福岡県青少年健全育成条例違反で逮捕
福岡市東区に住む会社員のAさん(28歳)は,SNSで知り合ったVさん(16歳)が18歳未満であることは知っていました。ある日,Aさんは,Vさんをホテルに誘おうと思って,Vさんに電話し,Vさんの保護者の承諾を得ないまま,深夜Vさんを自宅から連れ出しました(①)。そして,AさんはVさんを福岡市東区内のホテルへ誘い,Vさんと性交しました(②)。数日後,Aさんは,再びVさんと会いたくなり,Vさんに電話しました。ところが,AさんはVさんから断られたことから,代わりに裸の写真を送るよう求めました(③)。Aさんはこれも断られました。そうしたところ,Aさんは福岡県東警察署に福岡県青少年健全育成条例(以下,条例)違反で逮捕されました。
(フィクションです)
~ 福岡県青少年健全育成条例 ~
青少年健全育成条例は,名称こそ多少の違いはあるものの,全国各都道府県単位で制定されています。条例の目的は,青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止して,青少年の健全な育成を図ることを目的としています(条例1条)。なお,ここで青少年とは,18歳未満の者(他の法令により成年者と同一の能力を有するとされる者を除く。)をいうとされています(条例2条1号)。
では,条例にはどんな罪が規定され,罰則はどうなっているのかご紹介いたします。
~ いん行の罪(行為②) ~
条例31条1項 何人も,青少年に対し,いん行又はわいせつな行為をしてはならない。
罰則は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(条例38条1項1号)。
「いん行」とは,判例によれば「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似行為」とされています。
~ 深夜に外出させる行為の罪(行為①) ~
条例34条2項 何人も,保護者の指示を受け,又はその同意を得た場合その他正当な理由がある場合のほかは,深夜に青少年を連れ出し,同伴し,又はとどめてはならない。
罰則は30万円以下の罰金又は科料です(条例38条5項14号)。
青少年の同意があっても本罪は成立します。ただ,本罪が成立するには
・青少年に対して刑罰法令に触れる行為を行う目的があったこと
・刑罰法令に触れる行為が青少年に対して行われること若しくは刑罰法令に触れる行為を青少年が行うことを知っていたこと
・青少年の不良行為を誘発し,若しくは助長する態様であること
のいずれかであることが必要です。本件のAさんの場合,Vさんにいん行する目的でVさんを連れ出しているわけですから,「青少年に対して刑罰法令に触れる行為を行う目的があったこと」に当たるでしょう。
~ 自撮り画像提供の要求行為の罪(行為③) ~
本罪は,本年2月1日から施行された改正条例によって追加された罪です。
罰則は30万円以下の罰金又は科料です(条例38条4項)。
本罪が成立するには,
・青少年から拒まれたにもかかわらず,当該青少年に係る児童ポルノ等(自撮り画像等)の提供を行うよう求めること
・青少年を威迫し,欺き,若しくは困惑させ,又は青少年に対しお金などを与え,若しくは与える約束をして,当該青少年に係る児童ポルノ等(自撮り画像等)の提供を行うよう求めること
のいずれであることが必要です。本件のAさんの場合,Vさんに拒まれた後は要求していません。ただし,威迫行為などや,お金などを与える約束があった場合は本罪が成立します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,福岡県青少年健全育成条例違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談・初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
(福岡県東警察署まで初回接見費用:36,000円)