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【事例解説】事後強盗罪とその弁護活動(リサイクルショップで商品を万引きし、追いかけてきた店員に暴行を加えたケース)

2024-06-20

【事例解説】事後強盗罪とその弁護活動(リサイクルショップで商品を万引きし、追いかけてきた店員に暴行を加えたケース)

今回は、リサイクルショップで商品を万引きし、追いかけてきた店員に暴行を加えたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:リサイクルショップで商品を万引きし、追いかけてきた店員に暴行を加えたケース

福岡市のリサイクルショップで靴など商品3点を盗んだAさんが、逮捕を免れるため従業員Vさんを殴ったとして、逮捕されました。
事後強盗の疑いで逮捕されたのは、福岡市西区のAさんです。
Aさんは、福岡市西区にあるリサイクルショップで、スニーカーなど商品3店(販売価格合わせて3万円)を盗んだ後、店員のVさんに呼び止められましたが、逮捕を免れるため暴れたり、Vさんを殴ったりする暴行を加えた疑いが持たれています。
Aさんの窃盗に気づいた店員のVさんが、店の外に出たAさんを追いかけて取り押さえたということです。
警察の調べによると、Aさんは「生活に困ってやった。」などと供述し、容疑を認めているとのことで、Vさんに怪我はないとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,事後強盗罪について

〈事後強盗罪〉(刑法238条)

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぐ目的(財物奪還阻止目的)、逮捕を免れる目的(逮捕免脱目的)または証拠を隠滅する目的(罪証隠滅目的)のいずれかの目的で、暴行または脅迫をした場合には、強盗として論ずる、すなわち後述する刑法に定めらた強盗罪が成立することになります。
窃盗が」とは、窃盗犯人、つまり窃盗罪刑法235条)を犯した者を言います。
上記の事例では、窃盗犯人であるAさんは、追いかけてきた店員Vさんに対して、逮捕を免れる目的(逮捕免脱目的)で殴るなどの暴行を加えているため、窃盗罪ではなく強盗罪が成立することになります。
なお 、窃盗罪には、財産上の利益を窃取すること(これを利益窃盗と言います。)を処罰する規定が存在しないため、1項強盗罪が成立することになります。
例えば、初めから無賃乗車するつもりでタクシーに乗れば、運送サービスという財産上の利益を騙し取ったことになり、詐欺罪刑法246条2項)が成立することが考えられます。
しかし、タクシーに乗りしばらくしてお金がないことに気付き、目的地に到着して運賃の支払いを求められたタイミングで運転手の目を盗んで逃走した場合には、財産上の利益を窃取したことになりますが、利益窃盗を処罰する規定が存在しないため、不可罰となります。
ただし、「財布を忘れた。取りに帰りたいからいったん降ろしてくれ。」などと嘘をついて逃走した場合には、その行為は欺罔行為に該当し詐欺罪刑法246条2項)が成立する可能性があります。

〈強盗罪〉(刑法236条)

1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪は、暴行または脅迫を用いて、他人の財物(1項)または財産上の利益(2項)を強取した場合に成立します。
強取」とは、相手方(被害者など)の反抗を抑圧させるに足りる程度の暴行または脅迫を加えて財物または財産上の利益を奪取することを言います。
暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を言います。
脅迫とは、相手方に畏怖を生じさせる程度の害悪の告知を言います。

2,事後強盗罪における弁護活動

(1)身体拘束の回避・解放

逮捕・勾留による身柄拘束は、最長で23日間続き、その間に捜査機関による取調べを受け、最終的に起訴か不起訴の判断は、検察官によってなされます。
被疑者の勾留が認められるのは、勾留の理由と必要性があると判断された場合です。
勾留の理由は、被疑者が定まった住居を有しないことや、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されることを言います。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
勾留の必要性は、被疑者の身柄を拘束しなければならない必要性と身柄拘束によって被疑者が被る不利益とを比較衡量して、勾留することが相当である場合に認められます。
そのため、例えば、犯罪の証拠物はほとんど押収済みである、あるいは確実な身元引受があれば、被疑者の監督が見込めるといった事情があれば、そもそも勾留の必要性が認められない可能性が高いので、それらの事情を検察官や裁判所に対して意見書として提出するなどの働きかけによって、身柄拘束の回避が期待できます。
身柄拘束をされてしまった場合でも、上記の勾留の理由を否定し得る客観的な事情や証拠が存在すれば、準抗告刑事訴訟法429条1項)や勾留取消請求刑事訴訟法87条1項)を行い、早期の身柄解放を目指します。
被疑者が住居を有しており居住期間も長いといった事情は被疑者の住居不定の要件を否定する方向に働きます。
また、上記の事例のように、犯人は現行犯逮捕されており、加えて捜査機関による捜査がかなり進展していて、その時点において被疑者による証拠隠滅は困難であるといった事情は、被疑者による証拠隠滅を否定し得る客観的な証拠や事情となるでしょう。

(2)示談交渉

事後強盗罪は、被害者が存在します。
また、事後強盗罪は、上記の事例のように、商品を盗まれた、あるいはそれにより商品が売り物にはならなくなるといった財産的な被害と、被疑者により暴行を加えられた被害者の身体的な被害があります。
そこで、それぞれの被害者に対して、場合によっては捜査機関を経由してコンタクトをとり、示談交渉を試みます。
財産的な被害を被ったお店との示談交渉については、そもそもお店側が示談交渉には応じない場合も少なくありません。
そのため、弁護人としては、事件について謝罪・反省の意思を伝えたうえで、商品の買い取りなどの被害弁償や示談金をお支払いする準備がある旨を伝えてお店側に不快感を持たれない程度に粘り強く交渉し、示談の成立を目指します。
身体的な被害を被った被害者との示談交渉については、同じく謝罪・反省の意思を伝えた上で、治療費のお支払いなどの被害弁償や示談金のお支払いの準備がある旨を提示して、示談の成立を目指します。
示談が成立すれば、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれが低いと判断されて早期の身柄解放が期待できます。

(3)不起訴処分獲得

前述の示談が成立していれば、それを検察官に伝えることで、不起訴処分の獲得を目指します。
不起訴処分が獲得できれば、前科がつくことを回避することができるため、その後の社会生活に対する影響を最小限に抑えることができるなどのメリットがあります。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において家族・親族が事後強盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱い、刑事事件・少年事件に関する経験・実績が豊富な弁護士が在籍しております。
家族・親族が事後強盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
まずはフリーダイヤル0120-631-881まで、お気軽にお問い合わせください。

【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(スーパーの売り場から商品を持ち出し会計前に店内で費消したケース)

2024-05-26

【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(スーパーの売り場から商品を持ち出し会計前に店内で費消したケース)

今回は、スーパーの売り場からカップ焼酎を持ち出してスーパー内のトイレに持ち込み、会計を済ませる前にトイレ内で飲んだというニュース記事を参考に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:スーパーの売り場から商品を持ち出し会計前に店内で費消したケース

スーパーの売り場から、代金を支払うことなくカップ焼酎1点をトイレに持ち込み、飲んだとしてAさんが窃盗の疑いで逮捕されました。
この店では、カップ焼酎の盗難が相次いでいて、警察が関連を調べています。
窃盗の疑いで逮捕されたのは、福岡県小郡市のAさんです。
Aさんは、小郡市のスーパーで、カップ焼酎1点を盗んだ疑いが持たれています。
商品の棚卸をしていた店長が、カップ焼酎の数量が合わないことに気づき、防犯カメラを確認したところ、Aさんがカップ焼酎を盗んだとみられる映像が確認されたということです。
Aさんは、代金を支払うことなく売り場のカップ焼酎をトイレに持ち込んで個室内で飲み、容器をトイレに放置していたとみられています。
取り調べに対し、Aさんは、容疑を認めた上で「夫が家計を管理していてお金が無かった」「今でも酒が好き」などと話しているということです。
RKBオンライン 2024/04/03 15:42の記事を参考にして、地名や内容を一部変更して引用しています。)

1,窃盗罪について

〈窃盗罪〉(刑法235条)

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
また、上記の他に③故意刑法38条1項)と条文上明記されてはいませんが④不法領得の意思が必要になります。
①他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
しかし、経済的にも主観的にも価値が認められないような場合には、保護の対象となりません。
判例では、メモ紙1枚(最高裁判決昭和43年3月4日)やちり紙13枚(東京高裁判決昭和45年4月6日)などが財物性を否定されています。
②「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。
上記の事例では、Aさんはスーパーの売り場からカップ焼酎を持ち出して、トイレに持ち込み飲んだ時点で、占有者であるスーパーの店長またはオーナーの意思に反してカップ焼酎に対する占有者の占有を排除し、カップ焼酎を自身の占有に移しているため、「窃取した」と言えます。
故意とは、犯罪事実の認識・認容を言い、窃盗罪の場合は他人の財物を窃取することを認識し、窃取することになっても構わない(認容)していることを言います。
不法領得の意思とは、Ⓐ権利者を排除して他人の物を自己の所有物として(権利者排除意思)、Ⓑその経済的用法に従いこれを利用・処分する意思(利用処分意思)を言います。
Ⓐの権利者排除意思は、窃盗罪使用窃盗(例えば、他人の自転車を数分間勝手に乗り回すことなど)を区別するために必要とされます。
Ⓑの利用処分意思は窃盗罪毀棄隠匿罪との区別のために必要とされます。
例えば、会社の同僚を困らせる目的で、仕事で使うパソコンを持ち帰った場合は、窃盗罪ではなく器物損壊罪刑法261条)の成立が検討されることになります。

2,身柄拘束の解放、不起訴処分獲得に向けた弁護活動

窃盗罪で逮捕・勾留された場合、身柄を拘束されて捜査機関の取調べを受けることになります。
勾留による身柄拘束は、原則として10日間、さらに必要があると判断された場合には10日を超えない範囲で延長が認められるため、最長で20日間、逮捕の時から数えると最長で23日間身柄を拘束されることになります。(刑事訴訟法208条
逮捕に対する不服申立手続きは法律上用意されていませんが、勾留に対する不服申立手続きは準抗告刑事訴訟法429条1項)と勾留取消請求刑事訴訟法207条1項本文、87条1項)の2種類があります。
準抗告:被疑者において、そもそも勾留を認める理由が存在しないことを裁判所に申し立てること
勾留取消請求:被疑者を勾留した当初は勾留の理由が存在したが、後発的な事情の変化により被疑者の勾留を認める理由が存在しなくなったため、勾留を取り消すよう裁判所に申し立てること
被疑者の勾留が認められるのは、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者による証拠隠滅又は逃亡のおそれが認められると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
そのため、早期の身柄解放に向けた弁護活動としては、それらを否定し得る客観的な事情や証拠の収集活動を行うことが挙げられます。
例えば、報道の通りであるとすれば、Aさんがカップ焼酎を盗んだとみられる映像が記録されている防犯カメラは、既に捜査機関により押収されているという事情は、Aさんによる証拠隠滅のおそれを否定する客観的な事情になります。
そして、Aさんには配偶者がいるため、配偶者に身元引受人になってもらえれば、Aさんの逃亡のおそれを否定する客観的な事情にもなります。
また、Aさんには定まった住居が有しているため、住居不定の要件も否定できます。
このような弁護活動を行うことで、被疑者の早期の身体解放を目指します。
窃盗罪は、財産事件であり被害者が存在する犯罪でもあります。
そのため、被害者の方との示談交渉を被疑者に代わって行います。
示談交渉は、事件の加害者と被害者の当事者同士で行うこともできますが、当事者同士での交渉は通常は拗れて上手くいかないことがほとんどです。
また、スーパーやコンビニ、書店などは示談を拒否している場合が多く、示談交渉が難航することが考えられます。
そのため、弁護士が被疑者に代わって、被害者の方が不快にならないよう最大限配慮して、被疑者の謝罪の弁を述べ、被害弁償を行うなど慎重を期した粘り強い交渉を行い、示談の成立を目指します。
また、示談の内容として、宥恕条項(加害者を許し、刑事処罰を望まないことを意味する条項)や既に被害届の提出や刑事告訴がなされていればその取下げや取消しの約定を加えた内容での示談を成立させることが必要不可欠となります。
そして、示談の成立は、被疑者の身柄拘束からの早期解放においても重要な意味を持つだけでなく、被疑者が逮捕されてから起訴されるまでの間に示談を成立させることができれば、起訴猶予による不起訴処分の獲得も期待できます。
示談の成立は逮捕されてから起訴されるまでの間に成立させる必要があるため、窃盗罪で逮捕されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県小郡市で窃盗罪の当事者となり在宅で捜査を受けている方、またはご家族等が窃盗罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所であり、刑事事件・少年事件における豊富な経験と実績がございます。
そのため、窃盗罪で在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、窃盗罪でご家族等が身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

【事例解説】強盗罪と早期の身柄解放や不起訴処分獲得に向けた弁護活動(タクシーの運転手を殴り運賃を踏み倒したケース)

2024-05-20

【事例解説】強盗罪と早期の身柄解放や不起訴処分獲得に向けた弁護活動(タクシーの運転手を殴り運賃を踏み倒したケース)

今回は、酩酊した状態でタクシーに乗り、運賃の支払いを求められた際に運転手を殴り運賃を踏み倒したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:タクシーの運転手を殴り運賃を踏み倒したケース

タクシーの運転手Vさんを殴り、料金を踏み倒したとして、Aさんが現行犯逮捕されました。
福岡市東区在住のAさんは、福岡市東区の路上で、乗っていたタクシーの運転手Vさんの顔など複数回殴ったうえ、料金6000円を踏み倒したとして強盗の現行犯で逮捕されました。
Aさんは、料金をQRコード決済で支払おうとしたが、決済されなかったことに腹を立て、「なんや、俺が払うとや」などと言って車を降り、引き止めてきたVさんを殴ったという。
Aさんは当時、酩酊(めいてい)状態で「わたしがやったことに間違いない」と容疑を認めているという。

(事例はすべてフィクションです。)

1,強盗罪について

〈強盗罪〉(刑法236条)

1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪は、①暴行または脅迫を用いて②他人の財物1項)または財産上の利益2項)を③強取した場合に成立します。
刑法には同じ条文に2つの強盗が定義されており、それぞれ1項強盗2項強盗とも呼ばれています。
暴行または脅迫とは、それぞれ暴行罪脅迫罪における行為と同じであり、「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を言い、殴る・蹴るなどがこれに該当します。
脅迫」とは、一般人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言い、「ぶっ殺すぞ」などと怒鳴り散らす行為などがこれに該当します。
②「財物」とは、所有権の対象になり得る物であれば保護の対象にとなりますが、経済的にも主観的にも価値が認められないものは保護の対象となりません。
財産上の利益2項)とは、財物以外の財産的な利益を言い、債権を得ることや、本事例のように料金の支払いを免れること(債務の免除・消滅)がこれに該当します。
財産上「不法の」利益を得るとは、財産上の利益それ自体が違法な物を意味するのではなく、財産上の利益を得る手段が違法(=不法)であることを言います。
本事例では、AさんはVさんの顔などを殴りタクシー運賃の支払いを免れているため、Aさんは「財産上不法の利益を得」たと言えます。
③「強取」とは、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行または脅迫を手段として財物または財産上の利益を奪取することを言います。
したがって、財物または財産上の利益を得るために用いられる暴行または脅迫は、相手方の反抗を抑圧させる程度である必要があり、相手方の反抗を抑圧するに足りない程度の暴行脅迫を用いて、相手方に財物または財産上の利益を自己に交付させた場合には、恐喝罪刑法249条)の成否が検討されることになります。

2,早期の身柄解放や不起訴処分獲得など前科の回避に向けた弁護活動

強盗罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間身柄を拘束され、その間に捜査機関による取調べを受けることになります。
被疑者段階における勾留が認められるのは、被疑者が定まった住居を有していない場合、被疑者に証拠隠滅のおそれまたは逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
そのため、早期の身柄解放に向けた弁護活動としては、これらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集し、裁判所に対して準抗告刑事訴訟法429条1項2号)や勾留取消請求刑事訴訟法87条1項)といった不服申し立てを行います。
準抗告とは、被疑者にそもそも勾留を認める理由が無いことを裁判所に申し立てることを言います。
勾留取消請求とは、既に勾留されている被疑者において、後発的な事情の変化により勾留を認める理由がなくなったため、裁判所に決定で勾留を取り消すよう申し立てる手続きです。
上記の事例で言えば、Aさんは犯行を認めているため、Aさんに対し検察官が勾留請求したとしても、Aさんの逃亡のおそれは低いと考えられるため、勾留の必要性はないと主張することが準抗告です。
また、強盗罪は被害者が存在する犯罪でもあるため、被害者との示談に向けた弁護活動も行います。
しかし、強盗罪は被害者の財産的な被害があると同時に被害者の身体的・精神的な被害が問題になる犯罪でもあります。
強盗罪は、財物または財産上の利益の奪取のために被害者の反抗を抑圧するに足りる程度に強い暴行または脅迫が用いられます。
そのため、示談を成立させるには、被害者の方に対する被害弁償や慰謝料の支払い等を行い、被害者に対し反省や謝罪の意を示す必要があります。
当事者同士での示談交渉を行うことは可能ですが、通常は拗れて交渉が上手くいかないことが多いです。
弁護士を間に入れて被害者に対し冷静かつ丁寧な説明を行うことができれば、示談交渉が上手くいくことが期待できます。
示談には、被害者の意向をくみ取りつつも加害者に対する宥恕条項(被害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届の取下げや刑事告訴の取消といった約定を加えることが必要不可欠です。
示談の成否は、被疑者の場合は起訴か不起訴かを左右する重要な要素になることが多いため、前科回避のために示談交渉を法律の専門家である弁護士に依頼することは、数あるメリットの内の1つと言えるでしょう。
しかし、逮捕されてから起訴されるまでの間に被害者とコンタクトをとり示談を成立させなければ、起訴されて前科が付くおそれが高くなるため、逮捕された場合には一刻も早く弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
そのため、様々な刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野における高い実績を誇ります。
福岡県内においてご家族等が強盗罪で逮捕等により身柄を拘束されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、ご家族等が強盗罪で逮捕等により身柄を拘束されてしまった方に対しては、初回接見サービス(有料)をご提供しております。
お気軽にご相談ください。

【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(被害者を殴るなどして現金を脅し取ろうとしたケース)

2024-05-08

【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(被害者を殴るなどして現金を脅し取ろうとしたケース)

今回は、Aさんらが2人で共謀してVさんを殴り現金を脅し取ろうとしたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:被害者を殴り現金を脅し取ろうとしたケース

福岡県警春日警察署は、恐喝未遂の疑いでいずれも春日市在住のAさんら2人を逮捕した。2人の逮捕容疑は共謀し、春日市内の団体職員の20代男性Vさんを殴るなどして現金を脅し取ろうとした疑い。
捜査に支障があるとして認否を明らかにしていない。
(事例はフィクションです。)

1,恐喝罪について

〈恐喝罪〉(刑法249条)

1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法恐喝罪は、人を恐喝して財物(1項)または財産上の利益2項)を交付させた場合に成立します。
恐喝」とは、財物の交付や財産上の利益の移転に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、その人の反抗を抑圧させるに至らない程度の行為を言います。
もし暴行または脅迫を加えた相手方の反抗を抑圧するに足りる程に強度であった場合には、恐喝罪ではなく強盗罪刑法236条)の成立が検討されることになります。
財物」とは、所有権の対象となり得る物であれば広く保護の対象となります。
しかし、メモ紙1枚など経済的にも主観的にも価値が認められない場合には、「財物」として保護されません。
もっとも、「財物」として保護の対象とならないとしても、「財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ」た場合には、強要罪刑法223条1項)に該当する可能性があります。
財産上の利益」とは、財物以外の財産上の利益を言い、債務を免除させる場合やサービス・労務を提供させる場合などが、これに該当します。
財産上不法の利益を得」るとは、財産上の利益の取得が暴行または脅迫を用いるなど違法な手段によって行われることを言います。
そのため、財産上の利益が違法なものであったとしても、それを暴行や脅迫など違法な手段で取得すれば、それは「財産上不法の利益を得」たことになります。
そして、恐喝罪詐欺罪と同様、恐喝行為→相手方の畏怖→畏怖に基づく交付(処分)行為→財物または財産上不法の利益の移転という一連の流れがそれぞれ原因と結果の関係を有している必要があります。

2,恐喝罪で逮捕された場合の弁護活動

恐喝罪で逮捕・勾留されると身柄を拘束され捜査機関からの取調べを受けることになります。
被疑者が犯罪の事実を否定しているまたはその認否が明らかでない場合などは、取調べに対してどのように臨むかはとても重要な問題となります。
取調べで話した内容は供述調書となり、その後の裁判で重要な証拠となります。
少しでも事実と異なる場合や話したくないことがあると言った場合でも、被疑者が法律に関する知識が不十分であることが多く、自分では判断ができないことがあります。
また、話したくないからと言ってやみくもに黙秘権を行使すれば、捜査機関側からは何か隠しているのではないか、証拠を隠滅しようとしているのではないか等あまり良くない印象を持たれるおそれや、身柄拘束が長くなるおそれなどが懸念されます。
しかし、弁護士であれば、取調べに対しどのように臨めば良いかや適切な黙秘権の行使方法といった法律の専門家として適切かつ丁寧なアドバイスをすることができます。
また、恐喝罪は被害者が存在する犯罪でもあります。
かりに、被疑者が罪を認めている等の事情があれば、被害者に対する謝罪や弁償等を行うことで示談交渉を進めることができます。
示談交渉はただ被害の弁償や謝罪を行えばいいという訳ではなく、被害者側の意向をくみ取りながら宥恕条項(被害者を許し、刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届や刑事告訴をしている場合には被害届の取下げや刑事告訴の取消しといった約定を加えた示談を成立させる必要があります。
示談交渉は当事者同士でも行うことができますが、当事者同士での交渉は拗れることが多く、また、捜査機関側からは加害者が被害者に対し口封じ等証拠の隠滅を図っているのではないかなどと思われることもあります。
被害者側としても加害者と直接コンタクトをとることは避けるのが通常と言えますが、弁護士が間に入れば、被害者に対して丁寧な説明をすることができ、示談が成立する可能性が高くなると言えるでしょう。

3,まずは弁護士に相談を

春日市において恐喝罪の当事者となり捜査を受けている方またはこれから捜査を受ける恐れのある方、あるいはご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護に特化した弁護士が在籍しており、恐喝罪の当事者で身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

【事例解説】詐欺罪とその弁護活動(新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったケースとその弁護活動)

2024-05-05

【事例解説】詐欺罪とその弁護活動(新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったケースとその弁護活動)

今回は、国が支給する新型コロナウイルス対策の持続化給付金の受給資格があるかのように装って申請サイトから申請し、自身の口座に100万円の入金を受けだまし取ったというニュース記事を参考にして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例 :新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったケースとその弁護活動

山口県警山口署は2023年11月20日、福岡市南区、建設作業員のAさんを詐欺の疑いで逮捕した。
逮捕容疑は、国の新型コロナウイルス対策の持続化給付金の受給資格があるかのように装い、2020年7月3日にサイトから申請し、同10日にAさん自身の口座に100万円の入金を受け、だまし取った疑い。
中國新聞 2023/11/20の記事を一部変更し引用しています。)

1,詐欺罪について

〈詐欺罪〉(刑法246条

1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪は、人を欺いて財物(1項)あるいは財産上の利益(2項)を交付させた場合に成立します。
人を欺」く行為(欺罔行為)とは、欺罔行為の相手方を錯誤に陥らせる行為、すなわち相手方が財物財産上の利益を交付(処分)しようと判断する際の、その判断の重要な事項を偽ることを言います。
上記の事例で言えば、Aさんは持続化給付金の受給資格が無いにもかかわらず、それがあるかのように装うことで、給付者たる国の機関はAさんに受給資格があると判断して100万円をAさんの口座に振り込んでいるため、国の機関の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽っているため、Aさんの受給資格があるかのように装い給付金の申請を行うことは「人を欺」く行為に該当すると考えられます。
財物」とは、所有権の対象となり得る物であれば広く保護されますが、経済的にも主観的にも全く無価値な物は保護されません。
過去の裁判例では、メモ紙1枚(大阪高等裁判所判決昭和43年3月4日)やちり紙13枚(東京高等裁判所判決昭和45年4月6日)などが財物性を否定されています。
財産上の利益2項)とは、財物以外の財産上の利益を言い、例えば、飲食店で飲食した代金の支払いなどの債務を免れる場合や、サービス・労務などを提供させる場合などがこれに該当します。
また、「財産上不法の利益を得」たとは、財産上の利益の取得手段が不法=違法なことを言うのであって、財産上の利益が違法なものであることではありません。
詐欺罪は、欺罔行為→相手方の錯誤→錯誤に基づく交付(処分)行為→財物または財産上の利益の移転がそれぞれ原因と結果の関係になければなりません。
欺罔行為を行ったが、その相手方が錯誤に陥らず別の理由(例えば、欺罔行為者にお金がないことを知っていて憐みからお金を渡したなど)で交付(処分)行為を行った場合は、詐欺罪は既遂とはならず未遂にとどまることになります。
そして 、詐欺罪は他人の財産を侵害する犯罪であるため、条文上の記載はありませんが成立には財産的損害の発生が必要とされています。
財産的損害が発生したか否かは経済的に評価して損害が発生したかどうかを実質的に見て判断されることになります。
過去の裁判例では、価格相当の商品を提供したとしても、事実を知ればお金を払わないといえるような場合において、商品の性能等につき真実に反する誇大な事実を告知して相手方を誤信させてお金を受け取った場合には、相手方に対する詐欺罪が成立するとしたものがあります。(最高裁判決昭和34年9月28日

2,詐欺罪とその弁護活動

詐欺罪で逮捕・勾留された場合、身柄を拘束されて警察と検察の取調べを受けることになります。
ここで、被疑者が犯罪事実について否認している、あるいは取調べにおいて話したくないことがある、といった事情がある場合、どのように取調べに臨めばよいのかを知ることはとても重要と言えます。
被疑者段階における勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
しかし、被疑者が犯罪事実を否認している場合、捜査機関としては、被疑者の身柄を解放してしまえば証拠を隠滅するのではないか、または逃亡を図るのではないかという推測が働くことで、勾留請求がなされてしまい、身柄拘束が長引いてしまう可能性が高くなることもあります。
また、捜査機関の取調べ中の質問に対し、被疑者がやみくもに黙秘権を行使すれば、捜査機関側にあまり良い印象を抱かれません 。
それにより取調官が厳しい言動で問い詰めるような取調べが行われるおそれや、このまま帰したら被疑者が証拠を隠滅するのではないか、または逃亡するのではないかと判断され勾留されてしまうおそれがある、といった不利益を被る可能性があります。
そこで、弁護士に依頼するメリットとして、取調べの対応について適切かつ丁寧なアドバイスを受けることができることが挙げられます。
例えば、どのような質問には黙秘すれば良いのか等適切な黙秘権の行使方法についての説明や、身柄を拘束されている事件の場合は頻繁に接見に向かい取調べ状況を逐一確認し、違法あるいは不適切な取調べを受けたという事情があれば、弁護士はしかるべき相手への抗議を行うことができるなど、その内容は多岐にわたります。
また、詐欺罪は被害者が存在する犯罪です。
そのため、被疑者が罪を認めて反省している等の事情がある場合には、弁護士は被疑者に代わって被害者との示談交渉を行います。
示談といっても加害者側だけに有利な内容での示談の成立は難しく、被害者側の意向をくみ取りつつ宥恕条項(加害者の謝罪を受け入れ、加害者の刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届の取下げや刑事告訴の取消などの条項を加えた内容での示談成立に向けた交渉が必要となります。
示談交渉は当事者同士でも行うことはできますが、当事者同士での示談交渉は、通常、拗れて上手くいかないことが多いです。
加えて、加害者側が被害者側に示談交渉を持ち掛ければ、捜査機関側は、加害者側が被害者側に不正に働きかけて証拠の隠滅を図ろうとしているのではないかなどと思われることもあり得ます。
そのため、示談交渉は法律の専門家である弁護士に依頼することがよりスムーズな示談の成立のために必要と言えるでしょう。

3,まずは弁護士に相談を

山口県内において詐欺罪の当事者となってしまった方またはご家族等が詐欺罪の当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、詐欺罪の当事者となり在宅で捜査を受けている方または被害者の方に被害届や刑事告訴をされてこれから捜査を受けるおそれのある方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
また、ご家族等が詐欺罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
お気軽にご相談ください。

【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(親子3人でコンビニエンスストアから電子タバコの機械2つを万引きした)

2024-04-17

【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(親子3人でコンビニエンスストアから電子タバコの機械2つを万引きした)

今回は、親子3人でコンビニから電子タバコ2個を万引きしたというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:親子3人でコンビニから電子タバコ2個を万引きしたケース

山口県警岩国警察署はコンビニエンスストアで万引きをしたとして、Aさんら親子3人を窃盗の疑いで逮捕しました。
窃盗の疑いで逮捕されたのは福岡県北九州市の建設業のAさんら親子3人です。
警察によりますと3人は2月15日、山口県岩国市内のコンビニエンスストアで電子タバコの機械2つ、8000円相当を盗んだ疑いがもたれています。
警察は防犯カメラを調べるなどして、20日午前10時ごろ北九州市内にいる親子3人を逮捕しました。 警察で詳しく調べています。
(tys テレビ山口 3/20(水) 16:48配信の記事を一部変更し引用しています。)

1,窃盗罪について

〈窃盗罪〉

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」(刑法235条

窃盗罪は、占有(財物に対する事実的支配)を保護法益とし、その占有を侵害することを処罰する犯罪であるため、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
①「他人の財物」とは、他人が占有する財物をいい、財物とは財産的価値がある物をいいます。
しかし、財物とは「所有権の対象となり得べき物を言い、それ自体が金銭的乃至経済的価値を有する否やは問うところではない」とした判例があります(最高裁判決昭和25年8月29日)。
このことから、所有権の対象であれば、経済的価値がなくても主観的に価値があるものであれば財物として保護されることになります。
しかし、経済的にも主観的にも価値が認められないものは財物として保護されず、例えば、メモ紙1枚やちり紙13枚などは財物性が否定された判例があります。
②「窃取」とは、他人の占有する財物を、占有者の意思に反して、その占有を侵害して自己又は第三者の占有に移転させることを言います。
上記の事例で言えば、コンビニ店が占有する電子タバコ2個の占有を、コンビニ店の意思に反して、電子タバコ2個の占有を侵害してAさんら3人の占有に移転させたと言えるため、Vさんらは電子タバコ2個を「窃取した」と言えるでしょう。
また、窃盗罪は故意犯(罪を犯す意思を持ってした行為により成立する犯罪)であるため、上記の2つの要件の他に、③故意と④不法領得の意思が必要となります。
③の故意とは、犯罪事実の認識・認容を言い、窃盗罪の場合は、行為者が他人の財物を窃取することを認識し、窃取することになっても構わないと考えていること(認容)が必要となります。
不法領得の意思は、条文上記載はありませんが、窃盗罪をはじめとする財産犯の成立には必要となる要件です。
そして、不法領得の意思とは、Ⓐ権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてⒷその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思を言います。
Ⓐを権利者排除意思、Ⓑを利用処分意思と言い、Ⓐは不可罰の使用窃盗(例えば、自転車の一時的な使用)との区別のため、Ⓑは毀棄罪(器物損壊罪など)との区別のためにそれぞれ必要となります。

2,接見禁止の解除または一部解除を求める弁護活動

窃盗罪で逮捕・勾留された場合、最長で23日間、身柄を拘束されてその間に警察と検察の取調べを受けることになります。
また、今回のような共犯事件において、事件の犯人がお互いに口裏合わせを行い証拠隠滅のおそれがあると判断された場合、身柄を拘束されている被疑者には接見禁止処分が付けられる可能性があります。
接見禁止とは、被疑者に逃亡または証拠隠滅のおそれが認められる場合に、弁護人または弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者以外の者との面会を禁止することを言います(刑事訴訟法207条1項本文81条本文)。
接見禁止処分が行われると、家族・親族・恋人・友人などが身柄拘束されている被疑者と面会できなくなります。
身柄を拘束されている被疑者は精神的にも身体的にも不安を抱えていることが多く、家族や友人と面会することでその不安の解消に繋がるだけでなく、その後の人生における更生の一助となることもあります。
しかし、接見禁止処分が行われるとそれらの実現が不可能となるため、弁護士は接見禁止の解除に向けた弁護活動を行います。
上記の通り、被疑者に接見禁止が認められるのは逃亡や証拠隠滅のおそれが認められるためです。
したがって、それらのおそれを否定する客観的な事情や証拠を収集することが主な活動となります。
例えば、捜査機関の捜査により犯罪の証拠となる物(例えば犯行が記録された防犯カメラ)は既に押収されている等の事情があれば、被疑者による証拠隠滅は不可能である旨の主張を行い、接見禁止の解除に繋がります。
以上から、逮捕・勾留により身柄を拘束され、接見禁止処分が行われてしまった場合、少しでも早く弁護士に依頼することが大切と言えます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において窃盗罪の当事者となってしまった方、もしくは家族・親族が窃盗罪の当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、窃盗罪の当事者となってしまった方で在宅捜査を受けている等の場合には初回無料でご利用いただける法律相談を、家族・親族が窃盗罪の当事者となってしまい身柄を拘束されている方には初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(事務局の口座から現金を不正に払い出して横領したケース)

2024-04-14

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(事務局の口座から現金を不正に払い出して横領したケース)

今回は、事務局担当者として経理事務と金銭出納などの業務に従事していた町職員が、事務局の口座から現金約63万円を払い出し横領したというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:事務局担当者として経理事務や金銭出納などの業務に従事していた町職員が、事務局の口座から現金約63万円を払い出し横領したケース

松阪署は4日、業務上横領の疑いで明和町、同町職員Aさんを逮捕した。
逮捕容疑は多気郡町村会の令和4年度事務局担当者として町村会経理事務と金銭出納などの業務に従事していた同5年2月28日、同町の金融機関で2回にわたり同事務局口座から払い出した現金合計約63万円を横領した疑い。
Aさんは「私はやっていない」と否認している。
同署によると、令和5年4月の人事異動で新しい担当者が事務を引き継いだ時、使途不明金が見つかったため、同町が同署に同年7月下旬から8月上旬にかけて相談し、10月上旬に告訴、受理された。
同町長職務代理者の下村由美子副町長は「多くの皆さまにご迷惑をおかけしたことをおわびいたします」「捜査に全面協力しますとともに、厳正に対処する」とコメントを出した。
伊勢新聞 3/5(火) 8:00配信のニュース記事を一部変更し引用しています。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。」(刑法253条

業務上横領罪は、通常の横領罪刑法252条1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意刑法38条1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「物」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
「占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言い、法律上の支配が問題となる場面は不動産の占有と銀行預金の占有です。
不動産の場合は、不動産の所有権の登記名義人は、当該不動産を実際に居住するなど事実上支配していなくても、売却など自由に処分できる立場にあるため、法律上支配していると言えます。
また、他人から預かった金銭を自分の口座で管理している場合は、金銭を自分の財布に入れて実際に管理しているわけではないため事実上支配しているとは言えませんが、その金銭はいつでも自分の口座から引き出すことができ、自由に処分できる立場にあるため、他人の金銭に対する法律上の支配が認められます。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずして開始した場合、その物は誰の占有にも属していないか偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係委任民法643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。

2,業務上横領罪で逮捕・勾留による身柄拘束を受けた場合における弁護活動

業務上横領罪で逮捕・勾留された場合、最長で23日間 、身柄を拘束されて警察と検察の取調べを受けることになります。
その後、検察官によって起訴されるか否かが判断され、起訴されてしまった場合には公判が開かれることになります。
窃盗罪などの他の財産犯に比べて、業務上横領罪未遂犯を処罰する規定が存在しないため、業務上横領罪に当たる行為を行った時点で結果が発生していなくとも既遂となります。
未遂犯は既遂犯に比べて刑罰を減軽される可能性がありますが(刑法43条本文)、業務上横領罪はすべて既遂として処罰されることになります。
また、横領行為は信頼して預けていた財物に手を出すという信頼を失墜させる行為であること、「業務上」という反復継続して行う立場でありながら犯行に及んだという点で非難の度合いが高く、起訴されてしまった場合には実刑判決を受ける可能性が高いと言えます。
業務上横領罪の刑罰は10年以下の懲役刑のみであるところ、執行猶予付き判決を獲得するためには、判決によって言い渡される刑罰が懲役又は禁錮3年以下である必要があります(刑法25条柱書)。
そのため、業務上横領罪で逮捕・勾留された場合、それに引き続いて起訴されてしまった場合いは、弁護士による迅速なサポートを受けることが重要となります。
まず、勾留による身柄拘束が認められるのは、被疑者・被告人に証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
そこで、弁護士はそれらの事情を否定し得る客観的な事情や証拠を収集する活動を通じて早期の身柄解放を行います。
具体的な活動の一例としては、被疑者・被告人の家族や親族に働きかけて身元引受人となってもらい、被疑者・被告人の裁判所や捜査機関への出頭の機会を確保することができれば、逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情となり、早期の身柄解放が期待できます。

次に、業務上横領罪は被害者が存在する犯罪でもあります。
そのため、弁護士が被疑者・被告人に代わって被害者との示談交渉を行い、示談の成立に向けた活動を行います。
示談と一口に言っても内容は種々様々で、加害者側にだけ都合のいい内容で示談交渉を進めると交渉が拗れてしまい、示談が成立する可能性は低くなります。
そのため、被害者側の意向をくみ取りつつ、宥恕条項(加害者側の謝罪を受け入れて、加害者の刑事処罰を望まないことを意味する条項)や刑事告訴取消といった約定を入れた内容で示談交渉を進める必要があります。
また、身柄を拘束されている事件では、逮捕から起訴までの間 に示談を成立させることができれば、証拠隠滅や逃亡のおそれが低いと判断され早期の身柄拘束が、起訴猶予による不起訴処分の獲得がそれぞれ期待できます。
そのため、身柄を拘束されてしまった場合には、短い期間で示談交渉を行い必要があるため、速やかな示談交渉が必要不可欠となります。
もし起訴されてしまった場合でも、示談が成立していれば、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高まるため、示談交渉の成立に向けた弁護活動が重要であることに変わりはありません。
以上より、業務上横領罪など逮捕・勾留により身柄を拘束されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に依頼することがとても重要と言えます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で業務上横領罪の当事者となってしまった方、もしくは家族・親族が当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事弁護の経験・実績が豊富で刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、業務上横領罪で在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、家族・親族が当事者となってしまった方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

住居侵入窃盗(侵入盗)とその弁護活動(知人の家に侵入し物を盗んだケース)

2024-03-21

住居侵入窃盗(侵入盗)とその弁護活動(知人の家に侵入し物を盗んだケース)

今回は、福岡県宇美町在住の公立中学校の教員Aさんが知人Vさんの住宅に侵入し物を盗んだというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:知人宅に侵入し物を盗んだケース

窃盗の疑いで逮捕されたのは、福岡県志免町に住む公立中学校の教員Aさんです。
Aさんはおととし8月、福岡県宇美町の知人男性Vさんの住宅に侵入し、着物など7点、あわせて115万円相当を盗んだ疑いが持たれています。
警察によりますと、Vさんの住宅付近の防犯カメラに映った車の映像などから、Aさんの関与が浮上したということです。
取り調べに対し、Aさんは、「間違いありません」と容疑を認めているということです。
(RKBオンライン 2024/03/01 14:09の記事を一部変更し引用しています。)

1,住居侵入窃盗(侵入盗)とは

住居侵入窃盗(侵入盗)とは、窃盗犯の手口の一つであり、空き巣や事務所荒らしなどがその典型例です。
刑法上は、住居侵入罪(130条前段)と窃盗罪(235条)の別の犯罪が成立しますが、住居侵入が窃盗を行うための手段として行われた場合、両罪は牽連犯(刑法54条後段)としてその最も重い刑により処断されることになります(刑法54条)。

2,牽連犯とは

牽連犯とは、「犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名にふれる」場合をいいます(刑法54条後段)。
複数の行為の間に手段と目的、又は原因と結果の関係(牽連関係)が認められる場合には牽連犯が成立しますが、複数の行為に牽連関係が認められるかどうかの判断基準として、ある犯罪が手段若しくは結果とが経験上通常、手段と目的又は原因と結果の関係にあるか否かによって判断されます(客観説 大判明42.12.20)。
牽連犯として認められたものとして、住居侵入窃盗の他に住居侵入と殺人、住居侵入と強盗、住居侵入と放火などが挙げられます。
反対に、牽連犯として認められないものとして、監禁と傷害、殺人と死体遺棄、強盗殺人と証拠隠滅のためにした放火などが挙げられます。
牽連犯が成立した場合の効果として、「その最も重い刑により処断する」とありますが、これは複数の犯罪を行った場合でも科される刑罰はそのうちの最も重い刑しか科されないことを意味し、科刑上一罪として処理されます。
住居侵入窃盗の場合では、住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金であり、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金であるため、その最も重い刑である窃盗罪の法定刑の範囲で刑罰が科されることになります。
そのため、上記事例におけるAさんが有罪となった場合、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金の範囲で刑罰が科されることになります。

3,住居侵入窃盗とその弁護活動

住居侵入窃盗で逮捕・勾留された場合、最長で23日間、身柄を拘束されて警察と検察の取調べを受けることになります。
逮捕・勾留により身柄を拘束されている被疑者は一人で精神的・肉体的に大きな不安を抱えるため冷静な状態で取調べに臨むことが難しくなります。
そこで、弁護士による取調べ対応などの弁護活動が重要となります。
弁護士が接見に向かえば、被疑者はどのように取調べに臨めばいいか、何を話すべきかなどの丁寧かつ適切なアドバイスを受けることができるため、被疑者の不安の解消の一助となるでしょう。
また、勾留による被疑者の身柄拘束が認められるのは、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれが認められるからです(刑事訴訟法207条1項、60条1項)。
そこで、被疑者の早期の身柄解放に向けた弁護活動としては、証拠隠滅や逃亡のおそれを否定し得る客観的証拠や事情の収集活動を行います。
たとえば、被疑者が犯してしまった犯罪の証拠となる物は既に捜査機関に押収されているため証拠隠滅は不可能であるという客観的事情を主張することで証拠隠滅のおそれを否定し得るでしょう。
そして、住居侵入窃盗は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を進め示談を成立させることも重要な弁護活動と言えます。
被害者との示談が成立していれば、早期の身柄解放や起訴猶予による不起訴処分を得られる可能性が高くなり、前科の回避や身柄解放後の日常生活への支障を最小限に抑えることができます。
以上より、逮捕・勾留から起訴されるまでの23日間に、一刻も早い刑事弁護活動を受けることが重要となります。
仮に起訴されてしまった場合でも、被害者との示談が成立しているなどの事情があれば執行猶予付き判決を得られる可能性が高くなるため、どちらにせよ刑事弁護はスピードが大事であることに変わりはありません。
そのため、住居侵入窃盗(侵入盗)で逮捕・勾留されてしまった場合には、刑事事件に特化した弁護士による適切かつ適切なサポートを受けることがなによりも重要となります。

4,まずは弁護士に相談を

福岡県内において住居侵入窃盗でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部の弁護士に一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、住居侵入窃盗でお困りの方には初回接見サービス(有料)をご提供しております。
お気軽にご相談ください。

強盗傷人罪となった際に開かれる裁判員裁判

2024-02-28

強盗傷人罪となった際に開かれる裁判員裁判

強盗傷人罪と裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福岡県朝倉市に住んでいる会社員のAさんは、銀行から出てきたVさんの後をつけました。
AさんはVさんが人目に付かない路地に入っていくところを見計らい、持っていたナイフをVさんに突きつけ金を渡すよう脅迫しました。
しかしVさんは抵抗し、AさんはVさんの腕を切り付けました。
Vさんはバッグを落とし、Aさんは落ちたバッグを拾ってそのまま走り去りました。
その後Vさんが警察に通報したことで、朝倉警察署が捜査を開始し、ほどなく犯人がAさんであることが分かりました。
そしてAさんは強盗傷人罪の疑いで逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

強盗傷人罪

Aさんの起こした強盗事件に適用されたのは、刑法第240条に「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」と定められた強盗傷人罪(および強盗致傷罪)の条文です。
通常の強盗事件刑法に定められた強盗罪が適用され、この強盗罪とは暴行や脅迫を用いて他人の財物を強取する犯罪です。
その犯行時に人が負傷する結果が生じると、強盗傷人罪または強盗致傷罪となります。
強盗犯が故意に人を傷付ける場合が強盗傷人罪と呼ばれ、強盗犯が故意なく人を傷付けた場合に強盗致傷罪と呼ばれます。
強盗傷人罪強盗致傷罪は適用される条文は同じであるため、どちらも法定刑は「無期又は6年以上の懲役」となります。
また、強盗犯が人を「死亡させたとき」は、故意に人を死亡させると強盗殺人罪、故意なく人を死亡させると強盗致死罪、とこちらも呼称が異なっています。
Aさんはまず、ナイフを示しながら現金を要求しました。
強盗罪となる「暴行又は脅迫」は、相手側の反抗を著しく困難にする強度が必要ですが、凶器を示しての脅迫は反抗を著しく困難にする強度があると判断されるため、この時点でAさんは強盗罪、少なくとも強盗未遂罪になります。
そしてVさんが抵抗したため、AさんはナイフでVさんを切り付けた上でバッグを奪いました。
そのため故意を持って「人を負傷させた」Aさんには、強盗傷人罪が成立することになりました。

裁判員裁判対象事件

Aさんの逮捕容疑である強盗傷人罪の法定刑は「無期又は6年以上の懲役」です。
裁判員裁判対象事件となる条件の1つには、刑罰に無期が含まれる事件があるため、強盗傷人罪では裁判員裁判が開かれることになります。
一般の国民がランダムに裁判員として選ばれ、裁判に参加する制度が裁判員裁判制度です。
裁判に一般の方が参加する都合上、裁判員裁判では通常の裁判とは異なる手続きがとられます。
まず、裁判員裁判では公判前整理手続という、裁判官、検察官、弁護士が公判に先だって事件の争点を事前に整理し、審理の予定を立てる作業を行います。
また、弁護士は裁判員の選任手続にも立ち合います。
これは不公平な裁判を行う可能性がある裁判員が選出されないよう裁判員候補者をチェックするためで、裁判を公平に行えるようにすることが目的です。
その他にも裁判員裁判は様々な手続きがとられます。
そのため、裁判員裁判対象事件を起こしてしまった場合に弁護士と契約するのであれば、裁判員裁判に詳しい弁護士に依頼することが重要と言えます。

裁判員裁判に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
当事務所ではフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回無料の法律相談および、逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスのご予約を受け付けております。
24時間体制でお電話をお待ちしておりますので、裁判員裁判対象事件を起こしてしまった方、またはご家族が強盗傷人罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に、是非、ご連絡ください。

万引きで逮捕、会社相手にする示談交渉

2024-02-22

万引きで逮捕、会社相手にする示談交渉

万引きの窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

福岡県筑紫野市に住んでいる会社員のAさんは、特定のコンビニで複数回万引きを繰り返していました。
そしてAさんがまたコンビニで万引きをした際、店員から万引きを見つかり取り押さえられてしまいました。
取り押さえた店員はすぐに警察に通報し、ほどなくして筑紫野警察署の警察官が臨場しました。
そしてAさんは窃盗罪の容疑で逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

万引き

窃盗罪刑法第235条に「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」とあります。
窃取とは他人が占有(物に対する実質的な支配または管理を意味する)する他人の物を、その占有者(占有している人物)の意思に反して、自己または第三者へと占有を転移させることを指しています。
参考事件の場合、占有者はその商品を取り扱っている店舗になります。
そのためコンビニの商品を、対価を支払わずにその意思に反して、自身の占有下に置いたAさんの行為は窃盗罪で間違いありません。
Aさんのようにコンビニやスーパーなどの店舗から、商品を無断で持ち帰る窃盗罪は、万引きと呼ばれます。
あまり大きな犯罪ではないと思われている方もいますが、万引き刑法に定められた窃盗罪が適用されるため、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が刑罰です。
そのため決して軽い犯罪とは言えず、特に複数回繰り返したり転売を目的として万引きしたりといったケースでは逮捕リスクも高くなっていきます。

個人が被害者でない場合

万引きの初犯であれば正式な裁判は開かれず、不起訴や略式罰金で事件が終了することもあります。
しかし、Aさんの場合は繰り返して万引きを行っているため、その点を重く見られ裁判が開かれてしまう可能性もあります。
こういった万引き事件で不起訴や略式罰金を目指すのであれば、被害者、つまり店舗との示談を締結することがその第一歩です。
しかし、個人ではなく会社などの法人が被害者である場合、弁護士がいなければ示談交渉には応じないと言われてしまうケースも十分あり得ます。
また、弁護士不在でも被害弁償は行えることが多いですが、商品の買い取りを済ませたとしても、それだけでは示談が締結したことになりません。
法的に効果を持つ形で示談を締結するためには、やはり弁護士に依頼し正式な示談書を作成することが確実でしょう。
万引き事件であっても事態を軽く扱わず、弁護士に相談し、速やかに示談交渉を進めることが重要です。

万引き事件に詳しい弁護士事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件または少年事件を中心に扱う弁護士事務所です。
当事務所では、初回無料でご利用いただける法律相談逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスなどを実施しています。
どちらも24時間体制で、土曜日、日曜日だけでなく、祝日もご予約を受け付けております。
万引き事件を起こしてしまった、またはご家族が窃盗罪の容疑で逮捕されてしまった際には、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部のフリーダイヤル「0120-631-881」にご連絡ください。

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