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空き巣の常習累犯窃盗罪
空き巣の常習累犯窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
~事例~
福岡県筑紫野警察署は、福岡県筑紫野市内の複数個所で現金などを盗んだとして、窃盗と住居侵入の疑いで無職のAさんを福岡地方検察に追送検しました。
Aさんは、これまで何度も空き巣を繰り返してきており、警察でも名の知れた人物です。
Aさんは、常習累犯窃盗罪で福岡地方裁判所で公判中です。
(フィクションです。)
空き巣で成立し得る罪は?
家人が留守中の家屋に浸入し、財物を盗むことを「空き巣」と呼び、窃盗や強盗の手口の一種です。
空き巣を行った場合、窃盗罪と住居侵入罪が成立する可能性があります。
窃盗罪は、他人の財物を窃取する罪であり、住居侵入罪は、他人の住居等に正当な理由なく侵入するものです。
空き巣という1つの行為で2つ以上の罪が成立することになるのですが、この場合、窃盗の手段として人に住居等に侵入したため、窃盗罪と住居侵入罪の関係は、「牽連犯」となります。
牽連犯の関係にある場合には、より重い罪である窃盗罪で処断されることになります。
常習累犯窃盗罪が成立するためには
さて、Aさんは窃盗と住居侵入の罪で追送検されましたが、常習累犯窃盗罪で公判中の身です。
これまで幾度となく空き巣を繰り返しているAさんですが、裁判にかけられている常習累犯窃盗罪とはどのような場合に成立するものなのでしょうか。
常習累犯窃盗罪は、「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」(以下、「盗犯等防止法」といいます。)の第3条に規定される罪です。
常習累犯窃盗罪は、
①常習として窃盗罪、強盗罪、事後強盗罪、昏酔強盗罪およびこれらの未遂を犯した者であり、
②その犯罪行為前の10年以内に、窃盗、窃盗未遂などについて、懲役6月以上の刑の執行を受けた、またはその刑の執行の免除を得ていたことが3回以上ある
場合に成立します。
◇②形式的要件◇
(a)犯罪行為の10年以内
「窃取行為などが開始される前の10年以内」のことで、行為開始日は除かれ、行為開始の前日から10年遡った日以降を意味します。
(b)窃盗、窃盗未遂など
前科の内容としては、窃盗、強盗、事後強盗、昏酔強盗のほか、常習累犯窃盗、強盗致死傷も含まれます。
また、幇助犯や教唆犯も含まれます。
(c)刑の執行を受け、または刑の免除を得た
「刑の執行を受け」というのは、10年以内の3回のうち最初の刑の執行終了日が10年以内であればよく、その執行開始日が10年以内であることは必要ありません。
懲役刑の執行猶予の判決を受けて、執行猶予期間を経過した場合や執行猶予期間中である場合には、刑の執行を受けたことにはならず、執行の免除を受けたことにもなりません。
◇①実質的要件◇
常習累犯窃盗罪の成立には、常習として犯したことという実質的要件を満たす必要があります。
ここでいう常習性は、反復して窃盗罪などを犯す習癖を有することをいいます。
この常習性の判断は、行為者の前科・前歴の内容、動機、手口や態様、犯行回数、性格などを総合的に考慮してなされます。
常習累犯窃盗罪の法定刑は、3年以上20年以下の懲役であり、通常の窃盗罪よりも重くなっています。
罪を認める場合であれば、弁護士は、できる限り刑が減軽されるよう求める活動を行います。
被害弁償を行う、被告人が反省していること、被告人の監督を期待できる家族等の存在や再犯防止に向けた取組みなど再犯防止策を講じる準備があることなど、被告人に有利な事情を積極的に公判で主張し、できる限り言い渡される刑が軽くなるよう働きかけます。
ご家族が窃盗、常習累犯窃盗罪で逮捕・起訴されお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
特殊詐欺事件で保護観察
特殊詐欺事件で保護観察を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
~事例~
福岡県糸島市にある民家に訪れ、警察署員を名乗り、民家に住む女性からキャッシュカードを窃取したとして、福岡県糸島警察署は、県内に住むAくん(17歳)を窃盗の容疑で逮捕しました。
Aくんは、知り合いから「簡単に稼げるバイトがある。」と誘われ、小遣い稼ぎ感覚で特殊詐欺の受け子に手を出したということです。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、「このままでは少年院に入所することになるのでは…。」と不安に思い、慌てて少年事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
少年と特殊詐欺事件
電話口で言葉巧みに相手を騙し、キャッシュカードや通帳などを騙し取る特殊詐欺事件ですが、その手口はますます巧妙化しています。
特殊詐欺事件は、電話をかける役の「かけ子」、キャッシュカードなどを受け取る「受け子」、キャッシュカードから現金を引き出す「出し子」、それぞれが個々の役割を担い、犯罪を実行する点に特徴があります。
「受け子」や「出し子」については、組織の外部の者をリクルートすることが多く、ネット上で「簡単。高額バイト。」などと書き込んで共犯者を募るといったケースが多く見受けられます。
「受け子」や「出し子」として特殊詐欺事件に加担する者の中には、20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)も少なくありません。
心身共に発展途中の少年は、「簡単に大金が稼げる。」と思い、甘い誘惑に乗ってしまったり、指示された通りに動いているだけで、自分が犯罪に関与しているという意識もあまりないため、何度も繰り返してしまいます。
簡単に大金を稼げるとされる「受け子」や「出し子」ですが、実は、捜査機関によって逮捕される可能性は高いのです。
また、特殊詐欺は社会的にも問題視されており、厳しい処分が科される傾向にあります。
少年であっても、厳罰化の傾向は例外ではありません。
初犯であっても、終局決定が「少年院送致」となる可能性があります。
少年院送致は、家庭裁判所が少年に対して行う処分のひとつです。
この処分には、①審判不開始、②不処分、③保護処分、④検察官送致、⑤都道府県知事または児童相談所長送致、⑥試験観察があります。
③の保護処分には、さらに(a)保護観察、(b)少年院送致、(c)児童自立支援施設等送致、の3つがあります。
保護処分のなかで、身体拘束を受ける少年院送致は、処分のなかでも厳しいものと言えます。
そこで、審判で少年院送致ではなく保護観察となるよう、早期の段階から少年の更生に向けた活動を行うことが重要になります。
保護観察とは
特殊詐欺事件で、容疑を認める場合には、弁護人・付添人である弁護士は、基本的に、少年院送致を回避し、最終的に保護観察処分となるよう活動していくことになります。
「保護観察」は、少年を家庭や職場に置いたまま、保護観察所の行う指導監督と補導援護によって、少年の改善更生を図る社会内処遇です。
保護観察の期間は、対象者が20歳に達するまでとされますが、保護観察が決定した時から20歳になるまで2年に満たない場合には、期間は2年となります。
保護観察期間中であっても、対象者の状態に応じて、解除や一時解除が認められます。
このように、審判において保護観察処分が言い渡されると、少年は家庭や職場に身を置いたまま、定期的に保護観察官や保護司と連絡をとり、現状について報告を行った上で、指導・助言を受けることになります。
施設に収容されることなく社会内で生活を送ることができるため、社会と切り離されることがありません。
保護観察となるために
家庭裁判所が保護観察を終局決定とするには、裁判官が少年の更生には社会内処遇で足りると判断することが必要です。
逆に言えば、もし、裁判官が当該少年がきちんと更生するには矯正施設に入れる必要があると判断したのであれば、保護観察ではなく少年院や児童自立支援施設等への送致を選ぶ可能性があるのです。
特殊詐欺事件の場合、被害者は大きな経済的損失を被っていますので、まずは、被害者に対して、被害弁償を行う必要があります。
成人の刑事事件のように、被害者への被害弁償や示談成立の有無が、処分に直接大きく影響するものではありませんが、被害者対応を通じて、少年の内省を深めることができたと評価される要素となります。
また、少年が再び特殊詐欺に関与することがないよう、交際関係や家庭環境、学校・職場環境を整えることも重要です。
裁判官に社会内処遇での更生が期待できると判断してもらえるよう、早い段階から適切な働きかけを行うことが重要です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、お子様の更生に向けて尽力致します。
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家裁送致後の観護措置回避
少年事件における家裁送致後の観護措置回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県北九州市若松区のA君(16歳)は,コンビニで万引きをした件で,福岡県若松警察署に窃盗罪で逮捕されました。その後、A君は「勾留に代わる観護措置」の結果,少年鑑別所に収容されました。そして、収容から8日後、検察官による家庭裁判所送致によって事件は検察庁から家庭裁判所へ送致されました。そして、A君の身柄は引き続き少年鑑別所で収容されることになりました。一刻もはやい少年鑑別所からの釈放を望んでいるA君の両親は,少年事件に強い弁護士にA君との接見を依頼し、今後について相談することにしました。
(フィクションです)
~逮捕から身柄拘束、身柄拘束から家裁送致までの流れ~
逮捕後家裁送致までの流れは以下のとおりです。
①逮捕
↓
②警察官による弁解録取→釈放
↓
③送致(送検)
↓
④検察官による弁解録取→釈放
↓
⑤検察官による「勾留請求」OR「勾留に代わる観護措置請求」
↓
⑥勾留質問→釈放
↓
⑦裁判官による「勾留決定」OR「勾留に代わる観護措置決定」
また、身柄拘束から家裁送致までの流れは以下のとおりです。
⑧捜査
↓
⑨家庭裁判所送致
~少年鑑別所と釈放について~
A君が収容されている少年鑑別所と少年院とは全く性質の異なる施設です。
少年院とは,家庭裁判所の少年審判で少年院送致という保護処分が出た後に収容される施設で,少年に対する矯正教育を目的としています。
他方,少年鑑別所とは,保護処分が出る前に収容される施設で,少年審判に向けて,少年の資質や性格などの調査を行うことを目的しています。
A君は,現在,「勾留に代わる観護措置決定」により少年鑑別所に収容されています。
これは,Aさんの万引き事件(刑事事件)が家庭裁判所に送致される前の少年に対する身柄措置の一種で,期間は,検察官が万引き事件の送致を受けた日から10日間と決まっています(上記③から⑨までの期間)。
もちろん,この決定に対しては,準抗告申立てなどの不服申し立て手段を取ってAさんの釈放を求めていくことが可能です。
仮に,不服申し立てが認められず,万引き事件が家庭裁判所に送致された場合(上記⑨の場合),Aさんは引き続き少年鑑別所に収容されたままになります。よって,A君の釈放を求める場合,Aさんの万引き事件が家庭裁判所に送致される前か同時期に,家庭裁判所に対して意見書等を提出するなどする必要があります。
家庭裁判所送致後の少年鑑別所における収容期間は,はじめ裁判所に万引き事件の送致があった日から2週間で,特に継続の必要があるときは1回に限り更新することができます(また,特別事由がある場合は,さらに2回の更新が認められています)。
仮に,意見書等を提出してもAさんが釈放されなかった場合は,③さらに異議申立てにより釈放を求めていくことが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
【窃盗】常習累犯窃盗で逮捕
【窃盗】常習累犯窃盗で逮捕
常習累犯窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市西区に住む主婦のAさんは,令和元年5月1日、同区内にある100円ショップで日用品(販売価格108円)を万引きしたところ保安員に見つかり窃盗罪の現行犯で逮捕されてしまいました。実は、Aさんは、過去5回、万引き(いずれも窃盗罪)で検挙されたことがあり、そのうち3回は刑務所に服役しました。1回目の服役は平成20年12月1日から平成21月6月1日(懲役6月)まで、2回目は、平成25年4月1日から同年12月1日(懲役8月)まで、3回目が、平成29年3月1日から平成30年1月1日(懲役10月)まででした。逮捕後、Aさんは、窃盗罪ではなく常習累犯窃盗罪で起訴されました。
(フィクションです。)
~ 常習累犯窃盗罪とは ~
常習累犯窃盗罪は、万引きなどの窃盗罪を繰り返し、さらに窃盗既遂罪あるいは窃盗未遂罪を犯した場合に問われ得る犯罪です。
「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律(以下、法律)」の3条に規定されています。
以下、規定の内容及びAさんの行為が常習累犯窃盗罪に処せられるのかみていきたいと思います。
法律3条の規定は以下のとおりです(ひらがな部分は実際はカタカナです)。
常習として前条に掲げたる刑法各条の罪又はその未遂の罪を犯したる者にしてその行為前10年内にこれらの罪又はこれらの罪と他の罪との併合罪に付き3回以上6月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たるものに対し刑を科すべきときは前条の例に依る
この規定を分解すると、
1 前条に掲げたる刑法各条の罪(刑法235条(窃盗)、236条(強盗)、238条(事後強盗)、239条(昏睡強盗))の罪又はこれらの未遂の罪を犯したこと
2 1記載の犯罪を常習として犯したこと
3 1記載の犯罪又はそれらの犯罪と他の犯罪との併合罪につき、懲役6月以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たことがあること
4 3が、行為前の10年以内に3回以上あること
となります。
= 1について =
本件で1に掲げる罪又はこれらの未遂の罪を犯したことが必要です。
= 2について =
「常習として」とは、反復して特定の行為を行う習癖をいいます。常習性の有無については、行為者の前科・前歴はもちろん、性格、素行、犯行の動機、手口、態様、回数などを総合的に検討して判断されます。したがって、「常習性」の認定は前科のみで判断されるわけではありません。
* 常習性が否定された裁判例 *
過去の窃盗前科の犯行態様が、ドライバーを使って古いアパートの錠を外して侵入し現金を盗んだ、という人が、本件で、スーパーマーケットの缶詰2個を万引きしたという事案で、動機・態様を著しく異にしており、本件が窃盗の習癖の発現としてなされたものであるとは認められないとして常習性が否定された裁判例(東京高裁:平成5年11月30日)があります。
= 3について =
「1記載の犯罪」とは、刑法235条(窃盗)、236条(強盗)、238条(事後強盗)、239条(昏睡強盗)の罪又はこれらの未遂罪をいいます。
「刑の執行を受け」とは、刑務所内に服役したことを意味します。つまり、執行猶予の場合は含まれませんが、執行猶予が取消され、服役した場合はもちろん含まれます。そして、10年以内の3回の刑のうち最後の刑の執行に着手されれば足り、執行が終了したことを要しないとされています。したがって、最後の刑について仮釈放となり、その仮釈放中に常習として窃盗等を行った場合でも、3の要件を満たすことになります。
= 4について =
「10年以内」とは、10年以内の3回の刑のうち最初の刑の執行終了日が10年以内であれば足り、その執行開始日が10年以内である必要はないと解されています。
= Aさんについて =
1の要件→◎:Aさんは、本件で万引き、つまり窃盗罪を犯しています
2の要件→△:常習性の判断は上記で記載した事情を総合して判断しますが、過去の前科も万引きだったことからすれば常習性は認められやすいでしょう。
3の要件→◎:Aさんは、過去、窃盗罪につき3回服役していることが認められます。最後に刑の執行に着手されたのは平成29年3月1日です。
4の要件→◎:Aさんの最初の刑の執行終了日は平成21年6月1日です。これは行為日(令和元年5月1日)から遡って10年以内に含まれます。
以上から、Aさんは常習累犯窃盗罪に処せられる可能性が高いといます。
~ 常習累犯窃盗罪の法定刑は? ~
法律3条では「前条の例に依る」とされています。そこで前条、すなわち法律2条を見ると、法律2条では
窃盗を以て論ずべきときは3年以上の有期懲役に処す
とされていますから、常習累犯窃盗罪の法定刑は
3年以上の有期懲役
ということになります。
執行猶予付きの判決を受けるためには、「懲役3年以下」の判決の言い渡しを受けることが必要ですから、常習累犯窃盗罪で有罪となると、基本的に
実刑
を覚悟しなければなりません。
しかし、法律上の減軽事由(刑法66条等)に当たる事情がある場合は、法定刑が減軽され、執行猶予付きの判決を獲得できるハードルを低めることはできます。
法律上の減軽事由には、情状に特に酌量すべき点が認められる
情状酌量
の場合もあります。
お困りの方は弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪をはじめとする刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
【窃盗】軽微な万引きなら微罪処分を目指そう
【窃盗】軽微な万引きなら微罪処分を目指そう
万引きと微罪処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県太宰府市に住むAさんは,スーパーで食料品4点(販売価格440円)万引きしたところを巡回中の保安員に現認され,スーパーに駆け付けた福岡県筑紫野警察署の警察官から事情を聴かれることになりました。一方、警察官から「身元引受人として警察署まで来てほしい」との連絡を受けたAさんの父親は警察署まで行き、身元引受書にサインをしました。その結果、Aさんは逮捕されることなく帰宅を許されましたが、今後のことが不安になって窃盗・万引き事件に詳しい弁護士に今後の対応につき相談することにしました。相談・依頼を受けた弁護士は微罪処分獲得に向けてお店側と示談交渉を始めることにしました。
(フィクションです。)
~ 微罪処分とは ~
微罪処分とは,警察が事件を検察庁を送致せず,被疑者への厳重注意,訓戒等で終了させる手続きのことをいいます。
本来,警察が立件した事件は警察→検察へと送致することが基本です(刑事訴訟法246条本文)。しかし,「検察官が指定した事件」については例外的に送致する必要がありません(刑事訴訟法246条但書)。
刑事訴訟法246条
例外といっても、意外と微罪処分を受ける方は多いようです。
~ 微罪処分が対象となる罪 ~
では、どんな罪が微罪処分の対象となるのでしょうか?
この点、微罪処分はあくまで例外的措置ですから、
・殺人罪
・強盗罪
・放火罪
などの重大な罪についておよそ対象とはなりえません。他方、
・窃盗罪
・横領罪
・占有離脱物横領罪
・暴行罪
など、事案の内容によっては軽微と考えられる罪については対象とされるでしょう。
~ 微罪処分となりうる事件の内容 ~
さらに、上記の罪の中でも以下の基準を満たす事件が微罪処分の対象となりえます。
・犯罪事実(犯情)が極めて軽微か
→窃盗罪,横領罪であれば被害額が2万円以下,暴行罪であれば凶器を使用していないことが基準となります。よって,同じ万引きであっても,被害額が2万円を超える万引きについては微罪処分の対象とはなり得ません。
・被害弁償,示談ができているか
・被害者が処罰を望んでいないか
・前科,前歴がないか
微罪処分を目指せるかどうかは、犯した罪や事件の内容から判断しなければなりません。
また、すでに事件が検察庁へ送致された場合は微罪処分を目指すことはできません。検察庁に送致される前に対処する必要があります。
微罪処分を目指す方ははやめに弊所へご相談・ご依頼ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。
【窃盗・万引き】起訴状が届いた!
【窃盗・万引き】在宅の万引き事件で起訴状が届いた!
在宅の万引き事件と起訴状について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県小郡市に住む主婦のAさん(63歳)は、スーパーで食料品を万引きしたとして保安員に見つかり、その後、小郡警察署の警察官に引き渡されました。Aさんは、小郡警察署に駆け付けた夫が身柄引受人となることを誓約したことから逮捕されずに済みました。その後、Aさんの万引き事件は在宅事件として捜査が進められ、Aさんも小郡警察署で取調べを受けるなどしました。そして、Aさんの万引き在宅事件は福岡地方検察庁久留米支部へ送られました。Aさんは検察庁でも検察官による取調べを受けました。Aさんは、検察官によって窃盗罪で起訴され、Aさんの元には、裁判所から「起訴状謄本」が届けられました。
(フィクションです)
~ 在宅事件の検挙から起訴までの流れ ~
在宅事件とは身柄を拘束されないまま、捜査を受けたり、裁判を受ける事件のことです。
在宅事件であっても場合によっては起訴されることがあります。
在宅事件の検挙から起訴までの流れは以下の通りです。
・検挙→・捜査(警察、検察)→・刑事処分(起訴あるいは不起訴)
捜査では警察、検察に呼ばれて取調べなどを受けます。
身柄事件と異なり、捜査の時間的制約がなく、検挙から刑事処分まで数か月、数年かかることも稀にあります。
在宅事件で起訴されると「起訴状」という書類が裁判所からご自宅に送られてきます。
~ 起訴状とは ~
起訴状とは、検察官が刑事裁判を起こすため、公訴提起(起訴)と同時に裁判所に提出する書面のことをいいます。
検察官の刑事処分(終局処分)には大きく、
① 起訴
② 不起訴
の2種類があり、①起訴には
ア 正式起訴
イ 略式起訴
の2種類があります。
検察官は、起訴と同時に被告人の数に応じる起訴状謄本を差し出さなければならず、その起訴状謄本が裁判所から被告人の元へ送達されることになっています。
したがって、
起訴状謄本が送達された
ということは、
検察官の公訴提起、つまり起訴を受け、刑事裁判を受けなければならない(略式起訴の場合は公開での法廷での裁判を受ける必要はありません)
ということを意味しています。
~ 起訴状にはどんなことが書かれてあるの? ~
詳細は「起訴状、画像」などとキーワードを入れて検索していただき、現物をご覧になっていただくのが早いかと思います。
まず法令で記載しなければならないとされているものとして
・被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項
・公訴事実
・罪名
のほか、
・被告人の年齢、職業、住居及び本籍(ただし、被告人が法人であるときは、事務所並びに代表者又は管理人の氏名及び住居)
・被告人が逮捕又は勾留されているときは、その旨
です。この他、起訴状には
・起訴年月日、起訴した検察官の指名・検察官の所属検察庁名、起訴された裁判所名
が記載されています。
なお、この中では「公訴事実」が最も重要です。
「公訴事実」とは、起訴された罪に関して
あなたがいつ、どこで、どんな方法によって、何をしたか、被害者は誰で、どの程度の損害が発生したか
などのことについて記載されています。
~ なぜ起訴状は送達されるの? ~
では、なぜ起訴状は被告人へ送達されることになっているのでしょうか?
それは一言でいえば、
刑事裁判の準備のため
です。つまり、被告人に起訴状に書かれてある事実を知らしめることによって、
・その事実について認めるのか認めないのか
・認めるとして、認めないとしてどんな主張をし、どんな証拠を提出するのか
という準備のきっかけが与えられるわけです。
~ 刑事裁判と起訴状 ~
そして、刑事裁判(正式起訴された場合)では、検察官が起訴状を朗読し、朗読後、裁判官から
・起訴状を読んだか
・公訴事実について認めるか、認めないか
を聴かれます。
ですから、起訴状を受け取った際は、そのまま放置することなくしっかり読んで、ご自身の主張を固めておく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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【窃盗】息子が万引きで逮捕
【窃盗】息子が万引きで逮捕
万引きと留置場での接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市東区に住む大学生のA君はスーパーで万引きしたとして保安員に現行犯逮捕され、その後身柄を福岡県東警察署の警察官に引き渡されました。Aさんは警察官とともに福岡県東警察署へ行き、留置場へ収容されてしまいました。他方、A君の母親は福岡県東警察署刑事課の警察官から「A君を万引きで逮捕した。」という連絡を受けました。逮捕の連絡に驚いたA君の母親でしたが、息子が元気でいるか確かめたいと思い、警察官に「息子と接見(面会)したい」と申し出たところ、断られてしまいました。そこでA君の母親は今すぐA君と接見してくれる万引き・刑事事件に詳しい弁護士にA君との接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 万引きと窃盗 ~
万引きは窃盗罪に当たります。
窃盗罪は刑法235条に規定されており、罰則は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金とされています。
万引きが発覚すれば逮捕される可能性は大いにあります。
なお、法律上、現行犯逮捕に限り私人(警察官などの司法関係者以外の者)でも可能です。
今回、A君は保安員により現行犯逮捕されています。
現行犯逮捕されるとその場から警察署に連行され、警察署内の留置場に収容されてしまいます。
~ 留置場とは ~
留置場は、全国の各都道府県警察署内に設けられた、主に被疑者の逃走、罪証隠滅行為を防止するための施設です。一定の場合(運動、診断、入浴等)を除き、8畳ほどの簡素な居室の中で生活することになります。規則正しい生活を強いられ、場合によっては共同で狭い居室の中で生活しなければなりません。また、食事は出ますが、警察署内に調理する場所はなく、専ら外注した弁当を配膳されます。当然、好きなもの、食べたいものが配膳されるわけではありませんし、冷めていて温めることもできません。入浴は、夏場は週に2回、冬場は週に1回とされていることが多いようです。
このよな生活であることから、留置された方にとっては相当な負担となることでしょう。
~ 逮捕後の接見(面会)は可能? ~
では、逮捕直後、ご家族は逮捕された方と留置場で接見(面会)することは可能でしょうか?
この点、逮捕から勾留決定が出るまでの逮捕期間中は、法律上、弁護士以外の方が逮捕された方との接見を認める規定はありません。
つまり、権利としては認められていない、ということになります。
ただし、一度、警察官に接見したい旨を申し出てみる価値はあるでしょう。警察官の判断で接見を認めてもらえるかもしれません。
しかし、多くの場合は接見を認めてはくれないでしょう。
そんなとき、どうしても逮捕された方と接見して欲しいという場合は弁護士に接見をご依頼ください。
弁護士であれば日時に関係なく速やかに逮捕された方と接見することが可能です。
また、当番弁護士と異なり、接見後、必ずご依頼者様に接見の報告をさせていただきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、万引きをはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
【窃盗】置引き窃盗と早期釈放
【窃盗】置引き窃盗と早期釈放
置引き窃盗と早期釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市中央区の大学に通うAさん(20歳)は、ATM機でお金を引き出そうとしたところ、ATM機横に財布が置かれてあるのを見つけました。Aさんはそれを手に取って中身を見ると、財布の中には1万円札1枚が入っているのを確認しました。Aさんは、普段お金に足りないことに不満を抱いていたことから、「自分のものにしてしまえ」と思って財布の中から1万円札を抜き取りました。その後、ATM機の上に財布を置き忘れたことに気づいたVさんが、その約5分後ATM機の元へ戻ってきました。Vさんは、財布は無事手に戻すことができたものの、1万円札を抜き取られたことに気づいたことから警察に通報、被害届を提出しました。そうしたところ、Aさんは窃盗罪で福岡県中央警察署に逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~置引き~
置引きとは、置いてある他人の財物を持ち去る行為をいいます。
置引きは、刑法などの法令に規定されている罪名ではなく、「ひっったくり」や「万引き」と同様、窃盗罪の態様として慣用的に使われている言葉の一種です。
なお、平成30年度版犯罪白書によれば、置引きは、万引き、車上狙い(荒らし)に次ぐ3番目に多い窃盗の手口とされています。
置引きは窃盗罪(刑法235条)あるいは占有離脱物横領罪(刑法254条)に当たる可能性があります。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
窃盗罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、占有離脱物横領罪は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」と両罪は法定刑に大きな違いがあります。
窃盗罪と占有離脱物横領罪を区別する基準は、被害者の財物に対する支配が及んでいるか否かという点です。及んでいる場合は窃盗罪、及んでいない場合は占有離脱物横領罪が成立します。
本件では、VさんがATM機に財布を置き忘れたことに気づき約5分後に取りに戻ったというのですから、Vさんの財布及びその中の財物(お金など)に対する支配は認められるものと思います。したがって、Aさんには窃盗罪が適用され、処罰される可能性が高いでしょう。
~逮捕後の流れと早期釈放~
逮捕後の流れは以下の通りです。
①逮捕→②警察署の留置施設へ収容→③警察官の弁解録取→④送検→⑤検察官の弁解録取→⑥勾留請求→⑦裁判官の勾留質問→⑧勾留決定
警察官に①逮捕されると、警察署内にある②留置施設(留置場)へ収容されます。
その後、③警察署で弁解録取という手続きを受けます。その上で釈放される場合もありますが、釈放されない場合は、①逮捕から48時間以内に④検察官の元に送致する手続き(送検)を取られます。
検察官の元でも⑤弁解録取の手続きを受けます。その上で釈放される場合もありますが、釈放されない場合は⑥勾留請求されます。勾留請求は、検察官の元に送致される手続きが取られてから24時間以内になされます。
勾留請求されると、今後は、⑦裁判官による勾留質問という手続きを受けます。その上で釈放される場合もありますが、釈放されない場合は⑧勾留決定が出されたと考えていいでしょう。勾留決定が出た場合は「勾留状」という裁判官名義の令状が発布され、勾留状に基づき指定の留置場等へ収容されます。
①から⑧までの手続きに要する時間はおおよそ3日間ですから、早期釈放というのは通常①から⑧までの間で釈放されることをいいます。
警察官、検察官、裁判官の判断で釈放されることもありますが、そこに弁護人の働きかけがあればより釈放される可能性を高めることができます。
早期釈放をお望みの場合は弁護士まではやめにご連絡ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談(ご案内はこちら→無料法律相談のご案内)、初回接見サービス(ご案内はこちら→初回接見サービスのご案内)を受け付けております。
【窃盗】執行猶予獲得のためには
【窃盗】執行猶予獲得のためには
窃盗罪の執行猶予獲得について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県みやま市に住むAさんは,数年前から万引きを繰り返すようになり,過去3年以内に,1回、窃盗罪で微罪処分を受け、1回、窃盗罪で罰金20万円の略式命令を受けていました。そして,ある日,Aさんはスーパーで再び万引きしたところを保安員に目撃され窃盗罪で逮捕されてしまいました。Aさんの逮捕の通知を受けた母親は,何としてでも実刑だけは避けたいと思い,執行猶予付き判決の獲得を目指して弁護士に刑事弁護を依頼することにしました。
(フィクションです)
~Aさんの処分は?~
Aさんは過去3年以内に同じ窃盗罪で罰金刑を受けています。これは前科1犯とカウントされます。また、微罪処分を受けたことは前歴としてカウントされます。そして、犯行時から3年以内に同種前科1犯、前歴1回があると、次の刑事処分は
正式起訴(公判請求)
される可能性が高いです。
正式起訴されると、Aさんが過去すでに罰金刑の前科を有していることから、検察側から
懲役刑
を求刑される可能性が高いでしょう。
懲役の長さは
6月から1年
が相場だと思われます。
仮に、実刑判決が言い渡されると、Aさんは刑務所に服役しなければならない可能性が出てきます。
実刑を回避するには、執行猶予付き判決を獲得しなければなりません。
~執行猶予とは~
刑の執行猶予とは,有罪判決をして刑を言い渡すに当たって,情状により,その執行を一定期間猶予し,その期間を無事経過したときは刑の言渡しを失効させる制度のことをいいます。刑の執行猶予には,大きく分けて「刑の全部の執行猶予の制度」と,「刑の一部の執行猶予の制度」の2種類があり,前者はさらに,「最初の執行猶予の制度」と「再度の執行猶予の制度」の2種類に分けられます。
最初の執行猶予(付き判決)を受けるための要件は,刑法25条1項に規定されています。
刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間,その刑の全部の執行を猶予することができる
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
つまり,最初の執行猶予(付き判決)を受けるには
1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号,あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること
が必要ということになります。
~上記1について~
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
また、上記のように、はじめて正式起訴される場合は、判決で、
懲役6月から1年
を言い渡されることが相場です。
したがって、上記1の要件は満たします。
~上記2について~
上記2については、まずは
・なんら前科のない人
・前科があっても罰金刑(実刑,執行猶予付きを含む)以下の前科を有する人
は含まれる、と考えてよいです。
この点、Aさんは罰金刑の前科しか有していませんから「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に当たります。
~上記3について~
情状は,犯罪そのものに関する情状(犯情)とその他の一般情状に区別されます。
犯情とは,犯行動機・態様,被害結果などの要素があり,万引きが終わった後ではいかんともしがたい事実です。
他方,一般情状については,万引き後でも,いくらでも有利に動かすことができます。事実を認めるのであれば,まずはスーパー側に謝罪することが必要でしょう。そして,反省を深め,被害者が被った被害に思いをいたし,被害弁償を進め,可能であれば示談を締結する必要があります。それが,裁判では,有利な情状として考慮され得るからです。
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【強盗】強盗罪で早期釈放を実現
【強盗】強盗罪で早期釈放を実現
強盗罪と早期釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県大牟田市に住むAさんは,ある日の夜中,人通りの少ない路上を歩いていたVさんの背後から,Vさんに対し,左手に持っていた刃物を突き付け,「金を出せ,騒ぐと殺すぞ」などと言いました。Aさんはそのまま刃物を突き付けながら,Vさんから現金2万円入りの財布を右手で受け取り,その場から逃走しました。しかし,後日,Aさんは,福岡県大牟田警察署に強盗罪で通常逮捕されました。Aさんは自分の行ったことを全面的に認め、逮捕当初から示談の意向を示していたところ、勾留後2日目となって示談が成立し釈放されました。また、釈放後、Aさんに対する刑事処分は不起訴となりました。
(フィクションです。)
~強盗罪~
強盗罪は刑法236条に規定されています。
刑法236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,前項と同様とする。
今回、Aさんに適用されるのは刑法236条1項です。
一般に、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使,「脅迫」とは人に畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいます。しかし、強盗罪の「暴行」「脅迫」は,相手方の反抗を抑圧する程度に強いものでなければならないとされています。そして,強盗罪の暴行、脅迫か否かは,
・犯行の時刻・場所その他周囲の状況
・凶器使用の有無
・凶器の形状性質
・凶器の用い方など犯行の手段方法
・犯人,相手方の性別,年齢,体力
などを総合的に考慮して判断されます。
「強取」とは,上記の「暴行」「脅迫」により,相手方の反抗を抑圧して財物を自己又は第三者に移すことをいいます。通常は,犯人が被害者自身から直接財物を奪取することが多いと思いますが,必ずしもその必要はなく,反抗を抑圧された被害者から交付を受けてもよいとされています。
~逮捕後の流れ~
警察に逮捕されると、警察の留置場(留置施設)に収容されます。
逮捕後の流れは、
①逮捕
↓
②警察官による弁解録取→釈放
↓
③送致(送検)
↓
④検察官による弁解録取→釈放
↓
⑤検察官による「勾留請求」
↓
⑥勾留質問→釈放
↓
⑦裁判官による「勾留決定」
という手続を踏みます(なお、この間、不服申し立て等により釈放を早めることも可能です)。
①から③まで最大で48時間、①から⑤まで最大で72時間拘束されます。
したがって、①から⑦まで概ね3日間を要します。
なお、②の段階、③の段階、⑥の段階で釈放されることがあります。
⑦勾留決定があった場合は、逮捕された際に収容された留置場へ収容されるでしょう。
勾留の期間は、検察官の勾留請求があった日から「10日間」で、その後、やむを得ない事由がある場合は最大「10日間」延長されることがあります。
~早期釈放に向けて~
強盗罪は5年以上の有期懲役と重たい罪ですから、⑤検察官による勾留請求、それを受けての⑦勾留決定はやむを得ないかもしれません。
しかし、Aさんのようにはやくから罪を認め、被害者に対し示談意向を示している場合は勾留後も早期釈放のチャンスはあります。
このように早期釈放のためにははやくから示談意向を示し、示談を成立させることが重要です。
示談には早期釈放のメリットのほか、不起訴獲得にもつながりやすくなります。
早期釈放、不起訴処分獲得に向けて示談をご検討中の方ははやめに弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、強盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。
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