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【事例解説】大麻取締法違反とその弁護活動(職務質問中に大麻草の所持が発覚したケース)
【事例解説】大麻取締法違反とその弁護活動(職務質問中に大麻草の所持が発覚したケース)
今回は、職務質問中に所持品検査を受けた際に大麻草の所持が発覚したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:職務質問中に大麻草の所持が発覚したケース
福岡県警東警察署は、大麻草を若干量所持していたとして、福岡市東区に住む会社員Aさんを大麻取締法違反の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、福岡市東区のコンビニエンスストアに駐車していた自車内で寝ていたことから、店舗関係者が警察に通報し、臨場した警察官がAさんに職務質問を行いました。
その際、会話内容に不審な点があることから所持品検査を行ったところ、所持品の中からタバコのようなもの1本を発見、本人が大麻と認めたため、大麻取締法違反で現行犯逮捕しました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,大麻取締法違反について
大麻取締法にいう「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品を言います。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除きます。(第1条)
〈単純所持罪〉(大麻取締法第24条の2)
1項 大麻を、みだりに、所持し、…た者は、5年以下の懲役に処する。
「みだりに」とは、社会通念上正当な理由があると認められないことを意味します。
「所持」とは、大麻であることを知りながら、これを事実上自己の実力支配内に置く行為を言います。
必ずしも大麻を物理的に持っている必要はなく、大麻の存在を認識してこれを管理し得る状態にあれば「所持」が認められ、大麻取締法違反になります
そのため、自分が直接所持していなくても、他人に預けることで間接的に自分が持っていると認められる場合にも「所持」していることになります。
例えば、警察署に身柄を拘束されている場合に、大麻を隠している事実を隠して、警察官に大麻を引き取るように要求しないことは「所持」に該当します。
2,贖罪寄付について
大麻取締法違反を含む薬物事件は、犯人以外の誰かに直接の被害が生じたわけではないので、直接の被害者が存在しません。
直接の被害者が存在しないということは、示談交渉を試みる相手がいないため、示談ができないことになります。
そのため、示談をする相手が存在しない場合の弁護活動としては、贖罪寄付を行うことが考えられます。
贖罪寄付とは、被害者のいない刑事事件や、被害者との示談ができない刑事事件などにつき、刑事手続の対象となっている方の改悛の真情を表すために日本弁護士連合会などに寄付を行うことです。
その他にも、法テラスが独自で受け付けているものや日弁連交通事故相談センターが交通事故被害者に特化した交通贖罪寄付を受け付けています。
また、DARC(薬物をやめたい人のサポートなどを行うリハビリ施設)など、薬物依存者の自助グループなども贖罪寄付を受け付けています。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において大麻取締法違反の当事者となり在宅捜査を受けている方、あるいは家族・親族が大麻取締法違反の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が在籍しており、これまでさまざまな刑事事件・少年事件を経験しております。
大麻取締法違反の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族が大麻取締法違反の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。
【事例解説】覚醒剤取締法違反とその弁護活動(自宅で覚醒剤を使用したところ、別件で駆け付けた警察官に逮捕されたケース)
【事例解説】覚醒剤取締法違反とその弁護活動(自宅で覚醒剤を使用したところ、別件で駆け付けた警察官に逮捕されたケース)
今回は、犯人と同居する家族が別件で警察官に通報し、臨場した警察官が異変を感じて尿検査をしたところ、覚醒剤の反応が出たため逮捕されたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:自宅で覚醒剤を使用したところ、別件で駆け付けた警察官に逮捕されたケース
福岡県警察博多警察署は、福岡市博多区の自宅において、複数回にわたり覚醒剤を使用した疑いで福岡市の職員Aさんを逮捕しました。
事件はAさんと同居する家族が別の用件で警察に通報があり、臨場した警察官がAさんの様子に異変を感じ、簡易検査キットを用いて尿検査をしたところ覚醒剤の反応が出たことをきっかけに発覚しました。
Aさんはその場で覚醒剤取締法違反となり逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは「覚醒剤を使ったことに間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,覚醒剤取締法違反(使用)について
覚醒剤取締法(以下「法」と言います。)に言う「覚醒剤」とは、フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各その塩類を言います。(法2条1項1号)
覚醒剤は、一定の場合を除き、何人も、その使用を制限されており(法19条柱書)、使用した場合には覚醒剤取締法違反となり、10年以下の懲役刑が科されることになります。(法41条の3第1項1号)
覚醒剤の「使用」とは、覚醒剤をその用法に従って用いる一切の行為を言い、自己又は他人の身体への使用だけでなく、鶏・豚などの家畜への使用や、研究、薬品の製造のための使用も含まれます。
また、他人から自己の身体へ注射してもらうような場合にも「使用」に該当します。
なお、覚醒剤を使用するにあたって、覚醒剤を所持することになりますが、これらは別の罪であるため、所持罪と使用罪の両方が成立し、併合罪(刑法45条)となります。
2,弁護活動
覚醒剤をはじめとする薬物犯罪では、犯罪の被害者が存在しません。
そのため、傷害罪や窃盗罪のように被害者が存在する犯罪とは異なり、示談をする相手が存在せず、示談を試みるといった弁護活動はできないことになります。
そのような場合の弁護活動としては、贖罪寄付を行うことが考えられます
贖罪寄付とは、被害者のいない刑事事件や、被害者との示談ができない刑事事件などにつき、刑事手続の対象となっている方の改悛の真情を表すために日本弁護士連合会(日弁連)に贖罪寄付を行うことをいいます。
その他にも、法テラスが独自で受け付けているものや日弁連交通事故相談センターが交通事故被害者に特化した交通贖罪寄付を受け付けています。
また、覚醒剤など薬物事件の場合には、全国にあるダルク(薬物依存者の回復を目指す回復施設)をはじめとした薬物等依存者の自助グループへ贖罪寄付を行うことが考えられます。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において覚醒剤取締法違反の当事者となり在宅捜査を受けている方、あるいは家族・親族が覚醒剤取締法違反の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しております。
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【事例解説】大麻取締法違反とその弁護活動(職務質問で大麻を所持していることが発覚したケース)
【事例解説】大麻取締法違反とその弁護活動(職務質問で大麻を所持していることが発覚したケース)
今回は、警察官から職務質問を受け、大麻を所持していたことが発覚して逮捕されたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:職務質問で大麻を所持していることが発覚したケース
福岡県春日市の路上で警察官から職務質問を受け、その後の調べで大麻を所持してしたことが判明し、その後、警察に大麻取締法違反で逮捕されました。
逮捕されたのは、春日市在住の公務員Aさんです。
警察の調べに対し、Aさんは「間違いありません。」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,大麻取締法について
大麻取締法にいう「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品を言います。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除きます。(1条)
〈単純所持罪〉(大麻取締法第24条の2)
1項 大麻を、みだりに、所持し、…た者は、5年以下の懲役に処する。
「みだりに」とは、社会通念上正当な理由があると認められないことを意味します。
「所持」とは、大麻であることを知りながら、これを事実上自己の実力支配内に置く行為を言います。
必ずしも大麻を物理的に持っている必要はなく、大麻の存在を認識してこれを管理し得る状態にあれば「所持」が認められ、大麻取締法違反になります
そのため、自分が直接所持していなくても、他人に預けることで間接的に自分が持っていると認められる場合にも「所持」していることになります。
例えば、警察署に身柄を拘束されている場合に、大麻を隠している事実を隠して、警察官に大麻を引き取るように要求しないことは「所持」に該当します。
2,直接の被害者がいない場合の弁護活動
(1)情状弁護
大麻取締法違反のような薬物事件の場合、犯人以外の誰かに被害が発生したわけではありませんので、直接の被害者が存在しません。
直接の被害者が存在しないということは、示談交渉を試みる相手がいないため、示談ができないことになります。
そのため、示談をする相手が存在しない場合の弁護活動としては、贖罪寄付を行うことが考えられます。
贖罪寄付とは、被害者のいない刑事事件や、被害者との示談ができない刑事事件などにつき、刑事手続の対象となっている方の改悛の真情を表すために日本弁護士連合会(日弁連)等に寄付を行うことです。
その他にも、法テラスが独自で受け付けているものや日弁連交通事故相談センターが交通事故被害者に特化した交通贖罪寄付を受け付けています。
また、大麻取締法違反のような薬物事件は、再犯率が非常に高い犯罪類型です。
そのため、被疑者がどのような経緯で薬物との接点を持つようになってしまったのかなど動機を解明することで、再び薬物に接触しない生活を送れるのかを熟慮し、再犯防止に向けた環境づくりのサポートを行います。
例えば、SNSを通じて薬物を買ったのであれば、当該SNSアカウントの消去や当該SNSをアンインストールし、物理的に再び薬物と接触できないようにするなどの再犯防止策が挙げられます。
(2)早期の身柄解放
逮捕・勾留により身柄拘束を受けている場合には、早期の身柄解放に向けた弁護活動を行います。
被疑者段階において、勾留による身柄拘束が認められるのは、被疑者が定まった住居を有しない、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文、60条1項各号)
そのため、それらを否定し得る客観的な事情や証拠の収集・主張活動を通じて、早期の身柄解放を目指します。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において大麻取締法違反の当事者となり在宅捜査を受けている方、あるいは家族・親族が大麻取締法違反の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が在籍しており、これまでさまざまな刑事事件・少年事件を経験しております。
大麻取締法違反の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族が大麻取締法違反の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
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【事例解説】覚醒剤取締法違反とその弁護活動(自宅において複数回にわたり覚醒剤を使用して逮捕されたケース)
【事例解説】覚醒剤取締法違反とその弁護活動(自宅において複数回にわたり覚醒剤を使用して逮捕されたケース)
今回は、自宅で覚醒剤を複数回にわたって使用した後、警察に自首して逮捕されたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:自宅において複数回にわたり覚醒剤を使用して逮捕されたケース
福岡県警察博多署は、福岡県の県立高校職員Aさんを覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕しました。
警察によると、Aさんは複数回にわたり、覚醒剤を使用した疑いがある。
Aさんは、自宅近くの交番に「覚醒剤を使いました」と出頭し、尿検査で陽性反応が出たとのことです。
警察は入手経路や所持品を調べています。
(事例はフィクションです。)
1,覚醒剤取締法違反(使用)について
覚醒剤取締法(以下「法」と言います。)に言う「覚醒剤」とは、フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各その塩類を言います。(法2条1項1号)
覚醒剤は、一定の場合を除き、何人も、その使用を制限されており(法19条柱書)、使用した場合には、10年以下の懲役刑が科されることになります。(法41条の3第1項1号)
覚醒剤の「使用」とは、覚醒剤をその用法に従って用いる一切の行為を言い、自己又は他人の身体への使用だけでなく、鶏・豚などの家畜への使用や、研究、薬品の製造のための使用も含まれます。
また、他人から自己の身体へ注射してもらうような場合にも「使用」に該当します。
なお、覚醒剤を使用するにあたって、覚醒剤を所持することになりますが、これらは別の罪であるため、所持罪と使用罪の両方が成立し、併合罪(刑法45条)となります。
2,併合罪について
併合罪とは、確定裁判を経ていない2個以上の犯罪が成立する場合を言い、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする刑罰が科されることになります。(刑法47条本文)
つまり、覚醒剤の所持罪と使用罪が成立する場合には、両罪とも刑罰は10年以下の懲役であるため、10年に2分の1を加えた15年以下の懲役が科されることになります。
3,覚醒剤取締法違反で逮捕された場合の弁護活動
(1)取調対応
覚醒剤取締法違反で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄を拘束されて捜査機関による取調べを受けることになります。
覚醒剤をはじめとした薬物事案は、被疑者において余罪がある場合があり、取調べにおいて余罪について供述してしまうと再逮捕や追起訴のおそれがあります。
そのため、弁護士は、被疑者に対して、被疑事実に関すること以外は話さない等の取調べに対するアドバイスを致します。
また、被疑者が容疑を認めている場合であっても、覚醒剤取締法違反事件は起訴率が高いため、被疑者段階から公判を見据えた弁護活動を行うことが中心となります。
(2)起訴後の保釈に向けた弁護活動
被疑者が起訴されると、被告人勾留に切り替わります。
被告人勾留は、原則として2カ月、さらに継続の必要があると判断された場合には、1カ月ごとの延長が認められます。(刑事訴訟法60条2項)
また、被告人勾留は、保釈されないかぎり判決まで続くのが一般的です。
被疑者勾留が最長で20日間であることに比べると、被告人勾留はより長期にわたって身柄を拘束されることになることが考えられます。
被告人勾留は、被告人において、住居不定や証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合に認められます。(刑事訴訟法60条1項各号)
そこで、早期の身柄解放に向けた弁護活動としては、それらの要件を否定し得る客観的な事情や証拠の収集・主張活動を行います。
(3)情状弁護
薬物事件は再犯率の高い事件類型です。
そのため、再犯防止に向けた策を講じている場合には、量刑判断に影響するため、それらを主張して少しでも被告人に有利な結果になるよう働きかけます。
被告人がなぜ薬物と接点を持ってしまったのかを知り、どうすればもう2度と薬物を利用しない生活を送れるのかを考える必要があります。
また、家族をはじめとした周囲のサポートも必要不可欠といえるでしょう。
しかし、かならずしも家族や周囲が薬物の専門家であるとは限りません。
そのため、薬物依存者の回復支援を行っている病院やダルク といった団体の援助を受けることも選択肢の一つとなります。
特に再犯で実刑の見込みが高い事案では、薬物依存症の根本からの治療の必要性などを考慮し、その観点から保釈を請求し、被告人を身柄拘束から解放させる必要があります。
そして、保釈請求が認められれば、被告人を病院やダルクの治療・支援を受けることができ、
病院やダルクのスタッフの方に証人となっていただき裁判で証人尋問をしたり、意見書を書いてもらうことを視野に入れた弁護活動を行うことも挙げられます。
それらの再犯防止策を講じていることを公判において主張し、被告人にとって少しでも有利な判決の獲得を目指します。
(4)無罪弁護
被告人が罪を認めている場合でも、もし捜査機関による捜査の過程や証拠の収集方法に違法があれば、それを主張していくことで無罪判決を獲得できる可能性があります。
4,まずは弁護士に相談を
福岡県内において覚醒剤取締法違反の当事者となり在宅捜査を受けている方、あるいは家族・親族が覚醒剤取締法違反の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
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【事例解説】大麻取締法違反とその弁護活動(マンションの一室で大麻を栽培したケース)
【事例解説】大麻取締法違反とその弁護活動(マンションの一室で大麻を栽培したケース)
今回は、マンションの一室で大麻を栽培したというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:マンションの一室で大麻を栽培したケース
マンションの一室で大麻を栽培したとして、九州厚生局麻薬取締部が、福岡市博多区、無職のAさん(40)を大麻取締法違反(営利目的栽培)容疑などで逮捕していたことが捜査関係者への取材でわかった。Aさんは同法違反で起訴され、2日に福岡地裁であった初公判で起訴事実を認めた。
捜査関係者や起訴状によると、Aさんは2月上旬頃~7月12日、営利目的で自宅とは別の同区月隈のマンションの一室で、大麻草46株を栽培するなどしたとされる。販売先の看護師の女や郵便局員の男は、同法違反(所持)容疑で逮捕されている。
検察側は冒頭陳述などで、被告が、2017年頃から同所で栽培を始め、自分で吸ったり、知人に販売したりしていたと指摘。他人名義のスマートフォンを使い、これまでに約1100万円を売り上げたと主張した。
(読売新聞オンライン 九州発2023/10/03 10:37の記事を一部変更し引用しています。)
1,大麻取締法違反(営利目的栽培)について
〈大麻取締法〉
「大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。」(大麻取締法第24条1項)
「営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。」(同法24条2項)
大麻取締法にいう「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品を言います。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除きます。(1条)
「みだりに」とは、社会通念上正当な理由があると認められないことを意味します。
「栽培」とは、播種(植物の種子をまくこと)から収穫までの育成行為を言います。
「営利の目的」とは、犯人が自ら財産上の利益を得、又は第三者に得させることを動機・目的とすることを言います。
また、必ずしも反復継続的なものである必要はなく、1回限りの行為であっても良いし、その目的によって犯行がなされたのであれば、現実に利益が得られたか否かは問題となりません。
2,弁護活動
大麻取締法違反で逮捕・勾留された場合、最長で23日間、身柄を拘束されて取り調べを受け、最終的には検察官により起訴されるか否かが判断されます。
被疑者勾留による身柄拘束は、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合になされます。(刑事訴訟法207条1項本文、60条1項各号)
また、薬物事件は、薬物の所持量、薬物の入手経路や販売経路、組織的かどうかなど明らかにしなければならない点が多いため、捜査が長期化し、それに伴い被疑者の身柄拘束も長くなることがあります。
そのため、起訴前の段階で早期の身柄解放を実現することは、難しいと言えるでしょう。
しかし、起訴された後、明らかにすべきことが明らかになれば、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを示す客観的な事情や証拠を用いた身柄解放に向けた弁護活動を行うことができます。
例えば、被告人が所持していた大麻の量がそれほど多いとは言えず、所持していた大麻そして大麻を入手するために使用したと思われるスマホやパソコンといった電子端末は全て捜査機関に押収されているなどの事情は、被告人の証拠隠滅のおそれを否定する事情と言えるため、それらを主張することで被告人の早期の身柄解放が期待できるでしょう。
そして、薬物事件は直接の被害者がいない犯罪であるため、被害者と示談交渉して被害届を取り下げてもらうなどの弁護活動を行うことができません。
そのため、例えば大麻取締法の営利目的所持違反で起訴された場合には、当該犯罪で得た収益と同額を贖罪寄付するなどの社会貢献活動を行い反省の意を示すなど活動を行います。
贖罪寄付とは、被害者のいない刑事事件や、被害者との示談ができない刑事事件などにつき、刑事手続の対象となっている方の改悛の真情を表すために日本弁護士連合会(日弁連)に寄付を行うことです。
その他にも、法テラスが独自で受け付けているものや日弁連交通事故相談センターが交通事故被害者に特化した交通贖罪寄付を受け付けています。
以上のような活動を通じて、少しでも被告人にとって有利な結果を得られるよう尽力いたします。
起訴されてしまったとしても、贖罪寄付や入手元の連絡先を消去し薬物との関わり合いを断ち反省の意を裁判官に示すことで、執行猶予付き判決を獲得できる期待が高まります。
そのため、大麻取締法違反で逮捕・勾留または起訴されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に依頼して力を借りることが重要といえるでしょう。
3,まずは弁護士に相談を
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大麻所持で逮捕、被害者がいない事件での弁護活動
大麻所持で逮捕、被害者がいない事件での弁護活動
大麻取締法違反と贖罪寄付について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡県古賀市に住んでいる大学生のAさんは、インターネットで大麻を日常的に購入しており、自宅や友人宅で使用していました。
ある日、Aさんが友人と一緒に大麻を吸うため友人宅に向かっていたところ、パトロール中だった警察官に呼び止められました。
そして職務質問を受けていたところ、Aさんが隠し持っていた大麻が警察官に見つかってしまいました。
そしてAさんは大麻取締法違反の容疑で粕屋警察署に連行されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)
大麻取締法
大麻取締法違反は、その言葉通り大麻取締法の規定を破ったことを意味します。
大麻取締法第24条の2第1項には「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。」と定められています。
そのためAさんのように大麻を所持しているだけでも大麻取締法違反となります。
薬物事件の弁護活動
大麻の所持による大麻取締法違反の法定刑は、「5年以下の懲役」のみが定められています。
つまり、罰金処分にすることができず、起訴されて有罪判決が下ってしまった場合、刑務所へ服役することになってしまいます。
実刑判決を避けるためには執行猶予の獲得を目指す必要がありますが、薬物事件は基本的に被害者が存在しない事件であるため、刑事事件で減刑に効果的な示談の締結という手段が取れません。
しかし薬物事件のような被害者が存在しない事件でとれる手続きで、贖罪寄付というものがあります。
贖罪寄付とは、事件を起こしてしまったことを心から反省していると表明するために、公的な組織や団体に対して寄付を行うことです。
贖罪寄付は示談金と同様に、事件の内容次第で金額の相場が変わります。
また、贖罪寄付を受け入れている団体は、多くの場合弁護士を通してのみ贖罪寄付を行えます。
そのため贖罪寄付をお考えの際は、弁護士に依頼する必要があります。
また、薬物事件の場合、病院で薬物治療を受けることで再発防止に努めていることを、弁護士を通じてアピールすることも大切です。
大麻取締法違反の際は、弁護士に相談し、弁護活動を依頼することをお勧めいたします。
薬物事件の際はご連絡ください
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件及び少年事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
当事務所ではフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回無料でご利用いただける法律相談の他、逮捕および勾留された方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスのご予約を受け付けております。
薬物事件の当事者となってしまった、またはご家族が大麻取締法違反の容疑で逮捕または勾留されてしまった、このような場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に、お気軽にご連絡ください。
【事例解説】薬物事件での弁護活動における贖罪寄付(麻薬を所持して逮捕された架空の事例に基づく解説)
この記事では、架空の麻薬及び向精神薬取締法違反事件を基に、薬物事件での弁護活動における贖罪寄付について、解説します。
麻薬及び向精神薬取締法違反とは
麻薬及び向精神薬取締法は、麻薬や向精神薬の製造、輸出入、所持、使用、および販売を規制する法律です。この法律の主な目的は、薬物乱用の防止と公衆衛生の保護にあるとされます。
「麻薬」には、ジアセチルモルヒネ等(ヘロイン)、コカイン、モルヒネなど、76種の薬物が指定されています。麻薬の所持は、ジアセチルモルヒネ等の場合は特に重く10年以下の懲役、それ以外の麻薬の場合は7年以下の懲役に処するとされています(同法第64条の2、第66条)。
また、麻薬の販売や製造に関与した場合、さらに重い刑罰が科されることがあります。
事例紹介:福岡市の会社員の逮捕
福岡市在住のAさんは、友人から麻薬を購入し、定期的に自宅で使用していました。
Aさんの友人が逮捕されたことが契機となり、Aさんの自宅に警察の家宅捜索が行われて麻薬が発見され、Aさんは麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)
薬物事件における贖罪寄付の意義
麻薬及び向精神薬取締法違反などの薬物事件においては、被疑者(被告人)の過去の犯罪歴、事件の具体的な状況、および被疑者(被告人)の再犯防止可能性など、様々な要素が考慮された上、刑事処分が決定されることとなりますが、贖罪寄付は一定の役割を果たすと考えられます。
贖罪寄付とは、公的な団体や社会福祉団体などに対して、反省の意を示すために行われる寄付のことです。この寄付は、被疑者(被告人)が自らの行為に対して真摯に反省していることを、捜査機関や裁判所に示す手段として用いられます。
薬物事件では一般的に、直接的な被害者が存在しないことから、被害者との示談締結による刑事処分の軽減を目指すことが難しいため、贖罪寄付は薬物事件での弁護活動における有用な手段の一つと考えられます。
当然ながら、贖罪寄付をおこなうだけでなく、薬物依存治療プログラムへの参加やカウンセリングの受講など、再発防止に向けた取組みを行うことも重要です。
贖罪寄付の実施方法
贖罪寄付の実施には、特定の手順と考慮すべき要素があるため、刑事事件の弁護活動の経験豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士は、寄付先の選定や寄付額の決定において、同種の前例なども考慮しながら、適切なアドバイスを提供することが可能です。
また、寄付の実施や寄付が行われたことの証明書の捜査機関や裁判所への提出も、通常、弁護士を通じて行うこととなります。この証明書は、被疑者(被告人)が反省していることを示す重要な証拠となり得ます。
福岡県の薬物事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、麻薬及び向精神薬取締法違反事件などの薬物事件における弁護活動の豊富な実績があります。
福岡県での薬物事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。
【事例解説】危険ドラッグ所持とその弁護活動(危険ドラッグを所持して逮捕された架空の事例に基づく解説)
この記事では、架空の事例を基に、危険ドラッグ所持により成立する犯罪とその弁護活動について、解説します。
危険ドラッグとは
危険ドラッグは、合法的な薬物に似せて製造された、非合法な薬物です。
これらは、麻薬や覚せい剤のような既存の薬物に似た効果を持ちながら、法的な規制を逃れるために作られています。しかし、製造過程での不純物の混入などにより、予期せぬ危険性を持つことがあります。
日本では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」(薬機法)により、これらの薬物は「指定薬物」として規制されています。この法律は、医療目的以外での指定薬物の所持、売買、製造を禁じており、違反した場合には厳しい罰則が科されます。
事例紹介:危険ドラッグを所持して逮捕されたケース
Aさんは、福岡県在住の大学生で、友人の紹介で危険ドラッグを摂取するようになりました。ある日、危険ドラッグを使用した後に外出したAさんは、警察官に声を掛けられ、その様子から薬物使用の疑いを持たれました。
警察による家宅捜索の結果、Aさんの自宅から危険ドラッグが発見され、薬機法違反の疑いで逮捕されました。
(事例はフィクションです。)
危険ドラッグ所持の法的な罰則
危険ドラッグの所持は、日本の法律において重大な違反行為とされています。
具体的には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」(薬機法)に基づき、厳しく罰せられます。この法律では、指定薬物の所持、売買、製造などを禁止しており、違反した場合、最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはこれらの両方が科される可能性があります。
特に、大量の危険ドラッグを所持していた場合や、販売目的であった場合など、犯罪の重大性に応じて、より厳しい刑罰が科されることもあります。
このように、危険ドラッグの所持は、個人の生活に深刻な影響を及ぼすだけでなく、社会的なリスクも高いため、法律によって厳しく規制されているのです。
情状弁護の概念と重要性
情状弁護は、刑事裁判において被告人に有利な事情を主張し、より軽い判決を求める法的な戦略です。この弁護の目的は、裁判所に被告人の状況や背景、犯罪に至った経緯を理解してもらい、刑罰の軽減を図ることにあります。
情状弁護では、犯罪の動機や背景、被告人の反省の態度、被害の弁償など、犯罪に至った具体的な事情が重視されます。特に、初犯である場合や、犯罪への反省が見られる場合には、執行猶予の付与など、より寛大な判決が下される可能性が高まります。
危険ドラッグ所持のような犯罪では、法定刑が比較的軽いため、情状弁護の効果が大きく現れやすいとされています。このため、弁護士は被告人の社会復帰を支援するためにも、情状弁護を適切に行うことが重要となるのです。
危険ドラッグ所持における弁護戦略
Aさんのケースでは、弁護士はまず、Aさんが危険ドラッグに手を出した背景と動機を詳細に調査しました。友人の影響や社会的圧力、知識の不足など、犯罪に至った要因を明らかにすることが重要です。
次に、Aさんが犯罪を行った後の反省の態度や、再犯防止のための具体的な計画を裁判所に提示しました。これには、薬物依存治療への参加や、社会復帰に向けた支援プログラムへの参加意向などが含まれます。
また、Aさんの家族や友人からの支援の証言も、弁護の一環として取り入れられました。
このように、Aさんの個人的な事情や社会復帰への意欲を強調することで、より寛大な判決を求める戦略が採用されたのです。
福岡県の危険ドラッグ所持事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、危険ドラッグ所持などの薬物事件における弁護活動の豊富な実績があります。
福岡県での大麻取締法違反事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。
【事例解説】大麻取締法違反とその弁護活動(大麻の栽培で逮捕された架空の事例に基づく解説)
大麻取締法違反は、我が国において重大な犯罪とされています。
この記事では、架空の事例を基に、大麻取締法違反がどのように扱われ、弁護活動がどのように展開されるかを解説します。
大麻取締法とは
大麻取締法は、大麻の不正な使用を防止し、公衆衛生の保護などを目的とする法律です。
この法律は、大麻の所持、栽培、譲渡、輸入、および輸出などを厳しく規制しています。特に、営利を目的とした場合は、より重い刑罰が科されることになります。
事例紹介:高校教師の逮捕
福岡市内の高校教師であるAさんは、個人的な好奇心から、自宅で小規模ながら大麻草を栽培していました。ある日、福岡県博多警察署の警察がAさんの自宅を訪れ、Aさんは大麻取締法違反の容疑で逮捕されました。
Aさんの母親であるBさんは、警察官から、Aさんを大麻取締法違反の疑いで逮捕したとの連絡を受けました。
(事例はフィクションです。)
罪に問われる行為
大麻取締法における罰則は、大麻の不正な取り扱いを防ぐために厳格に設定されています。
例えば、Aさんのように個人的な使用目的であっても、大麻草を栽培する行為は法律により禁止されており、発覚した場合、刑事罰の対象となります。
大麻取締法第24条では、無許可の栽培はもちろん、所持や譲渡、輸入及び輸出も罰せられる行為と明記されています。
これらの行為が発覚した場合、最大で7年の懲役刑に処される可能性があり、営利目的であればさらに重い罰則が適用されます。
営利目的の栽培とその罰則
営利目的での大麻栽培は、個人的な使用を超えた重大な犯罪行為とみなされます。
大麻取締法では、営利を目的とした栽培は特に厳しく処罰され、第24条2項により、10年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方に処されることがあります。
このような重い罰則は、大麻の商業的な流通を抑制し、社会における大麻の悪影響を最小限に留めるために設けられていると考えられます。
弁護活動の重要性
Aさんのように大麻取締法違反事件といった薬物事件で逮捕された場合、逮捕、逮捕の後からの勾留、勾留期間経過後での検察官による起訴、起訴された後の勾留と、身体の拘束期間が長期化する傾向があります。
こうした、大麻取締法違反の疑いでの逮捕による、その後の生活への影響を何とか最小限に留めたいという場合には、いち早く薬物事件に精通した弁護士に初回接見を依頼して、逮捕されたご本人様の身体の拘束を解いてもらうような弁護活動をとることが重要になります。
福岡県の大麻取締法違反事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、大麻取締法違反などの薬物事件における弁護活動の豊富な実績があります。
福岡県での大麻取締法違反事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。
【事例解説】覚醒剤使用事件における別件逮捕の違法性(後編)
前回に引き続き、軽犯罪法違反(凶器携帯)の容疑で逮捕中に行われた強制採尿により、覚醒剤取締法違反(使用)の容疑で逮捕された架空の事件を参考に、覚醒剤使用事件における別件逮捕の違法性とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡市在住の自営業男性A(32歳)が深夜、同市中央区中洲の路地に佇んでいたところ、巡回中の福岡県中央警察署の警察官Pに気づき慌てた様子で立ち去ろうとしました
PはAを呼び止め、Aの様子から覚醒剤使用の疑いがあると考え、職務質問を行ったところ、Aは氏名や住所を明らかにしませんでした。
また、PはAの承諾を得て所持品を検査したところ、覚醒剤などの薬物は発見できませんでしたが、ポケットに刃渡り5.5センチメートルのカッターナイフを所持していたことから、軽犯罪法違反(凶器携帯)の容疑でAを現行犯逮捕しました。
警察署で取調べを行ったPは、Aに任意での尿検査を提案しましたが応じなかったため、令状により強制採尿したところ、覚醒剤の陽性反応が出たことにより、Aは覚醒剤取締法違反(使用)の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)
前回の前編では、軽犯罪法違反での逮捕について解説しました。
別件逮捕の違法性について
別件逮捕とは、警察等の捜査機関が本来目的としている事件(「本件」)の取調べなどを行うことを狙いとして、逮捕の要件を充たす、別の軽微な事件(「別件」)で被疑者を逮捕することとされます。
別件逮捕の問題点として、(1)身体拘束に関する令状主義(憲法第33条、刑事訴訟法第199条)を実質的に犯すものであること、(2)厳格な定めのある身体拘束期間(刑事訴訟法第203条以下)を潜脱するものであること、が指摘されます。
(1)について、逮捕による身体拘束は被疑者の人権の重大な制約であることとの均衡から、逮捕の要件を充たすかは、被疑事実ごとに裁判官の逮捕状発付の手続き(司法審査)を受けなければならないにも関わらず、別件逮捕によれば、本件について全く司法審査を経ることなく、実質的に本件による逮捕を行うことができるという問題があります。
(2)について、再逮捕・再勾留による例外を除き、1つの被疑事実における逮捕・勾留による身体拘束期間は、最長23日間と厳格に定められているにもかかわらず、別件逮捕によれば、実質本件のために、最長46日間の身体拘束を行うことができるという問題があります。
よって、本件取調べ目的での別件逮捕は違法と解すべきですが、本件取調べ目的の有無は、捜査機関の主観の問題であるため、(ア)別件での逮捕の必要性の程度、(イ)本件と別件との関連性(被害者、犯行日、犯行態様、法定刑の軽重等)、(ウ)逮捕後の取調状況(取調べ時間の比率等)、(エ)本件についての捜査状況、などの客観的資料から事後的に判断することになると考えられます。
覚醒剤使用事件で別件逮捕が行われた場合の弁護活動
覚醒剤使用が疑われる事件においては、被疑者が任意採尿に応じない場合、裁判官の強制採尿令状を得られるまでの間、被疑者を身体拘束する法的な根拠がないことなどから、被疑者を実質的に拘束する手段として別件逮捕が行われ、別件逮捕の違法性が争われる事例が見受けられます。
別件逮捕の違法性が認定されたことにより、違法な別件逮捕による身体拘束を利用して得られた証拠の証拠能力が否定された結果、無罪となった裁判例が数多くあります。
他方で、別件逮捕の違法性を認定しつつも、得られた証拠の証拠能力までは否定せず有罪とされた裁判例もあるため、公判で別件逮捕の違法性を主張することにより無罪を争うことは容易ではありませんが、弁護人が、起訴される前の段階で検察官に対し、別件逮捕の違法性を十分な説得力をもって主張することで、検察官が不起訴処分を選択する可能性を高めることができると考えられます。
福岡県の刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、覚醒剤使用などの薬物事件で、不起訴処分を獲得した実績があります。
ご家族が覚醒剤使用の容疑で逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。