起訴と不起訴

2019-03-11

起訴と不起訴

福岡県中間市に住むAさん(45歳)は,SNSで援助交際を希望していたVさん(19歳)と性交する目的で連絡をとり合い,会うことになりました。AさんはVさんを連れて北九州市八幡西区のホテルに入りましたが,Vさんから性交を断られました。そこで,Aさんは予め用意していた睡眠薬を水の中に入れ,これをVさんに飲ませました。そして,Vさんが眠ったところで,Vさんに性交しました。現段階では警察からの連絡はないものの,Aさんは自分のしたことを後悔し,Vさんに謝罪したいと考えています。そして,できればVさんと示談を成立させ,穏便に解決したいと考えています。Aさんは事件が発覚した場合,起訴され,裁判を受けることを非常におそれています。そこで,示談交渉などを刑事事件に強い弁護士に依頼しました。
(フィクションです)

~ 準強制性交等罪(Aさんの罪) ~ 

Aさんの行為は,準強制性交等罪に当たる可能性が高いでしょう。準強制性交等罪は刑法178条2項に規定されています。

刑法178条2項
 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心身を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,性交等をした者は,前条の例による。
刑法177条
 13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。

「心神喪失」とは,精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。例えば,熟睡,泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。
「抗拒不能」とは,心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。恐怖,驚愕,錯誤などによって行動の自由を失っている場合などはこれに当たります。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。「心神喪失・抗拒不能にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬,睡眠薬の投与・使用,催眠術の施用,欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。
「前条の例よる」の「前条」とは177条のことを指します。「例による」とは,法定刑を177条と同様,「5年以上の有期懲役」とするという意味です。

~ 起訴とは ~

起訴とは,検察官が特定の刑事事件について裁判所の審判を求める意思表示を言います。この起訴の権限は,一部の場合を除いて検察官のみがもっています(起訴独占主義)。起訴されれば被疑者から被告人という立場に変わり,裁判を受けなければなりません。裁判で「有罪」と認定され,言渡された刑が確定すればその刑に服さなければなりません。
準強制性交等罪の場合,最低でも5年の懲役が科されるわけですから,裁判で「有罪」と認定されれば,多くの場合執行猶予付き判決が言渡されることはありません。

~ 不起訴とは ~

不起訴とは文字通り,起訴しないという意味です。起訴権限が検察官に認められているわけですから,起訴するかしないかの判断も検察官に委ねられています(起訴便宜主義)。不起訴となれば,裁判を受ける必要はありませんし,刑罰を科されることもありません。また,前科もつきません(前歴は残ります)。

* 不起訴の理由 *

不起訴の理由には様々ありますが,普段,よく目にするのが「起訴猶予」「嫌疑不十分」「嫌疑なし」の3種類かと思います。

起訴猶予」は,犯罪が成立することは明白であるものの諸情状(示談成立の有無,被害者の処罰感情の程度,反省・更生意欲の程度,更生の可能性など)に鑑みて不起訴とする場合に付される理由です。
「嫌疑不十分」は,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分な場合に付される理由で,「嫌疑なし」は,被疑者が犯罪事実の行為者でないことが明白は場合,又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白な場合に付される理由です。

不起訴処分獲得を目指すといっても,その理由付けによる不起訴処分の獲得を目指すかで弁護活動の内容は異なってきます。詳しくは弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,準強制性交等罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

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