取調べ認められている権利,対応方法
北九州市小倉北区に住むAさんは,JR小倉駅の構内で盗撮した件で,福岡県小倉警察署から福岡県迷惑行為防止条例違反の疑いで出頭の要請を受けました。Aさんは,警察から出頭要請を受けることははじめてで,警察でどんなことをされるのか不安で一杯です。そこで,Aさんは出頭前に一度,盗撮事件に強い弁護士に相談することにしました。
~ メインは取調べ ~
刑事事件において,犯人(被疑者)が警察署で受けることとすれば,警察官の取調べがメインとなります。取調べと聴くと,みなさんはどんなことを想像されるでしょうか?まず,取調べ室はプライバシーを確保する観点からも,警察官の事務室とは別の箇所に設けられ,もちろん,犯人一人につき一個の部屋が設けられています。いわゆる密室と呼ばれる部屋です。そして,その密室に,少なくとも話を聴く警察官が一人,メモを取る一人が入ります。つまり,「犯人」対「警察官2人」となるわけです。また,ここがミソなのですが,犯人は取調べ室の扉とは反対側の席に座るよう誘導されます。これは,一つには,以下でご説明するとおり取調べ室からの退去権が認められているのですが,扉とは反対側に座らせることによって退去権行使への心理的抑止を図っているとも受け取れそうです。
~ 取調べに関する最近の流れ ~
報道によれば,政府は,4月16日,一部の事件の全過程について,取調べの録音・録画(可視化)の義務化を6月1日から始めることを閣議決定したとのことです。取調べの義務化については,3年前に成立している改正刑事訴訟法に盛り込まれていることが特徴です。義務化される事件は
・裁判員裁判対象事件(強盗殺人,殺人,放火など一定の重大事件)
・検察が独自に捜査する事件(汚職,収賄事件など)
です。盗撮は,残念ながら「裁判員裁判対象事件」でもなければ,「検察が独自に捜査する事件」でもないため義務化の対象ではありません。しかし,法律には明記されなくても検察,警察の内部の通達等により対象となり得ることも予想されます。
~ 取調べで認められている権利 ~
上記のとおり,盗撮は取調べ可視化の対象事件ではありませんが,取調べで認められている法的権利は対象事件であろうがなかろうが関係ありません。そこで,以下では取調べで認められている法的権利について今一度確認してみることにします。
= 黙秘権=
取調官は,取調べを始めるにあたって,被疑者に対し,自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げる必要があります。あなたは,取調中は終始沈黙(黙秘)することができます。
= 増減変更申立権 =
供述調書が作成されると,取調官から内容に間違いがないかどうか問われます。ここで自分の意図したこと(話したこと)と異なる内容が書かれてあった場合は,どんな些細なことでも構いませんので,遠慮なく,内容の変更,あるいは内容の増減を申し立ててください。
= 署名押印拒否権 =
供述調書の内容の確認が終わると,最後に,供述調書への署名・押印を求められます。ここで,署名・押印してしまうと,その供述調書に書かれた内容=あなたが話した内容として裁判で証拠として扱われることになります。取調官は,あなたに署名・押印させようと説得を試みますが,署名・押印の拒否は,あくまであなたの判断で行うことができます。
= 出頭拒否権,退去権 =
在宅事件の場合,被疑者は,捜査機関からの出頭要請を拒否することができます。また,取調べ後は,いつでも取調べ室から退去することができます。ただし,身柄を拘束されている場合,実務上,退去権は認められていません。
~ おわりに ~
以上のように,取調べには法的権利が認められているものの,いざ行使となると「本当に行使していいのか?」「警察官が怖くて行使できない」という方も多い方と思われます。そういった場合は,一度,弁護士へご相談ください。弁護士であれば,より具体的なアドバイスをさせていただくことが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件を起こしお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。