元風俗嬢に対する名誉棄損罪

2019-08-19

元風俗嬢に対する名誉棄損罪

名誉棄損罪について、あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県博多区に住むAさんは、中州にある個室ヘルス店の常連客でした。Aさんは、長年指名し続けていたVさんと仲良くなり、Vさんから個人名などの個人情報を教えてもらったほか、店外で食事するなどしていました。ところが、後日、AさんはVさんから、「一身上の都合でヘルス店で働けなくなったこと」、「Aさんとデートすることはお断りすること」を告げられました。

Aさんははじめ、何度も何度もVさんに今までどおり交際(デート)を続けてくれないか懇願しましたが、Vさんの態度は頑なでした。そこで、Aさんは、SNS上で、「●●に住むVさんは●●の風俗店で働いていた」などという書き込みをしました。そうしたところ、Aさんは、Vさんの代理人弁護士から、「書き込みを削除すること」「慰謝料として50万円支払うこと」を言われ、これができなければ「●●警察署に名誉棄損罪で告訴する」と告げられました。そこで、Aさんは風俗トラブルに詳しい弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

近年は、ツイッター、インスタグラムやフェイスブックなどのSNSで誰でも簡単に、しかも匿名でも書き込みできる時代です。ですから、自分の投稿が名誉棄損罪にあたり警察沙汰になるなど思わぬ事態に発展する可能性も考えられます。そこで今回は名誉棄損罪について詳しく見ていきましょう。

~ 名誉棄損罪とは ~

名誉棄損とは、文字通り、他人の名誉を傷つけることをいいます。名誉棄損を行うと刑事上の責任と民事上の責任に問われる可能性があります。

刑事上の名誉棄損罪については刑法230条に規定されています。

刑法230条
1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2項 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘時することによってした場合でなければ、罰しない。

刑法232条
この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

「名誉」とは、社会の人に対する評価又は価値と解されています。
「公然」とは、不特定又は多数人が認識し得る状態と解されています。そして、不特定又は多数人が認識し得る状態は、不特定又は多数人の視聴に達し得べき状態であれば足り、現実に、人々が覚知したことを要しないとされています。
「事実を摘示する」とは、社会の人に対する評価を低下させるおそれのある具体的事実を指摘、表示することをいいます。

これを本件についてみると、Aさんが「●●に住むVさんは●●の風俗店で働いていた」などと書き込む行為は「事実を摘示する」に当たります。また、ご存知のように、SNSに掲示された内容は、インターネットを通じて誰でもいつでも閲覧することが可能ですから、AさんがSNSに書き込んだ行為は「公然」と「事実を摘示した」ことに当たるでしょう。そして、風俗嬢として働いている方は、一般に、自己の職業を知られたくないと考えられているでしょうから、Aさんのこうした行為は、Vさんの「名誉」を毀損する行為にも繋がりかねません。

* 侮辱罪(刑法231条)との違い *

侮辱罪は刑法231条に規定されています。

刑法231条 
 事実を摘示なくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

侮辱罪との違いは「事実を摘示したかどうか」です。
「●●の風俗嬢は馬鹿だ」などと意見、憶測を摘示したに過ぎない場合は侮辱罪です。

~ 名誉棄損罪、侮辱罪は親告罪 ~

告訴がなければ検察が公訴を提起(起訴)できない犯罪を親告罪といいます。この点、名誉棄損罪、侮辱罪は親告罪です。
親告罪において、被害者側が捜査機関に告訴状を提出しなければ起訴されることは絶対にありませんし、逮捕されることもありません。
そのため、本件のように「告訴するよ」と言われている場合は、何よりもまず被害者側の告訴状提出を阻む必要があります。そのためには、何よりもまず被害者側と示談交渉を進め、示談を成立させる必要があるでしょう。ただし、被害者側に弁護士が付いている場合は、相手の思い通りに話を進められる可能がありますから、弁護士を付けることも検討しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

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