【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(知人名義でホテルに虚偽の宿泊予約をして業務を妨害したケース)

【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(知人名義でホテルに虚偽の宿泊予約をして業務を妨害したケース)

今回は、宿泊施設のホームページから知人の男性名義で虚偽の宿泊予約をして宿泊施設の業務を妨害したというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:知人名義でホテルに虚偽の宿泊予約をして業務を妨害したケース

知人名義で勝手にホテルを予約したりピザの配達を注文したりしたとして、福岡県は県職員(公務員)Aさんを停職2カ月の懲戒処分にしました。
福岡県などによりますと、Aさんは去年3月、佐賀県と群馬県にある宿泊施設のホームページから知人の男性名義で虚偽の宿泊予約をしたとして、去年8月、佐賀県警偽計業務妨害容疑などで逮捕されました。
Aさんはその後、不起訴処分となりましたが、福岡県の聞き取りに事実関係を認めていました。
Aさんはほかにも、同じ知人男性の自宅に2万円分のピザの配達を勝手に注文する迷惑行為も行っていました。
Aさんは「知人男性に恨みがあった」と話しているということです。
KBC 3/18(月) 21:15配信の記事を一部変更し引用しています。)

1,偽計業務妨害罪について

〈偽計業務妨害罪〉

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。刑法233条後段)

偽計業務妨害罪は、①虚偽の風説を流布して、または②偽計を用いて③の④業務を⑤妨害した場合に成立します。
①「虚偽の風説を流布し」とは、客観的な真実に反するうわさや情報を不特定または多数の人に言いふらすこと(伝播させる)ことを言います。
例えば、実際にはそのような事実は無いのに、「あのスーパーで買ったレトルトパウチ食品にゴキブリが入っていた」などと言った虚偽の事実を不特定または多数の人に言いふらし、そのようなうわさや評判を広めさせるような行為を言います。
②「偽計」とは、人を欺罔し、または人の錯誤や不知を利用する行為を言います。
例えば、弁当の代金を支払う意思はなく弁当屋を困らせる目的で、弁当100個を注文する電話で注文し、架空の住所まで配達させた場合や、上記の事例のように、宿泊代金を支払うつもりがないのにホテルに宿泊予約をする行為などが「偽計」に当たります。
③「」とは、自然人のみならず法人その他の団体も含まれます。
そのため、お店や団体に対しても偽計業務妨害罪は成立します。
④「業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して従事する事務のこと言います。
職業として継続して行われる社会生活上の活動であれば広く保護されますが、娯楽目的での自動車の運転や趣味として行うスポーツなどの個人的な活動は保護の対象とはなりません。
⑤「妨害した」について、判例は、業務妨害罪は業務の平穏かつ円滑な遂行そのものを保護の対象としていることから、現実に業務遂行が妨害される必要はなく、業務を妨害するおそれのある行為が行われれば足りるとしています。(最高裁判決昭和28年1月30日
上記の事例で言えば、宿泊予約をすることにより、ホテル側には予約者に対する客室の準備や提供などの業務が発生します。
しかし、宿泊予約が虚偽であればそれらの業務は不要であり、また、他の利用客にその客室を提供するという本来できたであろう業務ができなくなったと言えます。
そのため、ホテル側の客室の準備や他の利用客への客室の提供などの業務を妨害したと言え、Aさんに偽計業務妨害罪が成立したと考えられます。

2,偽計業務妨害罪で逮捕された場合の弁護活動

偽計業務妨害罪で逮捕・勾留などに身柄を拘束された場合の弁護活動としては、早期の身柄解放に向けた活動や不起訴処分の獲得するための活動を行うことが考えられます。
勾留による被疑者の身柄拘束が認められるのは、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれが認められるからです。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
そのため、それらのおそれを否定し得る客観的な事情や証拠の収集活動を行います。
例えば、犯罪に使用したスマホやパソコンなどの電子端末は既に捜査機関に押収されていれば、被疑者によるそれらの処分は不可能であるため被疑者の証拠隠滅のおそれを否定する客観的な事情となります。
また、被疑者の家族や親族が身元引受人となって被疑者を監督することにより、被疑者の裁判所や捜査機関への出頭の機会を確保することができれば、逃亡のおそれを否定する事情になり得ます。
その他の活動としては、被害者との示談交渉が挙げられます。
加害者が被害者に対して加えた損害や被害を弁償することで、示談の成立を目指します。
ただし、示談と言っても、加害者にとって一方的に都合のいい内容での示談の成立は難しいため、被害者の意向を加味しながら、宥恕条項(加害者を許し、刑事処罰を望まないことを内容とするもの)や被害届の取り下げや刑事告訴取消などの約定を加えた内容で示談を成立させることが必要不可欠です。
当事者同士で示談交渉を行うことはできますが、当事者同士での交渉は上手くいかないことが通常です。
しかし、弁護士が間に入れば、被害者の方に冷静かつ丁寧な説明をすることができるため、示談交渉が上手くいく可能性が高まります。
また、示談が成立していれば、早期の身柄解放や起訴猶予による不起訴処分の獲得も期待できます。
そのため、偽計業務妨害罪で逮捕・勾留されてしまった、または在宅で捜査を受けている場合には、少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において偽計業務妨害罪の当事者となってしまった方、またはご家族等が当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護に関する経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、偽計業務妨害罪の当事者となり在宅で捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

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