特殊詐欺事件で保護観察

特殊詐欺事件で保護観察を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~
福岡県糸島市にある民家に訪れ、警察署員を名乗り、民家に住む女性からキャッシュカードを窃取したとして、福岡県糸島警察署は、県内に住むAくん(17歳)を窃盗の容疑で逮捕しました。
Aくんは、知り合いから「簡単に稼げるバイトがある。」と誘われ、小遣い稼ぎ感覚で特殊詐欺の受け子に手を出したということです。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、「このままでは少年院に入所することになるのでは…。」と不安に思い、慌てて少年事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

少年と特殊詐欺事件

電話口で言葉巧みに相手を騙し、キャッシュカードや通帳などを騙し取る特殊詐欺事件ですが、その手口はますます巧妙化しています。

特殊詐欺事件は、電話をかける役の「かけ子」、キャッシュカードなどを受け取る「受け子」、キャッシュカードから現金を引き出す「出し子」、それぞれが個々の役割を担い、犯罪を実行する点に特徴があります。
「受け子」や「出し子」については、組織の外部の者をリクルートすることが多く、ネット上で「簡単。高額バイト。」などと書き込んで共犯者を募るといったケースが多く見受けられます。
「受け子」や「出し子」として特殊詐欺事件に加担する者の中には、20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)も少なくありません。
心身共に発展途中の少年は、「簡単に大金が稼げる。」と思い、甘い誘惑に乗ってしまったり、指示された通りに動いているだけで、自分が犯罪に関与しているという意識もあまりないため、何度も繰り返してしまいます。

簡単に大金を稼げるとされる「受け子」や「出し子」ですが、実は、捜査機関によって逮捕される可能性は高いのです。
また、特殊詐欺は社会的にも問題視されており、厳しい処分が科される傾向にあります。
少年であっても、厳罰化の傾向は例外ではありません。
初犯であっても、終局決定が「少年院送致」となる可能性があります。

少年院送致は、家庭裁判所が少年に対して行う処分のひとつです。
この処分には、①審判不開始、②不処分、③保護処分、④検察官送致、⑤都道府県知事または児童相談所長送致、⑥試験観察があります。
③の保護処分には、さらに(a)保護観察、(b)少年院送致、(c)児童自立支援施設等送致、の3つがあります。
保護処分のなかで、身体拘束を受ける少年院送致は、処分のなかでも厳しいものと言えます。

そこで、審判で少年院送致ではなく保護観察となるよう、早期の段階から少年の更生に向けた活動を行うことが重要になります。

保護観察とは

特殊詐欺事件で、容疑を認める場合には、弁護人・付添人である弁護士は、基本的に、少年院送致を回避し、最終的に保護観察処分となるよう活動していくことになります。

保護観察」は、少年を家庭や職場に置いたまま、保護観察所の行う指導監督と補導援護によって、少年の改善更生を図る社会内処遇です。
保護観察の期間は、対象者が20歳に達するまでとされますが、保護観察が決定した時から20歳になるまで2年に満たない場合には、期間は2年となります。
保護観察期間中であっても、対象者の状態に応じて、解除や一時解除が認められます。

このように、審判において保護観察処分が言い渡されると、少年は家庭や職場に身を置いたまま、定期的に保護観察官や保護司と連絡をとり、現状について報告を行った上で、指導・助言を受けることになります。
施設に収容されることなく社会内で生活を送ることができるため、社会と切り離されることがありません。

保護観察となるために

家庭裁判所が保護観察を終局決定とするには、裁判官が少年の更生には社会内処遇で足りると判断することが必要です。
逆に言えば、もし、裁判官が当該少年がきちんと更生するには矯正施設に入れる必要があると判断したのであれば、保護観察ではなく少年院や児童自立支援施設等への送致を選ぶ可能性があるのです。

特殊詐欺事件の場合、被害者は大きな経済的損失を被っていますので、まずは、被害者に対して、被害弁償を行う必要があります。
成人の刑事事件のように、被害者への被害弁償や示談成立の有無が、処分に直接大きく影響するものではありませんが、被害者対応を通じて、少年の内省を深めることができたと評価される要素となります。
また、少年が再び特殊詐欺に関与することがないよう、交際関係や家庭環境、学校・職場環境を整えることも重要です。

裁判官に社会内処遇での更生が期待できると判断してもらえるよう、早い段階から適切な働きかけを行うことが重要です。

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