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【事例解説】傷害罪とその弁護活動(知人に睡眠作用のある薬物を摂取させて意識障害を負わせたケース)

2024-10-24

【事例解説】傷害罪とその弁護活動(知人に睡眠作用のある薬物を摂取させて意識障害を負わせたケース)

今回は、知人に睡眠作用のある薬物を摂取させて意識障害を負わせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:知人に睡眠作用のある薬物を摂取させて意識障害を負わせた

福岡市内の飲食店で、知人に睡眠作用のある薬物を摂取させ、意識障害を負わせたとして、会社員のAさんが傷害の疑いで逮捕されました。
Aさんは、同僚の女性Vさんと飲食店で食事していたところ、Vさんがお手洗いで席を離れた際に、Vさんの飲み物に睡眠作用のある薬物を混入し、摂取させて意識障害を負わせた疑いが持たれています。
Vさんは病院に救急搬送されて手当を受け、3日程度で症状は回復しました。
警察の調べに対して、Aさんは「薬を飲ませたことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,傷害罪について

〈傷害罪〉(刑法204条)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させることなども「傷害」に該当します。
傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)、睡眠薬等による約6時間の意識障害の症状を生じさせた場合(最高裁判決平成24年1月30日)などがあります。
上記の事例では、Aさんは、睡眠作用のある薬物をVさんに摂取させ、加療約3日を要する意識障害を負わせており、Vさんを「傷害」したといえるため、Aさんに傷害罪が成立することが考えられます。

2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動

傷害罪は、被害者が存在する犯罪です。
そのため、被害者との示談交渉を試み、示談が成立すれば、不起訴処分獲得の期待が十分に持てます。
示談と一口に言っても、内容は多岐にわたり、事件を当事者で解決することを約束し将来の民事訴訟を予防するという単なる示談や、宥恕(加害者の反省・謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味)付き示談や、被害届の取下げや刑事告訴の取消しを内容に加えた示談などがあります。
示談交渉は当事者同士でも行うことはできますが、事件の被害者は、加害者に対して強い恐怖や憎悪の感情を有していることも少なくないため、加害者から直接連絡されることに抵抗感を抱き、そもそも示談交渉に応じていただけない可能性もあります。
そのため、被害者の意向を汲み取りつつ、少しでも有利な内容で示談を成立させて不起訴処分の獲得を実現するには、刑事事件に関する高度な知識や経験が要求されるため、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えません。
示談交渉は、法律の専門家であり、刑事事件に強い弁護士に依頼するのがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において傷害罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績を誇ります。
傷害罪の当事者となり身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(会社の預金口座から売上金などを横領したケース)

2024-10-21

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(会社の預金口座から売上金などを横領したケース)

今回は、会社の預金口座から売上金などを横領したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:会社の預金口座から売上金などを横領したケース

勤め先の預金口座から売上金など合わせて1000万円を横領したとして、那珂川市にある会社の執行役員Aさんが業務上横領の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、Aさんは、執行役員を務めている会社の預金口座からインターネットバンキングを使って、合わせて1000万円を自分の口座に振り込み、横領した疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「借金の返済や遊興費に使った」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉(刑法253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意(刑法38条1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言い、法律上の支配が問題となる場面は不動産の占有と銀行預金の占有です。
不動産の場合は、不動産の所有権の登記名義人は、当該不動産を実際に居住するなど事実上支配していなくても、売却など自由に処分できる立場にあるため、法律上支配していると言えます。
他人から預かった金銭を自分の口座で管理している場合は、金銭を自分の財布に入れて実際に管理しているわけではないため事実上支配しているとは言えませんが、その金銭はいつでも自分の口座から引き出すことができ、自由に処分できる立場にあるため、他人の金銭に対する法律上の支配が認められます。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係委任民法643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。

以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例で言えば、Aさんは、執行役員を務めており、会社から委託を受けて会社の金銭を管理する事務を反復又は継続的に行う業務者の立場にあり、会社の預金口座からインターネットバンキングを使って合計で1000万円を自分の口座に振り込み、借金の返済や遊興費に使い「横領」しているため、Aさんには業務上横領罪が成立することが考えられます。

2、執行猶予付き判決を求める弁護活動

業務上横領罪の法定刑は、10年以下の懲役刑であり、執行猶予付き判決を得るためには、判決により言い渡される刑が3年以下の懲役である必要があります(刑法第25条第1項柱書)。
執行猶予が付かなかった場合、刑務所に服役することになりますが、そうなれば勤め先を解雇になる、被疑者・被告人が学生の場合には退学処分になるなどの不利益が生じることが考えられます。
執行猶予による不利益を回避するためには、被害者との示談を成立させられるかが重要なポイントになります。
もっとも、事件の被害者は、加害者に対して強い怒りや処罰感情を有していることも多く、加害者から直接連絡されることを拒み、示談交渉に応じてもらえない可能性もあります。
しかし、弁護士であれば、被害者に対して、加害者が反省・謝罪の意思を持ち、被害弁償をする意思を有していることなど冷静かつ丁寧に説明することにより、示談交渉に応じてもらい、示談の成立に期待が持てます。
執行猶予を獲得するためにも、示談交渉は法律の専門家であり交渉のプロである弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県那珂川市内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】大麻取締法違反とその弁護活動(職務質問中に大麻草の所持が発覚したケース)

2024-10-18

【事例解説】大麻取締法違反とその弁護活動(職務質問中に大麻草の所持が発覚したケース)

今回は、職務質問中に所持品検査を受けた際に大麻草の所持が発覚したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:職務質問中に大麻草の所持が発覚したケース

福岡県警東警察署は、大麻草を若干量所持していたとして、福岡市東区に住む会社員Aさんを大麻取締法違反の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、福岡市東区のコンビニエンスストアに駐車していた自車内で寝ていたことから、店舗関係者が警察に通報し、臨場した警察官がAさんに職務質問を行いました。
その際、会話内容に不審な点があることから所持品検査を行ったところ、所持品の中からタバコのようなもの1本を発見、本人が大麻と認めたため、大麻取締法違反で現行犯逮捕しました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,大麻取締法違反について

大麻取締法にいう「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品を言います。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除きます。(第1条

〈単純所持罪〉(大麻取締法第24条の2)

1項 大麻を、みだりに、所持し、…た者は、5年以下の懲役に処する。

みだりに」とは、社会通念上正当な理由があると認められないことを意味します。
所持」とは、大麻であることを知りながら、これを事実上自己の実力支配内に置く行為を言います。
必ずしも大麻を物理的に持っている必要はなく、大麻の存在を認識してこれを管理し得る状態にあれば「所持」が認められ、大麻取締法違反になります
そのため、自分が直接所持していなくても、他人に預けることで間接的に自分が持っていると認められる場合にも「所持」していることになります。
例えば、警察署に身柄を拘束されている場合に、大麻を隠している事実を隠して、警察官に大麻を引き取るように要求しないことは「所持」に該当します。

2,贖罪寄付について

大麻取締法違反を含む薬物事件は、犯人以外の誰かに直接の被害が生じたわけではないので、直接の被害者が存在しません。
直接の被害者が存在しないということは、示談交渉を試みる相手がいないため、示談ができないことになります。
そのため、示談をする相手が存在しない場合の弁護活動としては、贖罪寄付を行うことが考えられます。
贖罪寄付とは、被害者のいない刑事事件や、被害者との示談ができない刑事事件などにつき、刑事手続の対象となっている方の改悛の真情を表すために日本弁護士連合会などに寄付を行うことです。
その他にも、法テラスが独自で受け付けているものや日弁連交通事故相談センターが交通事故被害者に特化した交通贖罪寄付を受け付けています。
また、DARC(薬物をやめたい人のサポートなどを行うリハビリ施設)など、薬物依存者の自助グループなども贖罪寄付を受け付けています。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において大麻取締法違反の当事者となり在宅捜査を受けている方、あるいは家族・親族が大麻取締法違反の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が在籍しており、これまでさまざまな刑事事件・少年事件を経験しております。
大麻取締法違反の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族が大麻取締法違反の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設で女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したケース)

2024-10-15

【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設で女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したケース)

今回は、福岡市の商業施設において、女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:商業施設で女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したケース

福岡市の商業施設で、20代女性Vさんの下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したとして、福岡県警は、福岡市在住のAさんを、性的姿態等撮影の疑いで逮捕しました。
Aさんは、福岡市の商業施設で、サンダルに取り付けた小型カメラで、女性のスカートの下から下着を撮影した疑いが持たれています。
警察によりますと、Aさんはサンダルに取り付けた小型カメラとスマートフォンをコードでつないで撮影していたところ、不審に思った保安員が警察に通報したことで事件が発覚しました。
警察の調べに対して、Aさんは「盗撮したことは間違いない」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,性的姿態等撮影罪について

〈性的姿態等撮影罪〉

2条1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
 イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治40年法律第45号)第177条第1項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
2号 刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
3号 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
4号 正当な理由がないのに、13歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2項 前項の罪の未遂は、罰する。
3項 前2項の規定は、刑法第176条及び第179条第1項の規定の適用を妨げない。

いわゆる盗撮については、これまでも各都道府県が定める迷惑防止条例などにより処罰の対象となっていました。
しかし、迷惑防止条例は、都道府県ごとに処罰対象が異なるなど、必ずしもこれらの条例などでは対応しきれない場合もありました。
そこで、そのような場合に対応するために、2023年7月13日に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影等処罰法」と言います。)」が施行され、性的姿態等撮影罪を設けることで盗撮行為を厳罰化し、都道府県ごとに処罰対象が異なるといった状態も解消されることになりました。
性的姿態等撮影罪は、正当な理由がないのに、ひそかに、人の性的な姿態を撮影した場合に成立します。
「正当な理由」とは、例えば、医師が救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を医療行為上のルールに従って撮影する場合などが、これに該当すると考えられます。
また、「ひそかに」とは、撮影される者の意思に反して自分の性的な姿態等を撮影されることを言います。
被害者が13歳以上16歳未満の者で、加害者が20歳未満の場合、加害者が被害者よりも5歳以上年長である場合に、正当な理由なく性的な姿態等を撮影すれば性的姿態等撮影罪が成立します。
被害者が13歳から15歳の場合、加害者が18歳から20歳の場合が問題となります。
例えば、18歳のXさんが、15歳のYさんの性的な姿態等を撮影すれば、Yさんは16歳未満ですが、年齢差が5歳未満であるため、性的姿態等撮影罪は成立せず、処罰の対象外となります。
なぜ、被害者が13歳以上16歳未満の場合には、年齢差が5歳以上年長の者の行為しか処罰されないのかについて、13歳以上16歳未満の者は、相手との関係が対等でなければ性的姿態等を撮影されることについて自由な意思決定が難しくなると考えられているからです。
どのような場合に相手との関係が対等でなくなるのかについて、一般的に、相手との年齢差が大きくなればなるほど、社会経験等の差から対等ではなくなると考えられます。
上記の事例では、Aさんは、「正当な理由なく」、「ひそかに」、Vさんのスカートの中という「人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接または間接に覆っている部分」をサンダルに取り付けた小型カメラで「撮影」しているので、Aさんには性的姿態等撮影罪性的姿態等撮影処罰法2条1号イ)が成立することが考えられます。

2,身体拘束からの解放に向けた弁護活動

性的姿態等撮影罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄拘束されて捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は一挙手一投足を監視され、家族や友人など外部との交流を制限されるなど、厳しい環境に身を置かれることになります。
また、被疑者が勤め人であれば、身柄拘束中は出勤することができなくなりますが、そのような長期間を無断で休ませてもらえる会社など普通は存在しません。
そうなれば、被疑者は職を失い、収入が無くなり、それまでの生活を送ることが難しくなるといった不利益が生じることになります。
そのような不利益を回避するためにも、勾留されてしまった場合には、少しでも早く身柄拘束からの解放を実現する必要があります。
被疑者が勾留されるのは、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。
そのため、身柄拘束からの早期解放を実現するためには、被疑者がそれらの要件を充たさないことを客観的な証拠や事情を収集・主張していく必要があります。
上記の事例で言えば、Aさんが撮影に使った小型カメラとスマートフォンが既に捜査機関に押収されていれば、Aさんが盗撮した画像を消去するなど証拠を隠滅できる可能性は低いといえるため、Aさんの証拠隠滅のおそれを否定し得る客観的な事情となります。
そのような弁護活動を通じて、被疑者の身柄拘束からの早期解放を目指します。
身柄拘束が長引けば、前述の不利益も大きくなることが考えられるため、ご家族等が身柄拘束をされてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県において性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識や経験が豊富な弁護士が在籍しております。
性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】傷害罪と弁護活動(タバコを注意されて面識のない男性の顔面を拳で殴り怪我をさせたケース)

2024-10-12

【事例解説】傷害罪と弁護活動(タバコを注意されて面識のない男性の顔面を拳で殴り怪我をさせたケース)

今回は、タバコを注意されてトラブルとなり、面識のない男性の顔面を拳で殴り怪我をさせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:タバコを注意されて面識のない男性の顔面を拳で殴り怪我をさせたケース

福岡市のマンションの敷地内で、面識のない住人の男性Vさんの顔面を拳で殴り怪我を指せたとして、自営業のAさんが傷害の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、マンションの敷地内が禁煙だったにもかかわらずAさんがタバコを吸っていたことから、Vさんが注意するとトラブルになり、Vさんの顔面を拳で殴ったとのことです。
Vさんは、唇を切る怪我を負いました。
トラブルを見ていた周囲の人が警察に通報し、Aさんはその場で逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは「注意されたことに腹が立った」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,傷害罪について

〈傷害罪〉(刑法204条)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させることなども「傷害」に該当します。
傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)などがあります。
上記の事例では、AさんはVさんに対して顔面を殴るという暴行を加えて、唇を切る怪我を負わせており「傷害」しているといえるため、Aさんには傷害罪が成立することが考えられます。

2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動

傷害罪は、被害者が存在する犯罪であるため、被害者と示談交渉を試みます。
被害者との間で示談が成立すれば、不起訴処分の獲得が十分に期待できます。
示談交渉は、事件の当事者同士でもできますが、被害者は加害者から直接連絡されることに恐怖や不安を感じている場合も多く、加害者に対して強い処罰感情を有していることから示談交渉に応じてもらえない可能性もあります。
しかし、弁護士が間に入り、加害者が反省・謝罪の意思を有していること、被害弁償を行う準備があることなどを被害者に丁寧かつ冷静に説明すれば、示談交渉に応じてもらえる可能性が高まります。
また、示談と一口に言っても内容は様々であり、宥恕(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないという意味)付き示談や、被害届の取下げや刑事告訴の取下げを内容に加えた示談などがあります。
これらを内容に加えた示談を成立させるには、刑事事件に関する知識や経験が豊富で、交渉に強い弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において傷害罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績を誇ります。
傷害罪の当事者となり身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(「爆弾を仕掛けた」と虚偽の110番通報をして警察の業務を妨害したケース)

2024-10-09

【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(「爆弾を仕掛けた」と虚偽の110番通報をして警察の業務を妨害したケース)

今回は、「爆弾を仕掛けた」と虚偽の110番通報をして警察の業務を妨害したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:「爆弾を仕掛けた」と虚偽の110番通報をして警察の業務を妨害したケース

福岡市博多区にある事務所に爆弾を仕掛けたと虚偽の110番通報をして警察の業務を妨害したとして、福岡県警博多警察署は、福岡市博多区に住むAさんを偽計業務妨害の疑いで逮捕しました。
Aさんは自宅の固定電話から「爆弾を仕掛けた」などと虚偽の110番通報をして警察の業務を妨害した疑いが持たれています。
博多署によると、通報を受けて署員は事務所に臨場しましたが爆弾は見つからず、Aさんの通報が虚偽であることが発覚し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「生活が上手くいかないストレスでやってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,偽計業務妨害罪について

〈偽計業務妨害罪〉(刑法233条後段)

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

偽計業務妨害罪は、刑法信用毀損罪とともに第233条に定められており、虚偽の風説を流布または偽計を用いることにより、人の信用を毀損した場合には信用毀損罪が、業務を妨害した場合には偽計業務妨害罪が成立することになります。
虚偽の風説を流布」とは、客観的真実に反する噂や情報を不特定又は多数人に伝播させることをいいます。
例えば、そのような事実は無いのに、「あのスーパーで取り扱っている生鮮食品はすべて消費期限が切れている」という噂を、不特定又は多数人に広めた場合などが「虚偽の風説を流布」に該当します。
偽計」とは、人を欺き、あるいは人の錯誤・不知を利用したり、人を誘惑したりするほか、計略や策略を講じるなど、威力以外の不正な手段を用いることをいいます。
人を欺き、あるいは人の錯誤・不知を利用する「偽計」には、例えば、インターネットの掲示板に虚偽の犯行予告を書き込んだ場合などが挙げられます。
計略や策略を講じるなど威力以外の不正な手段を用いるものとしては、上記の事例のように比較的短期間で多数回の無言電話をかけ続けることなどが挙げられます。
業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行う事務又は事業をいいます。
そして、「妨害」の結果は実際に業務が妨害されることは必要ではなく、業務の平穏かつ円滑な遂行が妨害されるおそれのある行為がされれば、偽計業務妨害罪は成立します。
このように、犯罪の結果が実際に発生しなくても、結果が発生するおそれがあれば犯罪の成立が認められる犯罪のことを抽象的危険犯といい、偽計業務妨害罪の他、現住建造物等放火罪などがあります。
上記の事例では、Aさんは事務所に爆弾を仕掛けたという虚偽の110番通報は「偽計」に該当し、それにより警察の「業務を妨害」しているため、Aさんには偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

2,身体拘束の回避に向けた弁護

偽計業務妨害罪で逮捕され、それに続いて勾留されてしまった場合、最長で23日間、身柄拘束をされて捜査機関による取調べを受けることになります。
被疑者は、身柄拘束期間中、一挙手一投足を厳しく規制・監視される過酷な環境に身を置かれ、また、家族や友人など外部との交流も制限されることになります。
そして、身柄拘束中は、会社員など勤め人であれば出勤できなくなり職を失うことや、自営業者であれば仕事ができなくなり収入を失うなど、さまざまな不利益を被ることが考えられます。
そのため、勾留による身柄拘束の回避に向けた弁護活動を行うことで、そのような不利益を回避することが望ましいと言えます。
被疑者勾留は、検察官の請求に対する裁判官の決定により行われます。
そのため、そもそも検察官に勾留請求させないという働きかけや、裁判官に勾留請求却下させるという働きかけを行い、被疑者勾留を回避するための弁護活動が考えられます。
被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、被疑者にそれらの要件が認められないことを示す客観的な証拠や事情を、意見書という形で検察官・裁判官に提出することで、被疑者勾留の回避を目指します。
逮捕段階・勾留請求前であれば、勾留請求に対する意見書を提出する機会が2回あるため、身柄拘束からの解放を考えている場合には、少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において偽計業務妨害罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が偽計業務妨害罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
偽計業務妨害罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が偽計業務妨害罪の当事者なり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(職場の同僚女性の水筒などに唾や尿を入れたケース)

2024-10-06

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(職場の同僚女性の水筒などに唾や尿を入れたケース)

今回は、職場の同僚女性の水筒などに唾や尿などを入れたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:職場の同僚女性の水筒などに唾や尿を入れたケース

福岡市内にある会社で、同僚女性Vさんの水筒などに唾や尿などを折れた疑いで、同会社に勤める従業員Aさんが器物損壊の疑いで逮捕されました。
Aさんは複数回にわたり、Vさんが職場を外出中に、Vさんの水筒やバッグなどに唾や尿を入れて飲めない状態にした疑いが持たれています。
警察によると、Vさんが自分のバッグを触られた形跡があり不審に思い、職場に小型カメラを設置していたところ、AさんがVさんの水筒やバッグなどに唾や尿を入れる姿が映っていたとのことです。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」と供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,器物損壊罪について

〈器物損壊罪〉(刑法261条)

前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は、他人の物を損壊し、又は傷害した場合に成立します。
他人の物」とは、刑法の前3条に規定するもの以外のすべての他人の物、すなわち公用文書等毀棄罪私用文書等毀棄罪建造物等損壊罪の客体となる物以外の他人の物すべてが器物損壊罪の客体となります。
土地や動植物が含まれるだけでなく、例えば公職選挙法に反する選挙ポスターなど法律上違法なものであっても、刑法上保護に値するものであれば、「他人の物」に含まれることになります。
損壊」とは、その物の効用を害する一切の行為をいいます。
過去の裁判例で、効用を侵害して「損壊」に当たるとしたものは、食器に放尿する行為(大審院判決明治42年4月16日)や自動車のドアハンドルの内側やフェンダーの裏側に人糞を塗り付ける行為(東京高裁判決平成12年8月30日)などがあります。
上記の事例では、AさんがVさんの水筒やバッグなどに唾や尿を入れた行為は、Vさんの水筒やバッグなど「他人の物」の効用を害する行為である「損壊」に当たるため、器物損壊罪が成立する可能性があります。
また、器物損壊罪における「傷害」とは、傷害罪における「傷害」とは異なり、動物を客体とする場合を指し、動物の肉体や健康を害し、さらに死亡させる場合も含まれます。

2,身体拘束からの早期解放を目指す弁護活動

器物損壊罪逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄を拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は身体の自由を厳しく規制され、家族や友人など外部との連絡を取ることも制限されます。
また、上記の事例のように、被疑者が会社に勤めている場合、身柄拘束中は出勤することが出来なくなりますが、無断で長い間会社を休めば職を失う可能性もあります。
そうなれば、被疑者は収入減を失い、身柄解放後の社会生活に多大な影響が出てしまうことでしょう。
そこで、早期の身柄解放を目指す弁護活動を行います。
そもそも、被疑者に勾留が認められるのは、被疑者が住居不定、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。
そのため、勾留の要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していくことが重要となります。
例えば、被疑者の犯行が映っている防犯カメラが既に捜査機関に押収されているとの事情があれば、被疑者が証拠を隠滅することは難しいといえるため、被疑者による証拠隠滅のおそれを否定し得る客観的な事情となると言えます。
上記のような活動を行い、被疑者の早期の身柄解放を目指します。
ご家族等が逮捕・勾留されてしまい、早期の身柄解放をお求めの場合には、少しでも早い段階で弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において器物損壊罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所であり、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、示談交渉についても豊富なノウハウや実績がございます。
器物損壊罪の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をそれぞれご提供しております。
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【事例解説】強要未遂で逮捕された場合とその弁護活動(被害女性に対して刃物を向けて服を脱ぐよう脅したケース)

2024-10-03

【事例解説】強要未遂で逮捕された場合とその弁護活動(被害女性に対して刃物を向けて服を脱ぐよう脅したケース)

今回は、被害女性に対してカッターナイフを向けて服を脱ぐよう脅したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:被害女性に対して刃物を向けて服を脱ぐよう脅したケース

福岡県警察東警察署は、強要未遂の疑いで福岡市東区に住む会社員Aさんを逮捕しました。
Aさんは、東区にあるコンビニエンスストアの前で、通りがかった面識のない女性に対してカッターナイフを向け、「刺されたくなかったら服を脱げ」と脅した直後、周囲に人がいることに気付いて逃走した疑いが持たれています。
コンビニエンスストアやその周辺の防犯カメラの映像を解析して、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,強要罪について

〈強要罪〉(刑法第223条)

第1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
第3項 前2項の罪の未遂は、罰する。

刑法強要罪は、①生命、身体、名誉若しくは財産に対し②害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、③人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した場合に成立します。
②「脅迫」とは、相手方の生命、身体、名誉若しくは財産に対して害を加える旨を告知することをいいます。
暴行」とは、相手方が恐怖心を抱き、それにより行動の自由が侵害される程度の有形力の行使をいいます。
また、「暴行」は、相手方に直接向けられる必要はなく、物に対する暴行であったとしても、それにより相手方が恐怖心を抱き、行動の自由を侵害されていれば「暴行」に該当します。
③「義務のないことを行わせ」とは、相手方に義務が無いのに一定の行為をすること(作為)や、一定の行為をしないこと(不作為)を受け入れることを強制することをいいます。
例えば、相手方に義務が無いのに土下座や謝罪をすることを強制することなどが挙げられます。
権利の行使を妨害した」とは、公法上・私法上の権利行使を妨害することをいいます。
告訴権者に告訴を行わせないことなどが具体例として考えられます。
また、強要罪は、脅迫または暴行を用いて、人に義務のないことを行わせる、または権利の行使を妨害するという結果を発生させた場合に成立するため、脅迫・暴行行為と結果との間に因果関係が存在しなければなりません。
そのため、例えば、犯人が暴行・脅迫行為を行ったが、相手方が恐怖心を抱かず、憐みの情から義務のないことを行った場合には、強要罪は既遂とはならず、未遂にとどまります。
上記の事例では、AさんはVさんにカッターナイフを向けて「刺されたくなかったら服を脱げ」と脅迫しているものの、それによりVさんが恐怖心を抱き、実際に服を脱いだとの事情もないため、強要未遂罪が成立することが考えられます。

2,示談成立に向けた弁護活動

強要罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を試みます。
示談が成立すれば、逮捕・勾留による身柄拘束からの早期解放や、不起訴処分獲得が期待できます。
示談と言っても内容はさまざまあり、事件を当事者間で解決し将来の民事訴訟を予防する単なる示談や、宥恕(加害者に対して刑事処罰を望まないことの意味)付き示談、被害者が刑事告訴や被害届を提出する場合には、刑事告訴の取消しや被害届の取下げを内容に加えた示談などがあります。
もっとも、これらの内容を加えた示談を成立させるためには、刑事事件に関する専門的な知識や経験が要求されるといえるため、示談交渉のプロである弁護士に一任されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において強要未遂罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が強要未遂罪で身柄を拘束されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績を誇ります。
強要未遂罪で身柄拘束されずに捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が強要未遂罪で身柄を拘束されてしまった方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰った場合に成立する可能性がある犯罪とは

2024-09-30

【事例解説】アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰った場合に成立する可能性がある犯罪とは

今回は、アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰ったという架空の事例に基づき、成立する可能性がある犯罪について解説致します。

事例:アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰ったケース

福岡市にある飲食店にアルバイトとして勤務していたAさんは、勤務中にお店のレジから現金5万円を持ち帰ったとして、逮捕されました。
レジ締め作業中に5万円の差額が出たことで不審に思った被害店舗関係者が防犯カメラの映像を見返すと、Aさんが現金を取り出してポケットに入れる瞬間が映っていたことから、警察に被害届を提出し、Aさんは逮捕されるに至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「自分がやったことに間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,成立し得る犯罪について

上記の事例では、Aさんにはいかなる犯罪が成立することが考えられるでしょうか。
お店の現金を持ち帰るという行為は、刑法窃盗罪刑法第235条)もしくは業務上横領罪刑法第253条)に該当することが考えられます。

〈窃盗罪〉

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、他人の財物を窃取した場合に成立します。
他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。

〈業務上横領罪〉

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、通常の横領罪刑法第252条1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言います。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任民法第643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。

まとめると、窃盗罪は他人の占有を侵害する犯罪で、業務上横領罪は他人の所有権を侵害する犯罪であると言えます。
そのため、両罪は、占有が誰に認められるかにより区別されると言えます。
上記の事例を参考にすると、レジ内の現金の占有がお店に認められるなら、Aさんはお店の意思に反してお店の占有を排除してレジ金の占有を自分に移しており「窃取」しているといえるため、窃盗罪が成立し得ます。
一方で、レジ内の現金の占有がAさんに認められるならば、Aさんは業務としてお店のレジ金を占有していたことになり、レジ金を持ち帰るという行為は横領といえるため、業務上横領罪が成立し得ます。
雇用関係などにより上下関係がある場合、下位にある者が財物を管理していたとしても、その財物の占有は上位の者に認められ、下位の者は占有を補助する者に過ぎません。
上記の事例で言えば、Aさんはただのアルバイトで上位の者(例えば、お店のオーナー、雇用主など)の占有を補助する者に過ぎないということになります。
そのため、Aさんの、レジ金の占有者であるお店のオーナーの占有を、占有者の意思に反して自分の占有に移した行為は、「窃取」に該当するため、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。
なお、Aさんがただのアルバイトではなく、そのお店の店長であった等の事情があれば、Aさんとオーナーとの間には高度の信頼関係が存在し、Aさんにはレジ金についてある程度の処分権が委ねられているといえるため、レジ金を持ち帰るという行為に業務上横領罪が成立する余地はあると言えます。

2,まずは弁護士に相談を

窃盗罪業務上横領罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を行うことが身柄拘束からの解放や不起訴処分を獲得するうえで肝要となります。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、被害者は加害者に対して強い処罰感情を有しており、交渉に応じてもらえないことも考えられます。
しかし、弁護士が間に入れば、加害者が反省・謝罪の意思を有していることや被害の弁償等を行う意思があることなどを冷静かつ丁寧に被害者に説明することができ、交渉に応じていただける期待が十分に持てます。
そのため、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に依頼することがオススメです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、逮捕・勾留などにより身柄を拘束されてしまった方に対しては、初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】公然わいせつ罪と弁護活動(路上で通行中の女性に向けて下半身を露出したケース)

2024-09-27

【事例解説】公然わいせつ罪と弁護活動(路上で通行中の女性に向けて下半身を露出したケース)

今回は、北九州市の路上で、通行人の女性に向けて下半身を露出したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:路上で通行中の女性に向けて下半身を露出したケース

福岡県北九市の路上で、通行人の女性に向かって下半身を露出したとして、会社員のAさんが公然わいせつの疑いで逮捕されました。
Aさんは、北九州市の路上で、歩いていた女性に向かってズボンを下ろして自分の下半身を露出した疑いが持たれています。
警察によりますと、被害に遭った女性が警察に通報したことから事件が発覚しました。
その後、警察官が現場付近の防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「よく覚えていない」などと供述し、容疑を否認しているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,公然わいせつ罪について

〈公然わいせつ罪〉(刑法第174条)

公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法公然わいせつ罪は、公然とわいせつな行為をした場合に成立します。
公然と」とは、不特定又は多数人が認識することができる状態を言い、現実に不特定又は多数人が認識する必要はなく、認識可能性があれば公然性が認められます。
例えば、不特定多数人が通行する可能性がある場所でわいせつ行為を行った場合に、たとえ実際にその場に通行人が全くいなかったとしても、不特定多数人の認識可能性は存在するため、公然性は否定されません。
わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激または興奮させる行為で、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義的観念に反する行為を言います。
わいせつな行為」に当たるとされた具体的な行為は、陰部を露出するストリップショーや見物客に覗かせて密室内で性交の演技などがあります。
上記の事例では、Aさんは、路上という不特定多数人が通行する場所で、被害者の女性に対して自分の下半身を露出するというわいせつな行為を行っているため、Aさんの当該行為には公然わいせつ罪が成立する可能性があります。

2,否認事件における取調対応

逮捕により身柄拘束を受けている間に、被疑者は捜査機関から取調べを受けることになります。
被疑者には憲法上黙秘権が認められていますが、取調官との知識量などの力量差や、身柄拘束を受けて不安を抱えているなど被疑者の置かれた精神状態などを考慮すると、適切に黙秘権を行使することが難しい場合もあります。
また、上記の事例のように、被疑者が容疑を否認している場合に、やみくもに黙秘権を行使すれば、取調官の取調べが厳しくなったり、「このままでは帰れなくなる」など逮捕に続く勾留を匂わせて被疑者の恐怖や不安を煽り、被疑者に供述させるような取調べが行われたりすることも考えられます。
そして、取調べにおける被疑者の供述は供述調書となり、後に裁判が開かれた場合には証拠として重要な役割を持つことになるため、取調べにおいては慎重な供述が求められます。
もっとも、否認の際の取調べにおいて慎重に供述することや適切な黙秘権の行使には、刑事事件についての専門的な知識や経験が要求されます。
そのため、家族や親族が犯罪の疑いがあるとして逮捕・勾留されてしまい、かつ、その被疑者となった方が容疑について否認している場合には、刑事事件の専門的な知識や経験を有する弁護士に依頼して、取調べの対応についてのアドバイスを受けることが肝要となります。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県北九州市で公然わいせつ罪の当事者となりお困りの方、または家族・親族が公然わいせつ罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
公然わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、家族・親族が公然わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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