【事例解説】傷害罪とその弁護活動(知人に睡眠作用のある薬物を摂取させて意識障害を負わせたケース)
今回は、知人に睡眠作用のある薬物を摂取させて意識障害を負わせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:知人に睡眠作用のある薬物を摂取させて意識障害を負わせた
福岡市内の飲食店で、知人に睡眠作用のある薬物を摂取させ、意識障害を負わせたとして、会社員のAさんが傷害の疑いで逮捕されました。
Aさんは、同僚の女性Vさんと飲食店で食事していたところ、Vさんがお手洗いで席を離れた際に、Vさんの飲み物に睡眠作用のある薬物を混入し、摂取させて意識障害を負わせた疑いが持たれています。
Vさんは病院に救急搬送されて手当を受け、3日程度で症状は回復しました。
警察の調べに対して、Aさんは「薬を飲ませたことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,傷害罪について
〈傷害罪〉(刑法204条)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法の傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
「傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させることなども「傷害」に該当します。
「傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)、睡眠薬等による約6時間の意識障害の症状を生じさせた場合(最高裁判決平成24年1月30日)などがあります。
上記の事例では、Aさんは、睡眠作用のある薬物をVさんに摂取させ、加療約3日を要する意識障害を負わせており、Vさんを「傷害」したといえるため、Aさんに傷害罪が成立することが考えられます。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
傷害罪は、被害者が存在する犯罪です。
そのため、被害者との示談交渉を試み、示談が成立すれば、不起訴処分獲得の期待が十分に持てます。
示談と一口に言っても、内容は多岐にわたり、事件を当事者で解決することを約束し将来の民事訴訟を予防するという単なる示談や、宥恕(加害者の反省・謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味)付き示談や、被害届の取下げや刑事告訴の取消しを内容に加えた示談などがあります。
示談交渉は当事者同士でも行うことはできますが、事件の被害者は、加害者に対して強い恐怖や憎悪の感情を有していることも少なくないため、加害者から直接連絡されることに抵抗感を抱き、そもそも示談交渉に応じていただけない可能性もあります。
そのため、被害者の意向を汲み取りつつ、少しでも有利な内容で示談を成立させて不起訴処分の獲得を実現するには、刑事事件に関する高度な知識や経験が要求されるため、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えません。
示談交渉は、法律の専門家であり、刑事事件に強い弁護士に依頼するのがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において傷害罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績を誇ります。
傷害罪の当事者となり身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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