強制性交等事件と故意

2019-08-21

強制性交等事件と故意

北九州市小倉南区に住む会社員のAさん(28歳)は,知人女性Vさん(29歳)の自宅においてVさんに対して無理やり性交を行ったとして,Vさんから福岡県小倉南警察署に被害届を出され、強制性交等罪で逮捕されてしまいました。Aさんは、母親の依頼で接見に来た弁護士に、「Vさんと合意の上で性交したので、被害届を提出されたこと、逮捕されたことには納得がいかない」などと話しています。接見後、弁護士は、Aさんに強制性交等罪を行う故意がないとして検察官に不起訴処分を求めていく弁護活動を始めました。
(フィクションです。)

~ 強制性交等罪 ~

Aさんが疑いをかけられている強制性交等罪は刑法177条に規定されています。

刑法177条
 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等罪は、平成29年7月13日に施行された改正刑法によって罪の名称(改正前は「強姦罪」)や構成要件、法定刑が変更されています。強姦罪では、「暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。」とされていました。つまり、罪の客体(被害者)を「女子」→単なる「者(つまり男子を含む)」とすること、行為を「姦淫(陰茎を膣内に挿入すること)」→「性交」のほか「肛門性交」「口腔性交」まで拡大したこと、法定刑を「3年以上の有期懲役」→「5年以上の有期懲役」に変更されています。
また、強姦罪は、被害者の告訴がなければ検察官が公訴を提起(起訴)できない親告罪でしたが、強制性交等罪では非親告罪、つまり被害者の告訴を不要とする罪に変更となったことも大きな変更点です。

~ 強制性交等罪と同意 ~

ところで、強制性交等罪は、被害者の性的自由を保護する(保護法益とする)罪ですから、被害者自身がその保護法益を自ら放棄する場合はもはやその被害者を法で保護する必要はありません。このように、法益の帰属主体たる被害者が、自分にとって処分可能な法益を放棄し、その侵害に同意又は承諾を与えることを被害者の「同意」とか「承諾」といいます。被害者の同意がある場合は、その行為に「違法性がない」とされ、行為者(犯人、被疑者、被告人)が罪に問われることはありません。なお、強制性交等罪の場合、13歳未満の者の「同意」はそもそも有効な同意とはいえないことから(そのような判断能力を備えていないから)、13歳未満の「同意」は本来の「同意」とはいえず、仮に13歳未満の者の表面上の「同意」があったとしても罪に問われてしまいます。

また、強制性交等罪故意犯ですから、行為者を罪に問うには、被害者に対する「暴行・脅迫」の事実に加え、行為者がこの「暴行・脅迫」の事実を認識していたこと(故意)、が認められなければなりません。Aさんのように、強制性交等罪故意を否認する場合は、この「暴行・脅迫の認識」が欠けていること通常です。

~ 故意がないと主張するには? ~

ただし、いくら故意がない、認識がないといっても捜査機関、裁判所は簡単には信じてくれないでしょう。
あなたは「同意があった」、被害者は「同意はなかった」といっているわけですから、どちらの話がより信用できるのか慎重に検討する必要があります。具体的には、あなたと被害者の関係、犯行に至るまでの経緯、犯行現場とされる現場の状況、犯行態様などをできる限り客観的な証拠(メールのやり取りなど)で精査していく必要があります。
その結果、被害者の話が信用できないということになれば、不起訴(嫌疑不十分)、無罪となる可能性が高くなるでしょう。
もっとも、こうした主張をする場合、反対に「反省していない」ともみなされかねませんから、弁護士とよく相談して慎重に検討していく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

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