ながら運転の罰則、反則金強化について②~反則金、違反点数について~
ながら運転について、あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
北九州市小倉北区に住むAさんは、スマートフォンで電話をしながら営業車を運転していたところ、信号待ちで停車していたVさん運転の車に気づかず、営業車をVさん運転の車に衝突させ、Vさんに加療約3週間の怪我を負わせてしまいました。Aさんは大変なことをしてしまったと思い、すぐさまVさんに近寄ってVさんの容体を確認するとともに、110番通報、119番通報して警察官、救急隊員が現場に到着するのを待ちました。そして、Aさんは駆け付けた福岡県小倉北警察署の警察官に「前の車に気づかなかった」「スマートフォンで電話しながら運転していた」と話し、過失運転致傷罪の容疑で警察署で事情を聞かれることになりました。
~ はじめに ~
前回の「ながら運転の罰則、反則金強化について①~罰則について~」では、自動車及び原動機付自転車を走行中に、スマートフォン等を
・通話のために使用し、又はその画像を注視し、よって道路における交通の危険を生じさせた場合(以下、単に「交通の危険」といいます)
・単に通話のために使用し、又はその画像を注視した場合(以下、単に「保持」といいます)
の罰則が強化されたというお話をいたしました。今回は、先日、7月18日、警察庁の
ながら運転の反則金が3倍に引き上げ?
とのニュースが発表されたことから、今回はながら運転の「反則金」と「違反点数」が今後どうなるかという点をお話したいと思います。
~ 反則金について ~
皆さんもご存知のように、反則行為をした方が国に納付すべきお金のことをいいます。手続を簡単にご説明すれば、反則行為で検挙されると、通称「青切符」(正式名称:交通反則告知書)を交付されます。そして、そこに記載された金額を金融機関等で納付すれば、事件は検察庁へ送致されることなく終了ということになります(もちろん、刑事処分んを受けたり、前科が付くことはありません)。
反則金額及びそれに対応する反則行為の種別については、道路交通法施行令という政令の45条に基づく別表6に記載されています。
道路交通法施行令45条
法(道路交通法)第125条第1項の政令で定める反則行為の種別及び同条第3項の政令で定める反則金の額は、別表第6に定めるとおりとする。
それによると、現行は、
「交通の危険」の反則金は、大型自動車「1万2000円」、普通車「9000円」、二輪車「7000円」、原付車「6000円」
で、
「保持」の反則金は、大型車「7000円」、普通車又は二輪車「6000円」、原付車「5000円」
です。これが今後は、
「交通の危険」については反則金は撤廃
され、
「保持」の反則金は、大型車「2万5000円」、普通車「1万8000円」、二輪車「1万5000円」、原付車「1万2000円」
と、現行より約2倍から3倍程度引き上げられる可能性があります(警察庁は8月20日までパブリックコメントを受け付けています)。なお、「交通の危険」について反則金が撤廃されるということは、検挙されれば「青切符」ではなく、
「赤色切符」が交付され、事件は検察庁へ送致される
ことになります。ということは、刑事処分を受け、先日ご紹介した、「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」の範囲内で刑罰を受けるおそれ、前科が付くおそれが高くなったということもできます。
~ 違反点数について ~
違反点数については、道路交通法施行令33条の2等に基づく別表2に記載されています。
道路交通法施行令33条の2第3項(参考)
(略)累積点数は、(略)違反行為(略)のそれぞれについて別表2に定めるところにより付した点数の合計をいう。
それによると、現行は、
「交通の危険」の違反点数は2点、「保持」の違反点数は1点
とされているところ、今後は、
「交通の危険」の違反点数が6点、「保持」の違反点数は3点
となる可能性があるとのことです。
ちなみに、過去に違反行為をしたことがない人であっても「交通の危険」を犯せば刑事処分に加え、30日間免許停止の行政処分を受ける可能性もあります。
ながら運転は危険ですから絶対にやめましょう!
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