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【事例解説】不同意性交等罪で逮捕された場合の前科回避ための弁護活動(顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース)
【事例解説】不同意性交等罪で逮捕された場合の前科回避ための弁護活動(顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース)
今回は、顔見知りの女子中学生とみだらな行為をして逮捕されたというニュース記事を参考にして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース
去年12月、福岡県粕屋郡にある駐車場で顔見知りの女子中学生Vさんとみだらな行為をしたとして、会社員のAさんが不同意性交の疑いで逮捕されました。
不同意性交の疑いで逮捕されたのは、福岡県春日市の会社員Aさんです。
Aさんは、福岡県粕屋郡にある駐車場でVさんが16歳未満であることを知りながら、みだらな行為をした疑いが持たれています。
警察によりますと、Aさんは、Vさんの親族と知り合いで、Vさんとも顔見知りだったということです。
Vさんが通院先の看護師に被害を相談し、看護師から連絡を受けたVさんの母親が警察に被害を届け出たことで事件が発覚しました。
取り調べに対し、Aさんは、「被害者と性行為したことは間違いありません」と容疑を認めているということです。
(rkb 4/2(火)13:37配信の記事を参考にして、内容や地名を一部変更し引用しています。)
1,不同意性交等罪について(刑法177条)
1項
前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2項
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3項
16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
※前条(刑法176条)第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由
①暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
②心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
⑥予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

不同意性交等罪は、①~⑧までの行為や原因により、被害者が同意をしない意思を(1)形成し(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることに乗じて、性交等をした場合に成立します。
(1)は被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性交等をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性交等をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)は被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)は被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4)
「性交等」には、性交、肛門性交、口腔性交の他に、膣や肛門に、陰茎以外の身体の一部または物を挿入する行為も含まれます。
そのため、無理やり相手の陰部に手で触れた場合には不同意わいせつ罪(刑法176条)の成立が検討されることになりますが、指を陰部に挿入した場合には不同意性交等罪が成立することになります。
また、「わいせつなもの」とは、いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ普通人の正常な羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものを言います。
当該行為がわいせつなものではないと誤信させ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした場合にも成立します。(2項)
被害者が16歳未満の者である場合に、その者に対して性交等をすれば不同意性交等罪が成立します。
ただし、被害者が13歳以上16歳未満の者で、加害者が20歳未満の場合、加害者が被害者よりも5歳以上年長である場合に、性交等をすれば不同意性交等罪が成立します。
被害者が13歳~15歳の場合、加害者が18歳~20歳だと問題になります。
例えば、18歳のXさんが、15歳のYさんに対して性交等を行った場合、Yさんは16歳未満ですが、年齢差が5歳未満であるため処罰の対象外となります。
2,前科を避けるための弁護活動
不同意性交等罪は被害者が存在する犯罪です。
そのため、被害者側との間で示談交渉を進め、被害者側に対して謝罪や被害に対する弁償等を行い、示談の成立を目指します。
示談は当事者同士でもすることはできますが、通常は拗れて上手くいかないことが多いです。
また、特に性犯罪の場合は、捜査機関は加害者に対して被害者の連絡先を教えることは非常に少なく、被害者側も加害者からの連絡を受けてくれる可能性も極めて低いです。
しかし、弁護士が間に入ることで、被害者の方に丁寧な説明を行うことができ被害者の方も安心して交渉を行うことができ、示談成立の可能性が高まります。
示談といっても加害者側だけに都合のいい内容での示談は期待できません。
被害者側の意向や意見をくみ取りつつ、宥恕条項(被害者の謝罪等を受け、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や、刑事告訴の取消や被害届の取下げなどの約定を加えたかたちでの示談を成立させることが必要不可欠であると言えます。
これらの示談交渉は、法律についてあまり詳しいとは言えない一般の方が行うことは難しいため、法律の専門家である弁護士に依頼することがオススメです。
不同意性交等罪で逮捕・勾留により身柄を拘束されていても、示談が成立していれば、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれはないと判断され、早期の身柄解放が期待できます。
被疑者が逮捕されてから起訴されるまで最大でも23日間しかありません。
その間に示談を成立させることができれば、公訴を提起されずに済むことが期待できます。
公訴を提起されてしまえば、例えば勤め先を解雇されるとか、結婚している場合には離婚など社会生活を送るうえで大きな障害となることが予想されます。
そのため、不同意性交等罪で逮捕されてしまった場合には、少しでも早く弁護士の力をかりることが重要と言えます。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県粕屋町において不同意性交等罪の当事者となってしまった方、またはご家族等が不同意性交等罪で身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部ぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っており、刑事事件・少年事件に対する様々な経験や高い実績があります。
不同意性交等罪で在宅捜査を受けている方や刑事告訴されるおそれのある方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が不同意性交等罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
【事例解説】強盗罪と早期の身柄解放や不起訴処分獲得に向けた弁護活動(タクシーの運転手を殴り運賃を踏み倒したケース)
【事例解説】強盗罪と早期の身柄解放や不起訴処分獲得に向けた弁護活動(タクシーの運転手を殴り運賃を踏み倒したケース)
今回は、酩酊した状態でタクシーに乗り、運賃の支払いを求められた際に運転手を殴り運賃を踏み倒したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:タクシーの運転手を殴り運賃を踏み倒したケース
タクシーの運転手Vさんを殴り、料金を踏み倒したとして、Aさんが現行犯逮捕されました。
福岡市東区在住のAさんは、福岡市東区の路上で、乗っていたタクシーの運転手Vさんの顔など複数回殴ったうえ、料金6000円を踏み倒したとして強盗の現行犯で逮捕されました。
Aさんは、料金をQRコード決済で支払おうとしたが、決済されなかったことに腹を立て、「なんや、俺が払うとや」などと言って車を降り、引き止めてきたVさんを殴ったという。
Aさんは当時、酩酊(めいてい)状態で「わたしがやったことに間違いない」と容疑を認めているという。

(事例はすべてフィクションです。)
1,強盗罪について
〈強盗罪〉(刑法236条)
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
強盗罪は、①暴行または脅迫を用いて②他人の財物(1項)または財産上の利益(2項)を③強取した場合に成立します。
刑法には同じ条文に2つの強盗が定義されており、それぞれ1項強盗、2項強盗とも呼ばれています。
①暴行または脅迫とは、それぞれ暴行罪や脅迫罪における行為と同じであり、「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を言い、殴る・蹴るなどがこれに該当します。
「脅迫」とは、一般人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言い、「ぶっ殺すぞ」などと怒鳴り散らす行為などがこれに該当します。
②「財物」とは、所有権の対象になり得る物であれば保護の対象にとなりますが、経済的にも主観的にも価値が認められないものは保護の対象となりません。
財産上の利益(2項)とは、財物以外の財産的な利益を言い、債権を得ることや、本事例のように料金の支払いを免れること(債務の免除・消滅)がこれに該当します。
財産上「不法の」利益を得るとは、財産上の利益それ自体が違法な物を意味するのではなく、財産上の利益を得る手段が違法(=不法)であることを言います。
本事例では、AさんはVさんの顔などを殴りタクシー運賃の支払いを免れているため、Aさんは「財産上不法の利益を得」たと言えます。
③「強取」とは、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行または脅迫を手段として財物または財産上の利益を奪取することを言います。
したがって、財物または財産上の利益を得るために用いられる暴行または脅迫は、相手方の反抗を抑圧させる程度である必要があり、相手方の反抗を抑圧するに足りない程度の暴行・脅迫を用いて、相手方に財物または財産上の利益を自己に交付させた場合には、恐喝罪(刑法249条)の成否が検討されることになります。
2,早期の身柄解放や不起訴処分獲得など前科の回避に向けた弁護活動
強盗罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間身柄を拘束され、その間に捜査機関による取調べを受けることになります。
被疑者段階における勾留が認められるのは、被疑者が定まった住居を有していない場合、被疑者に証拠隠滅のおそれまたは逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文、60条1項各号)
そのため、早期の身柄解放に向けた弁護活動としては、これらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集し、裁判所に対して準抗告(刑事訴訟法429条1項2号)や勾留取消請求(刑事訴訟法87条1項)といった不服申し立てを行います。
準抗告とは、被疑者にそもそも勾留を認める理由が無いことを裁判所に申し立てることを言います。
勾留取消請求とは、既に勾留されている被疑者において、後発的な事情の変化により勾留を認める理由がなくなったため、裁判所に決定で勾留を取り消すよう申し立てる手続きです。
上記の事例で言えば、Aさんは犯行を認めているため、Aさんに対し検察官が勾留請求したとしても、Aさんの逃亡のおそれは低いと考えられるため、勾留の必要性はないと主張することが準抗告です。
また、強盗罪は被害者が存在する犯罪でもあるため、被害者との示談に向けた弁護活動も行います。
しかし、強盗罪は被害者の財産的な被害があると同時に被害者の身体的・精神的な被害が問題になる犯罪でもあります。
強盗罪は、財物または財産上の利益の奪取のために被害者の反抗を抑圧するに足りる程度に強い暴行または脅迫が用いられます。
そのため、示談を成立させるには、被害者の方に対する被害弁償や慰謝料の支払い等を行い、被害者に対し反省や謝罪の意を示す必要があります。
当事者同士での示談交渉を行うことは可能ですが、通常は拗れて交渉が上手くいかないことが多いです。
弁護士を間に入れて被害者に対し冷静かつ丁寧な説明を行うことができれば、示談交渉が上手くいくことが期待できます。
示談には、被害者の意向をくみ取りつつも加害者に対する宥恕条項(被害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届の取下げや刑事告訴の取消といった約定を加えることが必要不可欠です。
示談の成否は、被疑者の場合は起訴か不起訴かを左右する重要な要素になることが多いため、前科回避のために示談交渉を法律の専門家である弁護士に依頼することは、数あるメリットの内の1つと言えるでしょう。
しかし、逮捕されてから起訴されるまでの間に被害者とコンタクトをとり示談を成立させなければ、起訴されて前科が付くおそれが高くなるため、逮捕された場合には一刻も早く弁護士に依頼することをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
そのため、様々な刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野における高い実績を誇ります。
福岡県内においてご家族等が強盗罪で逮捕等により身柄を拘束されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、ご家族等が強盗罪で逮捕等により身柄を拘束されてしまった方に対しては、初回接見サービス(有料)をご提供しております。
お気軽にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(商業施設の個室トイレの鍵穴に汚物を塗り付けたケース)
【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(商業施設の個室トイレの鍵穴に汚物を塗り付けたケース)
今回は、福岡市内の商業施設内の個室トイレにおいて、鍵穴に汚物を塗り付けたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:商業施設の個室トイレの鍵穴に汚物を塗り付けたケース
福岡県警察博多警察署は、器物損壊の疑いで福岡市東区在住のAさんを逮捕しました。
Aさんは、福岡市内の商業施設で、トイレの個室ドアの鍵穴に大便などの汚物を塗り付けた疑いが持たれています。
博多警察署によると、これまでに同様の被害が複数回あり、商業施設が被害届を提出していました。
防犯カメラの映像や目撃情報等からAさんの特定に至り、Aさんは容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,器物損壊罪
〈器物損壊罪〉
「前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」(刑法261条)
器物損壊罪は、刑法の前3条に規定するもの(公用文書等毀棄罪、私文書等毀棄罪、建造物等損壊罪及び同致死傷罪)のほか、他人の物を①損壊し、又は②傷害した場合に成立します。
「損壊」とは、財物の効用を害する一切の行為を言います。
判例では、飲食店の食器に放尿した場合(大審院判決明治42年4月16日)や、争議手段としてビラ60枚を会社事務所の窓や扉のガラスに洗濯のりで貼り付けた場合(最高裁判決昭和46年3月23日)などが「損壊」に当たるとしています。
上記の事例でも、商業施設の個室トイレの鍵穴に大便という汚物を塗り付けた行為は、個室トイレの鍵穴部分及びその周辺部分の効用を害したものとして、「損壊」に該当すると考えられます。
もっとも、仮に商業施設の個室トイレのドアが壁や柱などの建造物と取り外しが損壊しなければ取り外すことができないほどに接合されており、当該建造物における機能上も重要な役割を果たしている等の事情があれば、建造物損壊罪(刑法260条)の成立が検討されることになります。
「傷害」については、動物を客体とする場合を指し、動物の効用を害する一切の行為を意味します。
例えば、他人が飼っているペットを殺傷したり、勝手に逃がしたりする場合などがこれに該当します。
2,公訴を提起されないための弁護活動
〈親告罪〉
「第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」(刑法264条)
親告罪とは、被害者の告訴が無ければ公訴を提起することができない犯罪で、被害者の告訴が無い場合は、訴訟条件を欠くものとして検察官は公訴を提起できません。
そのため、器物損壊罪で逮捕されてしまった場合には、被害者に対して、弁護士は加害者の立場として謝罪の弁を述べることや被害弁償を行うことで刑事告訴の取消等の約定を加えたかたちでの示談を成立させることが肝要です。
示談交渉は当事者同士でも行うことはできますが、当事者同士での交渉は、被害者側が感情的になったり、不快な思いをすることもあるため、ほとんどの場合は拗れて上手くいきません。
そこで、弁護士が間に入り、加害者が反省し謝罪の意思を持っていることや、被害に対する弁償を行う準備があることなどを丁寧かつ冷静に説明することで、被害者の方に安心して交渉の場に臨んでいただければ、示談が成立しやすくなる期待が十分に持てます。
また、示談の成立により、被疑者は罪を認めて反省していると考えられ、被疑者による犯罪の証拠隠滅や逃亡のおそれはないと判断され、早期の身柄解放も期待できます。
逮捕されてから起訴されるまでの期間は、最長でも23日間しかなく、その間に宥恕条項(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や刑事告訴の取消といった約定を加えた内容での示談を成立させることが必要不可欠となります。
以上より、器物損壊罪で逮捕されてしまった、あるいは器物損壊罪で在宅で捜査を受けているまたは刑事告訴されるおそれがある場合には、一刻でも早く弁護士によるサポートを受けることをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において器物損壊罪の当事者となった方、あるいはご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、器物損壊罪の当事者で在宅で捜査を受けているまたは刑事告訴されるおそれがある方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
【事例解説】有印私文書偽造罪及び偽造私文書行使罪とその弁護活動(交通違反切符に知人の名前でサインしたケース)
【事例解説】有印私文書偽造罪及び偽造私文書行使罪とその弁護活動(交通違反切符に知人の名前でサインしたケース)
今回は、複数回にわたり交通違反の切符に知人の名前を書いたというニュース記事を参考にして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:交通違反切符に知人の名前でサインしたケース
交通違反の切符に知人の名前を書くなどした疑いで、北九州市在住のAさんが逮捕されていたことが分かりました。
有印私文書偽造などの疑いで逮捕されたのは、北九州市小倉北区在住のAさんです。
警察によりますと、Aさんは、北九州市小倉南区で軽乗用車を運転した際に、運転免許証の不携帯で警察から取り調べを受けたところ、知人男性の名前をかたり、交通違反の切符にその知人男性の名前を書くなどした疑いです。
名前をかたられた知人男性が、運転免許の更新を行った際、身に覚えのない違反があることに気づき事件が発覚したということです。
Aさんは、複数回にわたって軽乗用車を運転した際の運転免許の不携帯や、携帯電話の使用で、警察に違反切符を切られていて、その時にも同じ知人男性の名前をかたるなどしていて、警察はAさんを追送致しています。
警察の調べに対し、Aさんは、「警察官をだましたことは間違いありません」と容疑を認めていて、知人男性の名前をかたった理由について「本当の名前を話すと、熊本県で窃盗をしたことがばれると思った」などと話しているということです。
Aさんは、今回の事件で逮捕された後、熊本県警に窃盗の疑いで逮捕されています。

(TNCテレビ西日本 3/19(火)18:44配信のニュース記事を参考にして、地名や内容を一部変更し引用しています。)
1,有印私文書偽造罪について
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。(刑法159条1項)
有印私文書偽造罪をはじめとする文書偽造の罪(刑法154条以下)は、文書に対する公共の信用を保護法益とします。
文書偽造の罪は、文書を偽造若しくは変造することで文書に対する公共の信頼を侵害する犯罪です。
有印私文書偽造罪は、①行使の目的で②他人の印章若しくは署名を使用して、③権利、義務に関する文書または図画若しくは事実証明に関する文書または図画を④偽造した場合に成立します。
②他人の「印章」とはハンコを指しますが、人の同一性を示すものであれば必ずしも氏名である必要はありません。
「署名」とは、氏名その他を呼称するものを言います。
③権利・義務に関する文書とは、権利・義務の発生、変更、消滅の効果を発生させることを目的とする意思表示を内容とする文書を言います。
借用証書や売買契約書などがこれに当たります。
事実証明に関する文書とは、社会生活に交渉を輸有する事項を内容とする文書を言います。
郵便局への転居届や履歴書がこれに当たります。
④偽造とは、文書の名義人と作成者との人格の同一性を偽って文書を作成することを言います。
名義人とは文書から見て取れる作成者をいい、作成者とは文書作成に関する意思主体、すなわち文書に表示された意思が自己のものとして帰属することを表示した者を言います。
上記の事例で言えば、Aさん交通事件原票の供述欄に知人男性の名前で署名しているところ、交通事件原票の名義人は知人男性ですが、作成者はAさんであるため、Aさんは名義人と作成者との人格の同一性を偽ったと言え「偽造」したと言えます。
そして、偽造行為を①行使の目的で行う必要があります。
2,偽造私文書行使罪について
前2条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。(刑法161条1項)
偽造した文章を行使した場合に成立するところ、「行使」とは、偽造された文書を真正な文書または内容が真実な文書としてこれを他人が認識し得る状態に置くことを言います。
3,その弁護活動について
有印私文書偽造罪及び偽造私文書行使罪で逮捕・勾留された場合、捜査機関による取調べを受けることになります。
被疑者段階における勾留は原則10日間、必要があると判断された場合には10日を超えない範囲でさらに延長されます。(刑事訴訟法208条)
被疑者の勾留が認められるのは、被疑者が住居不定、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文。60条1項各号)
そのため、弁護士はこれらの要件を否定し得る客観的な事情や証拠の収集活動を行うことで早期の身柄解放を目指します。
例えば、被疑者に家族がいる場合、ご家族が身元引受人となり被疑者を監督することを約束してもらうことで、被疑者の裁判所や捜査機関への出頭の機会が確保され被疑者の逃亡のおそれが無いことを主張することなどが挙げられます。
また、有印私文書偽造罪及び偽造私文書行使罪の保護法益である文書に対する公共の信用は、社会や国家の利益に対する犯罪と言われ、被害者がいない犯罪でもあります。
しかし、被疑者が他人の名義を冒用(勝手に使うこと)した場合、被冒用者に対する被害が発生している可能性があります。
上記の事例で言えば、Aさんに氏名を冒用された知人男性には反則金の支払いなど間接的に被害が生じています。
弁護活動としては、文書偽造による被害が軽微である、間接的な被害者に対して被害弁償や謝罪などを行い示談が成立しているとの事情があれば、それらを主張することで起訴猶予による不起訴処分や早期の身柄解放を目指します。
また、もし起訴されてしまったとしても、被告人は罪を認めて反省しているなどの事情を公判で主張することで、減軽や執行猶予付き判決の獲得を目指します。
4,まずは弁護士に相談を
北九州市において有印私文書偽造罪及び偽造私文書行使罪で逮捕されてしまった場合あるいは在宅事件として捜査機関の捜査を受けている場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、有印私文書偽造罪及び偽造私文書行使罪でご家族等が身柄を拘束されてしまっている方に対しては初回接見サービス(有料)を、在宅事件で捜査機関の捜査を受けている方には初回無料でご利用いただける法律相談を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
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【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニ店員に商品の缶コーヒーを投げつけて怪我を負わせたケース)
【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニ店員に商品の缶コーヒーを投げつけて怪我を負わせたケース)
事例:コンビニ店員に商品の缶コーヒーを投げつけて怪我を負わせたケース
福岡市中央区のコンビニエンスストアで女性店員に商品の缶コーヒーを投げつけてけがをさせた疑いで、会社員のAさんが逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、福岡市中央区に住む会社員のAさんです。
警察によりますと、Aさんは福岡市中央区のコンビニで女性店員Vさんに商品の缶コーヒーを投げつけてけがをさせた疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「覚えていない」と話しているということです。
2人に面識はなく、Aさんは当時、1人でコンビニを訪れていたと見られていて、警察が当時の状況などを調べています。事件後、店の関係者から警察に連絡があり、発覚したということです。
(静岡朝日テレビ 3/27(水)10:29配信のニュース記事を参考にして、地名や内容を一部変更し引用しています。)
1,傷害罪について
〈傷害罪〉
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(刑法204条)
「傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することを言います。
殴る・蹴るなどの有形的方法によって行われることが通常ですが、「傷害」の結果を発生させるものであれば無形的な方法によるものであれば傷害罪は成立します。
「傷害」の結果とは、打撲、創傷、擦過傷などのような外傷以外に、めまい、失神、中毒や病気に罹患させることなどです。
また、一時的な精神的な苦痛やストレス状態であれば「傷害」には当たりませんが、継続的に症状が発生する心的外傷後ストレス障害(PTSD)に罹患させることや、睡眠薬で約6時間の意識障害に陥らせることなどは「傷害」に該当します。
無形的方法による「傷害」とは、例えば、無言電話をかけ続けて相手を極度に恐怖させて精神衰弱症に罹らせたことや、嫌がらせ行為により不安及び抑うつ状態に陥れた場合が該当します。

2,早期の身柄解放や不起訴処分獲得に向けた弁護活動
(1)早期の身柄解放に向けた弁護活動
傷害罪で逮捕・勾留されると身柄を拘束され、捜査機関から取調べを受けることになります。
また、勾留による身柄拘束は、原則として10日間、さらに必要があると判断された場合は10日を超えない範囲で延長することができるため(刑事訴訟法208条)、最長で20日間続く可能性があります。
勾留による身柄拘束が認められるのは、被疑者が定まった住居が有しない場合、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文、60項1項各号)
そのため、弁護活動としては、被疑者が定まった住居を有していること、被疑者には証拠隠滅または逃亡のおそれがないことを主張・証明していくことになります。
具体的には、当該事件についての捜査機関の捜査により証拠となり得る物(例えば防犯カメラの映像)は既に押収されているとの事情は、被疑者による証拠隠滅のおそれを否定し得る事情となるので、それを主張していくことになります。
そのような弁護活動を通じて、早期の身柄解放を目指します。
(2)不起訴処分獲得に向けた活動
事件を起訴するか否かは検察官が決めます。(起訴便宜主義。刑事訴訟法248条)
そして、検察官が事件を起訴しないことを不起訴処分と言います。
不起訴処分には、嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予など種類があります。
嫌疑なしとは、捜査を尽くしたけれども被疑者が犯人ではない、あるいは真犯人が捕まった場合などがこれに該当します。
嫌疑不十分とは、嫌疑が無いわけではけれど被疑者が犯人であることを証明し得るだけの証拠が不十分である場合などがこれに該当します。
起訴猶予とは、被疑者が犯人であることも明らかで、それを証明し得るだけの十分な証拠も存在するけれど、検察官が起訴しないと判断した場合がこれに該当します。
起訴猶予処分になる例としては、被疑者が罪を認めて反省しており被害者との間で示談が成立していると言った場合が挙げられます。
上記の他に、公訴を提起するのに被害者の告訴が必要な犯罪(親告罪)において、被害者が告訴を取り下げた場合には、訴訟要件を欠くため不起訴となります。
例えば、名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)は、被害者の告訴が無ければ公訴を提起することができません。(刑法232条)
また、そもそも被疑者の行為が犯罪に当たらない、あるいは被疑者の行為は犯罪に該当するけれど違法性が排除されるといった場合などは不起訴処分となります。
犯罪が成立し刑事罰が科されるのは、行為者の行為が構成要件(例えば、傷害罪の場合は人の身体を傷害したこと)に該当し、その行為の違法性を排除する事情や、有責性を排除する事情が存在しない場合です。
しかし、被疑者の行為に正当防衛が成立する場合には、被疑者の行為の違法性が排除されるため犯罪が成立せず不起訴処分となります。
不起訴処分となれば公訴を提起されないため前科を回避することができ、職場を解雇されるなどの社会生活を送る上での影響を最小限に食い止めることが期待できます。
刑事弁護はスピードが大事です。
そのため、逮捕・勾留により身柄を拘束されてしまった場合には少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内で傷害罪で逮捕・勾留されて身柄を拘束されている、または在宅で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護の経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士が在籍しております。
傷害罪でご家族等が身柄を拘束されている方には初回接見サービス(有料)を、傷害罪で捜査機関から在宅で捜査を受けている方には初回無料でご利用いただける法律相談を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

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刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
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【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(被害者を殴るなどして現金を脅し取ろうとしたケース)
【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(被害者を殴るなどして現金を脅し取ろうとしたケース)
今回は、Aさんらが2人で共謀してVさんを殴り現金を脅し取ろうとしたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:被害者を殴り現金を脅し取ろうとしたケース
福岡県警春日警察署は、恐喝未遂の疑いでいずれも春日市在住のAさんら2人を逮捕した。2人の逮捕容疑は共謀し、春日市内の団体職員の20代男性Vさんを殴るなどして現金を脅し取ろうとした疑い。
捜査に支障があるとして認否を明らかにしていない。
(事例はフィクションです。)

1,恐喝罪について
〈恐喝罪〉(刑法249条)
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
刑法の恐喝罪は、人を恐喝して財物(1項)または財産上の利益(2項)を交付させた場合に成立します。
「恐喝」とは、財物の交付や財産上の利益の移転に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、その人の反抗を抑圧させるに至らない程度の行為を言います。
もし暴行または脅迫を加えた相手方の反抗を抑圧するに足りる程に強度であった場合には、恐喝罪ではなく強盗罪(刑法236条)の成立が検討されることになります。
「財物」とは、所有権の対象となり得る物であれば広く保護の対象となります。
しかし、メモ紙1枚など経済的にも主観的にも価値が認められない場合には、「財物」として保護されません。
もっとも、「財物」として保護の対象とならないとしても、「財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ」た場合には、強要罪(刑法223条1項)に該当する可能性があります。
「財産上の利益」とは、財物以外の財産上の利益を言い、債務を免除させる場合やサービス・労務を提供させる場合などが、これに該当します。
「財産上不法の利益を得」るとは、財産上の利益の取得が暴行または脅迫を用いるなど違法な手段によって行われることを言います。
そのため、財産上の利益が違法なものであったとしても、それを暴行や脅迫など違法な手段で取得すれば、それは「財産上不法の利益を得」たことになります。
そして、恐喝罪は詐欺罪と同様、恐喝行為→相手方の畏怖→畏怖に基づく交付(処分)行為→財物または財産上不法の利益の移転という一連の流れがそれぞれ原因と結果の関係を有している必要があります。
2,恐喝罪で逮捕された場合の弁護活動
恐喝罪で逮捕・勾留されると身柄を拘束され捜査機関からの取調べを受けることになります。
被疑者が犯罪の事実を否定しているまたはその認否が明らかでない場合などは、取調べに対してどのように臨むかはとても重要な問題となります。
取調べで話した内容は供述調書となり、その後の裁判で重要な証拠となります。
少しでも事実と異なる場合や話したくないことがあると言った場合でも、被疑者が法律に関する知識が不十分であることが多く、自分では判断ができないことがあります。
また、話したくないからと言ってやみくもに黙秘権を行使すれば、捜査機関側からは何か隠しているのではないか、証拠を隠滅しようとしているのではないか等あまり良くない印象を持たれるおそれや、身柄拘束が長くなるおそれなどが懸念されます。
しかし、弁護士であれば、取調べに対しどのように臨めば良いかや適切な黙秘権の行使方法といった法律の専門家として適切かつ丁寧なアドバイスをすることができます。
また、恐喝罪は被害者が存在する犯罪でもあります。
かりに、被疑者が罪を認めている等の事情があれば、被害者に対する謝罪や弁償等を行うことで示談交渉を進めることができます。
示談交渉はただ被害の弁償や謝罪を行えばいいという訳ではなく、被害者側の意向をくみ取りながら宥恕条項(被害者を許し、刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届や刑事告訴をしている場合には被害届の取下げや刑事告訴の取消しといった約定を加えた示談を成立させる必要があります。
示談交渉は当事者同士でも行うことができますが、当事者同士での交渉は拗れることが多く、また、捜査機関側からは加害者が被害者に対し口封じ等証拠の隠滅を図っているのではないかなどと思われることもあります。
被害者側としても加害者と直接コンタクトをとることは避けるのが通常と言えますが、弁護士が間に入れば、被害者に対して丁寧な説明をすることができ、示談が成立する可能性が高くなると言えるでしょう。
3,まずは弁護士に相談を
春日市において恐喝罪の当事者となり捜査を受けている方またはこれから捜査を受ける恐れのある方、あるいはご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護に特化した弁護士が在籍しており、恐喝罪の当事者で身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

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【事例解説】詐欺罪とその弁護活動(新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったケースとその弁護活動)
【事例解説】詐欺罪とその弁護活動(新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったケースとその弁護活動)
今回は、国が支給する新型コロナウイルス対策の持続化給付金の受給資格があるかのように装って申請サイトから申請し、自身の口座に100万円の入金を受けだまし取ったというニュース記事を参考にして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例 :新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったケースとその弁護活動
山口県警山口署は2023年11月20日、福岡市南区、建設作業員のAさんを詐欺の疑いで逮捕した。
逮捕容疑は、国の新型コロナウイルス対策の持続化給付金の受給資格があるかのように装い、2020年7月3日にサイトから申請し、同10日にAさん自身の口座に100万円の入金を受け、だまし取った疑い。
(中國新聞 2023/11/20の記事を一部変更し引用しています。)
1,詐欺罪について
〈詐欺罪〉(刑法246条)
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪は、人を欺いて財物(1項)あるいは財産上の利益(2項)を交付させた場合に成立します。
「人を欺」く行為(欺罔行為)とは、欺罔行為の相手方を錯誤に陥らせる行為、すなわち相手方が財物や財産上の利益を交付(処分)しようと判断する際の、その判断の重要な事項を偽ることを言います。
上記の事例で言えば、Aさんは持続化給付金の受給資格が無いにもかかわらず、それがあるかのように装うことで、給付者たる国の機関はAさんに受給資格があると判断して100万円をAさんの口座に振り込んでいるため、国の機関の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽っているため、Aさんの受給資格があるかのように装い給付金の申請を行うことは「人を欺」く行為に該当すると考えられます。
「財物」とは、所有権の対象となり得る物であれば広く保護されますが、経済的にも主観的にも全く無価値な物は保護されません。
過去の裁判例では、メモ紙1枚(大阪高等裁判所判決昭和43年3月4日)やちり紙13枚(東京高等裁判所判決昭和45年4月6日)などが財物性を否定されています。
財産上の利益(2項)とは、財物以外の財産上の利益を言い、例えば、飲食店で飲食した代金の支払いなどの債務を免れる場合や、サービス・労務などを提供させる場合などがこれに該当します。
また、「財産上不法の利益を得」たとは、財産上の利益の取得手段が不法=違法なことを言うのであって、財産上の利益が違法なものであることではありません。
詐欺罪は、欺罔行為→相手方の錯誤→錯誤に基づく交付(処分)行為→財物または財産上の利益の移転がそれぞれ原因と結果の関係になければなりません。
欺罔行為を行ったが、その相手方が錯誤に陥らず別の理由(例えば、欺罔行為者にお金がないことを知っていて憐みからお金を渡したなど)で交付(処分)行為を行った場合は、詐欺罪は既遂とはならず未遂にとどまることになります。
そして 、詐欺罪は他人の財産を侵害する犯罪であるため、条文上の記載はありませんが成立には財産的損害の発生が必要とされています。
財産的損害が発生したか否かは経済的に評価して損害が発生したかどうかを実質的に見て判断されることになります。
過去の裁判例では、価格相当の商品を提供したとしても、事実を知ればお金を払わないといえるような場合において、商品の性能等につき真実に反する誇大な事実を告知して相手方を誤信させてお金を受け取った場合には、相手方に対する詐欺罪が成立するとしたものがあります。(最高裁判決昭和34年9月28日)
2,詐欺罪とその弁護活動
詐欺罪で逮捕・勾留された場合、身柄を拘束されて警察と検察の取調べを受けることになります。
ここで、被疑者が犯罪事実について否認している、あるいは取調べにおいて話したくないことがある、といった事情がある場合、どのように取調べに臨めばよいのかを知ることはとても重要と言えます。
被疑者段階における勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。(刑事訴訟法207条1項本文、60条1項各号)
しかし、被疑者が犯罪事実を否認している場合、捜査機関としては、被疑者の身柄を解放してしまえば証拠を隠滅するのではないか、または逃亡を図るのではないかという推測が働くことで、勾留請求がなされてしまい、身柄拘束が長引いてしまう可能性が高くなることもあります。
また、捜査機関の取調べ中の質問に対し、被疑者がやみくもに黙秘権を行使すれば、捜査機関側にあまり良い印象を抱かれません 。
それにより取調官が厳しい言動で問い詰めるような取調べが行われるおそれや、このまま帰したら被疑者が証拠を隠滅するのではないか、または逃亡するのではないかと判断され勾留されてしまうおそれがある、といった不利益を被る可能性があります。
そこで、弁護士に依頼するメリットとして、取調べの対応について適切かつ丁寧なアドバイスを受けることができることが挙げられます。
例えば、どのような質問には黙秘すれば良いのか等適切な黙秘権の行使方法についての説明や、身柄を拘束されている事件の場合は頻繁に接見に向かい取調べ状況を逐一確認し、違法あるいは不適切な取調べを受けたという事情があれば、弁護士はしかるべき相手への抗議を行うことができるなど、その内容は多岐にわたります。
また、詐欺罪は被害者が存在する犯罪です。
そのため、被疑者が罪を認めて反省している等の事情がある場合には、弁護士は被疑者に代わって被害者との示談交渉を行います。
示談といっても加害者側だけに有利な内容での示談の成立は難しく、被害者側の意向をくみ取りつつ宥恕条項(加害者の謝罪を受け入れ、加害者の刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届の取下げや刑事告訴の取消などの条項を加えた内容での示談成立に向けた交渉が必要となります。
示談交渉は当事者同士でも行うことはできますが、当事者同士での示談交渉は、通常、拗れて上手くいかないことが多いです。
加えて、加害者側が被害者側に示談交渉を持ち掛ければ、捜査機関側は、加害者側が被害者側に不正に働きかけて証拠の隠滅を図ろうとしているのではないかなどと思われることもあり得ます。
そのため、示談交渉は法律の専門家である弁護士に依頼することがよりスムーズな示談の成立のために必要と言えるでしょう。
3,まずは弁護士に相談を
山口県内において詐欺罪の当事者となってしまった方またはご家族等が詐欺罪の当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、詐欺罪の当事者となり在宅で捜査を受けている方または被害者の方に被害届や刑事告訴をされてこれから捜査を受けるおそれのある方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
また、ご家族等が詐欺罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
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【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(知人名義でホテルに虚偽の宿泊予約をして業務を妨害したケース)
【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(知人名義でホテルに虚偽の宿泊予約をして業務を妨害したケース)
今回は、宿泊施設のホームページから知人の男性名義で虚偽の宿泊予約をして宿泊施設の業務を妨害したというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:知人名義でホテルに虚偽の宿泊予約をして業務を妨害したケース
知人名義で勝手にホテルを予約したりピザの配達を注文したりしたとして、福岡県は県職員(公務員)Aさんを停職2カ月の懲戒処分にしました。
福岡県などによりますと、Aさんは去年3月、佐賀県と群馬県にある宿泊施設のホームページから知人の男性名義で虚偽の宿泊予約をしたとして、去年8月、佐賀県警に偽計業務妨害容疑などで逮捕されました。
Aさんはその後、不起訴処分となりましたが、福岡県の聞き取りに事実関係を認めていました。
Aさんはほかにも、同じ知人男性の自宅に2万円分のピザの配達を勝手に注文する迷惑行為も行っていました。
Aさんは「知人男性に恨みがあった」と話しているということです。
(KBC 3/18(月) 21:15配信の記事を一部変更し引用しています。)
1,偽計業務妨害罪について
〈偽計業務妨害罪〉
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(刑法233条後段)
偽計業務妨害罪は、①虚偽の風説を流布して、または②偽計を用いて③人の④業務を⑤妨害した場合に成立します。
①「虚偽の風説を流布し」とは、客観的な真実に反するうわさや情報を不特定または多数の人に言いふらすこと(伝播させる)ことを言います。
例えば、実際にはそのような事実は無いのに、「あのスーパーで買ったレトルトパウチ食品にゴキブリが入っていた」などと言った虚偽の事実を不特定または多数の人に言いふらし、そのようなうわさや評判を広めさせるような行為を言います。
②「偽計」とは、人を欺罔し、または人の錯誤や不知を利用する行為を言います。
例えば、弁当の代金を支払う意思はなく弁当屋を困らせる目的で、弁当100個を注文する電話で注文し、架空の住所まで配達させた場合や、上記の事例のように、宿泊代金を支払うつもりがないのにホテルに宿泊予約をする行為などが「偽計」に当たります。
③「人」とは、自然人のみならず法人その他の団体も含まれます。
そのため、お店や団体に対しても偽計業務妨害罪は成立します。
④「業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して従事する事務のこと言います。
職業として継続して行われる社会生活上の活動であれば広く保護されますが、娯楽目的での自動車の運転や趣味として行うスポーツなどの個人的な活動は保護の対象とはなりません。
⑤「妨害した」について、判例は、業務妨害罪は業務の平穏かつ円滑な遂行そのものを保護の対象としていることから、現実に業務遂行が妨害される必要はなく、業務を妨害するおそれのある行為が行われれば足りるとしています。(最高裁判決昭和28年1月30日)
上記の事例で言えば、宿泊予約をすることにより、ホテル側には予約者に対する客室の準備や提供などの業務が発生します。
しかし、宿泊予約が虚偽であればそれらの業務は不要であり、また、他の利用客にその客室を提供するという本来できたであろう業務ができなくなったと言えます。
そのため、ホテル側の客室の準備や他の利用客への客室の提供などの業務を妨害したと言え、Aさんに偽計業務妨害罪が成立したと考えられます。
2,偽計業務妨害罪で逮捕された場合の弁護活動

偽計業務妨害罪で逮捕・勾留などに身柄を拘束された場合の弁護活動としては、早期の身柄解放に向けた活動や不起訴処分の獲得するための活動を行うことが考えられます。
勾留による被疑者の身柄拘束が認められるのは、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれが認められるからです。(刑事訴訟法207条1項本文、60条1項各号)
そのため、それらのおそれを否定し得る客観的な事情や証拠の収集活動を行います。
例えば、犯罪に使用したスマホやパソコンなどの電子端末は既に捜査機関に押収されていれば、被疑者によるそれらの処分は不可能であるため被疑者の証拠隠滅のおそれを否定する客観的な事情となります。
また、被疑者の家族や親族が身元引受人となって被疑者を監督することにより、被疑者の裁判所や捜査機関への出頭の機会を確保することができれば、逃亡のおそれを否定する事情になり得ます。
その他の活動としては、被害者との示談交渉が挙げられます。
加害者が被害者に対して加えた損害や被害を弁償することで、示談の成立を目指します。
ただし、示談と言っても、加害者にとって一方的に都合のいい内容での示談の成立は難しいため、被害者の意向を加味しながら、宥恕条項(加害者を許し、刑事処罰を望まないことを内容とするもの)や被害届の取り下げや刑事告訴取消などの約定を加えた内容で示談を成立させることが必要不可欠です。
当事者同士で示談交渉を行うことはできますが、当事者同士での交渉は上手くいかないことが通常です。
しかし、弁護士が間に入れば、被害者の方に冷静かつ丁寧な説明をすることができるため、示談交渉が上手くいく可能性が高まります。
また、示談が成立していれば、早期の身柄解放や起訴猶予による不起訴処分の獲得も期待できます。
そのため、偽計業務妨害罪で逮捕・勾留されてしまった、または在宅で捜査を受けている場合には、少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において偽計業務妨害罪の当事者となってしまった方、またはご家族等が当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護に関する経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、偽計業務妨害罪の当事者となり在宅で捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
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【事例解説】脅迫罪とその弁護活動(入院中に看護師に対して自身が暴力団である旨を告げて脅迫したケース)
【事例解説】脅迫罪とその弁護活動(入院中に看護師に対して自身が暴力団である旨を告げて脅迫したケース)
今回は、入院中に看護師に対して「俺はやくざだ」などと告げて脅迫したというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:入院中に看護師に対して自身が暴力団である旨を告げて脅迫したケース
福岡県警察中央警察署は23日、暴力団の構成員Aさんを脅迫の疑いで逮捕しました。
Aさんは21日午後7時ごろから約20分の間、福岡市内の病院において女性看護師Vさんに「めんどくせえから殺してやるぞ」「俺やくざなんだから」などと脅迫した疑いが持たれています。
警察によりますと、当時Aさんは福岡市内の病院に入院中だったということです。
22日に別の病院職員から警察に「入院していた患者が看護師を脅した」と通報があり、事件が発覚しました。
調べに対し、Aさんは「一切そういう言葉は使っていません」と容疑を否認していて警察は動機や当時の状況などを詳しく調べています。
(STVニュース北海道 3/24(日) 10:29配信のニュース記事を一部変更し引用しています。)
1,脅迫罪について
〈脅迫罪〉(刑法222条)
1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

脅迫罪は、①生命、身体、自由、名誉又は財産に対して②害を加える旨を告知して③人を④脅迫した場合に成立します。
脅迫罪における③「人」とは、自然人を言い、④「脅迫」とは、一般に人を畏怖させるに足りる害悪を告知することを言います。
また、害悪の告知が相手方に伝わった時点で既遂となり、その結果として相手方が現実に畏怖したかどうかは問われません。
そのため、例えば、職場の同僚に殺害予告を内容とするメールを送ったところ、それを一読した同僚が豪胆な性格であったために畏怖しなかった場合でも、脅迫罪が成立することになります。
また、①加害の対象は、1項は生命、身体、自由、名誉または財産であり、2項は告知の相手方の親族の生命、身体、自由、名誉または財産でなければなりません。
2項における「親族」は民法上の親族であるため、告知の相手方の恋人や内縁関係にある者に対しての加害の告知は2項の処罰の対象にはなりません。
(なお、1項の処罰の対象となる可能性があります。)
そして、②告知の方法については何の制限もありません。
そのため、文書、口頭、態度などいずれの方法でもよく、また、行為者が直接相手方に告知する場合でだけでなく、第三者を媒介にして間接的に告知する場合でも脅迫罪は成立します。
2,脅迫罪の成立を争う場合の弁護活動
上記の事例では、Aさんは「一切そういう言葉は使っていません」と脅迫の事実を否定しています。
そのため、犯罪の成立を争う場合の弁護活動の一つとして、脅迫罪に該当する行為を否定する客観的な事情や証拠の収集活動を行うことが挙げられます。
例えば、捜査機関の主張が十分な証拠や事実に基づいていないことを指摘することで、嫌疑不十分よる不起訴処分や起訴された場合には無罪判決の獲得を目指します。
また、脅迫罪で逮捕・勾留により身柄を拘束されている場合には、早期の身柄解放に向けた弁護活動を行います。
逮捕に対する不服申立てはできませんが、勾留に対しては不服申立てを行うことができます。
勾留に対する不服申立て手続きとして、準抗告(刑事訴訟法429条1項)と勾留取消請求(刑事訴訟法87条)があります。
準抗告とは、そもそも勾留するための要件が満たされていないことを裁判所に申し立て、勾留の決定を取り消し、検察官の勾留請求を却下するよう求める手続きです。
被疑者に勾留が認められるのは、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文、60条1項各号)
そのため、それらのおそれが認められないことを証明する客観的な証拠や事情があれば、そもそも勾留は認められないことになるため、勾留の裁判の取消や変更を求めて準抗告を申し立てることになります。
勾留取消請求とは、当時は勾留が認められていたが、後発的な事情の変化により勾留を認める必要がなくなった場合に、裁判所に勾留の取消しを求める手続きです。
例えば、勾留の裁判により勾留が決定された後に被害者との示談が成立した場合などには、勾留取消請求をすることが考えられます。
身柄拘束が長く続けば、身体的にも精神的にも負担が増大することも考えられ、その間に職を失うなど社会生活に影響が生じるおそれがあります。
そのため、犯罪の成立を争う場合や早期の身柄解放をお望みの場合には、少しでも早く弁護士に依頼することがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において脅迫罪の当事者となってしまった方、ご家族等が当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護に関する経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、脅迫罪の当事者となり在宅で捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
【事例解説】住居侵入罪とその弁護活動(のぞきを目的として女性の住宅に侵入したケース)
【事例解説】住居侵入罪とその弁護活動(のぞきを目的として女性の住宅に侵入したケース)
今回は、私生活をのぞき見る目的で女性宅に侵入したというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律福岡支部が解説致します。
事例:のぞきを目的として女性の住宅に侵入したケース
女性の住宅に侵入した罪で起訴された福岡県春日市の職員Aさんが、18日付で懲戒免職処分を受けました。
懲戒免職処分を受けたのは、住居侵入の罪で起訴された福岡県春日市在住の公務員Aさん(43)です。
Aさんは先月14日、市内の30代女性Vさんの住宅に侵入した疑いで現行犯逮捕。
その後、Vさんの私生活をのぞき見る目的で、合い鍵を使って侵入したとして住居侵入の罪で起訴されていました。
(テレビ愛媛 3/18日 21:40配信の記事を参考にし、地名や内容を変更し引用しています。)
1,住居侵入罪について

〈住居侵入罪〉
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」(刑法130条)
刑法130条は、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看取する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入した場合(前段)と、要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった場合(後段)に分け、前段を住居等侵入罪、後段を不退去罪としてそれぞれ処罰することを規定しています。
前段の住居侵入罪は、一般的には不法侵入という言葉で広く社会で使われており、侵入した場所によって成立する犯罪の名前が異なります。
例えば、正当な理由がないにもかかわらず、他人の管理下にある建物のうち住居・邸宅以外のものに侵入した場合には、建造物侵入罪が成立することになります。
住居侵入罪は、①正当な理由がないのに、②人の③住居若しくは④人の看取する⑤邸宅、建造物もしくは艦船に⑥侵入した場合に成立する犯罪です。
住居侵入罪の保護法益は住居権、すなわち住居に誰を立ち入らせ誰の滞留を許すかを決める自由であり、各要件に該当するか否かを判断するうえで重要となります。
②の「人の」とは犯人自身がその住居の居住者ではないことを意味します。
③「住居」とは、人が起臥寝食に利用する場所のことを言います。
起臥寝食とは起きたり寝たり食べたりすることを言うので、分かりやすく言えば、人が生活するために使う場所のことであり、具体的には家やマンション、さらに一時的に利用するホテルの部屋であっても「住居」に含まれます。
④「人の看取する」とは、犯人以外の人が事実上管理することを言います。
例えば守衛や監視人を置くことで立ち入りを禁止する場合のように、侵入を防止する人的・物的設備を施されている状態がこれに当たります。
⑤「邸宅」とは居住用の建造物で住居以外のものを言い、空き家などがこれに当たります。
「建造物」とは、住居用以外の建物を言い、学校、遊園地などのテーマパークなどがこれに当たります。
「艦船」とは、軍船及び船舶のことで人が侵入できる構造のものをいい、船着場にとまっている漁船や小型フェリーなどがこれに当たると考えられます。
⑥「侵入」とは、住居権者の意思に反する立ち入りを意味します(⑤に侵入する場合には管理権者の意思に反する立ち入り)。
違法な目的を隠して住居や建造物に侵入した場合、その目的を住居権者や管理権者が知っていれば立ち入ることを承諾していなかったであろうと言える場合には、130条前段の犯罪が成立します。
過去には、ATM利用客のカードの暗証番号を盗撮する目的でATMが設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入った場合,その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客と異なるものでなくても,建造物侵入罪が成立するとした裁判例があります。(最高裁平成19年7月2日 事件番号 平成18(あ)2664)
最後に、①「正当な理由がないのに」とは、侵入の違法性を排除する理由がないことを意味します。
立ち入りに対して住居権者の承諾がある場合には、そもそも「侵入」に当たらず住居侵入罪は成立しないので、この要件は、住居権者の意思に反する立ち入りであることを前提に、例えば刑事訴訟法に基づく捜索のための立ち入りなど「侵入」を正当化する理由がないことを言います。
2,のぞきにおける住居侵入罪とその弁護活動
のぞき目的での「侵入」に「正当な理由」があるわけではなく、のぞいた対象は住居侵入罪にいう「住居」に該当するため、住居侵入罪が成立する可能性が高いです。
また、のぞき行為は都道府県の迷惑防止条例や軽犯罪法に違反し、処罰の対象となります。
福岡県の迷惑防止条例では、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由なく、住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるよう な場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影することを禁止しており(6条3項1号)、これに違反した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の刑が科されます(11条1項)。
軽犯罪法では、正当な理由なく、人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者には、拘留又は科料が、もしくは併科されます。(1条23号、2条)
迷惑防止条例と軽犯罪法の両方で正当な理由がないのぞき行為を禁止していますが、その違いは、のぞき行為を公共の場所又は公共の乗物で行ったどうかにあることが考えられます。
上記の事例で言えば、AさんはVさんの自宅をのぞき見る目的で侵入しているため、軽犯罪法の処罰の対象となる可能性があります。
住居侵入罪で逮捕・勾留された場合、最長で23日間、身柄を拘束されることになります。
その間に警察と検察の取調べを受け、起訴するか不起訴になるかが検察官によって判断されます。
そこで、弁護士に依頼するメリットの一つとして取調べ対応へのアドバイスが挙げられます。
弁護士であれば、身柄を拘束されている被疑者に対して、どのように取調べに臨めば良いかなど法律の専門家として適切かつ丁寧なアドバイスを授けることができます。
また、住居侵入罪は被害者が存在する犯罪でもあります。
そこで、被害者との示談交渉を行うことが考えられます。
示談交渉は加害者と被害者の当事者同士で行うこともできますが、通常、当事者同士での示談交渉は成立する可能性が低いです。
加害者が被害者に示談を迫れば捜査機関側からは証拠を隠滅するのではないかと疑われかねず、そもそも捜査機関側が被害者の連絡先を教えないことも考えられます。
しかし、弁護士が間に入れば、被害者に丁寧な説明ができ、安心して頂ける期待も高まります。
それにより、示談交渉の成立に向けた第一歩を踏み出すことができます。
また、示談と一口に言っても、加害者の一方的な主張だけを聞き入れてもらう交渉では成立は難しいと言えます。
被害者の意向を加味しながら、宥恕条項(加害者の謝罪を受け入れて、加害者の刑事処罰を求めないこと)などの条項を加えた示談を成立させる必要があります。
特に身柄を拘束されている事件の場合には、逮捕されてから起訴されるか否かの判断まではわずか23日間しかありません。
そのため、示談交渉は速やかに行い成立させることが必要不可欠です。
以上より、刑事弁護はスピードが大事です。
住居侵入罪で逮捕・勾留により身柄を拘束されてしまった場合には、一刻も早く弁護士に依頼することが重要となってきます。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において住居侵入罪の当事者となってしまった方、または親族が当事者となり逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に、お気軽にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護の経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、初回無料でご利用いただける法律相談、逮捕・勾留により身柄を拘束された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービス(有料)をご提供しております。
ぜひ一度、ご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
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