東京オリンピックチケット追加販売~チケット転売防止法って?~

東京オリンピックチケット追加販売~チケット転売防止法って?~

チケット転売防止法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市中央区に住む会社員Aさん(32歳)は、東京オリンピックの公式サイトで、2020年に開催される東京オリンピックの柔道観戦チケット(1枚、1万円)を2枚購入しました。ところが、Aさんは、チケット購入後会社の上司から、急遽、来年春から1年間海外出張を命じられ柔道を観戦することができなくなりました。Aさんは観戦チケットが不要となったことから、LINEで知人Bさんに「オリンピックの柔道観戦でいなくなったから、1枚、1万円で2枚買わない?」と持ち掛けたところ、Bさんはオリンピックチケットを購入できていなかったことから、Bさんから「ぜひ、よろしく!」などと返信を受けました。そして、AさんはBさんに直接Bさんに観戦チケットを手渡し、Bさんから2万円を受け取りました。とことが、後日、Aさんは今年6月14日から「チケット転売防止法」が施行され、「不正転売」が禁止され、罰則が設けられていることを知りました。Aさんは、Bさんに観戦チケットを売った件で処罰されるのではないかと不安になり、チケット転売防止法に詳しい弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ チケット転売防止法とは ~

チケット転売防止法とは、正式名称

特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(以下、法律といいます)

といいます。「不正転売防止法」とも呼ばれています。

東京オリンピックチケットの第1次抽選販売が令和元年5月9日から開始された(販売受付終了)ことに呼応するかのように、チケット転売防止法

令和元年6月14日から施行

されています。

8月8日からは第1次抽選販売で1枚を取得することができなかった人を対象に「追加抽選販売」の受付が始まっています。

~ どんな「もの」が対象となるの? ~

どんなものがチケット転売防止法の対象となるのでしょうか?
この点、チケット転売防止法は「特定興行入場券」を対象とするとしています。
「特定興行入場券」とは、

「興行入場券」であって、不特定又は多数の者に販売され、下記ウ・エの要件を満たすもの

をいいます。
「興行入場券」とは、

ア それを提示することにより「興行」を行う場所に入場することができる証票
イ 「興行」とは、映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定又は多数の者に見せ、又は聴かせるもので、日本国内で行われるもの

をいい、それに加え、

ウ 興行主やその委託を受けた販売業者が、販売時に、(ⅰ)同意のない有償譲渡を禁止し、入場資格者か購入者の氏名・連絡先を確認した上で、(ⅰ)(ⅱ)が券面などに表 示されているもの
エ 興行の日時・場所のほか、入場資格者か座席が指定されているもの

が「特定興行入場券」に当たることになります。
 
東京オリンピックチケットの現物を見たわけではありませんが、上記アからエのすべての要件を満たし「特定興行入場券」ということができるのではないでしょうか?

~ どんな「行為」が処罰の対象となるの? ~

そして、Aさんのように気になるのが、どんな行為が処罰の対象となるのか?ということではないでしょうか?
この点、チケット転売防止法は、①「不正転売」と②「不正仕入」の2つの行為を禁止しています。①は売った側、②は買った側を処罰の対象とするものですから、今回は、①が問題となります。

そして、チケット転売防止法は「特定興行入場券の不正転売」につき、

興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの

と定義しています。つまり、「特定興行入場券の不正転売」というためには

ア 業として行う有償譲渡であること
イ 特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格としたこと

の2点がポイントとなるのではないかと思います。
「業として」とは、有償譲渡を反復継続する意思を持って、という意味で、Aさんのように1回限りの有償譲渡では「業として」には当たらないでしょう(ただし、当該取引が1回であっても、それまでに多数の有償取引がある場合には「業として」に当たることがあります)。また、販売価格も定価を超えていません。

したがって、Aさんが「不定転売」に問われることはありません。安心してください。

~ 転売したい人はどうしたらいい? ~

現在、東京オリンピックチケットのオークションサイトでの出品は禁止されています。組織委員会では監視システムを導入するなどして警察と連携を図っているとのことですから絶対にやめましょう。
どうしても転売したい人は「チケット購入者の親族または友人、同僚その他の知人」であれば「販売価格を超えない額」で転売することは可能です。
それでも、「転売できる人がいない」という方は、転売を諦めるか、来年春に開設よていの公式リセールサイトが開設されるのを待ちましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は,まずは,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談初回接見サービスの受け付けを行っております。

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