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【覚せい剤】覚せい剤の逮捕のきっかけ
覚せい剤の逮捕のきっかけ
覚せい剤について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県大川市に住むAさん(56歳)は、仕事や職場での人間関係からストレスが溜まっていました。そこで、Aさんは覚せい剤を使ってストレスを発散しようと思い、ネットを通じて売人を見つけ、売人から覚せい剤を入手して覚せい剤の使用を繰り返していました。そうしたところ、Aさんの言動が徐々におかしくなり、職場の上司から福岡県筑後警察署へ通報されたことをきっかけにAさんは覚せい剤取締法違反(使用罪)で逮捕されました。Aさんの家族が、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 覚せい剤は違法! ~
最近は、元有名芸能人が覚せい剤で逮捕されたり、福岡県では、大川市の中学校で勤務する現役の教諭が覚せい剤で逮捕されるなど、覚せい剤に関連するニュースが相次いでいます。
覚せい剤や麻薬等は、それを乱用する人間の精神や身体をボロボロにし、人間としての生活を営むことをできなくするだけでなく、場合によっては死亡することもあります。
また、薬物の乱用による幻覚・妄想が、殺人、放火等の凶悪な犯罪や交通事故を引き起こします。また、覚せい剤は暴力団組織などの犯罪組織の活動資金のネタとしても使われており、その活動資金を基に新たな犯罪、新たな被害者を生み出しかねません。
このように、覚せい剤は、乱用者本人のみならず、周囲の人、さらには社会全体に対しても、取り返しのつかない被害を及ぼしかねないものです。
こうしたことから、覚せい剤、麻薬等の使用、所持等は法律により厳しく禁止されています。
~ 覚せい剤取締法の法定刑 ~
覚せい剤取締法で規定されている法定刑は以下のとおりです。
【覚せい剤の場合】
□輸入・輸出・製造
・単純(営利目的以外)→1年以上の有期懲役
・営利目的 →無期若しくは3年以上の懲役または情状により1000万円以下の罰金併科
□所持・譲渡・譲受
・単純(営利目的以外)→10年以下の懲役
・営利目的 →1年以上の有期懲役又は情状により500万円以下の罰金併科
□施用・使用
・単純(営利目的以外)→10年以下の懲役
・営利目的 →1年以上の有期懲役又は情状により500万年以下の罰金併科
【覚せい剤原料】
□輸入・輸出・製造
単純(営利目的以外)→10年以下の有期懲役
営利目的 →1年以上の有期懲役又は情状により500万年以下の罰金併科
□所持・譲渡・譲受
単純(営利目的以外)→7年以下の懲役
営利目的 →10年以下の懲役又は情状により300万円以下の罰金併科
□施用・使用
単純(営利目的以外)→7年以下の懲役
営利目的 →10年以下の懲役又は情状により300万円以下の罰金併科
~ 覚せい剤の逮捕のきっかけとは ~
覚せい剤の所持等が発覚すれば、逮捕される可能性は高いと思われます。
覚せい剤が発覚するきっかけには、様々なものがあります。
中でも最も多いのは、警察官による街頭や検挙件数の多い地域での、職務質問・所持品検査です。
覚せい剤を使用している疑惑のある人は、痩せていたり、顔色が悪かったり、やけにキョロキョロして落ち着きがなく挙動不審なところがあります。
仮に、外見上、明らかにこれらの症状が分からなくても、警察官は経験上、何となく覚せい剤に関与している疑いがある者であることを嗅ぎつける能力を有しています。
先にご紹介した大川市の教諭は職務質問がきっかけで逮捕されました。
他にも、売人や覚せい剤仲間が逮捕されたこと、匿名の捜査機関への通報などから逮捕に繋がるケース、家族が医療機関や捜査機関に通報して逮捕につながるケースもあります。
いつ、どこから、どんなルートで発覚するか分かりません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
【横領】業務横領罪と被害弁償
【横領】業務横領罪と被害弁償
業務上横領罪と被害弁償について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
V社の財務経理主任であるAさんは、V社の口座から50万円を横領したことが会社に発覚し、会社から、「全額一括で弁償しなければ警察に業務上横領罪で告訴状を提出する」と言われています。このままでは逮捕されるかもしれないと不安になったAさんは、被害弁償のため刑事専門の弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~ 業務上横領罪 ~
業務上横領罪は刑法253条に規定されています。
刑法253条
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
単なる横領罪(単純横領罪と呼ばれることもあります)は刑法252条に規定されています。
刑法252条
自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
まず、「横領」とは、一般的に不法領得の意思を実現する一切の行為をいいます。他人から預かっていたものついて勝手に処分することです。
上の事案でいえば、AさんはV社の財務経理課主任という立場で、V社のお金の管理を任されています。このようなお金を勝手に処分することは、もちろん会社から許可されているはずはなく「横領」に当たるでしょう。
次に、「業務」とは、社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行われる事務をいいます。
Aさんは、V社の財務経理課主任という立場にありますので、V社のお金を反復・継続して管理していたと考えられます。
これに対し、同じお金の管理でも、その管理が1回限り、という場合は単なる横領罪となる可能性があります。
ただ、その場合でも、将来、反復・継続する意思があると認められる場合は、やはり業務上横領罪に問われる可能性があります。
以上から、Aさんは、業務上、V社のお金・口座を預かっていたものと言えるでしょう。
~ 横領罪と被害弁償 ~
業務上横領罪のような財産犯の場合、会社に告訴状に提出をやめてもらうには、なによりもまず会社に被害弁償することが先決です。
会社が警察に告訴状を提出しなければ、その結果、あなたが逮捕されること、刑事処罰を受けることは避けられるでしょう。
また、被害弁償するだけでは足りません。
つまり、被害弁償に加えて会社側と示談交渉して示談を成立させる必要があります。
この示談交渉の中で被害弁償金の具体的金額についても詰めていきます。
また、示談交渉ではその他の条件についても決めてまいります。その条件の中には、あなたにとって不利な条件も含まれています。しかし、同時に、示談交渉は適切な被害金額を確定させ、将来、それ以上会社から請求を受けることがない、というあなたにとって安心できる条件も含まれています。
この意味でも示談を成立させる意義は大きいといえます。
こうした交渉事は弁護士にお任せください。
弁護士であれば、示談交渉の経験、知識から、円滑に会社側と交渉することができ、適切な内容、形式に示談を成立させることが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、業務上横領罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
【無免許運転】無免許運転の量刑
【無免許運転】無免許運転の量刑
無免許運転の刑事弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
配達の仕事をしているAさんは3か月前に自家用車を飲酒運転し(道路交通法違反)て検挙され、略式起訴されて罰金30万円の略式命令を受けて前科が付き、さらに免許取消しの行政処分を受けていました。しかし、Aさんは会社をクビになりたくたいと思って、そのことを会社には報告せずに無免許のまま会社の車を運転していました。そして、Aさんはいつものように、会社の車を運転して配達業に就いていたところ、赤色信号無視違反で福岡県飯塚警察署の警察官が運転するパトカーに呼び止められました。Aさんは警察官から免許証の提示を求められましたが、無免許だったため提示することができず無免許運転が発覚し、道路交通法違反の被疑者として逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの妻は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 無免許運転 ~
無免許運転については道路交通法64条1項に規定されています。
道路交通法64条1項
何人も、84条1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(略)、自動車又は原動機付自転車(以下、自動車等)を運転してはならない。
なお、無免許運転を分類すると以下のように区分することができます。
純 無 免:いかなる運転免許も受けないで自動車等を運転
取消無免:運転免許が取り消された後に自動車等を運転
停止中無免:運転免許の効力が停止されている間に自動車等を運転
免許外無免:特定の種類の自動車等を運転することができる運転免許を受けているが、その運転免許で運転することができる種類の自動車以外の種類の自動車等を運転すること
失効無免:免許を受けた者が、その運転免許証の有効期間の更新をしないため失効しているのに自動車等を運転
以上はいずれも無免許運転です。
無免許運転となった以上、それまでの経緯に関係なく、自動車等を運転してはいけません。
無免許運転の罰則は
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
です(法117条の2の2第1号)。
また、無免許運転中に交通事故(人身事故)を起こした場合は、道路交通法とは別の自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律といいます)が適用されるおそれがあります。
法律6条では、無免許運転による刑の加重規定が設けられています。
無免許運転+危険運転(人を負傷させた場合に限る)→6月以上の懲役
無免許運転+準危険運転→人を負傷させた場合、15年以下の懲役 人を死亡させた場合、6月以上の懲役
無免許運転+アルコール発覚免脱→15年以下の懲役
無免許運転+過失運転致死傷→10年以下の懲役
罰則は単なる無免許運転より格段に重たくなっていることがわかります。
~ Aさんの量刑は? ~
Aさんは、3か月前に飲酒運転(道路交通法違反)で検挙され、罰金30万円の前科を有しています。
そして、また今回、同じ道路交通法違反で検挙されています。
こうしたことから、Aさんは、今回は略式起訴ではなく正式起訴されるおそれが高いでしょう。
正式起訴されると、正式裁判を受けなければなりません。
正式裁判では、懲役刑を言い渡されるおそれが高いです。
懲役刑は6月から1年が相場といえます。
はじめての正式起訴の場合は、実刑に処せられることは少ないと思われます。つまり、執行猶予が付くことが多いかと思われます。
しかし、執行猶予期間中に交通違反を起こすと、ほぼ間違いなく実刑に処せられます。
注意しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
傷害罪~逮捕後の流れと釈放
傷害罪~逮捕後の流れと釈放
傷害罪での逮捕後の流れと釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県久留米市に住むAさんは、久留米市内の居酒屋で学生時代の友人と酒を飲みました。その際、Aさんはついつい飲みすぎてしまい、同じ店で酒を飲んでいたVさんと些細な理由で口論になりました。怒りが収まらなかったAさんは、いきなりVさんの顔面を右拳で1回殴り、さらにもう1回Vさんを殴ろうとしたところで近くにいた友人に慌てて制止されました。Aさんはなお興奮が収まらず、居酒屋の店員の通報で駆けつけた久留米警察署の警察官により、暴行罪で逮捕されました。そして、後日、Vさんから久留米警察署に「加療約1週間を要する傷害」との診断書が提出されたことから、Aさんに対する容疑は暴行罪から傷害罪に切り替えられました。Aさんと接見した弁護士は、Aさんの早期釈放を目指すことにしました。
(フィクションです。)
~ 傷害罪 ~
傷害罪は刑法204条に規定されています。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
「傷害」の意義については諸説ありますが、判例、裁判例は、人の生理機能に障害を与えること、又は人の健康状態を不良に変更することとする生理機能障害説に立っているものと思われます。
・打撲
・骨折
・創傷
「傷害」に当たることは明らかですが、中毒症状を惹起し、
・めまい
・嘔吐
・病菌の感染
なども「傷害」に当たるとされています。
次に、規定上は単に「人の身体を傷害した」と行為の結果しか書かれていませんが、その前提として、
1 暴行の故意+暴行行為
2 傷害の故意+傷害行為
が必要とされています。
「暴行」とは人の身体に対する不法な有形力の行使をいい
・殴る
・蹴る
・突く
・押す
・投げ飛ばす
などがその典型といえるでしょう。
「暴行の故意」とは、要は、怪我させるつもりはなかったという場合です。この、暴行の故意で暴行行為を働き、結果、傷害を発生させた場合でも傷害罪に問われます。
他方、「傷害の故意」とは、傷害させるつもりだったという場合です。傷害の故意で傷害行為を働き、結果、傷害を発生させた場合は傷害罪に、傷害を発生させなかった場合は暴行罪(刑法208条)に問われます。
最後に、暴行行為、又は傷害行為と傷害との間に因果関係があることが必要です。この因果関係の考え方についても諸説ありますが、基本的には「その行為がなかったならばその結果は発生しなかった」という関係が認められれば因果関係を認められるとされています。よって、暴行、傷害を加え怪我を負わせたとしても、その暴行、傷害と怪我との間に因果関係が認められない場合は傷害罪ではなく暴行罪が成立します。
~ 逮捕後の流れと釈放について ~
逮捕後の流れを大まかに見ると以下のようになります。
①逮捕(この間、釈放あり)→②勾留(この間、釈放あり)→③ア正式起訴→正式裁判→判決(有罪OR無罪)【例:懲役〇〇年 〇間執行猶予】→釈放(無罪、執行猶予付き判決時)
イ略式起訴→略式裁判→略式命令【例:罰金〇〇円】→釈放
ウ不起訴→釈放
まず、①から②(勾留決定まで)の間は、通常、2日から3日を要します。
この間に、釈放されることもあります。
弁護士としては、捜査機関や裁判所に早期釈放に向けて働きかけを行います。
②勾留が決定すると、当初の身柄拘束期間は「10日間」です。この期間については裁判官の裁量がなく、勾留決定を出すと自動的に身柄拘束期間は「10日間」と決まります。
しかし、この間、釈放されることもあります。
弁護士としては、勾留の裁判が間違っていますという「勾留の裁判に対する準抗告」、勾留の理由、必要性がなくなりましたという「勾留取消し請求」を駆使して早期釈放に努めます。
③に至ると、起訴か不起訴かの刑事処分が決められます。
起訴には正式裁判と略式裁判の2通りがあります。
初犯で被害者の怪我の程度が軽い場合は略式起訴されることが多いかと思います。
正式起訴後は「保釈請求」によって釈放を求めることができます。仮に、保釈が許可されず、身柄拘束が継続した場合でも、裁判で無罪か執行猶予付き判決を受けるとその時点で釈放です。
略式起訴された場合は略式命令が出た段階で釈放です。
不起訴処分が決定した場合は、まずは処分保留のまま釈放され、その後不起訴処分とされることが多いでしょう。
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【刑事事件】飲食代金に偽札使って通貨偽造~福岡市南区
【刑事事件】飲食代金に偽札使って通貨偽造~福岡市南区
通貨偽造罪、偽造通貨行使罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市南区内に住むAさんは、会社を首になりお金に困っていました。
そこで、Aさんは偽札を作って、お金に代えようと考えました。
Aさんは、自宅にあったプリンターを使って、複写用紙に金額千円の本物の日本銀行券の表面及び裏面を複写し、これを裁断するなどして本物そっくりの千円札を複数枚作りました。
そして、ある日、Aさんは飲食店で昼食した際、会計時に店員に偽千円札を渡し、おつりを受け取りました。
そうしたところ、Aさんは、福岡県南警察署の警察官に通貨偽造罪及び偽造通貨行使罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~ 通貨偽造罪 ~
通貨偽造罪は刑法148条1項に規定されています。
刑法148条1項
行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
「行使」とは、偽造・変造した通貨を真正な通貨として流通に置くことをいいます。
つまり、通貨偽造罪が成立するには、偽造した通貨を真正な通貨として流通に置く目的で通貨を偽造することが必要、ということになります。
Aさんは、偽札を飲食代金の支払いのための使っていますから、Aさんが何と言おうが「行使の目的」ありと認められる可能性は高いといえます。
「通用する」とは、強制通用力を有していることを意味します(※通用する通貨か否かは日本銀行のホームページなどで確認することができます)。
貨幣、紙幣、銀行券を総称して「通貨」といいます。
「貨幣」とは政府が発行する硬貨、「紙幣」とは政府が発行する貨幣代用証券(現在は流通してない)、「銀行券」とは日本銀行が発行する貨幣代用証券、すなわち日本銀行券を意味します。千円札はもちろん銀行券です。
「偽造」とは、通貨発行権者(政府・日本銀行)でない者が、真正の通貨の外観を有するものを作ること、「変造」とは、通貨発行権者でない者が、真正な通貨に加工して、別個の、真正な通貨と紛らわしい外観を有する物を作ることをいいます。
「偽造」と「変造」の違いが分かりにくいですが、「変造」は常に真正な(本物の)通貨が材料となる点を抑えてください。簡単に言えば、本物の千円札に0を一個加えて1万円札にする行為は「偽造」ではなく「変造」となります。本件は「偽造」に当たるでしょう。
「偽造・変造」というためには、一般人が誤解する程度に似ているものである必要があります。そのため、一見して偽物とわかる偽札を作った程度では「偽造・変造」には当たらず「模造」となり、通貨及証券模造取締法で処罰されることとなります。
偽造・変造した通貨を行使した場合は、通貨偽造行使罪に問われます。
同罪は刑法148条2項に規定されています。
刑法148条2項
偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人の交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
~ 偽造罪と行使罪の関係 ~
では、偽造罪と行使罪の関係はどうなるのでしょうか?
この点、本件のような事案では、行使の「目的」のために偽造(「手段」)した、という関係が認められます。
このようにある罪とある罪とが「目的」、「手段」にある関係を「牽連犯」といいます。
もっと身近な例でいれば、住居侵入罪と窃盗罪の関係です。
これも、窃盗が目的、住居侵入が手段ですから、牽連犯といえます。
牽連犯は、本来は複数の罪であるにもかかわらず、処断上は「一罪」として扱われます。
そして、罪の重さが異なる場合は、重い刑を基準に刑が科されます。
偽造罪と行使罪は法定刑が同じですから、Aさんは「無期又は3年以上の懲役」の範囲内で刑を科されます。
住居侵入罪と窃盗罪は、窃盗罪の方が重く、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の範囲内で刑を科されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。お子様が刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
企業管理者必見~パワハラ指針まとまる
企業管理者必見~パワハラ指針まとまる
パワハラについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県太宰府市の会社経営者であるAさんは、社員のVさんが仕事でミスをすると、「クビにするぞ、土下座してみんなに謝れ」「土下座しなければ減給するぞ」などといって無理矢理土下座させたりしていました。すると、VさんがAさんに謝罪と損害賠償を求め、これに応じなければ、福岡県筑紫野警察署へ行って強要罪での告訴も辞さないと言ってきました。Aさんは、強要罪の容疑で逮捕されるかもしれないと不安を覚えたことから、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(この事案はフィクションです)
~ パワハラ指針まとまる ~
昨年、11月20日、労働政策審議会(厚生労働省の諮問機関)の分科会が、職場での「パワーハラスメント」の防止に向け、企業に求める具体的な対策を盛り込んだ指針をまとめました。
指針によると、
【パワハラに該当する例】
・「必要以上に長時間、叱責(しっせき)を繰り返す」
・「新人に高い目標を課し、達成できないと厳しく叱る」
【パワハラに該当しない例】
・「ルールを欠いた言動を強く注意する」
・「育成のために少し高いレベルの業務を任せる」
などの一例を示しています。
もっとも、これらはあくまで「一例」で、実際にはどこからがパワハラでどこからがパワハラではないか線引きすることが難しい場合も出てくると思われます。
そこで、厚生労働省は「提示した例がすべてではなく、パワハラかどうかはすべての要素を総合的に勘案して決める」としています。
指針ではパワハラの一例のほか、就業規則でパワハラ防止の方針を示すことや、加害者の懲戒規定を設けること、相談窓口の設置などを盛り込んでいます。
今後についてですが、来年6月に、企業にパワハラ防止を義務付ける改正労働施策総合推進法が施行されます。
厚生労働省は、それまでにパンフレットを作成するなどして指針を周知していくとのことです。
~ 本件事例について ~
土下座をさせることは理由はどうであれ、パワハラに当たる可能性が高いでしょう。
また、パワハラによって、被害者に財産的損害(うつ病などで通院し治療費がかかった、働けなくなり給料が減った)、精神的損害を与えた場合は民事上の損害賠償責任を可能性もあります。
また、この責任を負うのはパワハラを行った個人だけではありません。
その使用者(会社)も使用者責任として、損害賠償責任を負わなければならない場合があります。
また、刑事上の責任としては強要罪で規定されてある刑罰を受けなければならない可能性もあります。
強要罪は刑法223条に規定されています。
刑法223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対して害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
【性犯罪】主たる性犯罪と未遂規定
【性犯罪】主たる性犯罪と未遂規定
性犯罪と未遂について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市西区の会社員Aさん(30歳)は、福岡市市の居酒屋でお酒を飲んだ後歩いて自宅へ帰る途中、性的欲求を満たすため、前を歩いていたで女性Vさん(25歳)と性行しようと考えました。そこで、AさんはVさんを尾行し、Vさんが人気のない公園に入ったところでVさんに「すみません。ここら辺の地理に疎いもので、今宿駅までの行き方を教えてくれませんか?」と言って声をかけVさんに近づきました。そして、Aさんは、Vさんがスマートフォンを出してアプリの地図を使って案内している隙に、「ちょっとこい、言うことを聞け」などと言いながらVさんの腕を両手でつかんでさらに人気の少ない場所へと連れて行きました。ところが、AさんはVさんの腕を離した隙にVさんに逃げられたことから性行を行うことはできませんでした。Aさんは、後日、福岡県西警察署に強制性交等未遂罪で逮捕されました。Aさんの家族から依頼を受けた弁護士が、Aさんと接見をしました。
(フィクションです。)
~ 主たる性犯罪と未遂規定 ~
未遂と聞くと、罪に問われないなどと軽く考えられる方も中にはおられるのではないでしょうか?
しかし、犯罪の「未遂」も立派な犯罪です。
ある犯罪の未遂犯として処罰されるには、その犯罪について未遂を処罰する旨の規定が設けられている必要があります。
刑法は、既遂犯を処罰するのを原則としており、その前の段階である未遂を処罰するのはあくまで例外としているためです。
刑法44条
未遂を罰する場合は、各本状で定める。
たとえば、今回、Aさんに疑いがかかっている強制性交等罪についてみていきます。
強制性交等罪は刑法177条に規定されています。
(強制性交等)
刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
そして、刑法180条に
(未遂)
刑法180条
第176条から前条までの罪の未遂は、罰する。
という規定が設けられています。
この規定によって、強制性交等罪の未遂も処罰されるというわけです。
ちなみに、強制わいせつ罪は刑法176条に規定されており、やはり、刑法180条によってその未遂罪も処罰されます。
(強制わいせつ)
刑法176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
~ どこからが未遂、どこからが既遂? ~
では、どこからが未遂で、どこからが既遂でしょうか?
この点、未遂に関する刑法43条では次のように規定されています。
刑法43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
つまり、犯罪の「実行に着手(実行の着手)」してからが未遂ということになります。
犯罪の実行に着手したかどうかは、犯罪実現の現実的具体的危険性が認められるかどうか、という観点から決められます。
強制性交等罪の場合、「暴行・脅迫」が加えられた時点で、一応、「実行の着手」ありとされます。
本件では、AさんがVさんの腕を両手で引っ張る行為が「暴行」に当たるでしょう。
しかし、外形的には単なる暴行罪(刑法208条)の「暴行」か強制性交等罪の「暴行」か分かりません。
そこで、もっとより具体的に、犯罪実現の現実的具体的危険性が認められるかどうか、という観点から「実行の着手」の有無を決めるのです。
そして、犯罪実現の現実的具体的危険性の有無は、行為者の主観(犯意)のほか、客観的事情(犯行現場の状況など)を総合考慮して決められます。
たとえば、仮に、AさんがVさんに「やらせろ。」などと言っていた場合は、AさんがVさんの腕を両手で引っ張る行為は、強制性行等罪の犯意がより具現化しているものといえ、強制性交等罪の実行の着手ありと認定され得る材料となるでしょう。
このように、どこからが未遂か既遂かの判断は難しいですから、お困りの方は弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
【詐欺】他人のクレジットカードを使用して電子計算機使用詐欺~大分県別府市
【詐欺】他人のクレジットカードを使用して電子計算機使用詐欺~大分県別府市
電子計算機使用詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
大分県別府市に住むAさんは、とあるショッピングサイトで、知人から受け取った他人(Vさん)名義のクレジットカードを使って商品を購入する手続きをし、洋服や食料品などを購入しました。ところが、Aさん大分県別府警察署に電子計算機使用詐欺罪で逮捕されました。Vさんがクレジットカードの請求内容の異変に気付き、ショッピングサイトの運営会社に連絡。同社が日本サイバー対策センターを通じて大分県別府警察署に情報提供をしていたところ、Aさんの犯行が発覚したようです。Aさんの逮捕の通知を受けたAさんの家族はAさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(事実を基にしたフィクションです。)
~ 電子計算機使用罪とは ~
電子計算機使用詐欺罪は刑法246条の2に規定されています。
刑法246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。
詐欺というと、通常、刑法246条の詐欺罪を思い浮かべます。
刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
しかし、この詐欺罪は
「人」を欺いた場合
に適用される犯罪ですが、欺く対象が
人以外(コンピューターなどの電子機器など)
の場合は詐欺罪を適用することができません。そこで、そのようなこの不都合を解消するために作られたのが電子計算機使用詐欺罪というわけです。つまり、電子計算機使用詐欺罪は詐欺罪の補充規定ということになります。罰則は、通常の詐欺罪と同様
10年以下の懲役
です。
ここでポイントなのが何をもって「虚偽の情報を与えた」ということができるか、という点です。
この点、クレジット決済の事務処理においては「クレジットカード名義人(Vさん)=商品の購入申込者」という同一性が要求されています。でなければクレジット決済業者は適切に決済することができないからです。
したがって、他人(Aさん)がクレジットカード名義人になりすましてカード情報を入力したことは、クレジットカード名義人が商品を購入を申し込んだという真実に反する情報を入力したものですから「虚偽の情報を与えた」と評価することが可能です。
なお、「不実の電磁的記録」とは、客観的に真実に反する電子情報です。
Aさんが「虚偽の情報を与えた」ことによって、商品の購入申込者の同一性を偽った虚偽の情報に基づき、クレジットカード名義人が商品を購入したという「不実の電磁的記録」を作成したことになるのです。
電子計算機使用詐欺罪で逮捕された場合、逮捕期間とこれに続く勾留期間と併せて最大23日間の身体拘束を受けることがあります。
この場合、刑事事件に強い弁護士が初回接見することにより、法的観点から整理された事件の概要を知ることができ,今後の処分の見通しを立てることにも繋がります。
そのため、電子計算機使用詐欺罪で逮捕されたという場合には、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。ご家族が刑事事件で逮捕され、お困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談、初回接見のご予約を承っております。
【強盗】モデルガンを突き付けて強盗?~福岡市城南区
【強盗】モデルガンを突き付けて強盗?~福岡市城南区
モデルガンの突き付けと強盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市城南区に住むAさんは、同区内のコンビニエンスストアにおいて、レジを担当していた店員Vさんに対してモデルガンを突き付けて「金を出せ」と言って現金10万円を奪った疑いで、福岡県早良警察署の警察官により強盗罪で緊急逮捕されました。「Aさんと似た人物がいる」とのVさんの通報により駆け付けた早良警察署の警察官が現場に駆け付けたところ、日頃から把握していたAさんの特徴と似た人物がいたため職務質問を始めたところ、Aさんが犯行を認めたことから逮捕に至ったようです。Aさんの逮捕を知った家族は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(事実を基にしたフィションです。)
~ 強盗罪 ~
上記事例は、今年9月、男性が、東京都杉並区内のコンビニエンスストアで、コンビニで店員に対しモデルガンを突き付けて脅し現金9万8000円を奪った疑いで警視庁捜査1課は強盗罪で逮捕された、という報道を基に作成しました。男性は、アニメの「ルパン三世」が好きと話しているとのことで、逮捕時には、主人公が使う「ワルサーP38」というモデルガンを所持していたとのことです。
では、この強盗罪とはどんな罪なのでしょうか?
強盗罪は刑法236条に規定されています。
刑法236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、前項と同様とする。
一般に、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使、「脅迫」とは人に畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいますが、強盗罪の「暴行」「脅迫」の程度は、
相手方の反抗を抑圧する程度
に強いものでなければならないとされています。
AさんはVさんに対してモデルガンを突き付けて「金を出せ」と言っています。
このような行為は、「金を出さなければ撃って殺すぞ」ということを暗示的に示す態度であると考えられます。
しかし、AさんがVさんに突き付けたのは「本物銃」ではなく、「偽物」の銃であるモデルガンです。
モデルガンは、客観的には、人を殺傷しうる程度の効力を有するものではありません。
そこで、Aさんのかかる行為が強盗罪の「脅迫」に当たるかどうかが問題となります。
この点、裁判所は、相手方の反抗を抑圧する程度の「脅迫」であるかどうかは、
・犯行の時刻・場所その他周囲の状況
・凶器使用の有無
・凶器の形状性質
・凶器の用い方など犯行の手段方法
・犯人、相手方の性別、年齢、体力
などを総合的に考慮し、
社会通念に従って相手方の反抗を抑圧する程度のものであるかどうか
を判断するとしています。
そうすると、一見明らかに偽物と分かるようなモデルガンは別として、巧妙に作られたモデルガンであれば、それを突き付けられた人は「本物の銃だ」と認識し、したがって「怖い」「殺される」と思うはずですから、そのようなモデルガンを人に突き付ける行為は「社会通念上、反抗を抑圧する程度のもの」ということができるでしょう。
なお、仮に、Aさんが犯行時に「ワルサーP38」を突き付けていれば強盗罪の「脅迫」に当たる可能性は高いと思われます。
最後に、強盗罪は未遂規定も設けられています(刑法243条、43条)。
未遂は犯行(罪)の「実行に着手」したものの、犯行を実現できなかった場合に成立するものです。
この点、強盗罪の「実行の着手」は「暴行、脅迫」が開始された時点です。
したがって、強盗罪の暴行、脅迫を開始したものの、物を強取できなかった場合に強盗未遂罪が成立します。
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【飲酒運転】新年会と飲酒運転~福岡県久留米市
【飲酒運転】新年会と飲酒運転~福岡県久留米市
福岡県久留米市に住む会社員のAさんは、会社の新年会に参加し、ビール中ジョッキ2杯、焼酎水割り3杯、日本酒約1合を飲みました。その後、Aさんは体がかなり火照っていることを認識し、飲酒運転がいけないことだとわかっていながら、車を運転して自宅に帰る途中、交差点の赤色信号表示に従って車を停止させたところ、お酒の影響でその場で寝てしまいました。Aさんが次に目を覚ましたのは、現場に駆け付けた福岡県久留米警察署の警察官に声をかけられたときでした。Aさんは、青色信号になってもなかなか発進しなかったため、この様子を見て飲酒運転を疑った後方の車の運転手に110番通報されたようでした。Aさんは、警察官の飲酒検査の結果、「酒酔い運転」と判断され、その場で道路交通法違反の被疑者として現行犯逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの妻がAさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)
~ 忘新年会のシーズンには飲酒運転に気を付けて ~
「酒酔い運転」とは、アルコールの影響によって正常な運転ができないおそれがある状態で運転をすることをいいます。
「酒気帯び運転」とは、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールまたは血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上のアルコールを身体に含んだ状態で運転することをいいます。
このように、酒気帯び運転は、具体的な数値基準が設けられているのに対して、酒酔い運転はそうした基準は特に設けられていません。酒気帯び運転に呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上、という基準を設けていることから、これ以下の数値であれば酒酔い運転に問われることはない、と勘違いされている方もおられます。
しかし、酒酔い運転かどうかは、お酒の量、警察官に対する受け答えの様子、歩行状況などを総合的に勘案して決められるのであって決して具体的数値を基準として決められるのではありません。
また、飲酒運転によって人身事故を起こした場合は、道路交通法違反(酒気帯び運転若しくは酒酔い運転)に加えて過失運転致傷罪が適用されるのが通常です。しかし、アルコールの影響により正常な運転ができないのに運転をして、人身事故を起こしてしまったと判断された場合は、危険運転致傷罪に問われる可能性があります。危険運転致傷罪の法定刑は、非常に厳しく「15年以下の懲役」で罰金刑の規定はありません。
これから忘新年会シーズンとなり、お酒を飲む機会が増える方も多いと思われます。
飲酒運転をしないよう、ハンドルキーパーを確保するなどして、会場までの行き方、会場からの帰宅方法には十分気を払う必要があります。
~ 飲酒運転の処分 ~
飲酒運転単独で、かつ、前科前歴がない場合(初犯の場合)は、略式起訴(→略式裁判→略式命令→罰金刑)で終わる場合が多いでしょう。
他方、過去にも飲酒運転をした前科前歴があるなど、情状が悪質な場合は正式起訴(→正式裁判→判決→懲役刑)となるおそれが高くなります。
正式起訴となれば、実刑を受け、刑務所に服役しなければならない可能性も捨てきれません。
そこで、こうした場合は、実刑回避に向けた情状弁護の準備をする必要があります。
情状弁護とは、裁判において被告人にとって有利な事情(情状)を明らかにし、量刑の軽減や執行猶予付き判決を求めるものです。
裁判で被告人に有利な事情を酌んでもらうには、被告人の方から積極的に事情を明らかにしなければなりません。
情状弁護活動は、弁護士に事件を依頼することをおすすめします。
弁護士であれば、法律の専門家として最適な対応をし、効果的な情状弁護を行うことが期待できるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、飲酒運転をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談、初回接見のご予約を承っております。
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