【事例解説】名誉毀損罪とその弁護活動(インターネット上で大学生らの名誉を毀損したケース)

【事例解説】名誉毀損罪とその弁護活動(インターネット上で大学生らの名誉を毀損したケース)

今回は、自称ユーチューバーAさんが、大学生Vさんら2人がA自身のことを殺害する計画を立てたという趣旨の動画を撮影し動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿してVさんら2人の名誉を毀損したというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:インターネット上で大学生らの名誉を毀損したケース

千葉市に住む25歳の自称「ユーチューバー」Aさんが、大学生と中学生が自分を殺害する計画を立てたとする内容の動画を、動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿してVさんら2人の名誉を傷つけたとして、名誉毀損の疑いで逮捕されました。
容疑を一部、否認しているということです。
逮捕されたのは撮影した動画をユーチューブに投稿する活動をしている自称「ユーチューバー」で、千葉市緑区在住のAさんです。
警察によりますと、ことし6月、21歳の男子大学生V1さんと15歳の女子中学生V2について、2人が自分を殺害する計画を立てたとする内容の動画をユーチューブに投稿しVさんら2人の名誉を傷つけたとして、名誉毀損の疑いがもたれています。
動画の配信後、2人の父親から警察に被害の届け出があったということで、Aさんは調べに対し、「動画を投稿したことは認めるが、名誉毀損をしようと企てたものではない」などと話し、容疑を一部否認しているということです。
警察が詳しいいきさつを調べています。
NHK 首都圏NEWS WEB 2023年11月09日 20時34分のニュース記事を一部変更し引用しています。)

1,名誉毀損罪について

〈名誉毀損罪〉

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」(刑法230条1項

名誉毀損罪は、①公然と②事実を摘示し、③人の④名誉を⑤毀損した者は、⑥その事実の有無にかかわらずに成立し、刑罰を受けることになります。
①「公然」(公然性)とは、不特定又は多数人が認識できる状態を言います。
また、摘示の相手方が特定かつ少数の者であったとしても、その人たちを通じて不特定又は多数の者に広がっていき摘示された事実が認識できる状態になっていれば、公然性が認められます(伝播性の理論)。
②摘示される事実は、人の社会的評価を害するに足りるものでなければなりません。
そして、摘示される事実は非公知の事実に限られず、公知の事実でも、摘示される人の社会的評価を害するに足りるものと認められれば、名誉毀損罪にいう事実の摘示に該当します。
また、摘示される事実はある程度具体的な内容を含むものでなければならないので、単なる価値判断や評価は含まれません。
そして、事実の摘示において対象とされる者が誰であるかが明示される必要はないが、それにより人の社会的評価が害される危険性が必要となるため、例えば、モデル小説や新聞記事などで仮名を使ったとしても特定の人物のことを指すことが見た人にとって認識できる程度に具体的であれば、その特定の人物の社会的評価を害する危険性が認められ「事実を摘示し」たと言えます。
③「」とは、自然人のみならず法人(例えば株式会社など)やその他の団体もこれに含まれます。
④「名誉」とは、既に述べましたが、外部的名誉、すなわち社会が人に与える評価(社会的評価)を言います。
なお、名誉毀損罪にいう「名誉」とは法的保護に値するものでなければならず、消極的な評判や悪評のようなものは「名誉」には含まれません。
⑤「毀損」とは、人の社会的評価を害するに足りる行為を行うことを言います。
また、名誉毀損罪抽象的危険犯(実際に結果が発生する必要はなく、結果発生のおそれが認められれば犯罪が成立)であるため、実際に人の社会的評価が害された結果の発生は必要ではなく、害される行為があればそれにより「毀損」行為と認められます。
⑥「その事実の有無にかかわらず」とは、摘示された事実が真実であるか虚偽であるかは問わないことを意味します。
例えば、ある男女が不倫関係にあることを「公然と」暴露するような行為は、不倫という事実が真実であれ虚偽であれ、社会的評価を害するおそれがある以上、名誉毀損罪が成立することになります。

2,名誉毀損罪とその弁護活動

名誉毀損罪で逮捕・勾留された場合、最長で23日間の間、身柄を拘束されることになります。
その間に警察と検察の取調べを受け、最終的に検察官に起訴されるか否かが決められます。
被疑者は法律についてあまり詳しくなく、取調べを一人で受けるため、どのように対応すればよいか不安を抱えていることが多いです。
法律の専門家である弁護士であれば、面会に行き、適切かつ丁寧なアドバイスを行うことができます。
たとえば、警察からこのように言われたらどのように答えればよいか、あるいは黙秘を貫くべきかなどが、弁護活動の一例と言えます。
そのため、逮捕・勾留により身柄拘束を受けた場合には弁護士による迅速なサポートを受けることが重要と言えるでしょう。
また、名誉毀損罪親告罪でもあります(刑法232条1項)。
親告罪とは、被害者の告訴が無ければ公訴を提起することができない犯罪のことを言います。
そのため、弁護活動としては、被害者に対して謝罪の意思を示し、被害の弁償を行うことで告訴を取り消してもらえるよう示談の成立に向けた活動を行います。
示談の成立により被害者に告訴を取り下げてもらえれば、検察官は起訴することができなくなるため、前科が付くことを回避できます。
そして、被疑者勾留による身柄拘束がなされるのは、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です(刑事訴訟法207条1項、60条1項各号)。
しかし、示談が成立すれば、被疑者にそれらのおそれはないと判断されやすく、早期の身柄解放が期待できます。
以上から分かることは、刑事事件はとにかくスピードがなによりも重要ということです。
名誉毀損罪で逮捕・勾留された場合には、刑事弁護の経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士の迅速なサポートを受けることが重要となってきます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において名誉毀損罪でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、名誉毀損罪でお困りの方からの法律相談を初回無料で承っております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

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