【窃盗】糸島市~車いす生活の父親が万引きで逮捕
車いす生活の父親が窃盗罪で逮捕された件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県糸島市に住む高齢の男性Aさん(79歳)は、5年前に脳梗塞を患い半身不随となって電動車いす生活を余儀なくされていました。Aさんは、10年前にすでに妻に他界され一人暮らしを送っていましたが、自宅から車で約10分のところに長男夫婦が住んでおり、週末に食事などの世話を受けていました。ある日、Aさんは、食料の買い出しに、所持金5000円をもって自宅から電動車いすに乗って近いスーパーに出かけました。Aさんはスーパーに入ると旬のカキを見つけました。ところが、Aさんは「お金を使うのがもったいない」と思い、電動車いすに乗ったまま車いすにかけていた手提げ袋にかき2個を入れ、レジで精算することなく店外に出ました(万引き)。そうしたところ、Aさんは、Aさんの行動を一部終始みていた保安員に「おじいちゃん、精算がお済でないですよ。」などと声をかけられその場で窃盗罪で現行犯逮捕されてしまいました。そして、Aさんは、スーパーに駆け付けた福岡県糸島警察署の警察官に身柄を引き渡されそのまま警察署内の留置場に収容されてしまいました。一方、逮捕の通知を受けた長男夫婦はこれを聞いて驚き、父親を釈放してもらうため弁護士に接見とその後の弁護活動を依頼しました。
~ 万引きは窃盗罪 ~
まずもって確認しなければならないのは、どんな態様・方法であるかを問わず、万引きは
窃盗罪
という立派な犯罪であるということです。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
~ 万引きで逮捕されるの? ~
万引きも犯罪である以上、逮捕される可能性は十分にあります。
そして、万引きといえば、保安員等に万引きの瞬間を目撃され、店外に出たところで逮捕される
現行犯人逮捕
のイメージが多いかと思いますが、逮捕には「現行犯逮捕」のほかに「通常逮捕」、「緊急逮捕」の3種類があり、通常逮捕や緊急逮捕によっても逮捕されることがあります。
現行犯逮捕と通常逮捕、緊急逮捕との違いは、前者は逮捕状を不要とする、後者は逮捕状を必要とする(緊急逮捕の場合は事後的に必要とする)点です。つまり、万引きといっても現行犯逮捕によりその場で逮捕されることはもちろん、逮捕状により後日逮捕されることも十分あり得るのです。
~ どんな場合に逮捕されるの? ~
逮捕には条件があります。
それは「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」です。
逮捕の理由とは、簡単にいうと
犯人が罪を犯したと疑われること
です。
犯人が罪を犯したとかどうかは、様々な証拠に基づき判断されます。本件のような現行犯逮捕の場合は、「万引きを見た」という「保安員の供述」が決め手となるでしょう。
次に、逮捕の必要性については、まずは逮捕の必要性に関する刑事訴訟規則を確認していただきます。
それによると、
刑事訴訟法143条の3
逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。
つまり、逮捕の必要性とは
罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあること
をいいいます。
そして、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあることは、
被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情
から判断する、としているのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881ま