半年前の覚せい剤使用で逮捕

2019-01-28

半年前の覚せい剤使用で逮捕  

北九州市小倉北区に住むAさんは,平成30年7月12日,福岡県小倉北警察署のガサを受けました。Aさんは,その際,警察官から尿を提出するよう求められたことからこれに応じ,警察官に尿を提出しました。Aさんは,取調べのため小倉北警察署まで出頭し,覚せい剤使用について事情聴取を受け,覚せい剤使用したことを認めました。Aさんが事情聴取を受けている最中,尿検査の結果が出たようで「陽性」だったようです。しかし,Aさんは警察官から「後日,呼ぶからその際は必ず出頭するように」とだけ言われて自宅へ帰されました。 そして,その半年後のことです。再び,警察官がAさんの自宅へやってきました。Aさんは,警察官による所持品検査を受けた後,「昨年7月頃,福岡市内で覚せい剤使用した」件(覚せい剤取締法違反)で通常逮捕されました。
(フィクションです)

~ 半年経った後でも逮捕できるのか ~

結論からいいますと,できます。

理由の一つとして,まず,覚せい剤使用の場合,極端な言い方をすれば,尿中に覚せい剤成分が含まれていた旨の鑑定書さえあれば,逮捕の要件である「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」(刑事訴訟法199条)と疑われてしまうからです。具体的には,鑑定書の存在によって,被疑者(Aさん)が「罪を犯したこと」,つまり覚せい剤を「意図的に」「使用した」ことが疑われてしまうというわけです。この疑いは,鑑定書が存在する限り,覚せい剤使用の時効(7年)が完成する場合を除いて,晴れることはありません。なお,覚せい剤使用事案において,その他の事実,例えば,いつ使用したのか(時期),どこで使用したのか(場所),どのように使用したのか(方法・態様)についてはそれほど重要な事実ではありません。これは,そもそも,覚せい剤使用は密航性が高い犯罪であるため,犯人が自白しない限り,覚せい剤使用時期,場所,方法・態様は判明しようがないからです。したがって,覚せい剤使用の場合,他の犯罪と違って,覚せい剤使用時期,場所,方法・態様が明らかとはなっていなくても逮捕されてしまいます。

次に,逮捕は,裁判官が発する逮捕状に基づかなければなりませんし,逮捕状には有効期限が定められています。しかし,逮捕状の有効期限が切れた場合は再度,裁判官に請求することができますし,請求や発布に関する回数の制限は設けられていません。したがって,警察や検察の捜査機関は,何度でも逮捕状を請求できますし,逮捕状さえ取得できれば,独自の裁量・判断で逮捕することができるのです。

~ 逮捕の理由,タイミングは正直分からない ~

では,「なぜ半年経ってから逮捕されたのか」という疑問が生じますし,そもそも,なぜ「陽性」という結果が出た時点で逮捕されなかったのかという疑問が生じます。ですが,逮捕するか,しないかの判断は,警察や検察の捜査機関に委ねられていますから,正直はっきりとした理由は分かりません。ただ,後者の理由として,一般的に考えられるは

逃亡のおそれがなかったから

だということになるでしょうか。そして,半年経って,被疑者(Aさん)に逃亡のおそれが出てきたことから逮捕されたとも考えられます。

では,なぜ,Aさんに逃亡のおそれがあると判断されたのでしょうか?
考えられる理由の一つとしては,余罪の判明です。つまり,覚せい剤使用の事実のみよりも,余罪が加わった方が刑が重くなる可能性があるわけですから,余罪が判明した場合,Aさんが,

重い刑罰を受けることをおそれて逃亡するおそれがある

と判断されてしまい,逮捕されてしまうのです。

~ 逮捕を回避するための対策 ~

ここでは逮捕を回避するための対策をいくつかご紹介します。

= 通常の生活を送る =

とにかく,通常通りの生活を送ることが大切です。そして,これ以上,犯罪を手を出さないことが逮捕のリスクを下げる方法だと思います。Aさんのように,一度,警察に目をつけられた方は,警察から終始見張られていると思って生活しましょう。特に,薬物事件の場合は再犯率が高い上に,他にも薬物の取引にも関与していると疑われることが多く,警察は,あなたが再度薬物を使用する機会,あるいは,取引に関与する機会を狙っているかもしれません。あなたが再度,犯罪に手を出した場合は,上記のとおり逮捕される可能性は極めて高くなりますし,刑の重さも重くなります。

= 薬物治療の専門機関を受診する =

また,警察の捜査(ガサ)を受けたことが更生のためのいい機会だととらえて,薬物治療の専門機関を受診されてはいかがでしょうか?定期的に通院していればご自身の再犯のリスクを下げ,逮捕のリスクも下げることに繋がります。また,仮に逮捕,その後勾留されたとしても,定期的に通院していれば早期に釈放されたり,執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高まります。そのためにも,日頃の通院時から,通院・受診したことの証明書(領収書等)はきちんと保管しておくべきでしょう。

= ご家族のご協力 =

薬物に手を染めてしまった場合,自力で更生することはほぼ不可能だと考えた方がいいでしょう。本人の更生のためには,周囲の協力が不可欠です。特に,ご家族は,ご本人にとって一番身近な存在です。ご家族としてできることは,そのご家庭の事情により様々だと思いますが,最低限,

・本人の所持品を検査する(部屋の中から,洋服,バックの中まで全て)
→薬物に関する物(パケ,注射器等)を持っていないかどうか
・同居し,生活状況や行動を監視,監督する
→逃亡しないかどうか

ことは必要となってきます。また,専門機関への受診を本人任せにせず,通院・受診に付き添ったり,事後的に報告させたりするなどしてご家族ぐるみでご本人を更生させていくことが大切です。 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、覚せい剤をはじめとする薬物・刑事事件を専門の法律事務所です。お困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
福岡県小倉北警察署までの初回接見費用:39,740円)

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