Archive for the ‘交通違反・交通事故’ Category
【飲酒運転】飲酒運転と逮捕後の流れ
飲酒運転と逮捕後の流れ
飲酒運転と逮捕後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
会社の同僚らと居酒屋で酒を飲むなどして楽しんだ福岡県飯塚市在住のAさんは、居酒屋近くの駐車場に停めていた車で仮眠してから自宅へ帰ろうと、同僚らと別れ、一人駐車場へ向かいました。そして、Aさんは、車に乗り込み運転席で1時間ほど仮眠をとってから車を運転して自宅に向かっていたところ、福岡県飯塚警察署の警察官に飲酒運転で逮捕されてしまいました。Aさんは信号待ちをしていたところ、なかなか発進しなかったため、後続の運転手から〇〇警察署に通報があり本件が発覚したとのことです。逮捕の通知を受けたAさんの妻は、家族のためにも一刻も早く釈放されて欲しいと願い、刑事事件専門の弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
~飲酒運転~
飲酒運転が発覚する経緯としては、
・警察官に飲酒運転を現認された場合
・警察官の交通検問にひっかかった場合
はもちろん、
・自損事故を事故を起こし110番通報、119番通報された場合
・信号待ちで停車中のところ、青信号になっても発進しなかったため後方の運転者に飲酒運転を疑われて110番通報された場合
など様々です。
飲酒運転は「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に区分されます。
「酒気帯び運転」とは、血液1ミリリットルにつき0.3mg又は呼気1リットルにつき0.15mg以上アルコールを保有する状態で車両等(軽車両(自転車など)を除く)を運転することをいいます(法65条1項、117条の2の2第1号)。
一方で、「酒酔い運転」は、酒気帯び運転のように数値以上の飲酒を必要としません。「酒酔い運転」とは、酒気を帯びて車両等を運転した場合で、その運転した場合に酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)にあった場合の運転をいいます(法65条1項、117条の2第1号)。つまり、身体に保有するアルコールの量が上記の数値以下であっても、「酒に酔った状態」と判断されれば酒酔い運転とされる可能性があります。
なお、酒気帯び運転か酒酔い運転かの区別は、上記の数値のほか、運転者の歩行状況、警察官に対する受け答え状況、酒臭の程度、飲酒状況などを総合的に勘案して第一次的には警察官が判断します。
罰則は「酒気帯び運転」は
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
「酒酔い運転」は
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
です。
~逮捕から勾留までの流れ~
逮捕から勾留までの流れは以下のとおりです。
警察に逮捕されると、被疑者(Aさん)は警察署内の留置場に収容されます。
この間、ご家族は被疑者と面会はできないと考えた方がよいです。
他方、弁護士は、いつでも逮捕された方と面会(接見)できます。
また、この段階で、警察に対し被疑者を釈放するよう働きかけることができます。
しかし、それでも検察官へ身柄を送致されることがあります。
検察官へ身柄を送致される手続がとられると、被疑者は検察庁へ連れていかれることになります。
そして、検察庁で、検察官の弁解録取をいう手続きを受けます。
検察官が勾留が必要だと判断して勾留請求した場合は、その日、あるいは翌日に、今度は裁判所で裁判官による勾留質問の手続を受けます。
なお、ここでも、弁護士は検察庁においても被疑者と面会(接見)することができますし、検察官に対し、被疑者を釈放するよう働きかけることができます。
検察官に勾留請求された場合、裁判官の勾留質問の手続に移行します。
検察官の弁解録取の手続を受けた日に勾留質問がある場合は、被疑者は検察庁から直接裁判所へ連れていかれることになると思います。
他方、翌日に勾留質問がある場合は、いったん検察庁から留置場に戻り、翌日裁判所へ連れていかれることになります。
弁護人は、この段階でも、裁判官に対して被疑者を釈放するよう働きかけることができます。
また、仮に、勾留決定が出た場合でも、勾留裁判に対する不服申立てをすることによって、被疑者の釈放を求めることができます。
このように釈放活動は様々な段階で可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、飲酒運転をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談(ご案内はこちら→無料法律相談のご案内)、初回接見サービス(ご案内はこちら→初回接見サービスのご案内)を受け付けております。
【交通事故】自転車事故とながら運転
【交通事故】自転車事故とながら運転
自転車事故とながら運転について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
北九州市小倉北区に住むAさんは、スマートフォンを操作しながら自転車を運転し、通行人であるVさんに正面衝突し,転倒させて外傷性くも膜下出血などの重傷を負わせたとして,福岡県小倉北警察署の警察官により重過失傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの家族が交通事故に強い弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(事実を基にしたフィクションです。)
~ ながら運転自体の罰則 ~
自転車によるながら運転自体の罰則は「5万円以下の罰金」です。
根拠は、道路交通法120条1項9号、71条の6号、福岡県道路交通法施行規則14条の3号です。
道路交通法120条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。
9号 第71条(略)若しくは6号(略)の規定に違反した者
道路交通法71条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
6号 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他の交通の安全を図るため必要と認めた事項
福岡県道路交通法施行規則14条 法第71条第6号に規定する車両等の運転者が守らなければならない事項は、次に掲げるものとする。 ※法=道路交通法
3号 自転車を運転するときは、携帯電話用装置を手で保持して通話し、若しくは操作し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。
なお、携帯電話用装置(ガラケー、フマフォなど)は「手で保持して通話」することが規制の対象となっています。
したがって、ハンズフリーでの通話はこの規制の対象外ですが、同じ規則の8号には
8号 大きな音量で、カーラジオ等を聞き、又はイヤホン等を使用して音楽を聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両を運転しないこと。ただし、公共目的を遂行する者が当該目的のための指令等を受信する場合は、この限りでない。
との規定がありますから、大音量で通話していた場合などは8号の対象となる可能性はあります。
「注視」とは見続けることをいい、時間の長短は問いません。
~ ながら運転による交通事故の罰則 ~
車の場合は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律が適用されます。
そして、通常、ながら運転による交通事故は法律5条が適用され、罰則は「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。
自動車運転処罰法5条
自動車の運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
自転車の場合はこの法律は適用されません。
自転車のながら運転による交通事故の場合は刑法の重過失致死傷罪が適用される可能性が高いと思われます。
重過失致死傷罪は刑法211条後段に規定されています。
刑法211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も同様とする。
罰則は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。
「重大な過失」とは「重過失」とも呼ばれます。
重過失とは過失の程度が重たいことをいい、結果の重大性を意味するものではありません。
過失の程度は、運転態様、道路状況など個別具体的事情によって判断されます。
しかし、一般的に、危険とされる交通ルールに違反した場合は重過失とされる傾向にあります。
ながら運転の場合もその例外ではありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。
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【交通事故】ひき逃げと出頭
【交通事故】ひき逃げと出頭
ひき逃げと出頭について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県春日市に住むAさんは、仕事を終え、普通乗用自動車を運転して帰宅途中、道路を横断してきたVさん(69歳)に自車前方を衝突させて路上に転倒させました。Aさんは車を道路脇に停め、車を降りてVさんの元に近づいたところ、Vさんの意識ははっきりしており怪我の程度も酷くはなさそうだったため、警察に通報するなどせずその場を立ち去りました。その後、Aさんは普段どおりの生活を送っていますが、いつ警察に逮捕されるか不安で仕方ありません。そこで、警察に出頭することも含め、ひき逃げ事件に強い弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ ひき逃げ ~
ひき逃げは、怪我した人を助けなかった
救護措置義務違反
と、交通事故の内容等を警察官に報告しなかった
事故報告義務違反
の2つ違反のことをいいます。
ひき逃げについては、道路交通法(以下、法)72条1項に規定されています。
法72条1項
交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(略)は、直ちに車両等を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(略)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(略)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
「~講じなければならない。」(法72条1項前段)までが「救護措置義務」に関する規定、「この場合において」以下(法72条1項後段)が「事故報告義務」に関する規定です。
なお、上記規定は「交通事故があったとき」としています。
つまり、運転に過失があろうがなかろうが関係なく交通事故が発生した場合は救護措置義務、事故報告義務が発生しますから注意が必要です。
~ ひき逃げの罰則 ~
ひき逃げのうち救護義務違反の罰則は2種類あります。
一つは、人の死傷が運転者の運転に起因する場合で、この場合は、
10年以下の懲役又は100万円以下の罰金
もう一つは、上記以外の場合で、この場合は
5年以下の懲役又は50万円以下の罰金
です。
事故報告義務違反の罰則は、
3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
です。
~ 出頭 ~
出頭は捜査機関に自ら出向くことをいいます。
出頭に似た言葉に自首があります。
ただし、自首が成立するには、捜査機関にひき逃げの犯人であることが特定されていないことが必要です。
自首が成立すると、刑の減軽を受ける可能性があります。
もっとも、出頭であっても逮捕の可能性を下げることには繋がりますが、反対にそのまま逮捕される可能性もあります。
出頭するか否かは弁護士とよく相談した方がよさそうです。
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【酒気帯び運転】酒気帯び同乗罪で接見禁止~福岡県朝倉市
【酒気帯び運転】酒気帯び同乗罪で接見禁止~福岡県朝倉市
酒気帯び同乗罪で接見禁止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
AさんとBさんは会社の同僚でご近所同士で,ある日,地域の忘年会に参加するため,Aさんが車を運転して(BさんはAさんの車に同乗)忘年会の会場まで行きました。AさんもBさんも忘年会でお酒を飲みました。そして,忘年会後,BさんはAさんに「車に乗せてってくんない?」と言ったところ,Aさんはこれを承諾し「帰りもオイが運転するけん乗っていかんね」と言いました。そして,AさんとBさんは車で帰宅途中,警ら中の福岡県朝倉警察署のパトカーの職務質問に遭い,Aさんは飲酒運転(酒気帯び運転)の罪で,Bさんは飲酒運転(酒気帯び運転)同乗罪で逮捕され,その後勾留されました。また,AさんとBさんは他人を介して通謀し,証拠隠滅を図るおそれが高いとして接見禁止決定を受けてしまいました。
(フィクションです)
~ 酒気帯び運転同乗罪 ~
お酒を飲む機会が増える方も多いのではないでしょうか?
そんな中,警察の取り締まりも強化されていますから注意が必要です。
ご存知のとおり,飲酒運転だけではなく,飲酒運転をすることとなるおそれがあるものに対し車両等を提供したり,飲酒運転者に対し自己の運送を要求し,又は依頼して車両に同乗した場合も犯罪となります。
後者は飲酒運転(酒気帯び運転)同乗罪で,道路交通法65条4項に規定があり,罰則は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です(道路交通法117条の2の2第4号)。
なお,条文上は要求,依頼とありますが,明示的な要求,依頼行為がなくても,同乗者と運転者の関係,同乗に至った経緯等個別具体的な事情を勘案して要求,依頼があったと認められる場合があります(つまり,暗黙の了解という場合であっても同乗罪に問われることがあります!)。
道路交通法65条
1 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
4 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第百十七条の二の二第六号及 び第百十七条の三の二第三号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、 当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。
~ 接見禁止と解除 ~
弁護人以外の者(ご家族など)との接見は,通常,勾留後に可能です。
ところが,勾留後もご家族などとの方との接見が制限されることがあります。それが,
被疑者・被告人に接見禁止決定が出た場合
です。
接見禁止決定とは,通常検察官の請求を受けた裁判官が,被疑者・被告人が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に,勾留されている被疑者・被告人と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じる決定のことをいいます。
今回,Aさん,Bさんの認否が明らかではありません。
また,AさんとBさんはともに身柄拘束を受けていますから,両者が直接通謀して証拠隠滅を図ることは物理的に不可能です。
それでも,他人を介して通謀することは可能です。
今回は,そうした理由から接見禁止決定を出された可能性があります。
接見禁止を解除するための手段として,接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に,接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば,制限なく接見できます。また,一部解除とは,裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,飲酒運転をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
【無免許運転】無免許運転の量刑
【無免許運転】無免許運転の量刑
無免許運転の刑事弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
配達の仕事をしているAさんは3か月前に自家用車を飲酒運転し(道路交通法違反)て検挙され、略式起訴されて罰金30万円の略式命令を受けて前科が付き、さらに免許取消しの行政処分を受けていました。しかし、Aさんは会社をクビになりたくたいと思って、そのことを会社には報告せずに無免許のまま会社の車を運転していました。そして、Aさんはいつものように、会社の車を運転して配達業に就いていたところ、赤色信号無視違反で福岡県飯塚警察署の警察官が運転するパトカーに呼び止められました。Aさんは警察官から免許証の提示を求められましたが、無免許だったため提示することができず無免許運転が発覚し、道路交通法違反の被疑者として逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの妻は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 無免許運転 ~
無免許運転については道路交通法64条1項に規定されています。
道路交通法64条1項
何人も、84条1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(略)、自動車又は原動機付自転車(以下、自動車等)を運転してはならない。
なお、無免許運転を分類すると以下のように区分することができます。
純 無 免:いかなる運転免許も受けないで自動車等を運転
取消無免:運転免許が取り消された後に自動車等を運転
停止中無免:運転免許の効力が停止されている間に自動車等を運転
免許外無免:特定の種類の自動車等を運転することができる運転免許を受けているが、その運転免許で運転することができる種類の自動車以外の種類の自動車等を運転すること
失効無免:免許を受けた者が、その運転免許証の有効期間の更新をしないため失効しているのに自動車等を運転
以上はいずれも無免許運転です。
無免許運転となった以上、それまでの経緯に関係なく、自動車等を運転してはいけません。
無免許運転の罰則は
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
です(法117条の2の2第1号)。
また、無免許運転中に交通事故(人身事故)を起こした場合は、道路交通法とは別の自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律といいます)が適用されるおそれがあります。
法律6条では、無免許運転による刑の加重規定が設けられています。
無免許運転+危険運転(人を負傷させた場合に限る)→6月以上の懲役
無免許運転+準危険運転→人を負傷させた場合、15年以下の懲役 人を死亡させた場合、6月以上の懲役
無免許運転+アルコール発覚免脱→15年以下の懲役
無免許運転+過失運転致死傷→10年以下の懲役
罰則は単なる無免許運転より格段に重たくなっていることがわかります。
~ Aさんの量刑は? ~
Aさんは、3か月前に飲酒運転(道路交通法違反)で検挙され、罰金30万円の前科を有しています。
そして、また今回、同じ道路交通法違反で検挙されています。
こうしたことから、Aさんは、今回は略式起訴ではなく正式起訴されるおそれが高いでしょう。
正式起訴されると、正式裁判を受けなければなりません。
正式裁判では、懲役刑を言い渡されるおそれが高いです。
懲役刑は6月から1年が相場といえます。
はじめての正式起訴の場合は、実刑に処せられることは少ないと思われます。つまり、執行猶予が付くことが多いかと思われます。
しかし、執行猶予期間中に交通違反を起こすと、ほぼ間違いなく実刑に処せられます。
注意しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
【飲酒運転】新年会と飲酒運転~福岡県久留米市
【飲酒運転】新年会と飲酒運転~福岡県久留米市
福岡県久留米市に住む会社員のAさんは、会社の新年会に参加し、ビール中ジョッキ2杯、焼酎水割り3杯、日本酒約1合を飲みました。その後、Aさんは体がかなり火照っていることを認識し、飲酒運転がいけないことだとわかっていながら、車を運転して自宅に帰る途中、交差点の赤色信号表示に従って車を停止させたところ、お酒の影響でその場で寝てしまいました。Aさんが次に目を覚ましたのは、現場に駆け付けた福岡県久留米警察署の警察官に声をかけられたときでした。Aさんは、青色信号になってもなかなか発進しなかったため、この様子を見て飲酒運転を疑った後方の車の運転手に110番通報されたようでした。Aさんは、警察官の飲酒検査の結果、「酒酔い運転」と判断され、その場で道路交通法違反の被疑者として現行犯逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの妻がAさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)
~ 忘新年会のシーズンには飲酒運転に気を付けて ~
「酒酔い運転」とは、アルコールの影響によって正常な運転ができないおそれがある状態で運転をすることをいいます。
「酒気帯び運転」とは、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールまたは血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上のアルコールを身体に含んだ状態で運転することをいいます。
このように、酒気帯び運転は、具体的な数値基準が設けられているのに対して、酒酔い運転はそうした基準は特に設けられていません。酒気帯び運転に呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上、という基準を設けていることから、これ以下の数値であれば酒酔い運転に問われることはない、と勘違いされている方もおられます。
しかし、酒酔い運転かどうかは、お酒の量、警察官に対する受け答えの様子、歩行状況などを総合的に勘案して決められるのであって決して具体的数値を基準として決められるのではありません。
また、飲酒運転によって人身事故を起こした場合は、道路交通法違反(酒気帯び運転若しくは酒酔い運転)に加えて過失運転致傷罪が適用されるのが通常です。しかし、アルコールの影響により正常な運転ができないのに運転をして、人身事故を起こしてしまったと判断された場合は、危険運転致傷罪に問われる可能性があります。危険運転致傷罪の法定刑は、非常に厳しく「15年以下の懲役」で罰金刑の規定はありません。
これから忘新年会シーズンとなり、お酒を飲む機会が増える方も多いと思われます。
飲酒運転をしないよう、ハンドルキーパーを確保するなどして、会場までの行き方、会場からの帰宅方法には十分気を払う必要があります。
~ 飲酒運転の処分 ~
飲酒運転単独で、かつ、前科前歴がない場合(初犯の場合)は、略式起訴(→略式裁判→略式命令→罰金刑)で終わる場合が多いでしょう。
他方、過去にも飲酒運転をした前科前歴があるなど、情状が悪質な場合は正式起訴(→正式裁判→判決→懲役刑)となるおそれが高くなります。
正式起訴となれば、実刑を受け、刑務所に服役しなければならない可能性も捨てきれません。
そこで、こうした場合は、実刑回避に向けた情状弁護の準備をする必要があります。
情状弁護とは、裁判において被告人にとって有利な事情(情状)を明らかにし、量刑の軽減や執行猶予付き判決を求めるものです。
裁判で被告人に有利な事情を酌んでもらうには、被告人の方から積極的に事情を明らかにしなければなりません。
情状弁護活動は、弁護士に事件を依頼することをおすすめします。
弁護士であれば、法律の専門家として最適な対応をし、効果的な情状弁護を行うことが期待できるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、飲酒運転をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談、初回接見のご予約を承っております。
【交通事故】横断歩道上の人身事故~北九州市八幡東区
【交通事故】横断歩道上の人身事故~北九州市八幡東区
横断歩道上の交通事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
北九州市八幡東区に住むAさんは、自動車を運転して帰宅していたところ、信号のない横断歩道上を歩行中であったVさんを誤ってはねてしまいました。Aさんはこのことに気づいていましたが、このまま警察に報告すると逮捕されるのではないかと怖くなり、道路に倒れたVさんを助けることなくそのまま逃走しました。ところが、後日、Aさんは、福岡県八幡西警察署の警察官により、過失運転致傷罪及び道路交通法違反で逮捕されてしまいました。Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
~ 横断歩道上の交通事故 ~
横断歩道上は「歩行者の聖域」と言われ、自動車の運転者は、横断歩道上を渡ろうとする、あるいは渡っている歩行者を見かけた場合は様々な配慮をしなければなりません。
この点に関し、道路交通法38条では次の規定を設けています。
道路交通法38条
1 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進 路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による 停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断 歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除 く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その 前方に出る前に一時停止しなければならない。
3 車両等は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路の部分においては、第三十条第三号の規定に該当する場合のほか、その前方を進行している他 の車両等(軽車両を除く。)の側方を通過してその前方に出てはならない。
1項前段(~「速度で進行しなければならない」まで)は横断歩道等に近接する車両等の速度に関する義務、1項後段は、車両等の一時停止、歩行者等の通行を妨げない義務を定めたものです。
2項は、横断歩道等あるいはその直前に車両等がある場合の同車両等の側方を通過する際の一時停止義務、3項は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路における追い抜き禁止義務を定めたものです。
2項、3項は、横断歩道等には歩行者等がいるが蓋然性が高いにもかかわらず、各状況下で一時停止することなく車両等を追い抜こうとすれば、横断歩道等に対する見通しが悪いことから、車両等の運転手に一時停止義務や追い抜き禁止義務を課したものです。
このことから、横断歩道上を歩行する歩行者を車ではねて怪我させた場合、歩行者が赤色信号で横断歩道を歩行していた場合など落ち度が認められない限りは「過失」ありとされ、自動車運転処罰法(正規名称、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)の
過失運転致傷罪(被害者が怪我した場合、死亡した場合は過失運転致死罪)
に問われます。
過失運転致傷罪も過失運転致死罪も法定刑は
7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金
ですが、実際の量刑としては、横断歩道上の交通事故は過失を重く見られますから、罰金刑でも高い金額か禁錮刑を選択されることが多いかと思います。
また、ひき逃げ(10年以下の懲役又は100万円以下の罰金)をした場合はさらに刑が重たくなりますので注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
【交通違反】ながら運転③~自転車編
【交通違反】ながら運転③~自転車編
自転車運転とながら運転ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
前回の「ながら運転①」では、ながら運転やながら運転の罰則、運転中のスマフォ使用がながら運転に当たることなどをご説明しました。また、「ながら運転②-1」ではハンズフリー通話とながら運転、「ながら運転②-2」ではカーナビゲーションの操作とながら運転にうちて解説しました。今回は、自転車運転とながら運転について解説したいと思います。
(フィクションです。)
~ 自転車運転とながら運転 ~
まず、毎回のごとく、ながら運転に関する道路交通法上の規定を確認することとします。
はじめに、道路交通法71条は「運転者の遵守事項」を規定しており、ながら運転についてはその5号の5、6号に規定されています。
道路交通法71条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
1~5の4 (略)
5号の5
自動車又は原動機付自転車(自動車等)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。118条第3の2において「無線通話装置」という。)を通話(略)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(略)に表示された画像を注視しないこと。
6 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めた事項
道路交通法71条5号の5では
ア、携帯電話装置等を通話のために使用すること
イ、画像表示用装置に表示された画像を注視すること
が禁止されています。
携帯電話用装置とは主に「ガラケー」のこと、無線通話装置とは「スマートフォン」のことと考えられたらよろしいかと思います。
また、画像表示用装置とは主に「ガラケー、スマートフォン、タブレット、カーナビゲーションの画面」のことと考えられたらよろしいかと思います。
しかし、5号の5は「自動車又は原動機付自転車を運転する場合」とされており、自転車は当然これに含まれません。
したがって、自転車運転中にながら運転したとしても道路交通法5号の5は適用されません。
では、6号はどうでしょうか?
この点、6号を見ると、各都道府県の公安委員会に「道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めた事項」を定める権限が委任されています。
そこで、6号によって委任された福岡県道路交通法施行規則の14条には次の規定が設けられています。
福岡県道路交通法施行規則
14条 法第71条第6号に規定する車両等の運転者が守らなければならない事項は、次に掲げるものとする。 ※法=道路交通法
3号 自転車を運転するときは、携帯電話用装置を手で保持して通話し、若しくは操作し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。
これからすると、自転車運転中であっても
ア、携帯電話装置を手で保持して通話すること
イ、画像表示用装置に表示された画像を注視すること
が禁止されているといえます。
罰則は「5万円以下の罰金」です。
~ 交通事故を起こすと刑法の罪 ~
自転車のながら運転に対する罰則自体は軽いですが、ながら運転によって交通事故を起こした場合は刑法の
・過失傷害罪(刑法209条)
・過失致死罪(刑法210条)
・重過失致死傷罪(刑法211条後段)
を適用される可能性があります。
刑法209条1項
過失により人を傷害した者は,30万円以下の罰金又は科料に処する。
刑法210条
過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
刑法211条
業務上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた場合も、同様とする。
特に、自転車のながら運転による交通事故によって被害者に重度の後遺症が残る傷害を負わせたり、死亡させた場合は取り返しのつかないことになります。
自転車のながら運転は絶対にやめましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、交通事故をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
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【交通違反】ながら運転②-2~カーナビ編
【交通違反】ながら運転②-2~カーナビ編
ながら運転ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
前々回の「ながら運転①~スマフォ編」では、ながら運転やながら運転の罰則、運転中のスマフォ使用がながら運転に当たることなどを、前回の「ながら運転②-1~ハンズフリー編」では、運転中のハンズフリー運転について、道路交通法違反に当たり得ることもあることなどをご説明しました。今回は、運転中にカーナビげーションを操作した場合にながら運転に当たるのか検討してみたいと思います。
(フィクションです。)
~ ながら運転に関する規定 ~
まず、検討する前に、前回同様、ながら運転に関する道路交通法上の規定を確認することとします。
はじめに、道路交通法71条は「運転者の遵守事項」を規定しており、ながら運転についてはその5号の5に規定されています。
道路交通法71条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
1~5の4 (略)
5号の5
自動車又は原動機付自転車(自動車等)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。118条第3の2において「無線通話装置」という。)を通話(略)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(略)に表示された画像を注視しないこと。
6 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めた事項
つまり、
ア、携帯電話装置等を通話のために使用すること
イ、画像表示用装置に表示された画像を注視すること
が禁止されています。
そして、
カーナビゲーションの画面
は「画像表示用装置」に当たることから、運転中にカーナビを操作して検挙されるとすれば、イの「画像の注視」で検挙されることになります。
~ 画像注視の罰則 ~
では、画像注視の罰則から確認しましょう。
罰則は2種類あります。
①道路交通法117条の4 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
1 (略)
1の2 第71条(運転者の遵守事項)第5号の5の規定に違反し、よつて道路における交通の危険を生じさせた者
2 (略)
②道路交通法118条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
1~3 (略)
3の2 第71条(運転者の遵守事項)第5号の5の規定に違反して無線通話装置を通話のために使用し、又は自動車若しくは原動機付自転車に持ち込まれ た画像表示用装置を手で保持してこれに表示された画像を注視した者(第百十七条の四第一号の二に該当する者を除く。)
4~8 (略)
①と②の大きな違いは、①は「道路における交通の危険を生じさせた」という条件が必要なのにたいして、②は必要とされていないことです。
そして、①の規定からすると、①違反となるのは
画像の注視+道路における交通の危険を生じさせた
という条件が必要であることがわかります。
「注視」とは「ながら運転①」でもご説明したとおり、画像を見続けることをいい時間的基準はありません。
「道路における交通の危険を生じさせた」か否かは、運転状況、交通状況などに鑑みて判断されるでしょう。
次に、②についてですが、②については「画像表示用装置」はあくまで「手で保持して」とされています。
つまり、
画像表示用装置を手で保持しておらず、かつ、道路における交通の危険を生じさせなかった場合
は①違反も②違反にも問われないことになります(この点につき、ネットやマスコミのニュースなどではカーナビの画像を注視しただけで違反となる、との誤った情報が流れていますから注意が必要です)。
なお、最近ではスマートフォンをカーナビゲーション代わりに使用されている方もおられると思います。
この場合も、
スマートフォンを手で保持しておらず、かつ、道路における交通の危険を生じさせなかった場合
は①違反にも②違反にも問われることはありません。
~ まとめ(カーナビ編) ~
以上をまとめると、カーナビの場合、通常、カーナビを手で保持することはありませんから、
道路における交通の危険を生じさせなかった場合
は違反には問われない(反対に、道路における交通の危険を生じさせた場合は違反に問われる)
ことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、交通違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
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【交通違反】ながら運転②-1~ハンズフリー編
【交通違反】ながら運転②-1~ハンズフリー編
ながら運転ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
前回の「ながら運転①」では、ながら運転やながら運転の罰則、運転中のスマフォ使用がながら運転に当たることなどをご説明しました。ただ、運転中の行為はこれだけに限るものではありません。①運転中にハンズフリーの通話装置で電話をする、②運転中にカーナビげーションを操作するなど様々なケースが想定できます。そこで、今回は、多くの方が関心をお持ちであろうこの①、②の行為がながら運転に当たるのか検討してみたいと思います。
(フィクションです。)
~ ながら運転に関する規定 ~
まず、検討する前に、前回同様、ながら運転に関する道路交通法上の規定を確認することとします。
はじめに、道路交通法71条は「運転者の遵守事項」を規定しており、ながら運転についてはその5号の5に規定されています。
道路交通法71条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
1~5の4 (略)
5号の5
自動車又は原動機付自転車(自動車等)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。118条第3の2において「無線通話装置」という。)を通話(略)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(略)に表示された画像を注視しないこと。
6 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めた事項
つまり、
ア、携帯電話装置等を通話のために使用すること
イ、画像表示用装置に表示された画像を注視すること
が禁止されています。
携帯電話用装置とは主に「ガラケー」のこと、無線通話装置とは「スマートフォン」のことと考えられたらよろしいかと思います。
また、画像表示用装置とは主に「ガラケー、スマートフォン、タブレット、カーナビゲーションの画面」のことと考えられたらよろしいかと思います。
~ ①についての検討(結論その1:道路交通法71条5号の5違反には当たらない) ~
では、ハンズフリー通話装置についてはどうでしょうか?
この点、道路交通法71条5号の5では「その他の無線通話装置」のことを、
「その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。」
としています。
したがって、ハンズフリー装置は「その他の無線通話装置」には当たらず、運転中に通話のために使用したとしても道路交通法71条5号の5違反に問われる可能性はありません。
~ ①についての検討(結論その2:道路交通法71条6号違反に当たる可能性がある)
しかし、道路交通法71条6号では、運転者は
「前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めた事項」
を遵守しなければならないとされています。
そして、この規定を受けて、各都道府県の公安委員会は「●●(都道府県の名称が入る)道路交通法施行規則」を設けています。福岡県では「福岡県道路交通法施行規則」が設けています。
そして、その14条8号に次の規定が設けられています。
福岡県道路交通法施行規則
14条 法第71条第6号に規定する車両等の運転者が守らなければならない事項は、次に掲げるものとする。 ※法=道路交通法
8号 大きな音量で、カーラジオ等を聞き、又はイヤホン等を使用して音楽を聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両を運転しないこと。ただし、公共目的を遂行する者が当該目的のための指令等を受信する場合は、この限りでない。
これからすると、ハンズフリーのイヤホンの音の状況によっては道路交通法71条6号違反に問われる可能性がなくはありません。
ちなみに、罰則は5万円以下の罰金です(道路交通法120条1項9号)。
もっとも、捜査機関が同号違反を立証することは極めて難しいと思われます。
したがって、実際問題としてハンズフリーの通話で検挙され処罰されるケースは少ない、と思われます(強引に青切符を切れられる場合は考えられますが、納得がいかない場合は安易に書類にサインしてはいけません)。
しかし、ハンズフリー通話中の運転は、通常の運転に比べて注意力が散漫となると思われます。
そして注意力が散漫となった結果、交通事故を起こせば過失運転致死傷罪(7年以下の懲役又は禁錮若しくは100万円以下の罰金)などの罪に問われるおそれもあります。
運転には十分注意する必要があります。
次回は②-2について検討します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、交通違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。