特殊詐欺と幇助罪

2019-02-01

特殊詐欺と幇助罪

福岡県春日市に住むAさんは、友人のBさんから、いいバイトがあるんだけど、やってくれる人を探していると言われました。
Aさん自身は、その時他のバイトが忙しかったこともあって、Bさんのバイトをすることはできませんでしたので、代わりの人を探すと答えました。
その時AさんがBさんから言われた仕事の内容は、①仕事が入る日は、大体4時間くらい入る②荷物を受け取って、別の人のところに届ける仕事である③1回仕事が終われば、大体3万円くらい報酬を渡すというものでした。
Aさんとしては、時間の割にかなり報酬が良い仕事だと思いましたが、特段不審には思わず、友人のCさんを紹介しました。しかし、実際はいわゆる特殊詐欺での仕事でした。
AさんがCさんをBさんに紹介すると、CさんとBさんは直接連絡をとりあっているようでしたが、時々AさんのところにもBさんから「Cに○日仕事って伝えといて」といったような伝言が来たり、「これCに渡す報酬だから」といってBさんから報酬を渡されたりしました。
また、Aさん自身もCさんを紹介した対価として、Bさんから1万円を受け取りました。
Aさんが、ある日バイトのために家を出ようとすると、家の前に福岡県春日警察署の人がいて、そのまま逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、突然のことに驚き、特殊詐欺事件にも強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

~Aさんに何罪が成立するのか~

それでは、Aさんにはどのような罪が成立するのでしょうか。
そもそも、Aさんは、自分が紹介した仕事が詐欺であるという事は知っていたのかが問題となります。
今回であれば、荷物を受け渡すという、典型的な詐欺の手段であることや、仕事の内容からして報酬があまりにも高すぎること等から考えれば、Aさんが詐欺であると知らなかったと主張したとしても、それが認められるとは限らないという可能性もあります。
では、仮にAさんが詐欺であることを知っていたという風に認定されたとして、その場合Aさんに成立する罪はどのような罪でしょうか。
Aさんは、詐欺罪に加担したのですから、詐欺罪になるとも考えられます。
この場合は、10年以下の懲役という刑で処断されることとなります。
これに対し、Aさんの関与の程度が低いと考えられた場合には、詐欺幇助罪という別の罪となります。
詐欺幇助罪は、詐欺には加担したけれども、その関与の程度が低い場合に成立する罪です。
では、詐欺罪か、詐欺幇助罪かは、どのような基準で別れているのでしょうか。
これについて明確な決まりがあるわけではないのですが、「重要な役割を果たした」といえる場合には、詐欺罪が成立し、そこまでではない場合には、詐欺幇助罪が成立すると考えられています。
この場合、刑が半分になり、5年以下の懲役という刑で処断されます。
本件について考えてみましょう。
今回の詐欺事件は、実行犯はCさんですし、特殊詐欺によくある電話(息子を装ってかけるような電話です)も、Aさんがかけたわけではありません。
このような意味では、Aさんは詐欺に当たる行為を特別しているわけではありません。
しかし、Cさんがいなければ詐欺が実行できなかったといえる以上、Aさんがいなければ、BさんにCさんのことが伝わることはなかったといえるのですから、Aさんは、今回の犯行に不可欠な役割を果たしたとも言えそうです。
しかし、AさんがCさんを紹介して以降、BさんとCさんは直接やり取りをしていますから、今回の事件に限れば、Aさんは関係ないとも言えます。
また、Aさんは実際に報酬も受け取っていることからすると、重要な役割を担っていない人物に報酬を渡すとは考えにくいですから、Aさんはそれなりに重要な役割なのかもしれません。
しかし、金額は1万円と、あまり大きな金額ではありませんから、そのような意味では、Aさんは重要な役割とは評価されていなかったのかもしれません。

以上のような事実からすると、今回の場合には、Aさんには詐欺幇助罪が成立するにとどまる可能性があります。
しかし、上で上げた事実の多くは、Aさんの取調べの中で分かってくる事実です(Aさんが逮捕されるとき、Cさんは逮捕されていますが、Bさんは逮捕されていないことが多くあります)。
そのため、取調でどのような事実を話していくのかは重要になります。
Aさんの取調べでの答え方次第で、法定刑を半分にすることが出来る可能性がありますから、早期に弁護士に相談して、取調べにどのように答えるかは大切になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、特殊詐欺事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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