大麻取締法違反(栽培ほう助)で逮捕

大麻取締法違反栽培ほう助)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~
福岡県福岡市中央区の園芸用品販売会社に勤めるAさんは、ある日、福岡県中央警察署大麻取締法違反栽培ほう助)の容疑で逮捕されました。
大麻の栽培に使用することを知りながら、複数の客に大麻育成に必要な照明器具などを販売したという疑いで、会社の社長Bさん、従業員のCさんと共に逮捕されました。
Aさんは、「大麻の栽培に使用されるなんて知らなかった。」と供述しているとのことですが、捜査機関は、県内で大麻の営利目的栽培で複数人を摘発しており、その被疑者らが栽培用具をAさんの勤める会社から購入したことが分かっており、客に対して栽培方法についてのアドバイスもしていたとみて調べを進めています。
(実際の事件を基にしたフィクションです。)

大麻取締法違反:栽培ほう助罪

大麻取締法で規制対象となる「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)とその製品です。
大麻草の成熟した茎や樹脂を除くその製品、大麻草の種子やその製品は、大麻取締法における「大麻」から除かれます。

大麻取締法は、その第3条において、大麻取扱者以外の大麻の所持・栽培・譲受・譲渡し・研究目的使用を禁止しています。
大麻の所持・栽培・譲受・譲渡・研究目的使用が許される「大麻取扱者」というのは、大麻栽培者と大麻研究者です。
前者は、都道府県知事の免許を受けて、繊維もしくは趣旨を採取する目的で大麻草を栽培する者をいい、後者は、都道府県知事の免許を受けて、大麻を研究する目的で大麻草を栽培・使用する者をいいます。
大麻の所持・栽培・譲受・譲渡し・研究目的使用が許される「大麻取扱者」でない者が、大麻の所持・栽培・譲受・譲渡し・研究目的使用を行った場合には、大麻取締法違反となり刑事罰が科される可能性があります。

大麻の違法栽培に対する罰則については、大麻取締法第24条に規定されています。

第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

「みだりに」というのは、「違法に」という意味で、この場合、許可を受けていないのに大麻を栽培等することを意味します。
大麻の違法栽培の法定刑は、7年以下の懲役です。
営利目的であった場合は、刑が加重され10年以下の懲役、情状により10年以下の懲役と300万円以下の罰金となります。

Aさんらは、大麻の栽培ほう助罪に問われています。
ほう助」については、刑法第62条に規定されています。

第六十二条 正犯を幇ほう助した者は、従犯とする。
2 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。

ほう助犯は、「正犯をほう助した者」のことです。
ほう助犯が成立するためには、
ほう助者が「正犯をほう助」し、
②被ほう助者が犯罪を実行した
ことが必要となります。

①正犯をほう助すること
ほう助行為とほう助の故意が必要です。
ほう助行為は、実行行為以外の行為によって正犯を補助し、その実行行為を容易にする行為を行うことです。
ほう助の方法は、物理的であると精神的であるとを問いません。
また、正犯をほう助する意思も必要です。
ほう助の意思の内容については、学説により争いがあるところですが、被ほう助者である正犯が犯罪の結果を発生させることまでの認識・認容を意味すると一般的に理解されています。

②被ほう助者が犯罪を実行したこと
ほう助行為は行われたものの、正犯者が実行の着手に至らなかった場合、つまりほう助の未遂は、不可罰となります。
一方、被ほう助者が実行行為に出たものの、その犯罪が未遂に終わった場合を未遂犯のほう助といいますが、この場合は処罰の対象となります。

さて、Aさんは、用具を販売した客が大麻を栽培することを知らなかったと供述しています。
ほう助の故意を否認しているわけです。
主観的要件のため、ほう助の故意を立証することは容易ではありません。
しかし、故意を推認させるような証拠、例えば、客がAさんから大麻の栽培方法についてアドバイスを受けていた事実などがあれば、Aさんが単に「知らなかった」と主張しても通らないでしょう。
また、捜査機関の取調べにおいて、被疑者が供述した内容が供述調書として後の公判で証拠として使用される可能性がありますが、その取調べにおいて、故意があったと思わせるような供述が取られると、後々に争うことは難しいのです。
ですので、被疑者段階での取調べ対応はしっかりと行うことが重要です。

ご家族が刑事事件を起こしてしまった場合には、すぐに刑事事件に強い弁護士に接見を依頼されるのがよいでしょう。
弁護士は、逮捕された方から事件の詳細を伺った上で、今後の流れや取調べ対応について的確なアドバイスを行います。
特に、否認事件の場合には、自分の意に反した供述調書がとられないよう注意を払い取調べに対応する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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