盗撮で風俗トラブル

2019-01-27

盗撮で風俗トラブル

Aさんは,性的サービスを受けようと思い,福岡市東区内にある店舗型風俗X店に入りました。AさんはX店に所属するVさん(20歳)を指名し,Vさんがいる個室に入りました。Aさんは,Vさんのことが気に入り,Vさんの裸の動画を撮って後で自分で楽しみたいと思いました。そこで,Aさんは,Vさんに知られないように,部屋の片隅に予め起動させたスマートフォンを設置しました。Aさんは,Vさんから性的サービスを受けた後,一人でシャワーを浴びました。そのとき,Vさんが部屋の片隅に設置されてあるスマートフォンを見つけました。AさんはVさんから問い詰められたあげく,内容を確認すると,動画にはVさんの裸などが映っていたので,Aさんは盗撮したことを認めました。Aさんは,その後,Vさんの上司であるXさんから「店に罰金100万円払わなければ警察に被害届を出す」と言われました。そこで,Aさんは盗撮風俗トラブルの対応に慣れた弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ Aさんの行為はどんな罪? ~

まず,Aさんが行った盗撮行為(スマートフォンを部屋の片隅に設置し,Vさんの裸などを撮る行為)はどんな罪に当たるのでしょうか?

= 福岡県迷惑行為防止条例 =

福岡県迷惑行為防止条例(以下,条例)6条3項には次の規定があります。

条例6条3項
 何人も,正当な理由がないのに,第1項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。

1号 公衆便所,公衆浴場,公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態を  のぞき見し,又は写真機等を用いて撮影すること。
2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること。

「その他公衆が通常衣服の全部又は一部を付けないでいるような場所」とは,例えば,旅館・ホテル等に設附された宿泊客用の大浴場(「公衆浴場」とは公衆浴場法第1条に規定する公衆浴場をいいます),百貨店・スーパーマーケット等に設附された来客用の便所(「公衆便所」とは,公園内,道路端等に設四されている公衆の用に供する便所をいいます),ショッピングセンターの授乳室などが挙げられます。
「公衆」とは不特定多数の者という意味ですから,「その他公衆が通常衣服の全部又は一部を付けないでいるような場所」というためには,上記の場所が不特定多数の者の用に供される場所でなければなりません。この点,本件の風俗店の個室は不特定多数の者の用に供される場所とは言い難いと思われます。
したがって,条例については場所の要件を欠き,Aさんの盗撮行為は条例には当たらないものと考えられます。

= 軽犯罪法 =

軽犯罪法23号(窃視の罪)に次の規定があります。

同号では,

 正当な理由がなくて人の住居,浴場,更衣場,便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

を「拘留又は科料」に処する旨定めています。

まず,「正当な理由がなく」と規定されていますが,ひそかにのぞき見る行為自体違法性を帯びる行為ですから,よほど例外的な場合でないかぎり「正当な理由あり」とされることはないでしょう。
次に,「人が通常衣服をつけないでいるような場所」とは,例えば,病院・医院の診察室,処置室,旅館の一室,キャンプ場におけるテント,船舶の船室などが挙げられます。「人」とは自分以外の他人という意味です。また,上記の条例と異なり「公衆」ではなく「人」と限定的に規定されています。「ような場所」とは,衣服を着けないでいる可能性があれば足りることを示しています。そのような場所であれば,現に人がいるかどうか,衣服を着けているかどうかは問わないとされています。
最後に,「のぞき見る」とは,肉眼で物陰や隙間からこっそり見ることを意味しますが,ビデオカメラを設置し録画した行為自体を「のぞき見る」に当たる旨判示した裁判例があります(福岡高裁平成27年4月15日判決)。

以上から,Aさんの盗撮行為は軽犯罪法23号に当たる可能性が高いです。

~ 弁護活動について ~

Aさんに対する弁護活動は,示談交渉が中心になってくるかと思います。
しかし,示談交渉を行うにあたって,いったい誰と示談交渉を行う必要があるのかという問題に当たることがあります。本件では,Vさんでしょか?XさんあるいはX店でしょうか?
この点,少なくとも刑事事件における直接の示談交渉の相手方はVさんです。上記の軽犯罪法で保護しようとしているのはVさんの権利,利益であって,Aさんの盗撮行為によって,Vさんの権利,利益が害されたと言えるからです。ただ,民事上は異なります。盗撮行為によってVさんが体調不良をきたし仕事を休み,それによって店側に損害が出たなどという場合はX店(実際はX店)と交渉する必要があるでしょう。

また,示談金額をいくらにするかということもしばしば問題となります。一概に,この事案だからいくら,この罪名だからいくらとは申し上げることはできません。事案の内容や交渉しだいで変動が生じるものです。それにしても,仮に,本件の示談金が100万円だったという場合は,通常の相場からすると高額のような印象も受けます。

以上,示談交渉には様々な問題点がつきものです。風俗トラブルで示談交渉の必要が出てきたら,決して一人で解決しようとせず,示談交渉を得意としている弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,盗撮事件や風俗トラブルなどの刑事事件を専門の法律事務所です。盗撮事件,風俗トラブルなどでお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービス24時間受け付けております。

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