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【事例解説】道路交通法違反(酒酔い運転)事件の弁護活動

2023-10-29

 酒に酔って蛇行運転した架空の道路交通法違反(酒酔い運転)事件を参考に、酒気帯び運転と酒酔い運転の違いや道路交通法違反(酒酔い運転)事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 酒に酔った状態で車を運転したとして、糸島市在住の自営業の男性Aが、道路交通法違反(酒酔い運転)の容疑で、福岡県糸島警察署の警察官に現行犯逮捕されました。
 深夜、パトカーで警ら中の警察官が、蛇行運転するAの車を停車させ、Aの呼気を検査したところ、基準値を超える0.8mg/ℓのアルコールが検出されたとのことです。
 Aは「仕事帰りに飲酒し、運転した」と供述し、道路交通法違反(酒酔い運転)の容疑を認めています。
(事例はフィクションです。)

「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の違い

 酒を飲んで運転することを一般的に「飲酒運転」と呼びますが、飲酒運転は法律上の用語ではなく、道路交通法では、「酒気帯び運転」又は「酒酔い運転」として処罰の対象となります。

 「酒気帯び運転」とは、身体に政令で定める基準(呼気0.15mg/ℓ以上又は血中0.3mg/mℓ)以上にアルコールを保有する状態で車両等を運転することをいいます(法第65条第1項、117条の2の2第1項3号)。

 一方、「酒酔い運転」とは、酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)で車両等を運転することをいいます(法第117条の2第1項1号)。
 酒気帯び運転のように、法令上の数値基準はなく、飲酒の影響により、直進歩行ができない、呂律が回っていない、質疑に対して正常な受け答えができない、といった状態になっている場合、「酒に酔った状態」と認定されることが多いとされます。
 そのため、酒に弱い人が、少量の飲酒で上記のような状態になった場合、仮に身体に保有するアルコールの量が酒気帯び運転の基準以下であっても、酒酔い運転として処罰される可能性があります。

 なお、法定刑は、酒気帯び運転は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、酒酔い運転は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています(法第117条の2、117条の2の2)。

 本件Aは、基準値を超える0.8mg/ℓアルコールが検出されたことから、少なくとも酒気帯び運転が成立し、飲酒の影響で蛇行運転を行うほどの状態にあり、アルコール検出量が基準値の5倍を超えたことも事実上相まって、「酒に酔った状態」にあったとして、酒酔い運転が成立する可能性があると考えられます。

道路交通法違反(酒酔い運転)事件の刑事弁護

 酒酔い運転の場合、事故を起こしていなくても、酒酔いの程度や運転の態様、運転の動機・経緯や前科前歴の有無などの事情から、起訴され正式裁判となり、懲役刑となる可能性が十分にあります。
 そのため、早い段階で、刑事事件に強く、道路交通法違反事件での弁護活動の経験豊富な弁護士への依頼をお勧めします。

 罪を認める場合の弁護活動としては、上記事情を十分に精査し、被疑者に対し取調べ対応のアドバイスを行った上で、例えば、動機に酌むべき事情があったこと、常習性がなかったことなど、被疑者(被告人)に有利に働き得る事情を検察官や裁判官に的確に主張して、略式命令(罰金刑)、執行猶予付き判決を目指すことが考えられます。

 また、被疑者(被告人)が真摯に反省し、被疑者(被告人)が運転しなくても生活を送れるという再犯防止の環境を整えているかという点も、刑の減軽等を目指すために重要です。
 例えば、運転免許を自主的に返納したり、車を売却すること、家族等に送迎の協力を得たり、職場の近くに転居するなど、弁護士は、被疑者(被告人)の反省や再犯防止の環境整備がなされていることを客観的に示す取組みを、被疑者(被告人)やご家族にアドバイスすることも可能です。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、飲酒運転などの道路交通法違反事件において、刑の減軽等を獲得した実績があります。
 福岡県での道路交通法違反(酒酔い運転)事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】「撮り鉄」で列車が緊急停止 電汽車往来危険罪で捜査開始(後編)

2023-10-26

 前回に引き続き、列車を撮影するために線路脇に立ち入った「撮り鉄」行為により、列車が緊急停止した架空の事件を参考に、電汽車往来危険罪と自首の成立する要件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 久留米市在住の鉄道ファンAは、鉄道会社Vが運行する特急列車Wを至近距離で撮影するため、同市内の線路脇に立ち入ったところ、Wの運転士が線路脇に立ち入ったAを確認し、Wは緊急停止しました。Wの乗客に怪我はありませんでしたが、停止の影響で運行が大幅に遅延しました。
 Aは後日の報道で、本件について、電汽車往来危険などの容疑で福岡県久留米警察署の捜査が開始されたことを知り、自首すべきか刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

前回の前編では、電汽車往来危険罪について、解説しました。

自首の成立する要件について

 本件Aは、事件について捜査が開始されたことをされたことを報道で知り、自首すべきか悩んでいます。

 刑法第42条第1項では、罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる、と規定されています。
 「自首」とは、犯罪行為を行った者が、捜査機関に発覚する前に自ら進んで捜査機関に自己の犯罪事実を申告し、その処分に委ねる意思表示、とされます。

 「捜査機関に発覚する前」とは、(1)犯罪自体が捜査機関に発覚していない場合と、(2)犯罪自体は捜査機関に発覚しているが犯人が誰であるかが発覚していない場合を指します。
 そのため、捜査機関が、犯罪の事実と犯人が誰であるかについては既に把握しているものの、犯人の居場所だけが分からないという状況で警察などに出頭したとしても、「捜査機関に発覚する前」に自首したことにはなりません。
 例えば、本件Aの犯行が防犯カメラなどの映像で残っていたことなどから、Aが警察に出頭した時点で、捜査の進展によりAが犯人であることが特定されていた場合は、自首は成立しないこととなります。

 その反面、自首が成立しないとしても、自ら進んで自己の犯罪事実を申告したことは、事件の内容などにもよりますが、逃亡や証拠隠滅等のおそれがないとして逮捕を回避できる要因となり得るほか、自首による刑の減軽が適用されなくても、被疑者の反省を示す有利な情状として、不起訴処分や刑の減軽を得られる可能性を高めることができます。

 自己の犯罪事実について自首を検討している場合は、自首のメリット・デメリットや自首が成立する見込みの有無、自首した後に予想される刑事手続きなどについて、刑事事件に強い弁護士に事前に相談し、身体拘束回避の可能性を高めるための弁護士による同伴等も検討した上で、慎重に対応することをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、様々な刑事事件における弁護活動の豊富な実績があります。
 自身やご家族が電汽車往来危険罪に該当する可能性がある行為をしてしまい、取るべき対応のことなどでお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【事例解説】「撮り鉄」で列車が緊急停止 電汽車往来危険罪で捜査開始(前編)

2023-10-23

 列車を撮影するために線路脇に立ち入った「撮り鉄」行為により、列車が緊急停止した架空の事件を参考に、電汽車往来危険罪と自首の成立する要件について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 鳥取市在住の鉄道ファンAは、鉄道会社Vが運行する特急列車Wを至近距離で撮影するため、同市内の線路脇に立ち入ったところ、Wの運転士が線路脇に立ち入ったAを確認し、Wは緊急停止しました。Wの乗客に怪我はありませんでしたが、停止の影響で運行が大幅に遅延しました。
 Aは後日の報道で、本件について、電汽車往来危険などの容疑で福岡県久留米警察署の捜査が開始されたことを知り、自首すべきか刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

電汽車往来危険罪とは

 鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、2年以上の有期懲役に処する、と定められています(電汽車往来危険罪、刑法第125条第1項)。

 電汽車往来危険罪における「往来の危険」とは、衝突・脱線など、電車等の往来に危険な結果を生ずるおそれのある状態とされます。
 具体的には、単に電車等の交通の妨害を生じさせた程度では足りないが、脱線等の実害の発生が必然的ないし蓋然的であることまで必要とするものではなく、上記実害の発生する一般的可能性があれば足りる、とされます。
 つまり、その行為により、電車等の衝突・脱線などの危険が生じる可能性があれば、「往来の危険」を生じさせたと認められる可能性があると考えられます。

 本件Aは、特急列車Wを至近距離で撮影するため、線路脇への立ち入りという、衝突・脱線などの危険が生じる可能性のある行為を行っています。
 そのため、「その他の方法」により、電車の「往来の危険」を生じさせたとして、電汽車往来危険罪が成立し得ると考えられます。

 なお、電汽車往来危険罪が成立しない場合でも、鉄道地内にみだりに立ち入ったとして、鉄道営業法(第37条)違反により処罰される可能性があります。

 その他、Wは停止の影響で運行が大幅に遅延したことから、Aの立ち入り行為により鉄道会社V の業務が妨害されたといえるため、Aは、「威力を用いて人の業務を妨害」として、威力業務妨害罪(刑法第234条)が別途成立する可能性もあります。

次回の後編では、自首の成立する要件について、解説します。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、様々な刑事事件における弁護活動の豊富な実績があります。
 自身やご家族が電汽車往来危険罪に該当する可能性がある行為をしてしまい、取るべき対応のことなどでお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【事件解説】陸上大会で女子選手の下半身を撮影し逮捕(後編)

2023-10-20

 前回に引き続き、高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要

 福岡市内であった高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、同市内在住の男性Aが、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)の容疑で逮捕されました。
 福岡県中央警察署の調べによると、Aは、福岡市内であった高校生の陸上競技大会で、10代の女子選手の下半身をデジタルカメラでズーム撮影していたところ、それに気付いた選手の保護者が警察に通報しました。
 Aは、「服の上から撮影するだけでは罪にならないと思っていた」と、供述しているとのことです。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)

前回の前編では、性的姿態等撮影罪の成立について、解説しました。

福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)とは

 盗撮行為につき性的姿態等撮影罪が成立しない場合であっても、各都道府県が定める迷惑行為防止条例において規定されている「卑わいな言動」として、処罰の対象になる可能性があります。

 福岡県迷惑行為防止条例では、何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、「卑わいな言動」を行ってはならない、と規定されています(第6条第1項2号)。

 そのため、本件Aのように、「公共の場所」といえる陸上競技場で、女子選手の下半身をデジタルカメラでズーム撮影したという場合、その女子選手に恥ずかしい思いをさせたり、不安を覚えさせる「卑わいな言動」を行ったとして、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)が成立する可能性があります。

 なお、Aは、「服の上から撮影するだけでは罪にならないと思っていた」と供述していますが、刑法第38条第3項で、法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない、と規定されているため、罪の成立は妨げられないこととなります。

盗撮行為を罪に問われた場合の刑事弁護

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)の法定刑は、常習でない場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですが、性的姿態等撮影罪の法定刑は、未遂犯を含めて、3年以下の拘禁刑(施行までは懲役刑)又は300万円以下の罰金と、大きな開きがあります。

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)で逮捕された場合、初犯であり、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高かったのですが、厳罰化された性的姿態等撮影罪においては、同様に不起訴処分を獲得できるとは必ずしも限らない可能性があります。

 盗撮行為に関する処罰規定は大幅に改正されたばかりということもあるため、盗撮行為を罪に問われた場合、今後どのような手続で事件が進み、どの程度の刑罰が科される可能性があるのか、刑事事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、新法制定前の福岡県迷惑防止条例違反事件において、身体拘束からの解放示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。

 盗撮行為を行ったとして、ご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事件解説】陸上大会で女子選手の下半身を撮影し逮捕(前編)

2023-10-17

 高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)で逮捕された事件とその弁護活動について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要

 福岡市内であった高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、同市内在住の男性Aが、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)の容疑で逮捕されました。
 福岡県中央警察署の調べによると、Aは、福岡市内であった高校生の陸上競技大会で、10代の女子選手の下半身をデジタルカメラでズーム撮影していたところ、それに気付いた選手の保護者が警察に通報しました。
 Aは、「服の上から撮影するだけでは罪にならないと思っていた」と、供述しているとのことです。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)

性的姿態等撮影罪の成立について

 令和5年7月13日に施行された「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(「性的姿態撮影等処罰法」)により、従来、各都道府県の迷惑行為防止条例違反として処罰されていた盗撮行為は基本的に、「性的姿態等撮影罪」(同法2条1項)として、全国一律での処罰の対象となりました。

 本件Aの盗撮行為につき、性的姿態等撮影罪が成立するでしょうか。

 同罪では、「性的姿態等」正当な理由がなくひそかに撮影する行為を、一定の例外を除き処罰すると定めています。
 この「性的姿態等」の対象として、(1)人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)、又は(2)人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を覆っている部分、と規定されています(同法2条1項1号イ参照)。
 スカートの中の下着を盗撮するような、性的姿態等撮影罪が成立し得る典型的な例とは異なり、衣服の上からの撮影にとどまる場合は、通常、「性的姿態等」の撮影に該当しないと考えられます。

 本件Aは、陸上競技のユニフォームを着た女子選手の下半身の撮影ということであり、透視機能付きカメラでもなく、大腿部の撮影とユニフォームの上からの臀部の撮影にとどまるものであれば、性的姿態等撮影罪が成立する可能性は低いと考えられます。

 なお、性的姿態等撮影罪には未遂犯の処罰規定があるため、「性的姿態等」を撮影しようとしていたと認められる場合は、未遂犯として処罰される可能性があります(同法2条2項)。

次回の後編では、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)について、解説します。

盗撮行為を罪に問われた場合の刑事弁護

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)の法定刑は、常習でない場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですが、性的姿態等撮影罪の法定刑は、未遂犯を含めて、3年以下の拘禁刑(施行までは懲役刑)又は300万円以下の罰金と、大きな開きがあります。

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)で逮捕された場合、初犯であり、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高かったのですが、厳罰化された性的姿態等撮影罪においては、同様に不起訴処分を獲得できるとは必ずしも限らない可能性があります。

 盗撮行為に関する処罰規定は大幅に改正されたばかりということもあるため、盗撮行為を罪に問われた場合、今後どのような手続で事件が進み、どの程度の刑罰が科される可能性があるのか、刑事事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、新法制定前の福岡県迷惑防止条例違反事件において、身体拘束からの解放示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。

 盗撮行為を行ったとして、ご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】覚醒剤使用事件における別件逮捕の違法性(後編)

2023-10-14

 前回に引き続き、軽犯罪法違反(凶器携帯)の容疑で逮捕中に行われた強制採尿により、覚醒剤取締法違反(使用)の容疑で逮捕された架空の事件を参考に、覚醒剤使用事件における別件逮捕の違法性とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡市在住の自営業男性A(32歳)が深夜、同市中央区中洲の路地に佇んでいたところ、巡回中の福岡県中央警察署の警察官Pに気づき慌てた様子で立ち去ろうとしました
 PはAを呼び止め、Aの様子から覚醒剤使用の疑いがあると考え、職務質問を行ったところ、Aは氏名や住所を明らかにしませんでした。
 また、PはAの承諾を得て所持品を検査したところ、覚醒剤などの薬物は発見できませんでしたが、ポケットに刃渡り5.5センチメートルのカッターナイフを所持していたことから、軽犯罪法違反(凶器携帯)の容疑でAを現行犯逮捕しました。
 警察署で取調べを行ったPは、Aに任意での尿検査を提案しましたが応じなかったため、令状により強制採尿したところ、覚醒剤の陽性反応が出たことにより、Aは覚醒剤取締法違反(使用)の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

前回の前編では、軽犯罪法違反での逮捕について解説しました。

別件逮捕の違法性について

 別件逮捕とは、警察等の捜査機関が本来目的としている事件(「本件」)の取調べなどを行うことを狙いとして、逮捕の要件を充たす、別の軽微な事件(「別件」)で被疑者を逮捕することとされます。
別件逮捕の問題点として、(1)身体拘束に関する令状主義(憲法第33条、刑事訴訟法第199条)を実質的に犯すものであること、(2)厳格な定めのある身体拘束期間(刑事訴訟法第203条以下)を潜脱するものであること、が指摘されます。

 (1)について、逮捕による身体拘束は被疑者の人権の重大な制約であることとの均衡から、逮捕の要件を充たすかは、被疑事実ごとに裁判官の逮捕状発付の手続き(司法審査)を受けなければならないにも関わらず、別件逮捕によれば、本件について全く司法審査を経ることなく、実質的に本件による逮捕を行うことができるという問題があります。

 (2)について、再逮捕・再勾留による例外を除き、1つの被疑事実における逮捕・勾留による身体拘束期間は、最長23日間と厳格に定められているにもかかわらず、別件逮捕によれば、実質本件のために、最長46日間の身体拘束を行うことができるという問題があります。

 よって、本件取調べ目的での別件逮捕は違法と解すべきですが、本件取調べ目的の有無は、捜査機関の主観の問題であるため、(ア)別件での逮捕の必要性の程度、(イ)本件と別件との関連性(被害者、犯行日、犯行態様、法定刑の軽重等)、(ウ)逮捕後の取調状況(取調べ時間の比率等)、(エ)本件についての捜査状況、などの客観的資料から事後的に判断することになると考えられます。

覚醒剤使用事件で別件逮捕が行われた場合の弁護活動

 覚醒剤使用が疑われる事件においては、被疑者が任意採尿に応じない場合、裁判官の強制採尿令状を得られるまでの間、被疑者を身体拘束する法的な根拠がないことなどから、被疑者を実質的に拘束する手段として別件逮捕が行われ、別件逮捕の違法性が争われる事例が見受けられます。

 別件逮捕の違法性が認定されたことにより、違法な別件逮捕による身体拘束を利用して得られた証拠の証拠能力が否定された結果、無罪となった裁判例が数多くあります。

 他方で、別件逮捕の違法性を認定しつつも、得られた証拠の証拠能力までは否定せず有罪とされた裁判例もあるため、公判で別件逮捕の違法性を主張することにより無罪を争うことは容易ではありませんが、弁護人が、起訴される前の段階で検察官に対し、別件逮捕の違法性を十分な説得力をもって主張することで、検察官が不起訴処分を選択する可能性を高めることができると考えられます。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、覚醒剤使用などの薬物事件で、不起訴処分を獲得した実績があります。
 ご家族が覚醒剤使用の容疑で逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【事例解説】覚醒剤使用事件における別件逮捕の違法性(前編)

2023-10-11

 軽犯罪法違反(凶器携帯)の容疑で逮捕中に行われた強制採尿により、覚醒剤取締法違反(使用)の容疑で逮捕された架空の事件を参考に、覚醒剤使用事件における別件逮捕の違法性とその弁護活動について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡市在住の自営業男性A(32歳)が深夜、同市中央区中洲の路地に佇んでいたところ、巡回中の福岡県中央警察署の警察官Pに気づき慌てた様子で立ち去ろうとしました
 PはAを呼び止め、Aの様子から覚醒剤使用の疑いがあると考え、職務質問を行ったところ、Aは氏名や住所を明らかにしませんでした。
 また、PはAの承諾を得て所持品を検査したところ、覚醒剤などの薬物は発見できませんでしたが、ポケットに刃渡り5.5センチメートルのカッターナイフを所持していたことから、軽犯罪法違反(凶器携帯)の容疑でAを現行犯逮捕しました。
 警察署で取調べを行ったPは、Aに任意での尿検査を提案しましたが応じなかったため、令状により強制採尿したところ、覚醒剤の陽性反応が出たことにより、Aは覚醒剤取締法違反(使用)の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

軽犯罪法違反での逮捕について

 Aは、正当な理由がなく刃物を隠して携帯していた、として軽犯罪法違反で逮捕されました(同法第1条第2号参照)。
 軽犯罪法違反の法定刑は、拘留又は科料のみ規定されているため、いわゆる「軽微犯罪」として、通常の要件に加えて、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合、に限り現行犯逮捕が認められます(刑事訴訟法第217条)。
 Aは、職務質問に対し氏名や住所を明らかにしなかったため、現行犯逮捕の要件を一応充たしていたものと考えられます。

 軽犯罪法違反での逮捕が、要件を充たすため逮捕時点では違法でないと認められたとしても、取調べにおいて、Aに任意での尿検査を提案し、Aが応じなかったため強制採尿するなど、軽犯罪法違反での逮捕による身体拘束を利用して、覚醒剤取締法違反(使用)での捜査を行っていることから、違法な別件逮捕と言えないでしょうか。

次回の後編では、別件逮捕の違法性について、解説します。

覚醒剤使用事件で別件逮捕が行われた場合の弁護活動

 覚醒剤使用が疑われる事件においては、被疑者が任意採尿に応じない場合、裁判官の強制採尿令状を得られるまでの間、被疑者を身体拘束する法的な根拠がないことなどから、被疑者を実質的に拘束する手段として別件逮捕が行われ、別件逮捕の違法性が争われる事例が見受けられます。

 別件逮捕の違法性が認定されたことにより、違法な別件逮捕による身体拘束を利用して得られた証拠の証拠能力が否定された結果、無罪となった裁判例が数多くあります。

 他方で、別件逮捕の違法性を認定しつつも、得られた証拠の証拠能力までは否定せず有罪とされた裁判例もあるため、公判で別件逮捕の違法性を主張することにより無罪を争うことは容易ではありませんが、弁護人が、起訴される前の段階で検察官に対し、別件逮捕の違法性を十分な説得力をもって主張することで、検察官が不起訴処分を選択する可能性を高めることができると考えられます。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、覚醒剤使用などの薬物事件で、不起訴処分を獲得した実績があります。
 ご家族が覚醒剤使用の容疑で逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【事件解説】偽造の運転免許証で口座を開設 偽造有印公文書行使罪と詐欺罪で逮捕

2023-10-08

 偽造された運転免許証を使用して預金口座を開設したとして、偽造有印公文書行使罪と詐欺罪で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要

 福岡市在住の会社員男性Aが、偽造された他人の運転免許証を使用して、金融機関の預金口座を開設したとして、偽造有印公文書行使詐欺の容疑で逮捕されました。
 福岡県博多警察署の調べによると、Aは、V銀行が提供するスマートフォンの口座開設アプリを使用して、普通預金口座の新規開設を申し込み、偽造された他人名義の運転免許証を、本人確認書類として画像データで送信するなどし、口座開設担当者に対し、申込みが正当なものと誤信させて開設手続きを進めさせ、不正に預金口座を開設したとのことです。
 Aは、偽造有印公文書行使詐欺の容疑を認めています。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)

偽造有印公文書行使罪とは

 偽造された有印の公文書を行使した者は、有印公文書偽造罪と同一の刑(1年以上10年以下の懲役)に処する、と定められています(刑法第158条)。

 偽造有印公文書行使罪における「偽造」とは、作成権限のない者が、他人(公務所・公務員)名義の文書を作成することとされます。なお、文書等の名義人でない者が権限なしに、既に存在している真正な文書の内容を改竄する「変造」と区別されます。

 本件でAが使用した「偽造された運転免許証」が具体的にどういったものか明らかではないですが、行使の目的からすると、他人の運転免許証にAの顔写真を合成して偽造されたものではないかと思われます。

 「公文書」とは、公務所・公務員が、職務に関し所定の形式に従い作成すべき文書とされます。運転免許証は、各都道府県の公安委員会が、その職務に関して発行するものであり、公文書に該当します。
 なお、「有印」とは、公務所・公務員の印章・署名が用いられていることで、運転免許証には各都道府県の公安委員会の印影があるため、有印公文書に該当します。

 「行使」とは、真正な文書として使用(交付・提示・相手方が認識し得る状態に置くなど)すること、とされます。
 本件では、偽造された運転免許証を、口座開設手続きにおける本人確認書類として画像データで送信していることから、偽造有印公文書真正な文書としての使用があったとして、Aに偽造有印公文書行使罪が成立し得ると考えられます。

 また、上記「行使」により、V銀行の口座開設担当者に、偽造された運転免許証の名義人からの正当な申込みと誤信させて開設手続きを進めさせ、預金口座を利用する地位という利益を不法に得たとして、詐欺利得罪(刑法第246条第2項)が別途成立し得ます。

 なお、偽造有印公文書行使罪詐欺利得罪が成立する場合、目的と手段の関係にあたる牽連犯(刑法第54条第1項後段)として、その最も重い刑(1年以上10年以下の懲役)により処断されます。

偽造有印公文書行使事件の刑事弁護

 偽造有印公文書行使罪は罰金刑の定めがないため、起訴されると正式な裁判となります。
 特に、本件のような詐欺の目的としての行使の場合は、一般的に悪質性が高いとされ、重い刑罰が科せられる可能性もあります。

 そのため、弁護活動としては、不起訴処分を得るために、行使の目的、回数、態様、悪質性、再犯防止の可能性などから、不起訴処分が妥当であると主張し、検察官と交渉することが考えられます。 

 また、偽造有印公文書行使罪は、文書に対する公共的信用を保護法益とする犯罪とされますが、実質的に損害が生じた者がいれば、それに対する被害弁償や示談交渉を行うことも弁護活動として必要になると考えられます。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、様々な刑事事件において、不起訴処分や刑の減軽を獲得した実績が多数あります。
 偽造有印公文書行使事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】窃盗罪の余罪取調べと黙秘権の行使

2023-10-05

 窃盗(万引き)の容疑で逮捕され、取調べにおいて余罪を追及された架空の事件を参考に、余罪取調べにおける黙秘権の行使について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 令和5年8月12日、福岡市在住の男子大学生A(22歳)は、コンビニで万引きしたところを店員に通報され、窃盗の容疑で逮捕されました。
 Aは、それ以前に他のコンビニで複数回万引きをしたことがありますが、発覚して通報されたのは今回が初めてであり、取調べにおいて、余罪として過去に行った万引き(窃盗)の有無も聴取されましたが、曖昧な返答に終始しました。
 翌日、Aは身元引受人となる保護者と同居していることもあり、検察官に送致されず釈放され、次回取調べ予定を告げられました。
 Aは、次回取調べ時に、余罪を正直に申告した方が良いか悩んでおり、刑事事件に強い弁護士に相談しました。
(事例はフィクションです。)

余罪とは

 余罪とは、ある犯罪事実が捜査や起訴の対象となっている場合に、まだ捜査や起訴の対象となっていない別の犯罪事実のことです。
 本件では、捜査の対象は、令和5年8月12日の窃盗ですが、それ以前(以後)にAが行った窃盗やその他の犯罪が余罪となります。

 特に、窃盗は、生活困窮という動機によるものや、窃盗症(クレプトマニア)などの精神疾患によるものなど、繰り返し行われることが多い犯罪のため、取調べにおいて余罪を厳しく追及されることがあります。

余罪取調べと黙秘権の行使について

 余罪取調べは、少なくとも任意で行われる限りは違法でないと解されますが、厳しい追及により余罪の申告を強要されるおそれがないとも言えないため、刑事訴訟法で保障される黙秘権の規定に留意する必要があります。

 「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」との憲法第38条第1項を受けて、取調べにおける被疑者の黙秘権の行使を保障するために、「被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨」の権利告知が規定されています(刑事訴訟法198条第2項)。

 よって、取調べに対し余罪の申告を行わないことは、被疑者の法的な権利として保障されています。

余罪取調べにおける黙秘権行使についての刑事弁護

 黙秘権の行使が被疑者の権利として保障されるとはいえ、余罪を追及された際に、正直に余罪を申告した方が良いかどうかは、個々の場合によるため一概には言えません。

 黙秘権の行使により不利益な取り扱いを行うことは本来許されないものですが、事実上、取調べが厳しくなることや、逮捕・勾留による身体拘束からの解放の判断に不利な影を及ぼすおそれがあります。
 また、防犯カメラ映像など、明らかな物的証拠があることが考えられる場合には、黙秘権を行使してもあまり意味をなさず、却って、後に発覚した場合に不利な情状となるおそれもあります。

 このように黙秘権行使による事実上の不利益がある一方、黙秘することで結局、捜査機関が犯罪を証明できるだけの証拠が得られず不起訴処分になる可能性もあります。

 余罪についての黙秘権の行使の判断は非常に難しい問題であること、捜査機関の厳しい追及や誘導に対して黙秘権を行使を貫くのは困難を伴う場合もあることから、被疑者本人が自分で対応を決めるのは避け、刑事事件に強い弁護士に相談した上で対応することをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、窃盗罪をはじめとする様々な刑事事件において、取調べ対応の豊富な実績があります。
 自身やご家族が窃盗罪で警察の取調べを受け、余罪の申告のことでお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【事件解説】プログラムの社外持ち出しが会社に発覚 事件化阻止のための弁護活動

2023-10-02

 

 プログラムの不正な社外持ち出しが会社に発覚し、刑事告訴される可能性のある事件を参考に、背任罪の成立や事件化阻止のための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡市在住のA(45歳)は、コンピュータの販売やソフトウェアの開発・販売等を行っているV社の従業員として、V社の提供する顧客管理プログラムをV社との契約に基づき導入した店舗に対する、プログラムの導入・維持管理を担当し、プログラムが入ったUSBメモリを管理していました。
 Aは、私的にV社のプログラムを使用しようと企て、V社の取引先の店舗の担当者Bと共謀し、Bの管理するコンピュータにV社のプログラムを不正に導入しました。
 後日V社にそのことが発覚してしまい、AはV社から、損害賠償請求や刑事告訴の可能性を告げられています。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)

背任罪とは

 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する、と定められています(刑法第247条)。

 「他人のためにその事務を処理する」とは、他人からの信任・委託に基づいてその事務を処理することとされ、会社の従業員は、背任罪の典型的な主体になるといえます。

 「その任務に背く行為」「任務違背行為」といいます。)とは、事務処理者としてなすべきと法的に期待される行為に反する行為とされ、信任・委託されている事務の内容、事務処理者としての地位・権限などから判断されます。

 本件Aは、V社の従業員として、V社のプログラムの導入・維持管理を担当し、そのプログラムが入ったUSBメモリの管理を任されていたことから、V社から、そのUSBメモリを適切に管理することを法的に期待されていたといえます。
 それにもかかわらず、Aは、V社のプログラムを私的に使用しようと企て、取引先のコンピュータにそのプログラムを不正に導入しているため、Aは任務違背行為を行ったものと考えられます。

 なお、「財産上の損害」とは、本人の財産の価値が減少した場合に限らず、増加すべき価値が増加しなかった場合も含むとされるため、本件でAが不正に導入したV社のプログラムの導入代金相当額も、「財産上の損害」に含まれると考えられます。

 よって、Aは、自己の利益を図る目的で、V社の従業員(プログラムの導入・維持管理担当者)として任務に背く行為をし、V社に財産上の損額を加えたとして、背任罪が成立し得ると考えられます。

任務違背行為の責任を会社に問われた場合の弁護活動

 会社の従業員が行った任務違背行為は、まず会社内部での通報や調査等で発覚することが多く、警察が介入する前に、会社から責任を追及される場合が多いと考えられます。
 そのため、背任罪に該当し得る行為を犯した場合でも、早い段階で、会社との間で、被害弁償の交渉を行い、被害届提出や刑事告訴をしない内容を含む示談を締結することができれば、刑事事件化を阻止できる可能性があります。
 また、本件のような、会社の財産の外部への持ち出しといった任務違背行為の場合は、背任罪より法定刑の重い業務上横領罪(刑法第253条)が成立する可能性もありますが、その判断は難しいため、自らの犯した行為が何罪に該当し得るのか、今後の事件の見通しや、事件化阻止のために行うべき対応について、刑事事件に強く、示談交渉の経験豊富な弁護士に早い段階で相談することをお勧めします。

 なお、仮に刑事事件化した場合でも、そうした示談締結の事実は、起訴・不起訴の判断や起訴された場合の量刑判断において、有利な事情になると考えられます。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、背任罪などの財産事件において、被害者との示談締結により事件化を阻止した実績が多数あります。
 自身やご家族が背任罪に該当する可能性がある行為を行い、ご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

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