児童虐待と保護責任者遺棄罪

2019-03-17

児童虐待と保護責任者遺棄罪

Aさんは,福岡市博多区内のアパートで,V君(3歳)と二人暮らしでした。ところが,ある日,Aさんは子育てに疲れ果て,自宅アパートを出て友人B宅で寝泊まりするようになりました。その間,V君は食事を摂ることができず,体調不良に陥っていました。そして,Aさんが自宅を出て行ってから5日後,たまたまAさん宅を訪ねたAさんの両親が,自宅リビングでぐったりしているV君を見つけ,病院へ搬送しました。病院からは,児童虐待のおそれがあるとして,児童相談所や警察に通報されてしまいました。その後,Aさんは,福岡県博多警察署保護責任者遺棄罪で逮捕されました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

近年,児童虐待による悲惨な事件を目にすることが後を絶ちません。この記事をご覧の中にも,児童虐待に関心をお持ちの方もおられるのではないでしょうか?今回は,そもそも児童虐待とは何なのか,児童虐待をすれば刑事手続上どうなるのかについてご紹介したいと思います。

~ 児童虐待とは ~

児童虐待については,児童虐待の防止等に関する法律2条に規定されています。それによると,児童虐待とは

保護者(略)がその監護する児童(18歳に満たない者をいう。以下同じ)について次に掲げる行為をいう

とされています。
次に掲げる行為とは,以下の行為です。

1号 児童の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれがある暴行を加えること(身体的虐待)
2号 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること(性的虐待)
3号 児童の心身の発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置,保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること(ネグレクト)
4号 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応,児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(略)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと(心理的虐待)

以上からすると,Aさんは,少なくとも5日間は育児放棄していたことが認められますから,Aさんの行為は3号の「児童の心身の発達を妨げるような長時間の放棄」に当たりますし,その間,食事も与えず,かつ,期間は5日間だったと考えられますから「児童の心身の発達を妨げるような著しい減食」にも当たるもとと考えられます。よって,Aさんの行為は3号のネグレクトとして「児童虐待」に当たる可能性が非常に高いです。

~ 児童虐待と刑事手続 ~

Aさんの行為は「生存に必要な保護をしなかった」として,保護責任者遺棄罪で処罰される可能性があります。

刑法218条
 老年者,幼年者,身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し,又はその生存に必要な保護をしなかったときは,3月以上5年以下の懲役に処する。

では,保護責任任者遺棄罪が疑われた場合,その後の刑事手続はどうなるのでしょうか?

= 逮捕される =

逮捕の基準は,罪証隠滅のおそれがあるか,逃亡のおそれがあるかです。罪証隠滅のおそれがあるかどうかは,子供に接触するおそれがあるかどうかにかかってくるでしょう。例えば,子供が児童相談所に保護されている場合は,罪証隠滅のおそれなしと判断されやすいのではにでしょうか。ただ,AさんがBさん宅で寝泊まりしていたという事情からすれば生活不安定で,逃亡のおそれありと判断されやすいでしょう。

= 長期間の身柄拘束 =

勾留された場合は長期間の身柄拘束が待っていきます。はじめの勾留期間は10日間と決まっていますが,延長も認められています。事案にもよりますが,児童虐待の場合,日常的な虐待はなかったのか,余罪はないのかなどについて詳しく調べられることになりますから,勾留延長も覚悟した方がいいかもしれません。

* 弁護活動①(勾留裁判に対する不服申し立て) *

勾留されても諦めることはありません。勾留裁判に対する不服申し立て(準抗告,あるいは勾留取消し請求)をすることによって早期釈放が可能です。

= 起訴され,裁判にかけられる =

検察官が,犯罪事実が明白で,諸般の情状に鑑みて刑事処罰を科す必要があると判断した場合は起訴されます。起訴されれば裁判にかけられ,裁判で有罪となれば刑が言い渡されます。

* 弁護活動②(不起訴,無罪・執行猶予付き判決の獲得) *

まずは,Aさんにとって有利な情状を検察官に主張して不起訴処分獲得を目指します。仮に,起訴された場合でも裁判で,Aさんにとって有利な事実,情状を主張して無罪,あるいは執行猶予付き判決の獲得を目指します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,保護責任者遺棄罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

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