Archive for the ‘お客様の声’ Category

証拠隠滅罪

2021-06-21

証拠隠滅罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Yさんを殺したAさんは、その現場にいたVさんにその場で「警察にちくったらどうなるか分かっているのでだろうな」などと言って語気鋭くして脅し、捜査機関への口止めをしていました。しかし、後になって、Aさんは知人Bさんに「あいつ(Vさん)は口が軽いから信用できん。」「お前の方で処分して(殺して)くれないか」と言いました。そして、Bさんは、Aさんから言われたとおりVさんを呼び出し、Vさんを殺害しました。しかし、一連の件が、福岡県博多警察署に発覚し、AさんはYさんに対する殺人罪、Vさんに対する殺人罪の共犯及び証拠隠滅罪の教唆犯、BさんはVさんに対する殺人罪の共犯及び証拠隠滅罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~証拠隠滅罪~

証拠隠滅罪は刑法104条に規定されています。

刑法104条
 他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

この規定を見ていただければお分かりいただけるように、

証拠隠滅罪は「他人の刑事事件」に関する罪

だ、ということがまず大切なポイントです。
ここで「刑事事件」とは、

現に刑事被告事件として刑事裁判中の刑事事件

に限らず、将来刑事被告事件となる可能性のあるもの、すなわち

現に捜査機関により捜査を受けている刑事事件、あるいは、未だ捜査機関に発覚されていない捜査前の刑事事件

も含まれます。
「他人」とは、自己・行為者以外という意味です。
したがって、本件AさんがYさんに対する殺人事件の証拠を隠滅するなどしても証拠隠滅罪に問われることはありません。

これは、

犯人が証拠の隠滅などを図ることは、人の心情として当然・自然のことで、法律で犯人に「そんなことしたらだめだ!」と強制するには無理があるから(期待可能性がないから)

と考えられているからです。同じ考え方から、罪を犯した犯人には「犯人蔵匿・隠避罪(刑法103条)」は問えないとされています。

~ Bさんは? ~

反対に、Bさんはどうでしょうか?
この点、Bさんからすれば、Aさんの殺人事件は「他人の刑事事件」ですから(もっとも、BさんがYさんに対する殺人事件の共犯者の場合は「他人の刑事事件」とはいえません)、Bさんが証拠隠滅罪に問われる可能性はあります。

ちなみに、「証拠」は、物証(物的証拠)に限られず、人証、すなわち刑事裁判における証人、あるいは捜査段階における参考人も含まれます。
「隠滅」とは、物理的に滅失させるだけでなく、証拠の顕出を妨げ、若しくはその価値を滅失・減少させる全ての行為をいいます。
・証拠物を隠匿すること
・証人又は参考人を逃避させて隠匿すること
・証人、参考人を殺害すること
などは「隠滅」に当たるとされています。

Bさんによって殺害されたVさんは、AさんのYさんに対する殺害行為の一部、あるいは全部を目撃していた方だと思われますから「証拠」に当たります。ですから、やはり、Bさんは証拠隠滅罪に問われる可能性が高いといえます。

では、AさんとVさんが口裏合わせをして、AさんがVさんに、警察官、あるいは検察官に対する虚偽の供述(話)をさせていた場合はどうでしょうか?
この点については、作成される書面が供述録取書(警察官、検察官が作成する書面)であることを理由に本罪は成立しないとした裁判例があります(千葉地方裁判所、平成7年6月2日など)。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

公然わいせつで書類送検

2021-04-12

公然わいせつ罪と書類送検について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

会社員のAさんは,誰もいない公園のベンチに座っていた際,性欲を満たすために着ていたズボンから自己の陰茎を出したところ,たまたま近くを通りかかったVさんにその場面を見られてしまいました。その後、Aさんは警察官に公然わいせつ罪の容疑で事情を聴かれ、検察庁へ書類送検されたことから、公然わいせつに詳しい弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~公然わいせつ罪~

公然わいせつ罪は、公園や路上などの不特定または多数の人がいる、またはいる可能性のある場所で、自己の陰部(局部)を露出させたり、見せつけたりするなどのわいせつな行為をした場合に問われ得る犯罪です。刑法174条には、

(公然わいせつ)
第百七十四条
公然とわいせつな行為をした者は,6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

と規定されています。

~書類送検~

書類送検とは、在宅事件、在宅被疑者のまま事件の書類だけが検察庁へ送致されたことを意味しています。
警察官は事件の捜査を終え、事件関係の書類を整えた上で書類を検察官へ送致します。したがって、書類送検の時期は「司法警察員が捜査を終えた後」といことになります。いつ捜査を終わるかは、事件の内容、難易度、捜査機関側の都合などによって異なりますから一概に「いつ」になるかは分かりません。気になる方は、弁護人を通じてか、あるいは直接尋ねてみてもいいでしょう。

書類送検された後は担当の検察官から、取調べのための出頭要請を受けます。いつ呼び出しを受けるかについても、担当の検察官しだいとなりますので一概に「いつ」かは分かりません。そして、検察庁での取調べを終え、最終的な刑事処分(起訴、不起訴)が決まります。起訴された場合は、刑事裁判を受けなければなりません。裁判で実刑判決を受けた場合は刑務所へ収容されます(裁判が確定した場合)。

~公然わいせつ罪で逮捕されることは?~

今回、Aさんは逮捕されませんでしたが、公然わいせつ罪で逮捕されることはあるのでしょうか?

この点、令和2年版犯罪白書によれば、公然わいせつ罪・わいせつ物頒布等罪に問われ検察庁で何らかの処分を受けた「2,325人」のうち、逮捕された人は「890人(うち3人は検察庁で逮捕)」、逮捕されていない人は「1435人」で、逮捕された人の数は逮捕されていない人の数より少ないことが分かります。
また、警察に逮捕された人(887人)のうち、勾留という10日間の身柄拘束を受けた人は「471人」で、約半数の人が勾留される前に釈放されていることが分かります。
以上から、仮に、公然わいせつ罪を疑われても、逮捕される確率は低く、仮に逮捕されても勾留される確率はさらに低くなることが分かります。もっとも、逮捕されるか否かは個別の事情により異なりますので、逮捕されないことが補償されたわけではないことはいうまでもありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

脅迫罪

2021-04-05

脅迫罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

Aさんは、長引く不況で会社を解雇されたことの腹いせに、会社の郵便ポストに「よくも解雇してくれたな。今に見てろ。この会社ごと存続できないようにしてやる」などと書いた手紙を投函しました。そうしたところ、Aさんは脅迫罪で逮捕されてしまいました。
(実際に存在した事例を基に作成しています)

~脅迫罪~

脅迫罪は刑法222条に規定されています。

1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

脅迫罪の「人」とは、脅迫罪が個人の意思の自由を保護する罪である以上、その自由を享受し得る自然人を意味し、会社である法人は含まれないと解されています。
もっとも、法人の財産等に対する害悪の告知が、間接的に自然人に対する害悪の告知と解される場合も十分にあり得るところで、その場合は、やはり脅迫罪に問われる可能性があるといえます。

害を加える旨の告知(害悪の告知)とは、一般に人を畏怖させるに足りることを伝えることです。

生命に対する害悪の告知・・・「別れるくらいなら、あなた(あるいは親族)を殺す。」
身体に対する害悪の告知・・・「五体不満足にしてやる。」
自由に対する害悪の告知・・・「この街を安全に歩けると思うなよ。」
名誉に対する害悪の告知・・・●●をネットに掲載する、SNSで拡散する
財産に対する害悪の告知・・・「あなた(あるいは親族)の家に火をつけてやる。」 など

害悪の告知の方法に制限はありません。
加害者に直接会って言った場合はもちろん、電話、メール、FAXを使って伝えた場合などでも脅迫罪が成立する可能性があります。

~強要罪との違い~

脅迫罪と強要罪の違いについてよく聞かれますので併せて解説します。
強要罪は刑法223条に規定されています。

1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

強要罪でも「害悪の告知」が必要とされています。ただし、強要罪は、結果として相手方に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したことが必要ですから、強要罪の「害悪の告知」はその程度のものであることが必要とされています。

以上からもお分かりいただけますように、脅迫罪は「害悪の告知」をしただけで成立する罪、強要罪は「害悪の告知」+「人に義務のないことを行わせること」あるいは「権利の行使を妨害したこと」が必要です。また、脅迫罪の「害悪の告知」は、それによって相手方が畏怖したかどうかは問わないとされているのに対し、強要罪の「害悪の告知」は、結果として相手方に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害するに足りる程度のものである必要があります。

脅迫罪は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金で、強要罪は3年以下の懲役です。両者を比べてみるとよく分かりますが、強要罪には罰金刑がありません。つまり、強要罪で起訴されると必ず正式裁判を受ける必要が出てきます。裁判所は、土日は開廷してくれませんから、会社員の方であれば休暇を取る必要があります。また、慣れない法廷という場は極度に緊張するものです。判決が出るまでは「刑務所に行かなければならないだろうか」などと不安が続きます。対して、脅迫罪は選択刑として罰金刑がありますから、そのような不安や緊張に悩まされなくて済む場合もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。強要罪については特に、検察官が起訴する前に被害者と示談を成立させ、不起訴処分を獲得することが重要です。お困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881で、無料相談、初回接見サービスをお申し付けください。

準強制わいせつと勾留前釈放

2021-03-29

準強制わいせつと勾留前釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

Aさんは、交際相手であるVさんに多量の酒を飲ませ、Vさんが泥酔したところを見計らって、Vさんの下着の中に手を入れ、Vさんの陰部などを触るわいせつな行為に及びました。そうしたところ、Vさんの目が覚め、着衣を脱がされていたVさんは被害に遭ったことに気づき、後日、博多警察署に被害届を提出しました。そうしたところ、Aさんは準強制わいせつ罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~準強制わいせつ罪とは~

準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。

刑法178条1項
 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,わいせつな行為をした者は,第176条の例による。

Vさんは泥酔状態だったということですから「抗拒不能」だったといえますし、Aさんが、Vさんの下着の中に手を入れ、指でVさんの陰部などを触るなどした行為は「わいせつな行為」に当たるでしょう。
「第176条の例による」との「第176条」とは「強制わいせつ罪」を指しています。「例による」とは、法定刑をその罪と同様とする、という意味で、強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下」ですから、準強制わいせつ罪の法定刑も「6月以上10年以下」となります。

~勾留前の釈放~

Aさんは逮捕されていますが、勾留前に釈放されることもありますから、諦めずにまずは弁護士を呼んで対応を検討しましょう。

逮捕後は、警察→検察→裁判所と身柄を移され(寝泊まりは、通常、警察署の留置場内)、それぞれで身柄の拘束が必要か否か判断されます。
警察で釈放されれば、検察→裁判所へと手続が進むことはなくなりますし、検察で釈放されれば、裁判所での手続を受ける必要はなくなります。

しかし、身柄拘束が必要かどうかチェックする機関は実際に身柄を拘束する警察や検察(捜査機関)であり、裁判所も全ての事情を酌んできちんと判断してくれるか分かりません。そこで、警察、検察、裁判所に釈放を促す働きかけを行う必要があります。具体的には、警察には検察に送致しないよう、検察には勾留請求しないよう、裁判所には勾留決定を出さないよう意見書を提出するなどの方法が考えられます。こうした活動は弁護士に任せた方が無難ですから、逮捕の連絡を受け、一刻も早い釈放をお望みの場合は早めに弁護士に弁護活動を依頼しましょう。

勾留前に意見書などを提出する活動は、法的に認められた活動ではありませんが、意見書などを提出することによって、仮に勾留された場合「不服申し立てをしますからね。」という意思表示にもなり、捜査機関等に一定の抑止を働かせていることは間違いありません。

なお、釈放されててもそれで事件が終わりというわけではありません。また、国選で弁護士が付くわけでもありません。被害者への弁償、示談、不起訴処分の獲得を目指して弁護士を付けたいという方は「私選」の弁護士を選任する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

 

執行猶予中に再犯をしてしまったら

2021-01-04

執行猶予中と再犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市東区に住むAさんは歩いていたところ、東警察署の警察官に職務質問を受け所持品検査を受けました。その結果、Aさんのバックから乾燥大麻らしきものが入ったパケが見つかりました。
Aさんは取調べにおいて、自己使用目的で所持していたことを認め、また鑑定の結果大麻であることが判明したため、Aさんは大麻取締法違反の容疑で逮捕されました。Aさんは約2年前に覚せい剤使用で懲役1年6月執行猶予3年の判決を受けており、現在執行猶予期間中です。Aさんが逮捕されたことを知ったAさんの妻は、Aさんが刑務所に行くことになってしまうのか不安でたまらず、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の弁護士に初回接見を依頼した。
(フィクションです)

~執行猶予中の再犯~

大麻取締法は、無許可・無免許での大麻の栽培、輸出入、所持、譲渡、譲受等について罰則を設けて規制しています。
上記のケースのAさんのように、大麻を単純所持していた場合、法定刑は5年以下の懲役となります。

上記のケースにおいて、Aさんの妻はAさんが刑務所に行く、つまり実刑判決を受けてしまうのかどうかを心配しています。
そもそも、執行猶予とは刑事裁判の被告人に対する判決において、一定の期間(執行猶予期間)中に、他の刑事事件を起こさないことを条件として、判決の執行を猶予する制度です。
執行猶予期間中に新たに犯罪を犯すことがなければ、判決の効力が消滅することになります。
執行猶予の趣旨は、被告人を収監するのではなく、社会復帰させながら更生させるという点にあります。
したがって、執行猶予期間中に再度犯罪を犯してしまうという事は、当然社会の中での更生は難しいという判断に繋がりやすく、比較的軽微な罪を犯した場合でも有罪判決が下れば執行猶予が取り消されることになります。

仮に、執行猶予が取り消されてしまった場合、執行を猶予されていた刑罰に加え、新たに犯してしまった犯罪に対する刑罰が加重されることになります。
さらに、執行猶予期間中に犯罪を犯してしまった場合、再犯となります。
再犯をしてしまった場合の刑の加重については、刑法第57条において「再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。」と規定されています。
つまり、今回のケースのAさんの場合、覚せい剤取締法違反が懲役1年6月、大麻取締法違反が最長で懲役10年まで科すことが出来るようになるため、最悪の場合、懲役11年6月を科されることも有り得ます。

~再度の執行猶予~

ただし、再度の執行猶予が認められれば、執行猶予中に犯罪を行っても執行猶予が取取り消されることはなく、直ちに刑務所に入らずに済みます。

再度の執行猶予とは、文字通り、再び執行猶予付き判決が下されることをいいます。
再度の執行猶予は最初に獲得する執行猶予よりも認められる条件が厳しくなっており、

①前に禁錮以上の刑に処せられて執行猶予中の者であること
②1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けること
③情状に特に酌量すべきものがあること
④最初の執行猶予判決に保護観察がつけられていないこと
 
となっています。

ただし、再度の執行猶予は認められづたいのが現状です。
というのも、まず1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受ける犯罪が多くないからです。
また、仮に1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたとしても、情状事情が特に斟酌されるものでならず、その判断は相当厳格に行われることになります。
上記のケースのAさんのように、同じ覚せい剤ではないにしても、再度薬物に手をだしてしまっているような事案では、再度の執行猶予が認められる可能性は低いと言わざるを得ません。

しかし、端から諦めてしまうのではなく、まずは刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
例えば、再犯について大麻への依存度が低い、使用回数が少ないといった被告人にとって有利となる事情を説得的に主張することで、再度の執行猶予獲得を獲得する可能性を高めることは可能です。
また、薬物異存から脱却するためにカウンセリングや治療を受けている、あるいは身近な方が被告人を監督するなど、再犯防止に向けた環境整備が整っていることを主張することも効果的です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

誤振り込みと詐欺罪

2020-04-19

誤振り込みによって得たお金を引き出して使用することで何らかの犯罪に問われるのか,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

【事件】

福岡市西区に住むAさんは自身の銀行口座にV名義の口座から約10万円の振り込みがあったことに気付きました。
身に覚えのなかったAさんですがつい出来心でこのお金を銀行の窓口で引き出し遊興費として使ってしまいました。
後日,誤振り込みをしてしまったことに気付いたVさんが銀行に問い合わせ銀行から福岡県警察西警察署に被害が届けられました。
Aさんは福岡県警察西警察署で事情を聞かれることになっています。
(フィクションです)

【誤振り込み】

誤振り込みされたお金を銀行の窓口で引き出してしまった場合,詐欺罪(刑法第246条)に問われる可能性があります。

刑法第246条
第1項 人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,前項と同様とする。

判例(最決平成15・3・12刑集57巻3号322頁)は,被告人が自己の口座に誤振り込みがあったことを知りながら銀行に誤振り込みがあったことを告げず払い戻しを
受けた事件について以下のような理由で詐欺罪が成立するものとしました。

すなわち,振込依頼人と受取人との間に振り込みの原因となる法律関係は存在しませんが,このような振り込みであっても,受取人である被告人と振込先の銀行との間に振込
金額相当の普通預金契約が成立し,被告人は,銀行に対し,上記金額相当の普通預金債権を取得します。
つまり,民事上は,誤振り込みされた者が銀行に対して誤振り込みされたお金を引き出すことを要求する権利があるということです。
そうであれば、誤振り込みされた者は飽くまでも正当な権利を行使しているに過ぎず、それが詐欺罪に当たるなどと言われる筋合いはないのではないかとも考えられます。

しかし他方で,銀行実務では組戻しなどの手続きによって受取人の承諾を得て誤振り込みがあった以前の状態にしたり,受取人からの誤振り込みの指摘により振り込みに誤り
がなかったかを確認・照会するなどの措置が行われています。
そしてこれらの銀行の措置は安全な振込送金制度を維持するために必要なものであり,受取人においても,銀行との間で普通預金取引契約に基づき継続的な預金取引を行って
いる者として,自己の口座に誤った振り込みがあることを知った場合には,銀行に上記の措置を講じさせるため,誤った振込みがあった旨を銀行に告知すべき信義則上の義務
があります。
この義務に反して,誤った振り込みがあることを知った受取人が,誤振り込みされたという事情を隠して預金の払戻しを請求することは,本来言わなければならないことを言
わないことで銀行を欺くという点で,詐欺罪の欺罔行為に当たると評価できます。
また,誤った振り込みの有無に関する錯誤は同罪の錯誤に当たるので,錯誤に陥った銀行窓口係員から受取人が預金の払い戻しを受けた場合には,詐欺罪が成立します。

以上が判例が示した理由と結論です。
この判例に従えば,今回の事件においてもAさんに詐欺罪が成立する可能性はあります。

ただし、銀行の窓口ではなくATMでお金を引き出した場合については、人が介在しないことから詐欺罪は成立しないという見解が支配的です。
その場合でも、ATMの操作に不正があったとして電子計算機使用詐欺罪に当たる、あるいは銀行の意思に反して金銭を自己のものにしたとして窃盗罪に当たると考えられていま
す。
電子計算機使用詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役,窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

【弁護活動】

Aさんから依頼を受けた弁護士はどのように警察に話したらよいのか,今後予想される手続きなどをAさんに説明します。

今回のような詐欺事件ですと,被害者との示談を成立させることで不起訴処分を獲得できる可能性を高めることが活動の中心となる場合が多いです。
今回の事件の場合,実質的に被害を受けたのはVさんですが,理論的に詐欺罪の相手方となっているのは銀行です。
こうしたケースについては、誰を相手方として示談を行うのが効果的か検討の余地があるかもしれません。

謝罪や示談交渉が実を結ぶためには場合によっては多くの時間がかかることもあります。
またあくまで一般論ですが,心理的にも早期から謝罪を申し入れられた方が最終的に受け入れてもらいやすいことが多いです。

被害額が多額に上らない場合でも,早期から刑事事件に強い弁護士に事件を依頼しているかそうでないかでは結果に大きな違いが出てきます。

誤振り込みされたことを銀行に伝えずお金を使ってしまった方,詐欺事件の被疑者となってしまった方,福岡県警察西警察署で取調べを受けることになってしまった方は,お
早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【ストーカー】ストーカーで示談~福岡県岡垣町

2020-01-27

【ストーカー】ストーカーで示談~福岡県岡垣町

福岡県岡垣町に住むAさんは、福岡県公安委員会から交際相手Vさんにつきまとい等をしてはならない旨の禁止命令を受けていました。それにもかかわらず、Aさんは、Vさんに電話したり、メールを送信するなどのストーカー行為を繰り返していました。そうしたところ、Aさんは福岡県折尾警察署にストーカー規制法違反で逮捕されました。逮捕の通知を受けたAさんの家族は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。弁護士の接見後、ご家族は弁護士からAさんの早期釈放、不起訴処分獲得には示談交渉が望ましいとの説明を受けたことから、弁護士に示談交渉の弁護活動を依頼しました。
(フィクションです)

~ ストーカー規制法の罰則規定 ~

ストーカー規制法を理解するためには、ストーカー規制法の罰則規定から確認してもよいかもしれません。

第18条 
 ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第19条 
1 禁止命令等(第五条第一項第一号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。
第20条 
 前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

では、Aさんは何条違反に問われているのでしょうか?
Aさんは「禁止命令等」を受けていたにもかかわらず「ストーカー行為」をしたということですから、第19条1項違反に問われています。

「禁止命令等」とは、都道府県公安委員会が、「つきまとい等」があった場合において、被害者からの申出あるいは職権で、当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときに、当該行為をした者に対し、

・ 更に反復して当該行為をしてはならないこと
・ 更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項

を命じる命令のことをいいます。

~ ストーカー行為とは ~

ストーカー行為とは、

① 「同一の者」に対し
② 「つきまとい等」を
③ 繰り返して行うこと

をいいます(一部のつきまとい等に関しては、被害者の身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合に限る)。

「つきまとい等」についてはストーカー規制法2条1項各号に規定されています。

1 つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき等
2 監視していると告げる行為
3 面会や交際の要求
4 乱暴な言動
5 無言電話、拒否後の連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS等
6 汚物等の送付
7 名誉を傷つける
8 性的しゅう恥心の侵害

~ ストーカーで示談するメリット ~

ストーカー事件においては、被疑者が被害者に接触するおそれがあるなどとして逮捕・勾留される可能性が高いです。
仕事やご家族の事情などで早期釈放をお望みの場合は早めに弁護士に釈放に向けた刑事弁護を依頼しましょう。
また、同時に、刑事弁護の一環として示談交渉を進めて行くことも必要です。示談の意向を示すことによって、早期の釈放に繋がる場合もございます。どのような刑事弁護方針にするのかは、ご本人様と接見してお話を聴く必要がありますので、まずは刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に初回接見をご依頼することをお勧めいたします。弊所は福岡県の他、九州、山口県の刑事事件に対応しております。

示談についてはこちらもご参照ください→★示談について

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、ストーカー事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。ストーカー事件で示談、不起訴などの獲得をご希望される方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

【刑事事件】うその110番通報で偽計業務妨害罪~西区

2019-12-17

【刑事事件】うその110番通報で偽計業務妨害罪~西区

うその110番通報で偽計業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市西区に住む少年A君(15歳)は、110番通報し、電話口の警察官に「〇〇のスーパーで男性からいちゃもん付けられて喧嘩しています。」「ただちに来てください。」などと言いました。ところが、福岡県西警察署の警察官が現場に到着し、スーパーの店員に男性同士の喧嘩はなかったかと尋ねても、そのような喧嘩は一切なかったとの返答でした。また、現場には通報者らしき人物はいませんでした。警察官は110番通報した者に嘘をつかれたと思い捜査したところ、A君の犯行の疑いが生じました。そこで、A君は西警察署に偽計業務妨害罪の疑いで逮捕されました。逮捕の知らせを受けたA君の母親は、刑事事件専門の弁護士にA君との接見を依頼しました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ はじめに ~

上記事例は、今年10月29日午後7時前、「スーパーで25歳の女性ともめています。」などとうその110番通報した福岡市早良区の少年が偽計業務妨害罪の疑いで逮捕されて事例をモデルに作成しています。報道によると、警察官が上記110番通報を受け、パトカー2台に分乗した警察官4人が急行しましたが通報者の姿はなく、店員に聞き込みをしてもトラブルを確認することはできなかったとのことです。

福岡県ではこうしたうその110番通報が横行しているようです。
特に、福岡市西区の少年を中心に広まっているようで、今年だけで76件(10月末現在)うその110番とみられる通報があったと報道されています。

少年は110番通報すれば本当に警察官が現場に来る「リアル感」、「スリル感」を体感したいようです。
近年は、インターネットやスマートフォンの普及などもあって、手軽にゲームを行うことができます。
ゲームでは味わえない世界を現実の世界で体感したかったのでしょうか?
さらには、SNSの普及により、手軽に写真や動画を投稿することもできます。
いわゆるバイトテロでは、たとえば、牛丼店のアルバイト店員が、メニューに存在しない超大盛りの豚丼を盛りつけ「テラ豚丼」として投稿、コンビニの店員がアイスのケースに入り込んで写真を撮影し、フェイスブックに投稿、定食店で、マスクをした男性の店員が下半身丸出しにしてお盆を股間にあてる動画を投稿、コンビニの店員が、売り物のおでん鍋から直接しらたきを食べて踊る動画をツイッターに投稿、などの行為が話題となりました。
こうした行為がさらなる共感者を呼び、次から次へと同様の行為を模倣する者を産んでいるようです。

~ 発覚すれば逮捕される ~

そこで、警察は悪質な犯罪行為として取締りを強化しているようです。
うその110番通報は、偽計業務妨害罪という罪に問われる可能性があります。
偽計業務妨害罪は刑法233条に規定されています。

刑法233条
 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

「偽計を用いて」とは、人を欺罔・誘惑し、又は人の錯誤(簡単にいうと誤解)・不知(知らないこと)を利用する違法な手段一般をいう、と解されています。
うその110番通報をすることが「偽計を用いて」に当たるでしょう。
「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う事務をいいます。
警察官の活動全般は「業務」に当たるでしょう。
「妨害」したとは、現実に妨害が発生している必要はなく、業務を妨害しうるような行為をすれば足りる、と解されています。
もっとも、警察官を現場に向かわせるということは、

その分だけ、本当に必要な捜査に人員を割けず、本当に被害に遭っている人を救えない

という可能性だってあるわけです。
その意味では、うその110番通報は社会的に被害を及ぼす行為であり悪質です。
絶対にしてはいけません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

【お客様の声】傷害 送致前に示談で不送致を獲得

2019-10-21

【お客様の声】傷害 送致前に示談で不送致を獲得

■ 事件概要
       依頼者様が,被害者様の駐車マナーに立腹し,被害者様に暴行を加え怪我をさせた傷害事件です。

■ 事件経過等
  依頼者様は,ご自分のしたことを認め反省し,できれば示談した穏便に事を済ませたいとのご意向でした。そこで,弁護士は,示談に向けて,まず契約成立日から2日後に警察に電話し,被害者様の連絡先等を教えていただきました。契約成立日から2週間で被害者様と示談を締結することができました。結果,警察から検察庁へ事件を送致されることはありませんでした(不送致)。

■ 弁護士コメント
  まず,示談するにしても,被害者様と面識のない場合,被害者様の連絡先等を取得することから始めなくてはなりません。しかし,被害者様が加害者・被疑者にご自分の連絡先等を教えることはまずありません。そこで,弁護士が間に入って示談交渉を進める必要ができてきます。弁護士であれば,上記のように警察などから被害者様の連絡先を取得することが可能で,その後の示談交渉も円滑に進めることができます。また,本件は検察庁へ事件が送致されなかったことも大きいです。通常,警察が立件した事件は検察官(検察庁)へ送致しなければならないのですが,事案が軽微であったり,示談が成立している場合などは送致しないこともできるのです。不送致獲得のためには,早めのご依頼,早めの示談成立が肝要です。

■ お客様の声

【お客様の声】盗撮 宥恕条項付き示談で不起訴を獲得

2019-10-20

【お客様の声】盗撮 宥恕条項付き示談で不起訴を獲得

■ 事件概要
依頼者の息子様が,バス内で痴漢行為を行った福岡県迷惑行為防止条例違反の事件です。

■ 事件経過等
  本件は,警察に送致された後ご依頼いただき,契約したものでした。その後,事件は検察庁へ送致されたものの,その間,被害者様と宥恕条項付き示談を成立させることができ,検察官から不起訴(起訴猶予)処分を獲得することができました。

■ 弁護士コメント
  依頼者様(息子様の母親)は,息子様が痴漢をしたこと自体驚きで,ご依頼当初は今後のことに不安をお持ちでしたが,一つ一つ疑問にお答えすることで少しでも不安を解消することができたと思います。誰しも検察の刑事処分が出るまでは,職場のこと,学校のこと,家族のことなど様々な不安をお持ちだと思います。刑事事件でお悩みの場合は,ぜひ弊所へご相談ください。

■ お客様の声

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