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【事例解説】傷害罪とその弁護活動(生後半年の幼児をベッドに投げつけるなどして頭に数か月の大けがを負わせたケース)
【事例解説】傷害罪とその弁護活動(生後半年の幼児をベッドに投げつけるなどして頭に数か月の大けがを負わせたケース)
今回は、生後半年の幼児をベッドに投げつけるなどして頭に数か月の大けがを負わせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:生後半年の幼児をベッドに投げつけるなどして頭に数か月の大けがを負わせたケース
生後半年の長女Vさんをベッドに投げつけるなどして頭に全治数か月の大けがを負わせたとして、福岡県警察博多警察署は傷害の疑いで福岡市博多区に住む会社員で父親のAさんを逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは自宅で生後半年の長女Vさんをベッドに投げつけるなどして頭に急性硬膜下血腫や脳の神経損傷など回復に数か月かかる大けがを負わせた疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「泣き止まないことにイライラしてストレスが溜まっていた」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,傷害罪について
〈傷害罪〉(刑法第204条)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法の傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
「傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させることなども「傷害」に該当します。
「傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)、睡眠薬等による約6時間の意識障害の症状を生じさせた場合(最高裁判決平成24年1月30日)などがあります。
上記の事例では、Aさんは、Vさんをベッドに投げつけるなどしてVさんに急性硬膜下血腫や脳の神経損傷など「傷害」しているため、Aさんに傷害罪が成立することが考えられます。
2,身柄拘束からの早期解放を目指す弁護活動
傷害罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間身柄を拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は一挙手一投足が厳しく規制・監督される環境に身を置くことになり、また、家族や友人など外部との接触も厳しく制限されることになります。
そして、被疑者勾留は原則10日(延長されればさらに10日)続きますが、その間は会社に出勤することもできなくなるため、無断欠勤が10日間も続けば会社をクビになり職を失う可能性もあります。
以上より、被疑者勾留にはさまざまな不利益が生じるため、そのような不利益を回避するために、被疑者勾留から少しでも早く解放を目指すことが重要となります。
そもそも被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合や、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、被疑者勾留による身柄拘束からの早期解放を実現するためには、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張する必要があります。
例えば、被疑者の家族や親族が被疑者の身元を監督し、裁判所や捜査機関への出頭を確保することを約束する身元引受を行い、それを書面化すれば、被疑者による逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となります。
そのような弁護活動を行い、被疑者勾留による身柄拘束からの早期解放を目指します。
ご家族やご親族が逮捕・勾留されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に依頼して身柄拘束による不利益を回避することが重要といえます。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において傷害罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績を誇ります。
傷害罪の当事者となり身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】傷害罪とその弁護活動(知人に睡眠作用のある薬物を摂取させて意識障害を負わせたケース)
【事例解説】傷害罪とその弁護活動(知人に睡眠作用のある薬物を摂取させて意識障害を負わせたケース)
今回は、知人に睡眠作用のある薬物を摂取させて意識障害を負わせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:知人に睡眠作用のある薬物を摂取させて意識障害を負わせた
福岡市内の飲食店で、知人に睡眠作用のある薬物を摂取させ、意識障害を負わせたとして、会社員のAさんが傷害の疑いで逮捕されました。
Aさんは、同僚の女性Vさんと飲食店で食事していたところ、Vさんがお手洗いで席を離れた際に、Vさんの飲み物に睡眠作用のある薬物を混入し、摂取させて意識障害を負わせた疑いが持たれています。
Vさんは病院に救急搬送されて手当を受け、3日程度で症状は回復しました。
警察の調べに対して、Aさんは「薬を飲ませたことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,傷害罪について
〈傷害罪〉(刑法204条)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法の傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
「傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させることなども「傷害」に該当します。
「傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)、睡眠薬等による約6時間の意識障害の症状を生じさせた場合(最高裁判決平成24年1月30日)などがあります。
上記の事例では、Aさんは、睡眠作用のある薬物をVさんに摂取させ、加療約3日を要する意識障害を負わせており、Vさんを「傷害」したといえるため、Aさんに傷害罪が成立することが考えられます。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
傷害罪は、被害者が存在する犯罪です。
そのため、被害者との示談交渉を試み、示談が成立すれば、不起訴処分獲得の期待が十分に持てます。
示談と一口に言っても、内容は多岐にわたり、事件を当事者で解決することを約束し将来の民事訴訟を予防するという単なる示談や、宥恕(加害者の反省・謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味)付き示談や、被害届の取下げや刑事告訴の取消しを内容に加えた示談などがあります。
示談交渉は当事者同士でも行うことはできますが、事件の被害者は、加害者に対して強い恐怖や憎悪の感情を有していることも少なくないため、加害者から直接連絡されることに抵抗感を抱き、そもそも示談交渉に応じていただけない可能性もあります。
そのため、被害者の意向を汲み取りつつ、少しでも有利な内容で示談を成立させて不起訴処分の獲得を実現するには、刑事事件に関する高度な知識や経験が要求されるため、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えません。
示談交渉は、法律の専門家であり、刑事事件に強い弁護士に依頼するのがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において傷害罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
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【事例解説】傷害罪と弁護活動(タバコを注意されて面識のない男性の顔面を拳で殴り怪我をさせたケース)
【事例解説】傷害罪と弁護活動(タバコを注意されて面識のない男性の顔面を拳で殴り怪我をさせたケース)
今回は、タバコを注意されてトラブルとなり、面識のない男性の顔面を拳で殴り怪我をさせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:タバコを注意されて面識のない男性の顔面を拳で殴り怪我をさせたケース
福岡市のマンションの敷地内で、面識のない住人の男性Vさんの顔面を拳で殴り怪我を指せたとして、自営業のAさんが傷害の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、マンションの敷地内が禁煙だったにもかかわらずAさんがタバコを吸っていたことから、Vさんが注意するとトラブルになり、Vさんの顔面を拳で殴ったとのことです。
Vさんは、唇を切る怪我を負いました。
トラブルを見ていた周囲の人が警察に通報し、Aさんはその場で逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは「注意されたことに腹が立った」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,傷害罪について
〈傷害罪〉(刑法204条)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法の傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
「傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させることなども「傷害」に該当します。
「傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)などがあります。
上記の事例では、AさんはVさんに対して顔面を殴るという暴行を加えて、唇を切る怪我を負わせており「傷害」しているといえるため、Aさんには傷害罪が成立することが考えられます。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
傷害罪は、被害者が存在する犯罪であるため、被害者と示談交渉を試みます。
被害者との間で示談が成立すれば、不起訴処分の獲得が十分に期待できます。
示談交渉は、事件の当事者同士でもできますが、被害者は加害者から直接連絡されることに恐怖や不安を感じている場合も多く、加害者に対して強い処罰感情を有していることから示談交渉に応じてもらえない可能性もあります。
しかし、弁護士が間に入り、加害者が反省・謝罪の意思を有していること、被害弁償を行う準備があることなどを被害者に丁寧かつ冷静に説明すれば、示談交渉に応じてもらえる可能性が高まります。
また、示談と一口に言っても内容は様々であり、宥恕(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないという意味)付き示談や、被害届の取下げや刑事告訴の取下げを内容に加えた示談などがあります。
これらを内容に加えた示談を成立させるには、刑事事件に関する知識や経験が豊富で、交渉に強い弁護士に依頼することがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
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【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニで他の客と口論になり仲裁に入った従業員を殴って怪我させたケース)
【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニで他の客と口論になり仲裁に入った従業員を殴って怪我させたケース)
事例:コンビニで他の客と口論になり仲裁に入った従業員を殴って怪我させたケース
福岡県警察城南警察署は、福岡市城南区にあるコンビニエンスストアにおいて、男性従業員Vさんに暴行を加えて怪我を負わせたとして、福岡市城南区に住む会社員Aさんを傷害の疑いで逮捕しました。
城南警察署によりますと、Aさんは客としてコンビニエンスストアに訪れ、別の客と口論になり、Vさんが仲裁に入ったところ、Vさんの顔を殴ったとのことです。
Vさんは口から出血する怪我を負いました。
警察の調べに対して、Aさんは「気が高ぶりつい殴ってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,傷害罪について
〈傷害罪〉(刑法204条)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法の傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
「傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させることなども「傷害」に該当します。
「傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)などがあります。
上記の事例では、AさんはVさんに対して顔を殴るという暴行を加えて、口から出血させる怪我を負わせており「傷害」しているといえるため、Aさんには傷害罪が成立することが考えられます。
2,身柄拘束の回避に向けた弁護活動
傷害罪で逮捕されると、被疑者は警察で24時間、その後検察に身柄を送検されて48時間、身柄を拘束され、取調べを受けることになります。
そして、検察官が必要があると判断した場合、裁判官に対して勾留請求し、認められれば、被疑者は勾留されることになります。
被疑者勾留は、逮捕に比べて身柄拘束期間が長く、原則として10日、さらに必要があると判断された場合には10日を超えない範囲で延長が認められるため、最長で20日間身柄を拘束されます。
上記の事例のように、被疑者が会社に勤めている場合には、勾留が続いている間は仕事を休まなければなりませんが、10日間も無断で休ませてもらえる会社はなかなか存在しないため、被疑者は職を失う可能性があります。
また、被疑者に養う家族がいれば、収入減がなくなり、経済的に苦しい状況になる可能性もあります。
そのため、弁護士は、検察官・裁判官に対して勾留に対する意見書を提出します。
被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そこで、弁護士は、被疑者が逮捕されて勾留を請求されている段階であれば、勾留の必要性がないことを示す意見書を提出します。
それにより検察官の勾留を請求しなければ、被疑者は釈放されることになります。
それでも検察官が勾留請求した場合には、裁判官に対して意見書を提出し、勾留決定しないよう働きかけます。
このように、勾留を阻止する機会は2回ありますが、勾留決定されてからではその機会を失うため、逮捕されてしまった場合にはできるだけ早く弁護士に相談されることをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において傷害罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績を誇ります。
傷害罪の当事者となり身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】傷害罪とその弁護活動(二日酔いの薬と偽り睡眠薬を飲ませて薬物中毒症状にさせたケース)
【事例解説】傷害罪とその弁護活動(二日酔いの薬と偽り睡眠薬を飲ませて薬物中毒症状にさせたケース)
今回は、福岡市の飲食店で、知人女性に二日酔いの薬と偽って睡眠薬を飲ませて薬物中毒症状にさせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:二日酔いの薬と偽り睡眠薬を飲ませて薬物中毒症状にさせたケース
福岡市の飲食店で、女性に二日酔いの薬と偽って睡眠薬を飲ませ、薬物中毒症状を引き起こしたとして、傷害の疑いで会社員のAさんが逮捕されました。
Aさんは、福岡市内の飲食店で知人女性Vさんに睡眠薬を飲ませ、薬物中毒症状にした疑いが持たれています。
警察によりますと、Aさんは「二日酔いに効く薬だよ」などと嘘をつき、Vさんに睡眠薬を服用させたということです。
Vさんはその場で一時意識を失い、嘔吐などの症状が出ましたが、現在は回復していて後遺症もないということです。
Aさんは警察の調べに対し「睡眠薬であるのか、二日酔いの薬であるのかはあいまいでよく分からない」と話し、容疑を一部否認しているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,傷害罪について
〈傷害罪〉(刑法204条)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法に定められた傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
「傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させることなども「傷害」に該当します。
「傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)などがあります。
上記の事例では、Aさんは睡眠薬を二日酔いに効く薬と偽ってVさんに飲ませて、Vさんに薬物中毒症状を引き起させており、Vさんの生理的機能を傷害しているといえるため、Aさんに傷害罪が成立すると考えられます。
2,否認事件における取調対応
上記の事例では、AさんはVさんに飲ませた薬が「睡眠薬であるのか二日酔いの薬であるのかはあいまいでよくわからない」と容疑を一部否認しています。
このように、被疑者が容疑を否認あるいは一部否認している場合における弁護活動として考えられるものの1つとして、取調べ対応が挙げられます。
取調べに対してやみくもに黙秘すれば、取調官から良くない印象を抱かれることもあり、それにより、取調官が厳しい言動で詰問する取調べが行われたり、「このままでは帰れなくなる」等、逮捕よりも長期間の身柄拘束である勾留を匂わせる取調べが行われるおそれもあります。
被疑者勾留は、被疑者の住居不定、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれが認められる場合になされます。(刑事訴訟法207条1項本文、60条1項各号)
しかし、被疑者が容疑を否認していると、被疑者が被害者に働きかけて証拠の隠滅を図るおそれがある、取調べの態度から取調べの出頭に応じないおそれがあるなどの理由により勾留請求をして、勾留が認められる可能性が高くなります。
そのため、弁護士による適切な黙秘権の行使についての説明など、適切かつ丁寧な法的アドバイスを受けることが最善といえるでしょう。
また、違法または不当な取調べを受けた被疑者から相談を受けた場合には、弁護士はしかるべき相手への抗議も行います。
3,まずは弁護士に相談を
福岡市内において、傷害罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査をされている方、あるいは家族・親族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱い、さまざまな経験や実績のある弁護士が在籍しております。
傷害罪の当事者となり身柄拘束をされずに捜査をされている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族等が傷害罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
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【事例解説】傷害罪とその弁護活動(同僚と口論になり、腹を立てて手拳で顔面を殴って怪我を負わせたケース)
【事例解説】傷害罪とその弁護活動(同僚と口論になり、腹を立てて手拳で顔面を殴って怪我を負わせたケース)
今回は、同僚と口論になり、腹を立てて手拳で顔面を殴って怪我を負わせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:同僚と口論になり、腹を立てて手拳で顔面を殴って怪我を負わせたケース
口論から腹を立て、同僚の顔面を手拳で殴ったとして、男が逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、福岡市の会社員Aさんです。
警察によりますと、福岡市内の飲食店に勤務するVさんから「職場の同僚から殴られた」旨の通報がありました。
警察官が現場の飲食店に駆け付け、事情を聞くなどし、Aさんが口論の末、腹を立てVさんの顔面を手拳で複数回殴り、打撲傷などを負わせたことが明らかになったため、現行犯逮捕しました。
逮捕されたAさんは、「殴ったことは間違いない」と容疑を認めているということです。
(事例はフィクションです。)
1,傷害罪について
〈傷害罪〉(刑法204条)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
「傷害」とは、人の生理機能を侵害することを言います。
通常は、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的方法によるものでも「傷害」に該当します。
無形的方法による「傷害」に該当するものとしては、嫌がらせの電話により被害者を精神衰弱症にかからせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や性病に感染した自分の性器を被害者に押し当てて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)があります。
2,傷害罪で身柄拘束された場合の弁護活動
(1)早期の身柄解放に向けた弁護活動
傷害罪で逮捕されると、警察に48時間、その後、検察庁に身柄を送検されて24時間身柄を拘束されて取調べを受けることになります。
検察官において、捜査状況等にかんがみて、さらに被疑者の身柄を拘束する必要性があると判断した場合には、勾留請求がなされることになります。
被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者による証拠隠滅または逃亡のおそれがある場合に認められます。(刑事訴訟法207条1項本文、60条1項各号)
勾留による身柄拘束は、原則として10日間、さらに拘束の必要があると判断された場合には10日を超えない範囲で延長が認められています。(刑事訴訟法208条)
傷害罪で検察官が勾留請求した場合における勾留が認められる割合は90% 近くとなっており、傷害罪で逮捕された事件のほとんどが勾留されていると言えます。
(参照:令和5年版検察庁既済事件の身柄率・勾留請求率・勾留請求却下率の推移)
したがって、傷害罪による身柄拘束は比較的長期にわたる可能性があるため、弁護活動としては、早期の身柄解放の実現を目指すことが考えられます。
被疑者勾留は、被疑者の住居不定、被疑者による証拠隠滅または逃亡のおそれがある場合に認められるため、それらを否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していく必要があります。
被疑者と同居している家族が被疑者の身元を引き受ける、あるいは同居していない家族・親族でも被疑者の身元を引き受ける等の事情があれば、被疑者を監督し、裁判所や捜査機関への出頭の機会が確保されるため、被疑者の逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情となるでしょう。
また、上記の事例のように、被害者との面識がある場合には、被害者や犯行現場に接近しない旨の誓約書を作成することで、被疑者による証拠隠滅のおそれがないことを示す客観的な事情となり得ます。
そして、傷害罪は被害者が存在する犯罪でもあることから、被害者との示談交渉を行うことが考えらます。
示談の成否は早期の身柄解放だけでなく起訴・不起訴の処分に対しても大きく影響します。
そのため、弁護士は、被害者とコンタクトをとり、加害者の立場から、反省・謝罪の意を述べて、被害弁償等を行い示談の成立を目指します。
示談が成立した場合には、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれはないと考えられるため、釈放による早期の身柄解放が十分に期待できます。
(2)不起訴処分獲得に向けた弁護活動
傷害罪で公判請求されて裁判となると、有罪となり前科が付いてしまう可能性があります。
前科が付いてしまうと、その後の社会生活を送る上でさまざまな影響が出てくるおそれがあります。
たとえば、職場からの解雇、公務員や会社の採用時に前科の有無を確認され、判断材料になることがあるなどが挙げられます。
被害者との示談が成立していれば、それを検察官に主張することで、起訴猶予による不起訴処分の獲得が期待できます。
以上より、傷害罪で逮捕・勾留されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談することが大切です。
3,まずは弁護士に相談を
福岡市内において、傷害罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査をされている方、あるいは家族・親族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱い、さまざまな経験や実績のある弁護士が在籍しております。
傷害罪の当事者となり身柄拘束をされずに捜査をされている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族等が傷害罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
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【事例解説】職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせた場合に成立する可能性のある犯罪とその弁護活動について
【事例解説】職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせた場合に成立する可能性のある犯罪とその弁護活動について
今回は、職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例 :職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせたケース
職務質問をした警察官の顔を拳で殴り怪我を負わせたとして、福岡県警察春日警察署は、公務執行妨害と傷害の容疑で春日市在住の会社員Aさんを現行犯逮捕しました。
警察の調べに対し、Aさんは、逮捕当時酒に酔っていたため「覚えていません。」などと容疑を否認しているとのことです。
(事例はフィクションです。)
公務執行妨害罪と傷害罪は、どちらも刑法に定められています。
1,公務執行妨害罪について
〈公務執行妨害罪〉(刑法95条1項)
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
公務執行妨害罪は、①公務員が②職務を執行するに当たり、③暴行又は脅迫を加えた場合に成立します。
①「公務員」とは、法令により公務に従事する職員を言います。
法令とは、法律、命令、条例を指します。
公務とは、国または地方公共団体の事務を言います。
職員とは、法令上の根拠に基づき国または地方公共団体の機関として公務に従事する者をいます。
②「職務を執行するに当たり」とは、公務の執行の際に、という意味であり、また執行される職務については適法なものであることが要求されます。
仮に違法であっても公務であれば保護されるとなれば、それは公務員の身分や地位を保護することになり、公務執行妨害罪が公務の円滑の執行、すなわち公務を保護するとした趣旨に反すると考えられているからです。
「職務」とは、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてであるとされています。(最高裁判決昭和53年6月29日)
③「暴行又は脅迫を加えた」における「暴行」とは、不法な有形力の行使を言い、「脅迫」とは、相手方を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言います。
公務執行妨害罪が公務の円滑な執行を保護している趣旨からすれば、暴行または脅迫は、公務員による職務の執行を妨害するに足りる程度のものであれば良いと考えられています。
また、「暴行」は、直接公務員の身体に向けられる必要はなく、職務執行を妨害するに足りる程度の暴行と言えれば、間接的に公務員に向けられた暴行(間接暴行)でも、公務執行妨害罪は成立します。
過去の裁判例では、覚せい剤取締法違反の現行犯逮捕の現場において、警察官に証拠として差し押さえられた覚せい剤入り注射液入りアンプルを足で踏みつけて破壊した事案では、間接暴行により警察官の職務執行を妨害したとして、公務執行妨害罪の成立を認めています。(最高裁判決昭和34年8月27日)
また、公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫が加えられた時点で既遂となり、現実に職務執行が妨害されたことを要しません。
上記の事例で考えると、警察官という「公務員」が行う職務質問(警察官職務執行法2条1項)という「職務を執行するに当たり」、顔を拳で殴るという「暴行」を加えているため、Aさんに公務執行妨害罪が成立すると考えられます。
2,傷害罪について
〈傷害罪〉(刑法204条)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
「傷害」とは、人の生理的機能を侵害することを言います。
殴る・蹴るなどの有形的な方法のみならず、病気を移すことなど無形的な方法によって「傷害」の結果を生じさせれば、傷害罪は成立します。
「傷害」の結果とは、打撲や擦過傷などの外傷の他に、睡眠薬により意識朦朧状態にさせることやPTSDに罹患させることなどもこれに該当します。
3,観念的競合について
観念的競合とは、「1個の行為が2個以上の罪名に触れる」場合をいい、その場合は「その最も重い刑により処断」されることになります。(刑法54条前段)
上記の事例で言えば、Aさんの職務執行中の警察官の顔を殴り怪我を負わせたという1個の行為が、公務執行妨害罪と傷害罪という2個以上の罪名に触れています。
そのため、Aさんは、「その最も重い刑により処断」されることになりますが、公務執行妨害罪の法定刑は3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金、傷害罪は15年以下の懲役または50万円以下の罰金であるため、傷害罪の刑罰をもって処断されることになります。
4,身体拘束からの解放・不起訴処分獲得などに向けた弁護活動
逮捕による身柄拘束は最長で72時間続き、捜査の必要性などさらに被疑者の身柄を拘束する必要があると判断された場合、逮捕より長期の身体拘束である勾留がなされることがなされることがあります。
勾留による身柄拘束は、最長で20日間続くため、被疑者段階における身柄拘束は、逮捕の時から起算すると最長で23日間続くことになります。
そこで、早期の身体拘束からの解放に向けた弁護活動を行います。
被疑者の勾留が認められるのは、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文、60条1項各号)
そこで、それらを否定し得る客観的な事情や証拠の収集・主張といった活動を行います。
例えば、被疑者が家族と同居しており、同居している家族が被疑者の身元引受人になるといった事情があれば、被疑者の住居不定や逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情と言えます。
また、上記の事例で言えば、被疑者であるAさんは現行犯逮捕されており、また、被害者も警察官であるため、Aさんによる証拠隠滅のおそれは低いことを示す客観的な事情と言えるでしょう。
公務執行妨害罪は、公務の執行、すなわち公務自体を保護しているため、直接の被害者が存在しません。
直接の被害者がいないということは示談する相手がいないので示談ができない ということになります。
しかし、謝罪の手紙を書き反省の意を示し再犯可能性がないことや、贖罪寄付を行うといった弁護活動により、不起訴処分の獲得を目指します。
贖罪寄付とは、被害者のいない刑事事件を起こしてしまった場合など、被疑者や被告人が反省や悔悟の気持ちを示すために公的な団体等に対して行う寄付を言います。
贖罪寄付は、各都道府県にある弁護士会や法テラス、日弁連交通事故相談センターで行うことができます。
傷害罪については、被害者が存在するため示談を行うことが可能です。
しかし、上記の事例のように、被害者が公務員である場合は、示談には応じないといった場合も考えられますが、被疑者が反省していることや被害の弁償をする意思があることなどを粘り強く主張していくといった弁護活動が考えられます。
5,まずは弁護士に相談を
福岡県春日市において、公務執行妨害罪・傷害罪の当事者となってしまった、あるいはご家族等が当事者となり身柄を拘束されている場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、刑事事件・少年事件に対する豊富な経験や実績がございます。
公務執行妨害罪・傷害罪を起こしてしまい在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が公務執行妨害罪・傷害罪を起こしてしまい身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。
【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニ店員に商品の缶コーヒーを投げつけて怪我を負わせたケース)
【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニ店員に商品の缶コーヒーを投げつけて怪我を負わせたケース)
事例:コンビニ店員に商品の缶コーヒーを投げつけて怪我を負わせたケース
福岡市中央区のコンビニエンスストアで女性店員に商品の缶コーヒーを投げつけてけがをさせた疑いで、会社員のAさんが逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、福岡市中央区に住む会社員のAさんです。
警察によりますと、Aさんは福岡市中央区のコンビニで女性店員Vさんに商品の缶コーヒーを投げつけてけがをさせた疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「覚えていない」と話しているということです。
2人に面識はなく、Aさんは当時、1人でコンビニを訪れていたと見られていて、警察が当時の状況などを調べています。事件後、店の関係者から警察に連絡があり、発覚したということです。
(静岡朝日テレビ 3/27(水)10:29配信のニュース記事を参考にして、地名や内容を一部変更し引用しています。)
1,傷害罪について
〈傷害罪〉
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(刑法204条)
「傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することを言います。
殴る・蹴るなどの有形的方法によって行われることが通常ですが、「傷害」の結果を発生させるものであれば無形的な方法によるものであれば傷害罪は成立します。
「傷害」の結果とは、打撲、創傷、擦過傷などのような外傷以外に、めまい、失神、中毒や病気に罹患させることなどです。
また、一時的な精神的な苦痛やストレス状態であれば「傷害」には当たりませんが、継続的に症状が発生する心的外傷後ストレス障害(PTSD)に罹患させることや、睡眠薬で約6時間の意識障害に陥らせることなどは「傷害」に該当します。
無形的方法による「傷害」とは、例えば、無言電話をかけ続けて相手を極度に恐怖させて精神衰弱症に罹らせたことや、嫌がらせ行為により不安及び抑うつ状態に陥れた場合が該当します。
2,早期の身柄解放や不起訴処分獲得に向けた弁護活動
(1)早期の身柄解放に向けた弁護活動
傷害罪で逮捕・勾留されると身柄を拘束され、捜査機関から取調べを受けることになります。
また、勾留による身柄拘束は、原則として10日間、さらに必要があると判断された場合は10日を超えない範囲で延長することができるため(刑事訴訟法208条)、最長で20日間続く可能性があります。
勾留による身柄拘束が認められるのは、被疑者が定まった住居が有しない場合、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文、60項1項各号)
そのため、弁護活動としては、被疑者が定まった住居を有していること、被疑者には証拠隠滅または逃亡のおそれがないことを主張・証明していくことになります。
具体的には、当該事件についての捜査機関の捜査により証拠となり得る物(例えば防犯カメラの映像)は既に押収されているとの事情は、被疑者による証拠隠滅のおそれを否定し得る事情となるので、それを主張していくことになります。
そのような弁護活動を通じて、早期の身柄解放を目指します。
(2)不起訴処分獲得に向けた活動
事件を起訴するか否かは検察官が決めます。(起訴便宜主義。刑事訴訟法248条)
そして、検察官が事件を起訴しないことを不起訴処分と言います。
不起訴処分には、嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予など種類があります。
嫌疑なしとは、捜査を尽くしたけれども被疑者が犯人ではない、あるいは真犯人が捕まった場合などがこれに該当します。
嫌疑不十分とは、嫌疑が無いわけではけれど被疑者が犯人であることを証明し得るだけの証拠が不十分である場合などがこれに該当します。
起訴猶予とは、被疑者が犯人であることも明らかで、それを証明し得るだけの十分な証拠も存在するけれど、検察官が起訴しないと判断した場合がこれに該当します。
起訴猶予処分になる例としては、被疑者が罪を認めて反省しており被害者との間で示談が成立していると言った場合が挙げられます。
上記の他に、公訴を提起するのに被害者の告訴が必要な犯罪(親告罪)において、被害者が告訴を取り下げた場合には、訴訟要件を欠くため不起訴となります。
例えば、名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)は、被害者の告訴が無ければ公訴を提起することができません。(刑法232条)
また、そもそも被疑者の行為が犯罪に当たらない、あるいは被疑者の行為は犯罪に該当するけれど違法性が排除されるといった場合などは不起訴処分となります。
犯罪が成立し刑事罰が科されるのは、行為者の行為が構成要件(例えば、傷害罪の場合は人の身体を傷害したこと)に該当し、その行為の違法性を排除する事情や、有責性を排除する事情が存在しない場合です。
しかし、被疑者の行為に正当防衛が成立する場合には、被疑者の行為の違法性が排除されるため犯罪が成立せず不起訴処分となります。
不起訴処分となれば公訴を提起されないため前科を回避することができ、職場を解雇されるなどの社会生活を送る上での影響を最小限に食い止めることが期待できます。
刑事弁護はスピードが大事です。
そのため、逮捕・勾留により身柄を拘束されてしまった場合には少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内で傷害罪で逮捕・勾留されて身柄を拘束されている、または在宅で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護の経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士が在籍しております。
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人を突き飛ばし傷害罪で逮捕、傷害致死に発展する危険性は
人を突き飛ばし傷害罪で逮捕、傷害致死に発展する危険性は
傷害罪と傷害致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福岡県太宰府市に住んでいる大学生Aさんは、家に帰る途中で同じ大学に通うVさんに話しかけられました。
Vさんは酔っ払っており、絡まれたことでAさんは苛立ちました。
そしてVさんに肩を組まれた際にAさんはVさんを突き飛ばしました。
倒れたVさんが血を流して動かなくなったため、Aさんは救急車を呼ぶことにしました。
Vさんは幸い命に別状はありませんでしたが、Aさんは筑紫野警察署に傷害罪の疑いで逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
傷害罪と傷害致死罪
Aさんの逮捕容疑は傷害罪でしたが、参考事件は傷害致死罪になってもおかしくない事例でした。
傷害罪と傷害致死罪は、どちらも刑法に定められた犯罪です。
まず、刑法204条に定められているのが傷害罪で、条文は「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」となっています。
「傷害」の代表例として、人の生理的機能に傷害を与えることがあります。
怪我を負わせる行為は典型的な傷害であり、Vさんを突き飛ばし、血を流すほどの怪我を負わせたAさんは傷害罪に該当します。
また、健康状態を悪化させることも傷害に含まれるため、外傷のない、病気にかからせる行為も傷害罪となります。
その他にも、人の意識作用に障害を与える、例えば眠らせたり気絶させたりする行為もこの条文で言う「傷害」です。
参考事件では傷害罪にとどまりましたが、このような傷害事件で被害者の方が亡くなってすまうと、適用されるのは刑法第205条の傷害致死罪になります。
「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。」傷害致死罪は、傷害罪と違い拘禁刑のみで期間も最低3年の刑罰です。
傷害罪も怪我の程度によっては拘禁刑が3年を超えてしまう可能性もありますが、罰金刑に抑えることもできる傷害罪と比べ非常に罪が重くなっていることがわかります。
傷害事件の弁護活動
傷害罪、傷害致死罪ともに弁護活動で注力すべきはなのは示談交渉です。
示談交渉は処分に与える影響が大きいため、示談の締結は減刑のための大きな一歩になります。
しかし、傷害事件の被害者が赤の他人である場合、示談交渉のため連絡先を知る必要があります。
多くの場合、被害者は怪我をさせられた恐怖から、連絡先を教えようとはせず、警察なども被害者の連絡先を教えることはありません。
そのため示談を締結するためには間に弁護士を入れ、弁護士限りの連絡で示談交渉を進める必要があります。
傷害致死罪の場合は親族と示談交渉を進める必要がありますが、被害者が死亡していることから処罰感情強くなりやすい傾向にあります。
そのため傷害罪よりも示談交渉は困難になり、示談金もより高い金額になることが予想されます。
そういった際にも、経験豊富な弁護士によるサポートが必要です。
傷害事件の際はご相談ください
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件(及び少年事件)を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
当事務所は初回であれば無料の法律相談、逮捕(または勾留)された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスを実施しております。
ご予約はどちらも24時間体制で、土曜日、日曜日だけでなく祝日もお電話を受け付けております。
傷害罪で事件を起こしてしまった方、またはご家族が傷害致死罪の疑いで逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部のフリーダイヤル「0120-631-881」に、お気軽にご相談ください。
【事例解説】傷害事件における「同時傷害の特例」の適用と弁護活動(遭遇した暴行現場に乗じた架空の事例に基づく解説)
共犯関係によらずに同時に加えられた暴行により発生した架空の傷害事件を参考に、傷害罪における「同時傷害の特例」の適用とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡市内在住の男性Aは、帰宅途中に、以前トラブルが起きた知人のVが、Bに暴行されている現場に遭遇しました。Bが現場を立ち去った後、AはVへの恨みから、路上に倒れ込んでいるVの顔面を1回足蹴し、立ち去りました。
なお、AとBに面識はなく、共同してVに暴行するという意思の疎通はありませんでした。
Vは、一連の暴行により、鼻骨骨折と肋骨骨折の怪我を負い、Aは、後日、Vに対する傷害の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)
傷害罪における「同時傷害の特例」とは
本件で、AとBに共同してVに暴行するという意思の疎通は認められないため、「二人以上共同して犯罪を実行した」として共犯(刑法第60条)が成立する可能性は低いと考えられます。
この場合、Aの暴行(顔面の足蹴)がVの傷害(鼻骨骨折と肋骨骨折)に寄与したという、個別の因果関係が証明されなければ、「疑わしきは被告人の利益に」の原則により、Aに傷害罪が成立しないとも考えられそうです。
しかしながら、こうした傷害事件においては、個々の暴行と傷害の因果関係の証明が一般的に容易でないことから、暴行を加えた者全員に傷害罪が成立しないという不合理な結論を回避するため、刑法207条で、2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくとも、共犯の例による、と規定されています。
これを「同時傷害の特例」と呼び、この特例が適用されると、Aの暴行とVの傷害の個別の因果関係の証明がなくとも、AにVに対する傷害罪が成立し得ることとなります。
「同時傷害の特例」が適用され得る傷害事件の弁護活動
「同時傷害の特例」は、あくまで、個別の因果関係を推定する規定とされるため、自身の暴行が特定の傷害の発生に寄与していないとして、個別の因果関係がないことを立証し、推定を覆すことができれば、特定の傷害に対する傷害罪の責任を回避することが可能であると考えられます。
また、判例によると、「同時傷害の特例」の適用の前提として、各人の暴行が特定の傷害を生じさせ得る危険性を有することが必要とされるため、例えば、暴行を加えた部位と全く異なる部位に生じた傷害については、そもそも特例の適用の前提を欠くと判断されることもあり得ます。
そのため、本件で、Vの肋骨骨折の傷害については、Aの暴行(顔面の足蹴)が当該傷害を生じさせ得る危険性を有しない、又は発生に寄与していないとして、「同時傷害の特例」の適用や因果関係を争う余地があると考えられます。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金と幅があり、負わせた傷害の程度が量刑に大きく影響し得ると考えられるため、本件で、鼻骨骨折での傷害罪の責任は争い難い場合であっても、肋骨骨折での傷害罪の責任を回避できれば、その分量刑を軽減できる可能性があります。
このような事件では、同時に暴行を行った者が、自らの責任を軽くするため、暴行の態様について虚偽の供述をする可能性もあることから、不当に重い責任を負わされることのないよう、弁護士が被疑者との接見に際し、取調べ対応についてアドバイスを行うことが重要になると考えられます。
福岡県の刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、傷害事件において、不起訴処分や刑の減軽を獲得している実績が数多くあります。
傷害事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。