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【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(交通取り締まり中の警察官を両手で突き飛ばすなどの暴行を加えたケース)

2025-02-04

【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(交通取り締まり中の警察官を両手で突き飛ばすなどの暴行を加えたケース)

今回は、交通取り締まり中の警察官を両手で突き飛ばすなどの暴行を加えたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:交通取り締まり中の警察官を両手で突き飛ばすなどの暴行を加えたケース

福岡県警は、交通取り締まり中の警察官に対して両手で突き飛ばすなどの暴行を加えたとして、同県内に住むAさんを公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕しました。
Aさんは、福岡市内の歩道上で、交通取り締まりとして別の人の違反処理をしていた警察官に対して殴り飛ばすなどの暴行を加え、職務を妨害した疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,公務執行妨害罪について

〈公務執行妨害罪〉(刑法第95条第1項)

公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

刑法公務執行妨害罪は、①公務員が②職務を執行するに当たり、③暴行又は脅迫を加えた場合に成立します。
①「公務員」とは、法令により公務に従事する職員をいいます。
法令とは、法律、命令、条例を指します。
公務とは、国または地方公共団体の事務をいいます。
職員とは、法令上の根拠に基づき国または地方公共団体の機関として公務に従事する者をいます。
②「職務を執行するに当たり」とは、公務の執行の際に、という意味であり、また執行される職務については適法なものであることが要求されます。
仮に違法であっても公務であれば保護されるとなれば、それは公務員の身分や地位を保護することになり、公務執行妨害罪が公務の円滑の執行、すなわち公務を保護するとした趣旨に反すると考えられているからです。
③「暴行又は脅迫を加えた」における「暴行」とは、不法な有形力の行使を言い、「脅迫」とは、相手方を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言います。
公務執行妨害罪が公務の円滑な執行を保護している趣旨からすれば、暴行または脅迫は、公務員による職務の執行を妨害するに足りる程度のものであれば良いと考えられています。
また、「暴行」は、直接公務員の身体に向けられる必要はなく、職務執行を妨害するに足りる程度の暴行と言えれば、間接的に公務員に向けられた暴行(間接暴行)でも、公務執行妨害罪は成立します。
そして、公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫が加えられた時点で既遂となり、現実に職務執行が妨害されたことを要しません。
上記の事例では、「公務員」である警察官が交通取り締まりという「公務を執行」をしており、それに対してAさんは殴り飛ばすという「暴行」を加え公務の円滑な遂行を妨害しています。
以上より、Aさんには公務執行妨害罪が成立することが考えられます。

2,身体拘束の回避に向けた弁護活動

公務執行妨害罪で逮捕され、それに続いて勾留されてしまうと、最長で23日間、身柄拘束され、捜査機関の取調べを受けることになります。
被疑者勾留は、検察官が請求し、裁判官がその請求を認めることで勾留決定となり、被疑者は原則10日間(延長が認められればさらに10日間)身柄拘束されます。
その間、被疑者は職場に出勤することや学校に登校することなどができなくなり、10日間も無断欠勤すれば職場からの解雇や、犯罪の被疑者として捜査を受けていることが学校側に発覚すれば停学や退学など重い処分を下される可能性もあります。
しかし、身柄拘束を阻止できれば、そのような不利益を回避できるかもしれません。
前述の通り、被疑者勾留は、検察官が勾留請求して裁判官がその請求を認めることで勾留決定となります。
そこで、弁護士は、検察官と裁判官に意見書を提出することで被疑者勾留をしないようはたらきかけることができます。
被疑者勾留は、被疑者が住居不定や被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に認められるため、被疑者がそれらの要件に該当しないことを示す客観的な証拠を収集し、意見書と一緒に提出します。
意見書の提出は、検察官に対して勾留請求しないよう1回と、それでも検察官が勾留請求した場合は裁判官に勾留請求を認めないよう1回の計2回の機会があります。
もっとも、被疑者勾留が決定した後は意見書を提出することはできませんので、ご家族などが身柄拘束されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内においてご家族等が公務執行妨害罪の当事者となり警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
ご家族等が公務執行妨害罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方のもとに弁護士が面会に赴く初回接見サービス(有料)をご用意しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(職務質問を受けた際に警察官の胸を殴る暴行を加えたケース)

2025-01-20

【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(職務質問を受けた際に警察官の胸を殴る暴行を加えたケース)

今回は、職務質問を受けた際に警察官の胸を殴る暴行を加えたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:職務質問を受けた際に警察官の胸を殴る暴行を加えたケース

福岡県警は、職務質問中の警察官に殴りかかる暴行を加えたとして、会社員のAさんを公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕しました。
Aさんは、深夜にパトロール中の警察官に職務質問を受け、その際に警察官に殴りかかる暴行を加え、職務を妨害した疑いが持たれています。
暴行を受けた警察官に怪我はありませんでした。
警察の調べに対して、Aさんは「警察の態度に腹が立った」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,公務執行妨害罪について

〈公務執行妨害罪〉(刑法第95条第1項)

公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

刑法公務執行妨害罪は、①公務員が②職務を執行するに当たり、③暴行又は脅迫を加えた場合に成立します。
①「公務員」とは、法令により公務に従事する職員をいいます。
法令とは、法律、命令、条例を指します。
公務とは、国または地方公共団体の事務をいいます。
職員とは、法令上の根拠に基づき国または地方公共団体の機関として公務に従事する者をいます。
②「職務を執行するに当たり」とは、公務の執行の際に、という意味であり、また執行される職務については適法なものであることが要求されます。
仮に違法であっても公務であれば保護されるとなれば、それは公務員の身分や地位を保護することになり、公務執行妨害罪が公務の円滑の執行、すなわち公務を保護するとした趣旨に反すると考えられているからです。
③「暴行又は脅迫を加えた」における「暴行」とは、不法な有形力の行使を言い、「脅迫」とは、相手方を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言います。
公務執行妨害罪が公務の円滑な執行を保護している趣旨からすれば、暴行または脅迫は、公務員による職務の執行を妨害するに足りる程度のものであれば良いと考えられています。
また、「暴行」は、直接公務員の身体に向けられる必要はなく、職務執行を妨害するに足りる程度の暴行と言えれば、間接的に公務員に向けられた暴行(間接暴行)でも、公務執行妨害罪は成立します。
そして、公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫が加えられた時点で既遂となり、現実に職務執行が妨害されたことを要しません。
上記の事例では、「公務員」である警察官が職務質問という「公務を執行」をしており、それに対してAさんは殴りかかるという「暴行」を加え公務の円滑な遂行を妨害しています。
以上より、Aさんには公務執行妨害罪が成立することが考えられます。

2,身体拘束からの解放に向けた弁護活動

公務執行妨害罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身体拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は家族や友人など外部との接触を制限され一人きりとなる、留置施設で一挙手一投足を監視・規制される環境に身を置くことになるなど、被疑者が感じる不安やストレスは相当なものであると考えられます。
また、勾留による身体拘束中は、職場に出勤したり、学校に登校したりすることができなくなります。
仮に23日間も職場を無断で欠勤すれば、職場から解雇される可能性が極めて高く、身柄拘束前の社会生活を送ることが難しくなるでしょう。
このように、勾留による身体拘束にはさまざまな不利益が生じることが考えられるため、少しでも早く被疑者を身体拘束から解放することが重要となります。
被疑者勾留は、被疑者が住居不定の場合、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、これらの要件を否定し得る客観的な証拠を収集・主張していくことで、被疑者の早期の身柄解放を目指します。
例えば、被疑者が定職に就いている、家族と同居している、身元引受が有るなどの事情は、被疑者の逃亡のおそれを否定する方向に働くため、それを書面にして証拠化すれば、被疑者の逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となります。
以上のような弁護活動を通じて、被疑者の身体拘束からの早期解放を目指します。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内においてご家族等が公務執行妨害罪の当事者となり警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
ご家族等が公務執行妨害罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方のもとに弁護士が面会に赴く初回接見サービス(有料)をご用意しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(捜査活動中の警察官の腹や背中に暴行を加えたケース)

2024-12-15

【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(捜査活動中の警察官の腹や背中に暴行を加えたケース)

今回は、捜査活動中の警察官の腹や背中に殴る蹴るなどの暴行を加えたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:捜査活動中の警察官の腹や背中に暴行を加えたケース

福岡県警城南警察署は、捜査活動中の警察官Vの腹を蹴り背中を殴るなどの暴行を加えたとして、福岡市城南区に住むAさんが公務執行妨害の容疑で現行犯逮捕されました。
城南警察署によりますと、逮捕されたAさんは、別件で自宅を捜査されており、その際に、捜査をしていた警察官の腹を蹴り背中を殴るなどの暴行を加えた疑いが持たれています。
捜査に同行していた別の警察官がAさんをその場で逮捕しました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,公務執行妨害罪について

〈公務執行妨害罪〉(刑法第95条1項)

公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

刑法公務執行妨害罪は、①公務員が②職務を執行するに当たり、③暴行又は脅迫を加えた場合に成立します。
①「公務員」とは、法令により公務に従事する職員をいいます。
法令とは、法律、命令、条例を指します。
公務とは、国または地方公共団体の事務をいいます。
職員とは、法令上の根拠に基づき国または地方公共団体の機関として公務に従事する者をいます。
②「職務を執行するに当たり」とは、公務の執行の際に、という意味であり、また執行される職務については適法なものであることが要求されます。
仮に違法であっても公務であれば保護されるとなれば、それは公務員の身分や地位を保護することになり、公務執行妨害罪が公務の円滑の執行、すなわち公務を保護するとした趣旨に反すると考えられているからです。
③「暴行又は脅迫を加えた」における「暴行」とは、不法な有形力の行使を言い、「脅迫」とは、相手方を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言います。
公務執行妨害罪が公務の円滑な執行を保護している趣旨からすれば、暴行または脅迫は、公務員による職務の執行を妨害するに足りる程度のものであれば良いと考えられています。
また、「暴行」は、直接公務員の身体に向けられる必要はなく、職務執行を妨害するに足りる程度の暴行と言えれば、間接的に公務員に向けられた暴行(間接暴行)でも、公務執行妨害罪は成立します。
そして、公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫が加えられた時点で既遂となり、現実に職務執行が妨害されたことを要しません。
上記の事例では、「公務員」たる警察官が捜査活動という「職務を執行」するにあたり、Aさんは警察官Vさんの腹を蹴るや背中を殴るなどの「暴行」を加えているため、Aさんには公務執行妨害罪が成立することが考えられます。

2,身体拘束の回避に向けた弁護活動

公務執行妨害罪で、逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄拘束されて捜査機関による取調べを受けることになります。
身柄拘束中は、被疑者は生活を厳しく管理・規制される環境に身を置くことになり、家族や友人など外部との接触も制限されます。
また、被疑者はそのような厳しい環境に1人きりであり、捜査機関の取調べに冷静な状態で臨むことは難しい場合もあります。
そのため、勾留による身柄拘束を回避するための弁護活動を行うことが重要となります。
被疑者勾留は、検察官の請求により裁判所が決定します。
そして、被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合や、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そこで、弁護士であれば、検察官に勾留請求させないという働きかけと、裁判所に対して勾留請求を却下させるという働きかけを、それぞれ意見書を提出することで行うことができます。
例えば、上記の事例でAさんの家族や親族が、Aさんを監督し捜査機関や裁判所への出頭を確保することを約束し、それを書面化すれば、Aさんの逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となるため、それを意見書とともに提出することができます。
もっとも、勾留に対する意見書は、検察官が勾留請求して裁判所が勾留決定するまでの間に提出する必要があるところ、逮捕から勾留までは最長で72時間しかありません。
そのため、ご家族等が公務執行妨害罪で逮捕されてしまい勾留による身柄拘束を回避したい場合は、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内においてご家族が公務執行妨害罪の当事者となり警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
ご家族等が公務執行妨害罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方のもとに弁護士が面会に赴く初回接見サービス(有料)をご用意しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(近隣住民とのトラブルで駆け付けた警察官の胸ぐらを掴んだケース)

2024-09-14

【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(近隣住民とのトラブルで駆け付けた警察官の胸ぐらを掴んだケース)

今回は、近隣住人とトラブルになり、通報を受けて駆け付けた警察官の胸ぐらを掴んだという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:近隣住民とのトラブルで駆け付けた警察官の胸ぐらを掴んだケース

福岡市城南区で、通報を受けて駆け付けた警察官の胸ぐらを掴んだとして、城南区在住のAさんが公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕されました。
福岡県警察城南警察署によりますと、Aさんは、近所の住民とゴミの出し方で口論となり、その住人が警察に通報したところ、駆け付けた警察官に対して悪態をつき、胸ぐらを掴んだとのことです。
警察の調べに対し、Aさんは「カッとなってやってしまった」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,公務執行妨害罪について

〈公務執行妨害罪〉(刑法95条1項)

公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

刑法公務執行妨害罪は、①公務員が②職務を執行するに当たり、③暴行又は脅迫を加えた場合に成立します。
①「公務員」とは、法令により公務に従事する職員をいいます。
法令とは、法律、命令、条例を指します。
公務とは、国または地方公共団体の事務をいいます。
職員とは、法令上の根拠に基づき国または地方公共団体の機関として公務に従事する者をいます。
②「職務を執行するに当たり」とは、公務の執行の際に、という意味であり、また執行される職務については適法なものであることが要求されます。
仮に違法であっても公務であれば保護されるとなれば、それは公務員の身分や地位を保護することになり、公務執行妨害罪が公務の円滑の執行、すなわち公務を保護するとした趣旨に反すると考えられているからです。
職務」とは、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてであるとされています。(最高裁判決昭和53年6月29日
③「暴行又は脅迫を加えた」における「暴行」とは、不法な有形力の行使を言い、「脅迫」とは、相手方を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言います。
公務執行妨害罪が公務の円滑な執行を保護している趣旨からすれば、暴行または脅迫は、公務員による職務の執行を妨害するに足りる程度のものであれば良いと考えられています。
また、「暴行」は、直接公務員の身体に向けられる必要はなく、職務執行を妨害するに足りる程度の暴行と言えれば、間接的に公務員に向けられた暴行(間接暴行)でも、公務執行妨害罪は成立します。
過去の裁判例では、覚せい剤取締法違反の現行犯逮捕の現場において、警察官に証拠として差し押さえられた覚せい剤入り注射液入りアンプルを足で踏みつけて破壊した事案では、間接暴行により警察官の職務執行を妨害したとして、公務執行妨害罪の成立を認めています。(最高裁判決昭和34年8月27日
また、公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫が加えられた時点で既遂となり、現実に職務執行が妨害されたことを要しません。
上記の事例で考えると、警察官という「公務員」に対して胸ぐらを掴むという「暴行」を加えた時点で、公務執行妨害罪は既遂となります。

2,身体拘束回避に向けた弁護活動

公務執行妨害罪で逮捕されると、最長で72時間、捜査機関により身柄を拘束されます。
そして、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合、検察官は、担当裁判官に対して、勾留請求します。
そして、勾留請求が認められると、被疑者は勾留されることになり、原則として10日、さらに必要があると判断された場合には10日を超えない範囲で延長が認められるため、最長で20日間、身柄を拘束されることになります。
勾留の最中、被疑者は厳しく行動を規制され、また、家族や友人など外部との接触も制限される可能性があり、身体的にも精神的にも大きな負担や恐怖を抱えることになります。
そして、勾留されれば当然ながら会社に出勤することなどもできなくなるので、職を失い、収入が無くなる可能性もあります。
このように、勾留による身柄拘束にはさまざまな不利益が考えられます。
そこで、勾留による身柄拘束を回避するための弁護活動を行います。
前述したように、被疑者勾留は、被疑者が住居不定、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に、検察官が裁判官に勾留請求し、認められた場合に勾留されることになります。
そのため、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集し、検察官や裁判官に対して勾留の必要性がない旨の意見書を提出し、勾留による身柄拘束の回避を目指します。
例えば、被疑者の家族が被疑者を監督することを約束する身元引受書があれば、それは被疑者の逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となるため、それを意見書に添付して検察官に提出することができます。
もっとも、勾留に対する意見書は、被疑者が勾留される前に検察官や裁判官に提出する必要があるので、逮捕された場合には、少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内においてご家族が公務執行妨害罪の当事者となり警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
ご家族等が公務執行妨害罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方のもとの弁護士が面会に赴く初回接見サービス(有料)をご用意しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせた場合に成立する可能性のある犯罪とその弁護活動について

2024-06-01

【事例解説】職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせた場合に成立する可能性のある犯罪とその弁護活動について

今回は、職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例 :職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせたケース

職務質問をした警察官の顔を拳で殴り怪我を負わせたとして、福岡県警察春日警察署は、公務執行妨害傷害の容疑で春日市在住の会社員Aさんを現行犯逮捕しました。
警察の調べに対し、Aさんは、逮捕当時酒に酔っていたため「覚えていません。」などと容疑を否認しているとのことです。
(事例はフィクションです。)

公務執行妨害罪傷害罪は、どちらも刑法に定められています。

1,公務執行妨害罪について

〈公務執行妨害罪〉(刑法95条1項)

公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪は、①公務員が②職務を執行するに当たり、③暴行又は脅迫を加えた場合に成立します。
①「公務員」とは、法令により公務に従事する職員を言います。
法令とは、法律、命令、条例を指します。
公務とは、国または地方公共団体の事務を言います。
職員とは、法令上の根拠に基づき国または地方公共団体の機関として公務に従事する者をいます。
②「職務を執行するに当たり」とは、公務の執行の際に、という意味であり、また執行される職務については適法なものであることが要求されます。
仮に違法であっても公務であれば保護されるとなれば、それは公務員の身分や地位を保護することになり、公務執行妨害罪が公務の円滑の執行、すなわち公務を保護するとした趣旨に反すると考えられているからです。
「職務」とは、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてであるとされています。(最高裁判決昭和53年6月29日
③「暴行又は脅迫を加えた」における「暴行」とは、不法な有形力の行使を言い、「脅迫」とは、相手方を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言います。
公務執行妨害罪が公務の円滑な執行を保護している趣旨からすれば、暴行または脅迫は、公務員による職務の執行を妨害するに足りる程度のものであれば良いと考えられています。
また、「暴行」は、直接公務員の身体に向けられる必要はなく、職務執行を妨害するに足りる程度の暴行と言えれば、間接的に公務員に向けられた暴行(間接暴行)でも、公務執行妨害罪は成立します。
過去の裁判例では、覚せい剤取締法違反の現行犯逮捕の現場において、警察官に証拠として差し押さえられた覚せい剤入り注射液入りアンプルを足で踏みつけて破壊した事案では、間接暴行により警察官の職務執行を妨害したとして、公務執行妨害罪の成立を認めています。(最高裁判決昭和34年8月27日
また、公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫が加えられた時点で既遂となり、現実に職務執行が妨害されたことを要しません。
上記の事例で考えると、警察官という「公務員」が行う職務質問(警察官職務執行法2条1項)という「職務を執行するに当たり」、顔を拳で殴るという「暴行」を加えているため、Aさんに公務執行妨害罪が成立すると考えられます。

2,傷害罪について

〈傷害罪〉(刑法204条)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
傷害」とは、人の生理的機能を侵害することを言います。
殴る・蹴るなどの有形的な方法のみならず、病気を移すことなど無形的な方法によって「傷害」の結果を生じさせれば、傷害罪は成立します。
傷害」の結果とは、打撲や擦過傷などの外傷の他に、睡眠薬により意識朦朧状態にさせることやPTSDに罹患させることなどもこれに該当します。

3,観念的競合について

観念的競合とは、「1個の行為が2個以上の罪名に触れる」場合をいい、その場合は「その最も重い刑により処断」されることになります。(刑法54条前段
上記の事例で言えば、Aさんの職務執行中の警察官の顔を殴り怪我を負わせたという1個の行為が、公務執行妨害罪傷害罪という2個以上の罪名に触れています。
そのため、Aさんは、「その最も重い刑により処断」されることになりますが、公務執行妨害罪の法定刑は3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金傷害罪15年以下の懲役または50万円以下の罰金であるため、傷害罪の刑罰をもって処断されることになります。

4,身体拘束からの解放・不起訴処分獲得などに向けた弁護活動

逮捕による身柄拘束は最長で72時間続き、捜査の必要性などさらに被疑者の身柄を拘束する必要があると判断された場合、逮捕より長期の身体拘束である勾留がなされることがなされることがあります。
勾留による身柄拘束は、最長で20日間続くため、被疑者段階における身柄拘束は、逮捕の時から起算すると最長で23日間続くことになります。
そこで、早期の身体拘束からの解放に向けた弁護活動を行います。
被疑者の勾留が認められるのは、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
そこで、それらを否定し得る客観的な事情や証拠の収集・主張といった活動を行います。
例えば、被疑者が家族と同居しており、同居している家族が被疑者の身元引受人になるといった事情があれば、被疑者の住居不定や逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情と言えます。
また、上記の事例で言えば、被疑者であるAさんは現行犯逮捕されており、また、被害者も警察官であるため、Aさんによる証拠隠滅のおそれは低いことを示す客観的な事情と言えるでしょう。

公務執行妨害罪は、公務の執行、すなわち公務自体を保護しているため、直接の被害者が存在しません。
直接の被害者がいないということは示談する相手がいないので示談ができない ということになります。
しかし、謝罪の手紙を書き反省の意を示し再犯可能性がないことや、贖罪寄付を行うといった弁護活動により、不起訴処分の獲得を目指します。
贖罪寄付とは、被害者のいない刑事事件を起こしてしまった場合など、被疑者や被告人が反省や悔悟の気持ちを示すために公的な団体等に対して行う寄付を言います。
贖罪寄付は、各都道府県にある弁護士会や法テラス、日弁連交通事故相談センターで行うことができます。
傷害罪については、被害者が存在するため示談を行うことが可能です。
しかし、上記の事例のように、被害者が公務員である場合は、示談には応じないといった場合も考えられますが、被疑者が反省していることや被害の弁償をする意思があることなどを粘り強く主張していくといった弁護活動が考えられます。

5,まずは弁護士に相談を

福岡県春日市において、公務執行妨害罪傷害罪の当事者となってしまった、あるいはご家族等が当事者となり身柄を拘束されている場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、刑事事件・少年事件に対する豊富な経験や実績がございます。
公務執行妨害罪傷害罪を起こしてしまい在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が公務執行妨害罪傷害罪を起こしてしまい身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

唐津市の新成人式典で市職員に暴行 傷害で逮捕

2023-01-12

唐津市の新成人式典で市職員に暴行したとして、傷害で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要(1月9日配信のFBS福岡放送の記事を引用)

8日に行われた佐賀県唐津市の20歳の門出を祝う記念式典において、酒に酔った男が、市の職員に暴行し傷害を負わせたとして、傷害罪佐賀県唐津警察署に逮捕されました。
逮捕された男は酒に酔っており、市の職員に帰宅を促された事に激高して犯行に及んだとのことで、逮捕後の取調べに対して「人を殴ってもいいんじゃない」と話し、容疑を認めているようです。

公務執行妨害罪ではないの?

今回の事件、報道を読む限りでは、市の職員に対して暴行し、怪我をさせたとして傷害罪逮捕されています。
被害者は、おそらく新成人式典で公務に当たっていた公務員なので公務執行妨害罪になるのでは?と思われた方もいるかと思います。
その通りでしょう。
公務中の公務員に対して暴行したのであれば、公務執行妨害罪が成立するのに間違いありません。
公務執行妨害罪は、刑法第95条に規定されている犯罪で、その法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
そして今回の事件のように、公務執行妨害罪でいうところの暴行行為によって公務員が怪我をした場合、公務執行妨害罪とは別に「傷害罪」も成立し、この2罪は観念的競合の関係に当たります。
観念的競合とは、1個の行為が数個の罪名に触れる場合をいい、刑を科する上で一罪として扱われるので、数個の罪のうち、最も重い罪の法定刑によって処断されます。
上記したように、公務執行妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」であるのに対して、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、公務執行妨害罪よりも重い傷害罪を適用したのだと思われます。

どういった刑事罰が科せられるの?

昔からこの時期になると、成人式で新成人が暴れるなどする事件がよく起こっているようですが、社会的反響の大きなこのような事件は大きく報道される傾向にあり、実名報道される可能性も高いでしょう。
ところでこのような傷害事件を起こして、警察に逮捕された方は、最終的にどのような処分を受けるのでしょうか?
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部の弁護士によりますと


報道によると、今回逮捕された男性は警察の取調べに対して「人を殴ってもいいんじゃない」と話し反省している様子が見受けられませんが、事実は認めているようなので、暴行を受けた市の職員が軽傷だとすれば、略式命令による罰金刑の可能性が高いでしょう。

との見解です。

佐賀県唐津市の刑事事件を扱っている法律事務所

福岡市博多区に事務所を構える弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県内のみならず、佐賀県唐津市で起こった刑事事件に対する弁護活動にも即日対応しております。
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【即日対応可能】福岡県西警察署に弁護士を派遣※電話予約OK

2022-10-29

【即日対応可能】福岡県西警察署への弁護士派遣について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県西警察署への弁護士派遣(初回接見サービス)

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参考事件

福岡市西区に住む会社員のAさんは、同棲している彼女から浮気を疑われて口論になりました。
そして騒ぎを聞いた近所の住民が警察に通報したらしく、彼女との口論中に福岡県西警察署の警察官がAさん宅を訪ねてきたのです。
最初こそAさんは警察官に対して冷静に説明していたのですが、警察官の態度に対して段々と腹が立ってしまったAさんは、警察官に対して「警察は民事不介入だろ!さっさと出ていけ!」と怒鳴り、警察官に掴みかかったのです。
そうしたところ、Aさんは公務執行妨害罪現行犯逮捕されてしまいました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

福岡県西警察署

〒819-0169
福岡市西区今宿西1-14-10
電話番号 092-805-0110

福岡県西警察署に弁護士を派遣する費用

交通費込み 37,950円

警察官に対する公務執行妨害罪

Aさんの事件のように、事件対応したり、事故処理中の警察官に対して暴行してしまうと「公務執行妨害罪」となってしまいます。
公務執行妨害罪は、刑法第95条1項に規定されている法律で、職務執行の当たっている公務員に対して、暴行や脅迫を加えた場合に成立する犯罪です。
公務執行妨害罪は、公務の公正かつ円滑な遂行を保護するための法律であって、決して、公務員の身体の安全や、意思決定の自由を保護するための法律ではありません。
しかし、公務執行妨害罪は、公務員に対して暴行や脅迫した時点で成立する犯罪で、決して公務員の職務が妨害されたという結果の発生までは必要としていません。

公務執行妨害罪で逮捕されると・・・

警察官に対する公務執行妨害事件は、現行犯逮捕される場合がほとんどです。
警察官に対しての犯罪なので当然だと言えます。
ただ被害者が警察官であるが故に、証拠隠滅の可能性は低く、逃走のおそれさえなければ、勾留されることなく釈放される被疑者も少なくありません。
ただ、暴行や脅迫行為を否認したり、警察官が傷害を負っている場合などは勾留されてしまう可能性が高い事件でもあります。

公務執行妨害の罰則

公務執行妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
被害者が警察官であるが故に、被害者と示談を締結するというのは非常にハードルが高いですが、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、過去には、警察官と示談を締結した実績もございますので、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

福岡県西警察署に弁護士を派遣

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福岡市城南区の公務執行妨害事件 救急隊員に暴行した男が逮捕

2022-08-19

福岡市城南区の公務執行妨害事件 救急隊員に暴行した男が逮捕

救急隊員に暴行した男が逮捕された、福岡市城南区の公務執行妨害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要(フィクションです。)

会社員のAさんは、仕事帰りに会社の同僚と福岡市城南区の居酒屋でお酒を飲みました。
そして酒に酔ったAさんは、居酒屋でトイレに行こうとした際に転倒し、テーブルの角に頭をぶつけて出血する怪我をしてしまったのです。
居酒屋の店員が119番通報して福岡市消防局の救急車が駆け付けたのですが、酒に酔っていたAさんは救急隊員の応急処置を拒否しました。
そして出血が止まらないAさんを心配した救急隊員が止血して病院搬送に応じるように説得したところ、Aさんはこの救急隊員に対して、テーブルの上にあったグラスを投げつける等の暴行をしたのです。
その結果Aさんは、後日、福岡県城南警察署に公務執行妨害罪の疑いで逮捕されてしまいました。

公務執行妨害罪

職務(公務)中の公務員に対して、暴行や脅迫を加えて公務の執行を妨害すれば公務執行妨害罪となります。
テレビのニュース等で報じられている公務執行妨害事件は、警察官に対して暴行したという内容の事件が多いので、みなさんは警察官に対して暴行等したら公務執行妨害罪となるというイメージかと思いますが、公務執行妨害罪の客体は公務員(みなす公務員を含む)ですので、今回の事件のように福岡市消防局の救急隊員に対する暴行行為も公務執行妨害罪となります。

公務執行妨害罪は、刑法第95条に規定されている法律で「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の法定刑が定められています。
公務執行妨害罪が成立する場合、暴行罪や脅迫罪は公務執行妨害罪に吸収されるので独立で別罪を構成することはありませんが、暴行行為によって公務員が怪我をした場合は、公務執行妨害罪とは別に傷害罪も構成するので注意が必要です。

公務執行妨害罪で逮捕された場合は

公務執行妨害罪は逮捕される可能性が十分に考えられる犯罪です。
このコラムをご覧の方で、ご家族が公務執行妨害罪で警察に逮捕された方は、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、逮捕されている方のもとに弁護士を派遣する初回接見のサービスを提供しております。
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福岡中央警察署に公務執行妨害罪で逮捕 早期釈放に成功

2022-06-02

福岡中央警察署に公務執行妨害罪で逮捕 早期釈放に成功

福岡中央警察署に公務執行妨害罪で逮捕された方の早期釈放に成功するための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

公務執行妨害罪で逮捕

会社員のAさんは、同僚と酒を飲んで帰る途中に、福岡市中央区天神の歩道を歩いていたところ、段差につまずいて転倒し、そのまま路上で寝転がっていました。
そうしたところ、その様子をみていた通行人が119番通報したらしく、福岡市消防局の救急車が駆け付けたのです。
救急隊員に救急車に乗るように促されたAさんは、救急隊員の言葉使いに対して無性に腹が立ち、その救急隊員の指を噛んだり、顔を殴ったりしてしまいました。
その結果、Aさんは福岡中央警察署の警察官に、公務執行妨害罪で現行犯逮捕され、そのまま福岡中央警察署に連行されてしまいました。
Aさんの逮捕を知った家族は、早期釈放に強いと評判の弁護士にAさんの弁護活動を依頼することにしたようです。
(フィクションです。)


公務執行妨害罪

公務執行妨害罪は刑法第95条に規定されている法律で、職務執行する公務員に対して暴行、脅迫をはたらき、その公務の執行を妨害した場合に成立する犯罪です。

刑法第95条
公務員が公務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪は公務員を保護するための法律ではなく公務員によって執行される公務を保護するための法律ですので、保護法益は公務の公正かつ円滑な遂行です。

この法律でいうところの「公務員」とは、国または地方公共団体や行政機関等の公務を担当する者ですので、今回の被害者である福岡市消防局の救急隊員も当然ながら公務執行妨害罪の客体となります。
ちなみに違法駐車を取り締まる駐車監視員等の「みなし公務員」も公務執行妨害罪の客体となりますので、駐車取り締まり中の駐車監視員に対して暴行や脅迫をはたらいた場合も公務執行妨害罪が成立します。

早期釈放を実現するには

公務執行妨害罪に関わらず警察に逮捕された方の早期釈放を実現する第一歩は、一刻も早く弁護人を選任することです。
弁護人は、私選以外にも国選弁護人を選任することもできますが、国選弁護人が選任されるのは逮捕後の勾留が決定してからになりますので、逮捕から1日~3日が経過してからになります。
私選弁護人については逮捕直後でも選任することができるので、勾留が決定する前の早期釈放を希望するのであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご一報ください。

福岡中央警察署に逮捕された場合は

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、24時間、年中無休で、福岡中央警察署に弁護士を派遣する初回接見サービスのご予約を承っております。
ご家族、ご友人が福岡中央警察署に逮捕された方は

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神奈川県愛川町での逃走事件について①~公務執行妨害罪~

2019-07-27

神奈川県愛川町での逃走事件について①~公務執行妨害罪~

公務執行妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します

Aさんは、福岡地方裁判所で窃盗罪、覚せい剤取締法違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反などで審理を受け、懲役4年の実刑判決を受けました。Aさんは、審理の対象となった事実については全面的に認めていたものの、量刑に不服がありました。そこで、Aさんは、福岡高等裁判所宛に控訴の申し立てをすると同時に、選任されていた国選弁護人に保釈請求してもらったところ、請求が許可されたため、知人の援助を得て保釈保証金を納付し釈放されました。その後、控訴審では、Aさんの控訴申し立ては棄却され、裁判は確定したことから、Aさんは、福岡高等検察庁から、刑(懲役4年)執行のため検察庁へ出頭するよう要請されました。Aさんは刑務所に入所するのが嫌でその要請を無視し続けていたところ、突然、検察庁職員らの訪問を受け、職員から収容状を呈示されながら、「あなたに収容状が出ている。」「今すぐ荷物をまとめて刑務所に行く準備をしてください。」などと言われました。しかし、Aさんは、「なんで突然くっとや。」「心の準備ができとらんばってん。」などと言いながら台所から包丁を取り出し、職員との距離約1メートルのところで職員に包丁を示しながら、「オレに近づくとこれで刺すけんな。」などと言って職員の間を走り抜け、玄関を出てそのまま逃走してしまいました。Aさんは、検察庁職員などに対する公務執行妨害罪で逮捕状が出て全国に指名手配されてしまいました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ はじめに ~

上記事例は、先日、神奈川県愛川町で起きた事件を基に作成しています。実際の事件では、男性は控訴審で保釈中であったところ控訴棄却の判決を受け裁判が確定し、検察庁職員の再三の呼び出しにも応じず、職員が男性宅に収容に訪れたところ、台所から包丁を持ち出して自宅から逃走した、とのことでした。
この事件に関するニュースなどを見られて、

・なぜ、公務執行妨害罪で逮捕状?
・なぜ、逃走罪ではないの?

などという疑問を持たれた方も多いかと思います。そこで、本日は、はじめに公務執行妨害罪についてご説明したいと思います。

~ 公務執行妨害罪とは ~

本罪は刑法95条1項に規定されています。

刑法95条1項
 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

とされています。

ここでいう「暴行」とは、公務員の職務執行にあたり、公務員に対し、その執行を妨害するに足りる不法な有形力を行使すること(直接暴行、間接暴行を含む)をいいます。「有形」とは目に見えるもの、という意味ですから、有形力とは、殴る、蹴る、投げ飛ばすなどの人の身体に接触するものだけとは限らず、本件のように包丁を示す差し出す、振り回す、物を投げつけるなど人の身体に接触しない行為も含まれます(なお、事例のAさんは、包丁を示しながら「オレに近づくとこれで刺すけんな。」と言った行為は、公務執行妨害罪の「脅迫」に当たります)。

また、刑の執行は検察官がこれを指揮します(刑事訴訟法472条)。そして、まずはじめに執行のために呼び出しを行い(刑事訴訟法484条)、これにも応じなければ収容状が発布されます(刑事訴訟法485条)。収容状は、基本的には、検察官から指揮を受けた検察事務官が執行します(刑事訴訟法489条、70条)。検察事務官は国家公務員ですから、検察事務官の職務執行に違法な点が認められなければ、本事例の場合でも、神奈川県のケースの場合でも、「公務員が職務を執行するに当たり」に当たるものと考えられます。

ところで、検察事務官は警察官と異なり、逮捕術などを専門的に学んでいるわけではありません。そこで、収容の現場で対象者が逃走したり、その場で暴れるおそれが高い場合は警察官に協力を求めることもあります。神奈川県のケースでも警察官に協力を求め、警察官と一緒に対応していたようですが、結局は逃走を図られてしまったようです。

次回は逃走罪について解説いたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの受け付けを行っております。

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