護観察を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~
福岡県糸島市にある民家に訪れ、警察署員を名乗り、民家に住む女性からキャッシュカードを窃取したとして、福岡県糸島警察署は、県内に住むAくん(17歳)を窃盗の容疑で逮捕しました。
Aくんは、知り合いから「簡単に稼げるバイトがある。」と誘われ、小遣い稼ぎ感覚で特殊詐欺の受け子に手を出したということです。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、「このままでは少年院に入所することになるのでは…。」と不安に思い、慌てて少年事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

少年と特殊詐欺事件

電話口で言葉巧みに相手を騙し、キャッシュカードや通帳などを騙し取る特殊詐欺事件ですが、その手口はますます巧妙化しています。

特殊詐欺事件は、電話をかける役の「かけ子」、キャッシュカードなどを受け取る「受け子」、キャッシュカードから現金を引き出す「出し子」、それぞれが個々の役割を担い、犯罪を実行する点に特徴があります。
「受け子」や「出し子」については、組織の外部の者をリクルートすることが多く、ネット上で「簡単。高額バイト。」などと書き込んで共犯者を募るといったケースが多く見受けられます。
「受け子」や「出し子」として特殊詐欺事件に加担する者の中には、20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)も少なくありません。
心身共に発展途中の少年は、「簡単に大金が稼げる。」と思い、甘い誘惑に乗ってしまったり、指示された通りに動いているだけで、自分が犯罪に関与しているという意識もあまりないため、何度も繰り返してしまいます。

簡単に大金を稼げるとされる「受け子」や「出し子」ですが、実は、捜査機関によって逮捕される可能性は高いのです。
また、特殊詐欺は社会的にも問題視されており、厳しい処分が科される傾向にあります。
少年であっても、厳罰化の傾向は例外ではありません。
初犯であっても、終局決定が「少年院送致」となる可能性があります。

少年院送致は、家庭裁判所が少年に対して行う処分のひとつです。
この処分には、①審判不開始、②不処分、③保護処分、④検察官送致、⑤都道府県知事または児童相談所長送致、⑥試験観察があります。
③の保護処分には、さらに(a)保護観察、(b)少年院送致、(c)児童自立支援施設等送致、の3つがあります。
保護処分のなかで、身体拘束を受ける少年院送致は、処分のなかでも厳しいものと言えます。

そこで、審判で少年院送致ではなく保護観察となるよう、早期の段階から少年の更生に向けた活動を行うことが重要になります。

保護観察とは

特殊詐欺事件で、容疑を認める場合には、弁護人・付添人である弁護士は、基本的に、少年院送致を回避し、最終的に保護観察処分となるよう活動していくことになります。

保護観察」は、少年を家庭や職場に置いたまま、保護観察所の行う指導監督と補導援護によって、少年の改善更生を図る社会内処遇です。
保護観察の期間は、対象者が20歳に達するまでとされますが、保護観察が決定した時から20歳になるまで2年に満たない場合には、期間は2年となります。
保護観察期間中であっても、対象者の状態に応じて、解除や一時解除が認められます。

このように、審判において保護観察処分が言い渡されると、少年は家庭や職場に身を置いたまま、定期的に保護観察官や保護司と連絡をとり、現状について報告を行った上で、指導・助言を受けることになります。
施設に収容されることなく社会内で生活を送ることができるため、社会と切り離されることがありません。

保護観察となるために

家庭裁判所が保護観察を終局決定とするには、裁判官が少年の更生には社会内処遇で足りると判断することが必要です。
逆に言えば、もし、裁判官が当該少年がきちんと更生するには矯正施設に入れる必要があると判断したのであれば、保護観察ではなく少年院や児童自立支援施設等への送致を選ぶ可能性があるのです。

特殊詐欺事件の場合、被害者は大きな経済的損失を被っていますので、まずは、被害者に対して、被害弁償を行う必要があります。
成人の刑事事件のように、被害者への被害弁償や示談成立の有無が、処分に直接大きく影響するものではありませんが、被害者対応を通じて、少年の内省を深めることができたと評価される要素となります。
また、少年が再び特殊詐欺に関与することがないよう、交際関係や家庭環境、学校・職場環境を整えることも重要です。

裁判官に社会内処遇での更生が期待できると判断してもらえるよう、早い段階から適切な働きかけを行うことが重要です。

お子様が事件を起こし、対応にお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、お子様の更生に向けて尽力致します。
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家裁送致後の観護措置回避

2020-06-01

少年事件における家裁送致後観護措置回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県北九州市若松区のA君(16歳)は,コンビニで万引きをした件で,福岡県若松警察署に窃盗罪で逮捕されました。その後、A君は「勾留に代わる観護措置」の結果,少年鑑別所に収容されました。そして、収容から8日後、検察官による家庭裁判所送致によって事件は検察庁から家庭裁判所へ送致されました。そして、A君の身柄は引き続き少年鑑別所で収容されることになりました。一刻もはやい少年鑑別所からの釈放を望んでいるA君の両親は,少年事件に強い弁護士にA君との接見を依頼し、今後について相談することにしました。
(フィクションです)

~逮捕から身柄拘束、身柄拘束から家裁送致までの流れ~

逮捕後家裁送致までの流れは以下のとおりです。

①逮捕

②警察官による弁解録取→釈放

③送致(送検)

④検察官による弁解録取→釈放

⑤検察官による「勾留請求」OR「勾留に代わる観護措置請求」

⑥勾留質問→釈放

⑦裁判官による「勾留決定」OR「勾留に代わる観護措置決定」

また、身柄拘束から家裁送致までの流れは以下のとおりです。 

⑧捜査

家庭裁判所送致

~少年鑑別所と釈放について~

A君が収容されている少年鑑別所と少年院とは全く性質の異なる施設です。
少年院とは,家庭裁判所の少年審判で少年院送致という保護処分が出た後に収容される施設で,少年に対する矯正教育を目的としています。
他方,少年鑑別所とは,保護処分が出る前に収容される施設で,少年審判に向けて,少年の資質や性格などの調査を行うことを目的しています。

A君は,現在,「勾留に代わる観護措置決定」により少年鑑別所に収容されています。
これは,Aさんの万引き事件(刑事事件)が家庭裁判所に送致される前の少年に対する身柄措置の一種で,期間は,検察官が万引き事件の送致を受けた日から10日間と決まっています(上記③から⑨までの期間)。
もちろん,この決定に対しては,準抗告申立てなどの不服申し立て手段を取ってAさんの釈放を求めていくことが可能です。
仮に,不服申し立てが認められず,万引き事件が家庭裁判所に送致された場合(上記⑨の場合),Aさんは引き続き少年鑑別所に収容されたままになります。よって,A君の釈放を求める場合,Aさんの万引き事件が家庭裁判所に送致される前か同時期に,家庭裁判所に対して意見書等を提出するなどする必要があります。
家庭裁判所送致後の少年鑑別所における収容期間は,はじめ裁判所に万引き事件の送致があった日から2週間で,特に継続の必要があるときは1回に限り更新することができます(また,特別事由がある場合は,さらに2回の更新が認められています)。
仮に,意見書等を提出してもAさんが釈放されなかった場合は,③さらに異議申立てにより釈放を求めていくことが可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

盗品を譲り受けて逮捕~学校への発覚を回避したい

2020-04-13

少年事件の学校への発覚回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市小倉北区の県立高校に通う少年A君は、知人V君からバイクの保管を頼まれました。そこで、A君は自宅の駐輪場にバイクを駐車していたところ、ある日突然、福岡県小倉北警察署の警察官がやってきて警察署に出頭するよう求められました。A君はこれに応じましたが、A君の母親は「今後、学校に発覚するのではないか」「退学させられるのではないか」と心配になって少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

◇盗品等に関する罪◇

盗品と知りつつ、その盗品を他人から譲り受けるなどした場合は犯罪となることをご存じでしょうか?
刑法第39章には「盗品等に関する罪」の規定が設けられており、刑法256条には

盗品譲受け等

に関する罪の規定が設けられています。

刑法256条
1項 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2項 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

◇刑事罰の対象となる行為◇

盗品等に関する罪で処罰の対象となる行為は以下のとおりです。

=無償譲受け=

無償で物の所有権を取得することをいいます。
単に、約束、契約があっただけでは成立せず、現実に物の受け渡しがあってはじめて成立します。

=運搬= 

運搬とは、盗品等を場所的に移転することをいいます。有償、無償は問いません。
移転の距離は、必ずしも遠いことを要しないとされていますが、少なくとも被害者の追求が困難となる程度の場所的移転は必要とされます。

=保管=

委託を受けて本犯(実際に窃盗などの罪を犯した人、本件ではBさん)のために盗品等を保管することをいいます。
無償譲受けと同様、単に、約束、契約があっただけでは成立せず、現実に物の受け渡しがあってはじめて成立します。
当初は盗品等と知らなかったものの、途中からそれと知った場合は、その日以降保管罪が成立します。

=有償譲受け=

盗品等の所有権を有償で取得することをいいます。
有償契約をしただけでは足りず、現実に盗品等を受領したことを要しますが、現実に受領した以上は代金の支払いを受けていなくても成立します。

=有償処分あっせん=

盗品等の売買などの盗品等の法律上の有償処分行為を媒介、周旋することをいいます。
たとえば、Bさんが、Aさんに、バイクを買ってくれる(有償処分)Cさんを紹介した、という場合などがこれに当たります。
なお、媒介・周旋自体は無償、有償は問いません。

◇学校への連絡を回避するには◇

事件が学校に伝わるルートは大きく分けて3つあると考えます。

1つは,マスコミなどによる報道です。
しかし,在宅事件で,かつ事件が比較的軽微の場合,マスコミなどが事件を取り上げる可能性は低いといっていいでしょう。

2つ目は,警察から学校への連絡です。
福岡県では,警察本部が制定した「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱」(平成25年1月1日施行)などによって運用しているようです。
これによれば,連絡責任者(警察署長)から学校への連絡にかかる事件は
1 逮捕事案
2 逮捕事案以外の事案で,一定の事由があって,連絡責任者が継続的な対応が必要と認めるもの
3 児童生徒の犯罪被害に係る事案で,連絡責任者が学校長への連絡の必要性を認めるもの
4 児童生徒の善行事案
と定められています。

3つ目は,家庭裁判所調査官から学校への連絡です。
事件が家庭裁判所に送致され,家庭裁判所調査官により調査の対象となれば,調査官が調査のため,学校へ「学校照会書」を送ったり,直接学校関係者とコンタクトをとることも考えられます。

ところで,事件が刑事事件化したとしても全ての事件について警察から学校へ連絡されるわけではないため,学校への連絡を回避したい場合は,事前に警察に申入れを行う必要があります。
また,警察が連絡を控えた場合は,調査官も学校側とコンタクトを取ることを控えるとは思いますが,万が一のために備えて,調査官とも密に連絡を取り合う必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件、少年事件専門の法律事務所です。少年事件でお困りの方は0120-631-811までお電話お待ちしております。無料法律相談等、24時間受け付けております。

【少年事件】淫行の罪で逮捕

2020-03-31

【少年事件】淫行の罪で逮捕

少年による淫行の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県太宰府市に住む大学生のA君は、18歳未満のVさんと性交したとして福岡県筑紫野警察署に福岡県青少年健全育成条例違反(淫行の罪)で逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたA君の母親は少年事件に強い弁護士にA君との接見を依頼しました。A君は接見に来た弁護士に「Vさんとは交際中だったので納得がいかない。」と話しています。
(フィクションです。)

~ 少年と淫行の罪 ~

少年とは20歳未満の者をいいます。
淫行の罪といえば、18歳未満の少年(少女)が被害者、というイメージですが、その少年が反対の加害者、つまり被疑者の立場となり得ることもあります。
淫行の罪を規定する福岡県青少年健全育成条例では、

何人も、青少年に対しいん行またはわいせつな行為をしてはならない

としており、犯罪の主体(加害者)について何ら限定していないからです。
もっとも、少年同士の淫行事案だと、交際中、恋愛中の性交だったと主張したくなる場合もあるでしょう。
真実、交際中、恋愛中の性交であると認められる場合は「淫行」にはあたりません。もっとも、その当否については慎重に検討する必要があります。

~ 不処分決定 ~

少年(20歳未満の者)の場合は,少年の更生に主眼が置かれるため,警察や検察での捜査がある程度終了すると,事件は家庭裁判所に送致されるなど成人とは異なる手続きを踏むことになります。具体的には

①家庭裁判所送致&観護措置決定

②少年鑑別所における鑑別、家庭裁判所調査官による調査等

③少年審判

①の観護措置決定とは、通常、少年鑑別所へ収容する旨の決定のことをいいます。つまり、それまで警察署の留置場に収容されていた少年は、観護措置決定により少年鑑別所へ身柄を移送されます。
収容期間は観護措置決定のときから「2週間」ですが、2週間更新することができるとされており、多くの事件では更新されていますから、通常、拘束期間は観護措置決定の日から「4週間」となります(例外あり)。ただし、不服申し立てによってはやめに釈放されることもあります。

この拘束期間中に、②少年鑑別所において専門技官による鑑別(専門的調査)を受けたり、家庭裁判所調査官による面談を受けるなどします。なお、面談を受けるのは少年に限らず、保護者などの少年の関係者など広く含まれます。
こうした調査の結果、家庭裁判所が少年審判を開くかどうか決定します。家庭裁判所が少年審判を開く必要がないと判断したときは、審判不開始決定を出します。
③少年審判が開かれた場合、少年審判では非行事実が認められるかどうか、認められるとして少年にどんな処分を下すことが適当か判断されます。
この処分のことを保護処分といいます。
保護処分には少年院送致、保護観察などがあります。

不処分(決定)とは,家庭裁判所における調査の結果,①保護処分に付することができない場合や②保護処分に付するまでの必要がない場合において,少年審判で保護処分に付さない旨の決定のことをいいます。
ご相談者の中には,審判不開始と混合して理解されている方もおられますが,審判不開始はそもそも少年審判を開く前の審判を開かない旨の決定,不処分決定は少年審判開いた上で,少年に対し保護処分を下さない旨の決定である点が異なります。
①とは,非行事実の存在が認められない場合(無罪判決に相当)などが当たります。
②とは,審判までに少年が更生し,要保護性(つまり,矯正施設による保護の必要性)がなくなった場合,非行事実が極めて軽微な場合などをいいます。
不処分決定が出される場合の多くが②の場合です。
ですから,不処分決定を獲得するためには,少年審判が開かれる前に,まずは少年自身に内省していただき,少年の更生のために,ご家族,学校,その他少年に関わる環境を整える必要があります。それにはご依頼を受けた弁護人はもちろん調査官などの専門家が関与しますが,何よりまずはご家族様のご協力が不可欠です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

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