弁護人接見の重要性と接見指定

弁護人接見の重要性と接見指定

接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県の刑事事件専門の弁護士Aは、福岡県博多区に住むBさんが盗撮で逮捕されたとの連絡を受けたBさんの妻から依頼を受け、Aさんが留置されている博多警察署接見に行くことにしました。弁護士Aは博多警察署接見に行くため接見予約の電話をしたところ、留置管理係から「現在、署内で取調べ中ですよ。」と言われました。そこで、弁護士Aは、盗撮捜査担当の生活安全課に電話をつないでもらい捜査担当者に、本当に取調べ中か、今すぐ接見できないか尋ねたところ、折り返しの電話で、「あと20分程度で取り調べが終わるので、●●時●●分からなら接見が可能です。」との回答を得ました。そこで、弁護士Aは、指定された時間から接見を始めました。
(フィクションです)

~ 弁護人接見の重要性 ~

逮捕、勾留されると、捜査が終わるまでは、通常、警察の留置施設に収容されます。そうすると、生活環境は一変して自分の思い通りの生活を送ることができない上に、連日の厳しい取調べ等により、精神的にも不安定な状態に置かれます。そこで、被疑者・被告人を精神的に支え、あるいは法的な助言をするための接見(面会)が必要となってくるのです。

この接見に関して最高裁判所は、

身体を拘束された被疑者が弁護人の援助を受けることができるための刑事手続上最も重要な基本的権利に属するものであるとともに、弁護人からいえばその固有権の最も重要なものの一つである

とし(昭和53年7月10日)、さらに、弁護人接見について規定した刑事訴訟法39条1項について、

身体の拘束を受けている被疑者が弁護人と相談し、その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を確保する目的で設けられたものであり、その意味で・・・・憲法の保障に由来するものであるということができる

としており(平成11年3月24日)、弁護人の接見

極めて重要(な権利)である

と言っています。

~ 弁護人接見に対する制限(接見指定) ~

とはいいつつも、刑事訴訟法39条3項では、弁護人接見に対する一定の制限を設けています。すなわち、同項本文は、

捜査機関が、捜査のため必要があるとき、公訴の提起前(すなわち被疑者段階)に限り、接見交通権の行使に関し、「その日時、場所及び時間を指定することができる」

と規定し、捜査機関の判断で接見交通権の行使に一定の制約を加えることを認めています。これを「接見指定」といいます(ただし、接見指定は、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはなりません(同項但書))。

最高裁判所は、「捜査のため必要があるとき」とは、

接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合

をいい、「接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合」の具体例として、

弁護人から接見等の申出を受けた時に、捜査機関が現に被疑者を取調べ中である場合や実況見分、検証等に立ち会わせている場合、また、間近い時に取調べ等をする確実な予定があって、弁護人の申出に沿った接見等を認めたのでは、取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合など

をいうとしています(前掲判例)。

~ 初回接見は大変重要 ~

ただし、最高裁判所は、

そのような捜査のために顕著な支障を生ずる場合であっても、捜査機関は、弁護人と協議してできる限り速やかに接見等のための日時を指定し、被疑者が弁護人と防御の準備をすることができるような措置を採らなければならない

とし(前掲判例、平成3年5月10日)、さらに、

逮捕後の初回接見は、弁護人の選任を目的とし、かつ取調べを受けるに当たっての助言を得る最初の機会ですから、その重要性は特に高く、一刻も早い接見が実現されるべきで、捜査機関が行う接見指定もより限定的になされるべき

としています(平成12年6月13日)。

最高裁自身が、

初回接見は重要

であるといっています。
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