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【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(路上で女性の胸を触り車で逃走し、その後逮捕されたケース)

2025-03-07

【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(路上で女性の胸を触り車で逃走し、その後逮捕されたケース)

今回は、路上で女性の胸を触り車で逃走し、その後逮捕されたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:路上で女性の胸を触り車で逃走し、その後逮捕されたケース

福岡県警は、福岡市中央区の路上で女性Vさんの胸を触ったとして、同区に住むAさんが不同意わいせつの疑いで逮捕しました。
Aさんは、福岡市中央区の路上を歩いていたVさんに車の中から声をかけ、その後車から降りてVさんの胸を触り、車で逃走した疑いが持たれています。
警察によりますと、被害に遭った後すぐにVさんが警察に通報し事件が発覚、また通報したVさんがAさんの車の特徴を覚えていて、その情報をもとに捜査をし、Aさんの逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「性的欲求を満たすためにやってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,不同意わいせつ罪について

〈不同意わいせつ罪〉(刑法第176条第1項)

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
第1号 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
第2号 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
第3号 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
第4号 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
第5号 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
第6号 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
第7号 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
第8号 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

刑法不同意わいせつ罪は、①1号から8号までに該当する行為又は事由若しくはこれらに類する行為又は事由により、②同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、③わいせつな行為をした者は、④婚姻関係の有無にかかわることなく成立します。
被害者が同意をしない意思を(1)形成(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることとは、以下のような場合をいいます。
(1)被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性的行為をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性的行為をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。
(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4
そして、わいせつな行為とは「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいいます。
具体的には、無理矢理抱きついたり、身体に触ったり、陰部に触るなどの行為が該当します。
上記の事例では、AさんはVさんの胸を触るという「暴行」(①)を加えてVさんが「同意しない意思を…全うすることが困難な状態」にさせ(②)、また胸を触るという行為は「わいせつな行為」にも該当し得るため(③)、Aさんには不同意わいせつ罪が成立することが考えられます。

2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動

不同意わいせつ罪で逮捕され、検察官により起訴されて有罪判決を受けると、たとえ執行猶予付判決を獲得できたとしても前科が付いてしまいます。
前科が付くと、職場から解雇されたり、公務員または会社の採用時に前科の有無を確認され判断材料にされ得るなどの不利益が生じます。
しかし、不起訴処分を獲得することができれば、裁判は開かれないため有罪判決を受けるおそれはなく、前科が付くこともありません。
不同意わいせつ罪を含む性犯罪事件では、検察官が起訴する前に被害者との間で示談が成立していれば、不起訴処分の獲得を十分に期待できます。
そのため、なるべく早い段階で被害者と示談交渉を試みることが重要となります。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、不同意わいせつ罪を含む性犯罪事件では、被害者側は加害者に怖い思いをさせられており、直接連絡されることは避けたいと考えるのが通常と言えます。
また、被害者側も自分の連絡先を加害者に教えることはしたくないと考え、捜査機関に自分の連絡先を加害者に教えないよう求めるでしょう。
そのような状態で、示談交渉を試みることは難しいと言えます。
しかし、示談交渉の相手が弁護士であれば、被害者の連絡先が加害者側に伝わるおそれもないため、安心して示談交渉に応じてもらえることも珍しくありません。
示談交渉の際に、まずは被害者に加害者が反省していることや被害弁償をする準備があること、犯行現場には近寄らないなどの再犯防止への取り組みなどを伝えることで、示談の成立を目指します。
もっとも、繰り返しになりますが、検察官が起訴する前までに被害者との間で示談が成立していることが、不起訴処分獲得を実現するうえで重要となるので、不同意わいせつ罪を含む性犯罪事件を起こしてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において不同意わいせつ罪の当事者となってしまった方、あるいは家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡市支部には刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、不同意わいせつ罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績がございます。
不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査を受けている、あるいはこれから捜査を受けるおそれのある方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
また、家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては、弁護士が直接身柄拘束を受けている方のもとに赴く初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

【事例解説】不同意性交等罪とその弁護活動(客として訪れた女性に対し施術中にわいせつな行為をしたケース)

2025-02-10

【事例解説】不同意性交等罪とその弁護活動(客として訪れた女性に対し施術中にわいせつな行為をしたケース)

事例:客として訪れた女性に対し施術中にわいせつな行為をしたケース

福岡市内の整骨院で客として訪れた女性Vさんに対して、施術中にわいせつな行為をしたとして、柔道整復師のAさんが不同意性交等の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、Aさんは、マッサージを受けるために客として訪れたVさんに対して、同意を得ずに施術中に鼠径部を触ったり陰部に指を挿入するなどのわいせつな行為をした疑いが持たれています。
被害に遭ったVさんが警察に相談したことで事件が発覚し、警察が聞き込みなどの捜査をし、容疑が固まったことでAさんを逮捕するに至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「欲を抑えきれずにやってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,不同意性交等罪について(刑法177条)

第1項 前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
第2項 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
第3項 16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
前条刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由
①暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
②心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
⑥予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

刑法不同意性交等罪は、①~⑧までの行為や原因により、被害者が同意をしない意思を(1)形成し(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることに乗じて、性交等をした場合に成立します。
(1)被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性交等をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性交等をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。
(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4
上記の事例では、Aさんは、マッサージを受けるために客として訪れたVさんに対して、Vさんの同意なく鼠径部に触る、陰部に指を挿入するなどのわいせつな行為をしています。
Aさんのそれらの行為は刑法第176条第1項第1号の「暴行」若しくは第5号に該当することが考えられます。
また、Aさんは、Vさんが「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態に…あることに乗じて」陰部に指を挿入しているため、「性交等」を行っています。
以上より、Aさんの上記行為には、不同意性交等罪が成立することが考えられます。

2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動

不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑であり、起訴を経て裁判となり有罪判決を受けると、刑務所で服役しなければならない可能性が非常に高いです。
というのも、不同意性交等罪の刑罰の下限は5年以上の有期拘禁刑であるところ、執行猶予付判決を獲得するためには、判決によって言い渡される刑罰が3年以下であることが条件の1つだからです。
また、上記の事例では、Aさんは柔道整復師の資格を持っていますが、柔道整復師の資格は罰金以上の刑に処せられた場合には欠格事由に該当し、免許が取り消しとなります(柔道整復師法第4条第3号参照)。
しかし、被害者との間で示談が成立し不起訴処分を獲得できれば、裁判が開かれず有罪判決を受けることもなくなるため、刑務所での服役や資格・免許の取り消しなどを回避できるかもしれません。
被害者と示談が成立することは、検察官の起訴・不起訴処分の判断に影響を持つだけでなく、被疑者が身柄を拘束されている場合には、早期の身柄解放に期待が持てます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできます。
もっとも、不同意性交等罪を含む性犯罪の被害者は、加害者側からとても怖い思いをさせられていることから、強い処罰感情を有していることが多いです。
加えて、怖い思いをさせられた加害者側から直接連絡されることに強い抵抗感を抱き、当事者同士での示談交渉は難しいと言えます。
しかし、交渉の相手が弁護士であれば、守秘義務を負っているため被害者の連絡先が加害者側に伝わることを心配する必要がなく示談交渉に応じてもらえる期待が高まり、加害者側が反省・謝罪の意思を有していることなどを冷静かつ丁寧に説明することができます。
以上より、不起訴処分を獲得するためには、被害者と示談を成立させることが重要となりますが、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えず、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において不同意性交等罪の当事者となってしまった方、あるいは家族・親族が不同意性交等罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡市支部には刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、不同意性交等罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、豊富な実績がございます。
不同意性交等罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査を受けている、あるいはこれから捜査を受けるおそれのある方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
また、家族・親族が不同意性交等罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては、弁護士が直接身柄拘束を受けている方のもとに赴く初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(路上で女性の背後から近づいて口を塞ぐなどの暴行を加えて胸を触ったケース)

2024-12-27

【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(路上で女性の背後から近づいて口を塞ぐなどの暴行を加えて胸を触ったケース)

今回は、路上で女性の背後から近づいて口を塞ぐなどの暴行を加えて胸を触ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:路上で女性の背後から近づいて口を塞ぐなどの暴行を加えて胸を触ったケース

福岡市の路上において、わいせつ目的で通行中の女性Vさんの背後から近づき口を塞ぐなどの暴行を加えて胸を触ったとして、不同意わいせつの疑いで会社員のAさんが逮捕されました。
事件後、Vさんが警察に被害届を提出したことで、警察が現場周辺の聞き込みや防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を行い、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「性的欲求を満たすためにやりました」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,不同意わいせつ罪について

〈不同意わいせつ罪〉(刑法第176条第1項)

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
第1号 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
第2号 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
第3号 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
第4号 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
第5号 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
第6号 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
第7号 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
第8号 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

刑法不同意わいせつ罪は、①1号から8号までに該当する行為又は事由若しくはこれらに類する行為又は事由により、②同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、③わいせつな行為をした者は、④婚姻関係の有無にかかわることなく成立します。
被害者が同意をしない意思を(1)形成(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることとは、以下のような場合をいいます。
(1)被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性的行為をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性的行為をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。
(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4
そして、わいせつな行為とは「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいいます。
具体的には、無理矢理抱きついたり、身体に触ったり、陰部に触るなどの行為が該当します。
上記の事例では、AさんはVさんの背後から近づき、口をふさぐなどの「暴行」(①)を加えてVさんが「同意しない意思を…全うすることが困難な状態」にさせて(②)胸を触るという「わいせつな行為」をしている(③)ため、Aさんには不同意わいせつ罪が成立することが考えられます。

2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動

不同意わいせつ罪で逮捕され、検察官により起訴されて有罪判決を受けると、たとえ執行猶予付判決を獲得できたとしても前科が付いてしまいます。
前科が付くと、職場から解雇されたり、公務員または会社の採用時に前科の有無を確認され判断材料にされ得るなどの不利益が生じます。
しかし、不起訴処分を獲得することができれば、裁判は開かれないため有罪判決を受けるおそれはなく、前科が付くこともありません。
不同意わいせつ罪を含む性犯罪事件では、検察官が起訴する前に被害者との間で示談が成立していれば、不起訴処分の獲得を十分に期待できます。
そのため、なるべく早い段階で被害者と示談交渉を試みることが重要となります。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、不同意わいせつ罪を含む性犯罪事件では、被害者側は加害者に怖い思いをさせられており、直接連絡されることは避けたいと考えるのが通常と言えます。
また、被害者側も示談交渉のために自分の連絡先を加害者に教えることはしたくないと考え、捜査機関に自分の連絡先を加害者に教えないよう求めるでしょう。
そのような状態で、示談交渉を試みることは難しいと言えます。
しかし、示談交渉の相手が弁護士であれば、被害者の連絡先が加害者側に伝わるおそれもないため、安心して示談交渉に応じてもらえることも珍しくありません。
示談交渉の際に、まずは被害者に加害者が反省していることや被害弁償をする準備があること、犯行現場には近寄らないなどの再犯防止への取り組みなどを伝えることで、示談の成立を目指します。
もっとも、繰り返しになりますが、検察官が起訴する前までに被害者との間で示談が成立していることが、不起訴処分獲得を実現するうえで重要となるので、不同意わいせつ罪を含む性犯罪事件を起こしてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県において不同意わいせつ罪の当事者となってしまった方、あるいは家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡市支部には刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、不同意わいせつ罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績がございます。
不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査を受けている、あるいはこれから捜査を受けるおそれのある方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
また、家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては、弁護士が直接身柄拘束を受けている方のもとに赴く初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(路上で女性の口を手でふさぎ胸を触ったケース)

2024-08-29

【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(路上で女性の口を手でふさぎ胸を触ったケース)

今回は、福岡県春日市の路上で女性の背後から近づき、手で口をふさいで胸を触るなどわいせつな行為をしたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:路上で女性の口を手でふさぎ胸を触ったケース

福岡県春日市の路上で女性の胸などを触ったとして、春日警察署は春日市在住の会社員Aさんを不同意わいせつの疑いで逮捕しました。
春日警察署によりますと、Aさんは、帰宅途中だったVさんに背後から近づき、手で口をふさいだうえで胸を触るなどわいせつな行為をした疑いが持たれています。
調べに対し、Aさんは「間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,不同意わいせつ罪について

〈不同意わいせつ罪〉(刑法176条1項)

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
1号 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
2号 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
3号 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
4号 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
5号 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
6号 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
7号 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
8号 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

刑法不同意わいせつ罪は、①1号から8号までに該当する行為又は事由若しくはこれらに類する行為又は事由により、②同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、③わいせつな行為をした者は、④婚姻関係の有無にかかわることなく成立します。
被害者が同意をしない意思を(1)形成(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることとは、以下のような場合をいいます。
(1)被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性的行為をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性的行為をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。
(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4

そして、わいせつな行為とは「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいいます。
具体的には、無理矢理抱きついたり、身体に触ったり、陰部に触るなどの行為が該当します。
上記の事例では、AさんはVさんの背後から近づき、口をふさぐという「暴行」を用いてVさんが「同意しない意思を…全うすることが困難な状態」にさせて胸を触るという「わいせつな行為」をしているため、Aさんには不同意わいせつ罪が成立することが考えられます。

2,示談交渉について

不同意わいせつ罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、不同意わいせつ罪などの性犯罪関係の場合、被害者は加害者に連絡先を知られたくないと思うこと、そして被害者は加害者から直接連絡されることに恐怖や不安を感じて示談交渉を拒否する可能性が高いと言えます。
しかし、守秘義務を負う弁護士であれば、被害者の方に連絡先が加害者に知られないことを説明して、安心して示談交渉に応じていただける可能性が高まるといえます。
また、示談も内容はさまざまであり、宥恕(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないという意味)付き示談や刑事告訴の取消しや被害届の取下げを内容に加えた示談などがあります。
もっとも、これらの内容を加えた示談を成立させるためには、刑事事件に対する高度な知識や経験が要求されるため、示談交渉は交渉のプロである弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県春日市において不同意わいせつ罪の当事者となってしまった方、あるいは家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡市支部には刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、不同意わいせつ罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績がございます。
不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査を受けている、あるいはこれから捜査を受けるおそれのある方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
また、家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては、弁護士が直接身柄拘束を受けている方のもとに赴く初回接見サービス(有料)をご提供しております。
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【事例解説】不同意性交等罪とその弁護活動(被害者を脅迫して性的暴行を加えたケース)

2024-06-29

【事例解説】不同意性交等罪とその弁護活動(被害者を脅迫して性的暴行を加えたケース)

今回は、被害女性の背後から口を塞ぎ、脅迫して性的暴行を加えたという架空の事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:被害者を脅迫して性的暴行を加えたケース

福岡県大野城市の路上で、歩いて帰宅途中だった会社員Vさんの背後から突然抱きついて口を塞ぎ、「声を出したら殺す」などと脅迫し、その後、人のいない場所まで連れていきVさんの陰部に指を入れるなどの性的暴行を加えたとして、福岡県春日市在住の自営業Aさんが逮捕されました。
Aさんは性的暴行を受けた後、警察に連絡し、事件が発覚しました。
警察は犯行現場付近の防犯カメラの映像を解析したところ、不審な動きをしているAさんの姿が映っており、特定に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「性的欲求を満たすためにやった。」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,不同意性交等罪について(刑法177条)

1項 前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2項 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3項 16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
※前条(刑法176条)第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由
①暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
②心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
⑥予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

刑法不同意性交等罪は、①~⑧までの行為や原因により、被害者が同意をしない意思を(1)形成し(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることに乗じて、性交等をした場合に成立します。
(1)被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性交等をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性交等をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。
(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A 4A4
上記の事例では、AさんはVさんに対して、突然背後から抱きつき口を塞いで「声を出したら殺す」などという「暴行」・「脅迫」を用いて、Vさんが「同意しない意思を…全うすることが困難な状態にさせ」て、Vさんの陰部に指を入れるなどの性的暴行を加えており「性交等」をしたといえるため、Aさんに不同意性交等罪が成立することが考えられます。

2,考えられる弁護活動

(1)身柄拘束からの早期解放

被疑者段階における身柄拘束には逮捕・勾留がありますが、逮捕・勾留による身柄拘束は最長で23日間続きます。
そして、被疑者勾留がなされるのは、被疑者が住居不定、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれが認められる場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
そのため、それらを否定し得る客観的な事情や証拠の収集・主張活動を通じて、早期の身柄解放を目指します。
上記の事例では、AさんはVさんとの面識はないため、Vさんに証言をさせないように働きかける現実的可能性は低く、また、犯人がAさんであると特定に至った防犯カメラの映像は既に捜査機関に押収されているとの事情があれば、Aさんによる隠滅は不可能であるため、証拠隠滅のおそれは低いと言えます。
さらに、被疑者の家族等が被疑者の身元を引き受けるという事情は、被疑者の監督が見込めるため、被疑者の逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情となるでしょう。

(2)示談交渉

不同意性交等罪を含む被害者が存在する場合には、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は当事者同士でも行うことはできますが、不同意性交等罪のような性犯罪の場合、被害者は加害者から連絡されることを拒否することが考えられます。
また、被害者としても加害者に自分の連絡先を知られたくないと思うでしょう。
そこで、弁護士が間に入り、捜査機関経由で被害者とのコンタクトを試み、弁護士が守秘義務を負っているため被害者の連絡先が加害者に知られることはないことなどを説明することで、示談交渉を試みます。
被害者が示談交渉に応じる場合には、加害者の立場から、加害者が謝罪・反省していることを伝え、被害者の自宅・職場等やその経路付近には近づかないことや示談金のお支払いなどを提示して、示談の成立を目指します。
もっとも、示談と一口に言ってもその効果は様々であることから、示談の内容に宥恕条項(加害者を許し、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届の取下げや刑事告訴の取消などの約定を加えて成立させることが肝要です。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県春日市において不同意性交等罪の当事者となってしまった方、あるいは家族・親族が不同意性交等罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡市支部には刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、不同意性交等罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、豊富な実績がございます。
不同意性交等罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査を受けている、あるいはこれから捜査を受けるおそれのある方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
また、家族・親族が不同意性交等罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては、弁護士が直接身柄拘束を受けている方のもとに赴く初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

【事例解説】不同意性交等罪で逮捕された場合の前科回避ための弁護活動(顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース)

2024-05-23

【事例解説】不同意性交等罪で逮捕された場合の前科回避ための弁護活動(顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース)

今回は、顔見知りの女子中学生とみだらな行為をして逮捕されたというニュース記事を参考にして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース

去年12月、福岡県粕屋郡にある駐車場で顔見知りの女子中学生Vさんとみだらな行為をしたとして、会社員のAさんが不同意性交の疑いで逮捕されました。
不同意性交の疑いで逮捕されたのは、福岡県春日市の会社員Aさんです。
Aさんは、福岡県粕屋郡にある駐車場でVさんが16歳未満であることを知りながら、みだらな行為をした疑いが持たれています。
警察によりますと、Aさんは、Vさんの親族と知り合いで、Vさんとも顔見知りだったということです。
Vさんが通院先の看護師に被害を相談し、看護師から連絡を受けたVさんの母親が警察に被害を届け出たことで事件が発覚しました。
取り調べに対し、Aさんは、「被害者と性行為したことは間違いありません」と容疑を認めているということです。
rkb 4/2(火)13:37配信の記事を参考にして、内容や地名を一部変更し引用しています。)

1,不同意性交等罪について(刑法177条)

1項
前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2項
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3項
16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。

※前条(刑法176条)第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由

暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

不同意性交等罪は、①~⑧までの行為や原因により、被害者が同意をしない意思を(1)形成し(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることに乗じて、性交等をした場合に成立します。
(1)は被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性交等をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性交等をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)は被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)は被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4
性交等」には、性交、肛門性交、口腔性交の他に、膣や肛門に、陰茎以外の身体の一部または物を挿入する行為も含まれます。
そのため、無理やり相手の陰部に手で触れた場合には不同意わいせつ罪刑法176条)の成立が検討されることになりますが、指を陰部に挿入した場合には不同意性交等罪が成立することになります。
また、「わいせつなもの」とは、いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ普通人の正常な羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものを言います。
当該行為がわいせつなものではないと誤信させ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした場合にも成立します。(2項
被害者が16歳未満の者である場合に、その者に対して性交等をすれば不同意性交等罪が成立します。
ただし、被害者が13歳以上16歳未満の者で、加害者が20歳未満の場合、加害者が被害者よりも5歳以上年長である場合に、性交等をすれば不同意性交等罪が成立します。
被害者が13歳~15歳の場合、加害者が18歳~20歳だと問題になります。
例えば、18歳のXさんが、15歳のYさんに対して性交等を行った場合、Yさんは16歳未満ですが、年齢差が5歳未満であるため処罰の対象外となります。

2,前科を避けるための弁護活動

不同意性交等罪は被害者が存在する犯罪です。
そのため、被害者側との間で示談交渉を進め、被害者側に対して謝罪や被害に対する弁償等を行い、示談の成立を目指します。
示談は当事者同士でもすることはできますが、通常は拗れて上手くいかないことが多いです。
また、特に性犯罪の場合は、捜査機関は加害者に対して被害者の連絡先を教えることは非常に少なく、被害者側も加害者からの連絡を受けてくれる可能性も極めて低いです。
しかし、弁護士が間に入ることで、被害者の方に丁寧な説明を行うことができ被害者の方も安心して交渉を行うことができ、示談成立の可能性が高まります。
示談といっても加害者側だけに都合のいい内容での示談は期待できません。
被害者側の意向や意見をくみ取りつつ、宥恕条項(被害者の謝罪等を受け、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や、刑事告訴の取消や被害届の取下げなどの約定を加えたかたちでの示談を成立させることが必要不可欠であると言えます。
これらの示談交渉は、法律についてあまり詳しいとは言えない一般の方が行うことは難しいため、法律の専門家である弁護士に依頼することがオススメです。
不同意性交等罪で逮捕・勾留により身柄を拘束されていても、示談が成立していれば、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれはないと判断され、早期の身柄解放が期待できます。
被疑者が逮捕されてから起訴されるまで最大でも23日間しかありません。
その間に示談を成立させることができれば、公訴を提起されずに済むことが期待できます。
公訴を提起されてしまえば、例えば勤め先を解雇されるとか、結婚している場合には離婚など社会生活を送るうえで大きな障害となることが予想されます。
そのため、不同意性交等罪で逮捕されてしまった場合には、少しでも早く弁護士の力をかりることが重要と言えます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県粕屋町において不同意性交等罪の当事者となってしまった方、またはご家族等が不同意性交等罪で身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部ぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っており、刑事事件・少年事件に対する様々な経験や高い実績があります。
不同意性交等罪で在宅捜査を受けている方や刑事告訴されるおそれのある方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が不同意性交等罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

マッサージでない行為をマッサージと偽り逮捕、不同意わいせつ事件

2024-03-17

マッサージでない行為をマッサージと偽り逮捕、不同意わいせつ事件

不同意わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福岡県行橋市に住んでいるAさんは、市内でマッサージ店を経営していました。
Aさんは来店した好みの女性であるVさんにマッサージを行う際、下半身を触りそれをマッサージと偽りました。
しかしVさんは他のマッサージ店にも通っていたことから不自然さを感じ、マッサージではなかったのではと思い、警察に相談しました。
その後、行橋警察署の警察官がマッサージ店に現れ、Aさんを不同意わいせつ罪の容疑で逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)

不同意わいせつ罪

相手の同意を得ずに、わいせつな行為をした場合に適用される犯罪が、不同意わいせつ罪です。
わいせつな行為」とは、被害者の意思に反して性的羞恥心を害し、かつ一般的に性的羞恥心を害すると考えられる行為を指しています。
刑法第176条第1項に定められた不同意わいせつ罪の条文は、全部で8つの条件をあげ、それらの中のいずれかの行為をした上で、わいせつな行為を同意なく行うと適用されます。
Aさんは相手に嘘をつきましたが同意は得ているため、この第1項の条文は適用されていません。
しかし、不同意わいせつ罪には他にも条文があります。
刑法第176条第2項には、「行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。」と定められています。
相手に嘘をつくなどして偽り、同意を得るタイプの不同意わいせつ罪に適用されるのが、こちらの条文です。
そのためAさんはマッサージではない行為をマッサージと称して偽り、Vさんの下半身に触れているため、刑法第176条第2項不同意わいせつ罪が成立したと分かります。
条文には「前項と同様とする。」とあり、これは第1項の刑罰が第2項にも適用されることを意味します。
刑法第176条第1項の法定刑は「6月以上10年以下の拘禁刑」であるため、Aさんの不同意わいせつ罪に対する法定刑もこちらが適用されます。

弁護士と示談交渉

不同意わいせつ罪には罰金刑が定められていません。
そのため起訴されてしまうと、実刑判決となってしまう可能性があります。
刑務所への服役を回避するのであれば、示談の締結が最も重要な弁護活動です。
しかし、参考事件のように被害者が知り合いでないケースの場合、示談交渉のためには連絡先を知る必要があります。
被害者の連絡先を警察が教えることはまずありません。
そのため参考事件のような事例の場合に示談交渉を進めるのであれば、弁護士に弁護活動を依頼する必要があります。
別の方法で被害者の連絡先を調べ、個人で連絡をとるということも不可能ではありませが、弁護士を間に入れての示談交渉であれば、専門的な知識によるサポートを受け、より円滑に示談交渉を進めることができるでしょう。
不同意わいせつ事件の際に示談の締結を目指すのであれば、示談交渉の知識と経験が豊富な弁護士に弁護活動を依頼することをお勧めいたします。

示談交渉は弁護士にお任せを

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、少年事件・刑事事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
当事務所は年中無休で、初回無料の法律相談逮捕・勾留された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスのご予約を受け付けております。
予約専用のフリーダイヤルは24時間体制で電話対応しております。
不同意わいせつ事件の当事者となってしまった、不同意わいせつ罪の容疑でご家族が逮捕・勾留されてしまった、このような時はお気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部のフリーダイヤル「0120-631-881」にご連絡ください。

上司からの強要、不同意性交等罪となる条件について

2024-02-25

上司からの強要、不同意性交等罪となる条件について

不同意性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

福岡県春日市に住んでいる会社員のAさんは、同じ会社に勤めている部下のVさんに対して「1回だけ付き合って欲しい」「こっちは人事もある程度都合をつけられる」といって性行為を求めました。
Vさんは拒否しきれず、Aさんと一緒に市内にあるホテルを訪れ、そこで性行為に及びました。
後日、様子が変だと思った会社の同僚がVさんに話を聞き、VさんはAさんとのことを反しました。
Vさんは同僚から警察に相談することを勧められ、Vさんは警察に被害届を出すことに決めました。
そしてAさんは不同意性交等罪の容疑で春日警察署に逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

不同意性交等罪

令和5年7月13日に刑法が改正されたことで、強制性交等罪準強制性交等罪と統合・変更される形で不同意性交等罪となりました。
改正された刑法第177条第1項には不同意性交等罪が「前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。」と定められています。
前条」とは不同意わいせつ罪が定められた刑法第176条のことです。
第1項各号」には不同意わいせつ罪が適用される条件の項目が挙げられており、これらが不同意性交等罪でも参照されます。
この項目には強制性交等罪でも要件にあった「暴行もしくは脅迫を用いる」ことや、準強制性交等罪での「アルコールもしくは薬物の影響に乗じる」ことに加え、「虐待に起因する心理的反応を生じさせる」ことや「予想外の事態に恐怖または驚愕させる」ことなどが定められ、合計で8つの項目があります。
そして参考事件のAさんは、「人事」という言葉で会社の立場に影響を与えられることを仄めかし、Vさんと性行為に及んでいます。
第1項第8号には「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。」とあり、これがAさんに適用された項目になります。

不同意性交等罪の要件

同意の有無は不同意性交等罪が成立するかどうかの非常に重要なポイントになりますが、その前提である「行為又は事由その他これらに類する行為又は事由」に該当するかも大切な論点です。
不同意性交等罪はまだ施行されて1年もたっていない犯罪ですので、どのような行為が不同意性交等罪に該当するのかはわからない人も多いと思われます。
なので不同意性交等罪の容疑で捜査されている場合、新設された犯罪にも詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

刑事事件を扱う弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を中心に対応している弁護士事務所です。
当事務所では初回であれば無料の法律相談逮捕・勾留中の方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けております。
フリーダイヤルは24時間体制で、土・日・祝日も休まず稼働しておりますので、不同意性交等罪の容疑でご家族が逮捕されてしまった、不同意性交等罪で事件を起こしてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

同意があっても逮捕される、被害者が16歳未満の不同意わいせつ罪

2024-02-13

同意があっても逮捕される、被害者が16歳未満の不同意わいせつ罪

参考事件

福岡県糸島市に住んでいる会社員のAさんは、会社の同僚宅に訪問していました。
同僚の家には小学生のVさんがおり、Aさんは2人きりになったタイミングで、Vさんに「胸を触っていいか」と尋ねました。
Vさんが「いいよ」と了承すると、服に手を入れ胸部を触るなどしました。
その後、VさんがAさんにされたことを両親に話したため、そのまま両親は警察に被害届を提出しました。
その後、Aさんは不同意わいせつ罪の容疑で糸島警察署に逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

不同意わいせつ罪

不同意わいせつ罪は、強制わいせつ罪(及び準強制わいせつ罪)が変更される形で、刑法に新設された犯罪です。
刑法第176条第1項には不同意わいせつ罪について、特定の行為を用いて「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者」に適用することが明記されています。罪名の通り不同意であることが不同意わいせつ罪の要件になっていますが、参考事件の場合、Vさんは同意して胸を触らせています。
しかし、不同意わいせつ罪の対象となる被害者が16歳未満である場合、別の条文が適用されます。
それが「16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。」と定められた刑法第176条第3項です。
この条文では、不同意であることが不同意わいせつ罪の条件になっていません。
つまり、被害者が16歳未満の場合は(13歳以上で年齢差が5歳未満でない限り)同意があったとしてもわいせつな行為があれば不同意わいせつ罪が成立します。
これは16歳未満では性的な自由に対する判断能力・同意能力が備わっていないと考えられているからです。
そのためVさんの同意があっても、小学生(12歳以下)であるVさんにわいせつな行為をしたAさんは、不同意わいせつ罪となります。

被害者が16歳未満の性犯罪

不同意わいせつ事件は被害者がいる事件です。
そのため被害者と示談が締結できていれば、減刑を求めたり執行猶予の獲得を目指したりといった際に有利となります。
しかし参考事件のように被害者が16歳未満である場合、示談交渉する被害者側(参考事件の場合は両親)の怒りが特に強くなりやすいため、示談交渉が難航しやすい性犯罪に係る事件の中でもさらに示談の締結が難しくなります。
最悪の場合、示談交渉そのものが拒否されてしまうことも十分に考えられます。
速やかな事件の解決のためには弁護士に依頼し、弁護士限りの連絡で示談交渉を進める等の弁護活動が必要になります。
参考事件のような不同意わいせつ事件の際は、性犯罪や示談交渉に詳しい弁護士に弁護活動を依頼することが重要です。

不同意わいせつ事件に詳しい弁護士事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を中心に扱っている弁護士事務所です。
フリーダイヤル「0120-631-881」にて当事務所は、初回無料の法律相談逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスのご予約を受け付けております。
24時間体制で電話対応致しますので、不同意わいせつ事件の当事者となってしまった方、ご家族が不同意わいせつ罪の容疑で逮捕・勾留中の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に、是非、ご連絡ください。

【事例解説】不同意性交等罪とその弁護活動(性交後に同意がなかったと主張された架空の事例に基づく解説)

2024-01-27

 この記事では、架空の事例を基に、性交の同意があったとして不同意性交等罪の成立を争う場合の弁護活動について、解説します。

不同意性交等罪とは

 不同意性交等罪は、相手の同意なく性交する行為を処罰するための法律です。
 この罪は、暴行や脅迫がなくとも、相手が同意する意思を持てない状態にある場合に成立する可能性があります。
 例えば、相手がアルコールなどの影響で意識が不明瞭な状態や、精神的な圧力を感じている状況下での性交がこれにあたります。

 令和5年の法改正により、以前の強制性交等罪は不同意性交等罪と名称が変更され、法的な扱いも更新されました。
 改正後の法定刑は、5年以上の拘禁刑とされており、「拘禁刑」の施行までは「懲役」とされています。この変更は、性犯罪に対する社会的な認識の変化と法的な対応の必要性を反映しています。

 不同意性交等罪の成立要件は複雑で、被害者の内心の状態や、当事者間の関係性、事件の状況など、多岐にわたる要素が考慮されます。
 したがって、この罪に問われた場合、専門的な法律知識と経験を持つ弁護士のアドバイスが不可欠となるのです。

事例紹介:性交後に同意がなかったと主張されたケース

 福岡市内の会社員Aさんは、あるマッチングアプリを通じて20代の女性Vさんと知り合いました。数回の食事を共にした後、AさんはVさんを自宅に招き、夕食を共にしました。
 その夜、二人は性交に及びますが、後日Vさんは「嫌だ」と言ったにも関わらずAさんに強いられたとして、福岡県中央警察署に被害届を提出しました。これにより、Aさんは不同意性交等の容疑で警察の取り調べを受けることになります。
 Aさんは「性交は合意の上だった」と主張していますが、Vさんの訴えにより、捜査が進められている状況です。

 この事例はフィクションですが、実際の事件では、被害者と加害者の供述がしばしば食い違い、真実が何であるかを見極めることが法律の専門家にとって重要な課題となります。

問われる同意

 不同意性交等罪において最も論点となるのは、「同意」の存在です。
 このケースでは、AさんはVさんの同意があったと主張していますが、Vさんはその事実を否定しています。法律上、同意の有無は被害者の内心に関わる問題であり、それを証明することは容易ではありません。

 事件の真相を解明するためには、当事者間の関係性、当時の状況、そして事件前後の行動など、多角的な視点からの検証が必要となります。例えば、マッチングアプリやメッセージのやり取り、当日の行動パターンなどが、両者の主張を裏付ける証拠として検討されることでしょう。

 弁護側は、Vさんが同意する意思を形成できなかった、またはその意思を表明することが困難であったという事実を否定するために、客観的な証拠や証言を集める必要があります。また、AさんがVさんの非同意を知り得なかった、あるいは誤解していた可能性を示すことで、容疑を否認する戦略を立てることが考えられます。

証拠の役割

 不同意性交等罪の事件における証拠は、真実を解明するための鍵となります。
 架空の事例では、AさんとVさんの主張が対立しており、どちらの言い分に真実性があるのかを判断するには、具体的な証拠が不可欠です。

 通常、この種の事件では、通信記録、目撃証言、現場の証拠、医学的所見などが重要な役割を果たします。例えば、事件当日のAさんとVさんのメッセージのやり取りは、同意があったかどうかの状況証拠として検討されることになります。また、第三者の証言や、事件現場の状況を示す写真やビデオなども、事実関係を明らかにするために重要です。
 しかし、証拠は常に明確な答えを提供するわけではありません。証拠の解釈は、しばしば主観的な要素を含み、異なる見方が可能です。そのため、弁護士は証拠を慎重に分析し、クライアントに有利な方法で提示するための戦略を練る必要があります。このプロセスは、弁護の成功において決定的な要素となることが多いのです。

法的弁護戦術

 不同意性交等罪の容疑に直面した際、弁護士は複数の戦術を駆使してクライアントの権利を守ります。架空の事例においても、Aさんの弁護団は以下のような戦略を展開することが考えられます。

 まず、Vさんの主張に矛盾点がないか徹底的に調査します。これには、Vさんの過去の行動パターンや、事件当日の行動、Aさんとの関係性に関する証拠を精査することが含まれます。
 また、Vさんの精神状態や、事件に至るまでの経緯を詳細に検討し、同意があったというAさんの主張を裏付ける証拠を集めることが重要です。

 次に、Aさんが誠実に同意を得たと信じていたという証拠を提示することで、誤解に基づく行為であった可能性を示唆します。これは、Aさんの認識とVさんの意思表示との間に齟齬があったことを示すことにより、故意ではないことを主張する戦略です。

 さらに、第三者の証言や、事件当夜の両者の行動を記録した映像など、客観的な証拠を用いて、Aさんの主張に信憑性を持たせることも考慮されます。これらの証拠を通じて、Aさんの無罪を証明するための弁護戦略を構築することが、弁護士の重要な役割となります。

通信記録の影響

 不同意性交等罪の訴訟において、通信記録はしばしば重要な証拠となります。
 架空の事例では、AさんとVさんの間のメッセージのやり取りが、事件の解明に役立つ可能性があります。

 事件前のメッセージは、二人の関係性や、その夜の出来事に対する期待を示すことができます。例えば、フレンドリーで親密なやり取りがあれば、それは同意が存在したことの指標となり得ます。
 一方で、Vさんが不安や疑念を示していた場合、それは同意がなかったことの証拠として解釈されるかもしれません。

 事件後の通信は、事件の認識に関する両者の態度を反映します。Aさんが事件後に謝罪のメッセージを送っていた場合、それは罪悪感の表れと見なされる可能性があります。
 しかし、これらのメッセージは文脈を考慮せずに解釈されるべきではなく、全体のやり取りの流れの中で評価される必要があります。

 弁護士は、これらの通信記録を慎重に分析し、クライアントの主張を支持する証拠として利用する方法を模索します。通信記録は、事件に関する両者の真実の意図を解き明かす手がかりとなるため、その取り扱いには細心の注意が払われるのです。

福岡県の不同意性交等罪に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、法改正前の強制性交等罪の否認事件において、嫌疑不十分による不起訴処分を獲得している実績があります。
 福岡県での不同意性交等事件で、自身やご家族が警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

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