東名あおり運転事故の控訴審はじまる 

2019-11-13

東名あおり運転事故の控訴審はじまる 

東名あおり運転事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

11月6日、東京高等裁判所で、2017年に起きた東名高速道あおり運転の控訴審がはじまります。

~ 東名あおり運転事故とは ~

東名あおり運転事故とは、2017年(平成29年)6月5日、神奈川県足柄上郡大井町の東名高速道路下り線で、夫婦(以下、夫をV1、妻をV2といいます。)及びその娘2人が乗る車(以下、V車といいます。)に対しあおり運転を繰り返した男(以下、男をA、Aの乗る車をA車といいます。)が追い越し車線上にV車を停止させたところ(A車はV車の前方に停止していた)、追い越し車線上を走行してきたトラックにV車を衝突させ、V1、V2を死亡させたほか、娘2人を負傷させた事故です。「東名あおり事故」とも呼ばれています。

事故の経緯を要約すると以下のとおりです。

①A車は、約700メートル,32秒間にわたり,4回,V車の直前に割り込むなどのあおり運転をした
②A車は、V車の前に割り込み,V車を追い越し車線上に停車させた
③V車の停車から約2分後,別の大型トラックがV車後部に衝突
④V1、V2死亡、娘2名負傷

~ 一審の結果は ~

第一審の横浜地方裁判所は、男に「危険運転致死傷罪」を適用し、

懲役18年

を言い渡しています。
この判決に弁護側が不服として控訴し、東京高等裁判所で控訴審が開かれることになった、というわけです。

~ 危険運転致死傷罪の内容 ~

危険運転致死傷罪は、

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律といいます)

の第2条に規定されており、第2条には罰則(死亡の場合は1年以上の有期懲役、負傷の場合は15年以下の懲役)のほか、以下のとおりその1号から6号までに危険運転の類型が規定されています。

1号:正常な運転が困難になるほどの飲酒・薬物使用運
2号:進行を制御することが困難なほどの高速度での運転
3号:車を制御する技能を有しないでする運転
4号:人や車の通行を妨害する目的でに著しく接近するなどし、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での危険な運転
5号:赤信号等を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での運転
6号:通行禁止道路の進行し、かつ重大な危険を生じさせる速度での運転

このうち、東名あおり運転事故で適用されたのは4号の

人や車の通行を妨害する目的でに著しく接近するなどし、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での危険な運転

~ 東名あおり運転事故の争点 ~

ところが、東名あおり運転事故では、A車は停止していたことから(速度は0kmだったことから)、

重大な交通の危険を生じさせる速度

で危険運転をしたと認めらえれるかどうかが争点となりました。

この点に関し、検察側は「高速道路上では停止行為も危険運転に当たるため危険運転致死傷罪は成立する。」と主張したのに対し、弁護側は「A車が停止した時点で危険運転は終わっているため危険運転致死傷罪は成立しない。」と主張しました。
これを受けて横浜地方裁判所は、

高速道路上で停車させた速度ゼロの状態が同罪の構成要件の「重大な危険を生じさせる速度」とするのは解釈上無理がある

とた上で、。

停車させる行為以前のあおり運転(①行為)については通行妨害運転に当たり、停止させた行為(②行為)はあおり運転(①行為)に密接に関連した行為であり、死傷の結果はあおり運転(①行為)によって現実化した

として複数のあおり運転と停止行為とを一連一体の「通行妨害運転」と認め、危険運転致死傷罪を適用しています。

~ 第一審判決に批判的な見方も ~

そもそもV1、V2さんを死亡するなどさせたのはトラック運転手による追突行為が直接の原因です。
弁護側は、「多くの後続車はV車をよけていた。」「事故は追い越し車線を走行してきたトラックの過失に基づくものでAに責任はない。」などと主張して無罪を求める方針のようです。
専門家からも「危険運転致死傷罪を拡大解釈しすぎだ。」との批判もあり、今後の裁判の行方が注目されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

ページの上部へ戻る