児童買春の罪と執行猶予 

児童買春の罪と執行猶予 

児童買春の罪執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県福津市に住むAさん(43歳)は、SNSで女子中学生のVさん(15歳)と知り合いました。そして、AさんはVさんが18歳未満であることを認識しながらVさんと会い、ホテルでVさんに現金3万円を渡してVさんと性交しました。後日、VさんのスマートフォンをチェックしたVさんの母親がVさんが援助交際をしていることを見つけ、警察に通報しました。そこで、Aさんは福岡県宗像警察署児童買春の罪で逮捕され、その後、同罪で正式起訴されてしまいました。Aさんの妻は、Aさんが過去に盗撮で罰金20万円の略式命令を受けていたことから、裁判で執行猶予を獲得できることができるか心配になり弁護士に相談しました。
(フィクションです)

~ 児童買春の罪 ~

児童買春の罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)」の4条に規定されています。

法律4条
 児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

児童買春とは、児童(18歳未満の者)等に対し、対償(お金など)を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう)をすることをいうとされています(法律2条2項)。
「対償」とは、児童が性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいいます。現金のみならず、物の交付や債務の免除もこれに含まれます。

Aさんは現金をという「対償」を渡した上で、Vさんと性交していますから、Aさんの当該行為は児童買春の罪に当たることは明らかです。

* 18歳未満だと知らなかったら *

児童買春の罪は成立しません。
しかし、警察官、検察官、裁判官に単に「知らなかった」と主張しても簡単には納得してくれないでしょう。どうして知らなかったのか、知り得なかったのか、その主張を裏付ける証拠を提示する必要があります。また、淫行の罪(条例違反)の場合、知らなかったことを理由に罪を免れることはできないとの規定を設けている条例があります。詳しくは、各都道府県の条例で確認するか、直接弁護士にお問い合わせください。

~ 執行猶予を獲得するための要件 ~ 

執行猶予(付き判決)を受けるための要件は,刑法25条1項に規定されています。

刑法25条1項
 
 次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる

1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

つまり、最初の執行猶予(付き判決)を受けるには

1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号,あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること

が必要ということになります。

~ Aさんは執行猶予を獲得することができるか? ~

まず、上記要件の「2」からみていきます。
この点、Aさんは、過去に盗撮で罰金20万円の略式命令を受けたことがある、とのことですが、「禁錮以上の刑」とは、禁錮刑、懲役刑、死刑をいい、罰金刑は含まれません。
よって、Aさんは刑法25条1項1号の「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に当たります。

あとは、Aさんに情状が認められ(上記要件「3」)、裁判(判決)で「3年以下の懲役」の言い渡しを受ければ(上記要件「1」)執行猶予を獲得することが可能です。

~ 具体的にどうすれば? ~

Aさんにとって有利な情状を勘案してもらえる、判決で3年以下の懲役を受けるには、被害者側との示談交渉が必要不可欠でしょう(事実を認める場合)。
示談交渉により示談を成立させることができればより執行猶予を獲得できる可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

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