駐車場での当て逃げ
当て逃げについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県久留米市に住むAさん(50歳)はミニバンを運転し、家族5人で大型商業施設に買い物に来ていました。Aさんら家族は買い物を終え、Aさんは運転席に乗り込み駐車枠からミニバンを発進させたところ、突然、車内に「バン」という大きな音が鳴ると同時に車が少し揺れました。Aさんは「車をぶつけたかも」と思いました。また、後部座席に乗っていた中学3年の息子から「お父さん車ぶつけたみたいだよ。」と言われました。しかし、運転に自身があり、これまで交通違反、交通事故歴のなかったAさんは「まさか」と思い、「相手車に誰も乗ってないし」「逃げてもつかまりはしない」と思い、そのまま大型商業施設の駐車場を出て行きました。すると、後日、Aさんは福岡県久留米警察署の警察官から、「先日の駐車場の当て逃げの件で署まで出頭してほしい。」との連絡を受けました。Aさんは逮捕されるのではないかと不安になって、刑事事件に強い弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~ 当て逃げとは ~
「当て逃げ」とは、交通事故のうち「物損事故」があった場合において、当該交通事故に係る車両等の運転手等が「事故報告義務」を尽くさないことをいいます。
これに対して「ひき逃げ」とは、交通事故のうち「人身事故」があった場合において、当該交通事故に係る車両等の運転手等が「救護義務」、「事故報告義務」を尽くさないことをいいます。
これらの義務の法的根拠は道路交通法72条1項にあります。
道路交通法72条1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官か現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
~ どうすればよかったの?(事故報告義務の内容) ~
道路交通法72条1項によると、「交通事故があったとき~直ちに車両等を停止して~」とありますから、まず
車を直ちに停止させること
が必要です。他の交通の妨げとなる場合は、車を安全な場所に移動させ
その場に留まる
必要があります。
次に、「この場合において~」以下が、事故報告義務の具体的内容となります。つまり、適宜な方法により、
警察官に事故内容を報告
しなければなりません。
報告内容については、交通事故が発生した場所、日時、損壊した物、損壊の程度などとされていますが、警察官から聴かれた内容に回答すればOKです。
~ 当て逃げの罰則は? ~
罰則は3月以下の懲役又は5万円以下の罰金(道路交通法117条の5第1号)です。
なお、事故報告義務違反については反則金は設けられておらず、発覚すればただちに懲役刑、罰金刑などの刑事罰を科されるおそれがあります。刑事罰を科されるということは、逮捕の可能性もあります。また、刑事罰を科され、その裁判が確定すると前科となります。
~ 警察官から指示を受けたら? ~
また、警察官に事故報告をした際、警察官から、警察官が交通事故現場に到着するまでの間、現場から立ち去ってはならないことを命じられることがあります。
この命令に反して現場から立ち去った場合は、5万円以下の罰金を科される可能性があります。これについても反則金は設けられていません。
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