【事例解説】他人の漫画上のキャラクターを使用した著作権法違反事件

 他人が描いた漫画に出てくるキャラクターを使用した架空の著作権法違反事件を参考に、著作権法違反とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡市に住むAは、SNS上で知り合ったVが描いたオリジナルの漫画を読んでいたところ、その漫画に出てくるキャラクターを商品化すれば売れるだろうと考えました。
 そこで、Aは、Vが描いた漫画の一部を使用し、Tシャツやマグカップにプリントした上で、SNS上で販売する旨の投稿をしたところ、警察より連絡が来て、著作権法違反として取調べを受けることになりました。
(事例はフィクションです。)

著作権法違反について

 人が思想や感情を創作的に表現したものであって、文芸、芸術、美術、音楽の範囲に属するものを著作物といいます(著作権法2条1項1号)。
 著作権法は、著作物を創作した人(著作者といいます。同項2号)などの権利を保護することを目的とした法律です。

 著作権法では、「著作権」(同法17条1項)の一つとして、著作者に、その著作物を複製する権利を与えています(この権利を複製権といいます。同法21条)。
 「複製」とは、作品を複写したり、録画・録音したり、印刷や写真にしたり、模写(書き写し)したりすることをいいます。

 Vが描いた漫画は、著作物にあたります。そして、Aの行為は、Vが描いた漫画の一部を使用し、Tシャツやマグカップにプリントしたというものであり、著作物の「複製」に当たります。
 そこで、そうしたAの行為は、Vが「複製」に同意していない限り、著作権を侵害するものといえます。

 著作権法119条1項は、「著作権…を侵害した者」は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処する(又はこれを併科する)とされており、Aはその範囲で刑事責任を問われる可能性があります。

著作権法違反事件における弁護活動

 たとえば、Aは、商品を作成する当時、Vから使用の許可をもらっていたが、その後、Vとの関係性が悪化したことから、Vに通報されたような場合、Vから許可をもらっていたことに関する証拠に基づき、著作権法違反の罪に問われないことを主張していく必要があります。

 また、今回の事例とは異なりますが、一定の場合、著作物が自由に使えることになっています。仮に、そうした事情があった場合、著作物が自由に使える場合であることを、捜査機関や裁判所に主張していくことも考えられます。

 これに対して、Aの行為が著作権法違反の罪に問われる場合においても、著作権法は著作者などの権利の保護を目的とした法律であるため、被害者である著作者が処罰を望んでいるか重要となってきます。
 そこで、Aとしては、著作権者であるVとの間で示談をし、今回の件を許してもらうことを目指す必要があります。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、著作権法違反事件における刑事弁護の実績も多数あります。
 著作権法違反の罪として警察から取調べを受けるなどし、今後の対応についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

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