【窃盗】窃盗の認知件数、戦後最小
窃盗と認知件数について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡事務所が解説します。
先日2月10日、警察庁より2019年の刑法犯認知件数の確定値が発表されました。それによると刑法犯全体の認知件数は前年比6万8779件減の74万8559件で、戦後最小を記録したとのことです。ちなみに戦後最多だったのは2004年(平成16年)の285万4061件ですから、それから比べると大幅に減少していることが分かります。また、人口1000人当たりの認知件数も5.9件と戦後最小だったとのことです。では、窃盗犯の認知件数はどうだったのでしょうか?
~ 認知件数とは ~
その前に、認知件数とは何を意味するのかご存じでしょうか?
認知件数とは、警察が「ある事実」を「犯罪」として認めた件数をいいます。
認知には
・110番通報、窃盗などの被害届、名誉棄損などの告訴、告発を受理する場合のように、警察が受動的に〈犯罪〉を認知する場合の受動的認知
・児童ポルノや贈収賄、賭博や薬物事犯などのように、積極的に捜査を進めて行って〈犯罪〉を認知する場合の能動的認知
があります。
しかし、警察に被害届や告訴状を提出したとしてもそこに記載されてある「事実」が本当に「犯罪」に当たるかどうかはまだ分からないという場合もあります。また、警察が積極的に捜査を進める場合でも、捜査過程では、捜査対象となっている「事実」が「犯罪」に当たるかどうかはまだ分かりません。
警察は、こうした不確定な事実をも認知件数に含めているわけはなく、本当に犯罪に当たると判断した事実にかかる刑法犯のみを認知件数の対象としているのです。
なお、刑法犯とは、以下に代表されるような刑法に規定された犯罪類型のみを指し、それ以外の犯罪は含まれていないことにも注意が必要です。
・窃盗(刑法235条)
・殺人(刑法199条など)
・強盗(刑法236条など)
・放火(刑法108条など)
~ 窃盗の認知件数 ~
2019年の窃盗の認知件数も53万2565件と戦後最小だったとのことです。
ちなみに、窃盗の認知件数の戦後最多は2002年の237万7488件だったそうです。また、近年の傾向を見ても窃盗の認知件数は徐々に減少してきていることが分かります。
2015年 80万7560件
2016年 72万3148件
2017年 65万6498件
2018年 58万2141件
警察は窃盗の手口別に
・他人の家、建物に立ち入って窃盗を行う侵入盗
・車などの乗り物の窃盗を行う乗り物盗
・上記以外の非侵入盗
の3つに区分しており、2019年では、
・侵入盗 5万7808件
・乗り物盗 18万7101件
・非侵入盗 28万7656件
とのことです。それぞれの手口ではさらに細かく手口が分かれていますが、非侵入盗の中では「万引き」が9万3812件と最も多く、前年(9万9692件)と比べても減少率が他の手口に比べて低いのが特徴です。
~ 窃盗に関する罰則 ~
最後に窃盗に関する罰則などについてご紹介します。
まず、刑法235条に規定されている罰則は「10年以上の懲役又は50万円以下の罰金」です。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
また、窃盗という単語は強盗罪の一種である事後強盗罪(刑法238条)という罪名にも出てきます。
刑法238条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
事後強盗罪は窃盗犯(既遂犯、未遂犯を問わない)が、窃盗後に被害者や目撃者などに暴行、脅迫を加えて成立する犯罪で強盗罪の一種ですから、罰則は「5年以上の有期懲役」です。
その他、刑法犯ではありませんが、盗犯等ノ防止及処分二関スル法律、という刑法とは別の法律の3条に常習累犯窃盗罪という罪が規定されています。
常習累犯窃盗罪は、簡単に言うと、窃盗などでの服役を繰り返し、さらに窃盗を犯した場合に成立する犯罪で、罰則は3年以上の有期懲役とされています。
刑法犯、窃盗犯の認知件数自体は減少したものの、まだまだ完全になくなったわけではありません。ということはご家族などが窃盗罪を犯したとして警察に認知され、警察に逮捕されることはまだまだありえます。特に、窃盗は日常生活に身近な犯罪といっても過言ではありませんから、その可能性は高いと言えるでしょう。万が一ご家族が窃盗で逮捕された場合は窃盗に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部の弁護士まで初回接見、弁護活動をご依頼ください。
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