【事例解説】脅迫罪とその弁護活動(入院中に看護師に対して自身が暴力団である旨を告げて脅迫したケース)

【事例解説】脅迫罪とその弁護活動(入院中に看護師に対して自身が暴力団である旨を告げて脅迫したケース)

今回は、入院中に看護師に対して「俺はやくざだ」などと告げて脅迫したというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:入院中に看護師に対して自身が暴力団である旨を告げて脅迫したケース

福岡県警察中央警察署は23日、暴力団の構成員Aさんを脅迫の疑いで逮捕しました。
Aさんは21日午後7時ごろから約20分の間、福岡市内の病院において女性看護師Vさんに「めんどくせえから殺してやるぞ」「俺やくざなんだから」などと脅迫した疑いが持たれています。
警察によりますと、当時Aさんは福岡市内の病院に入院中だったということです。
22日に別の病院職員から警察に「入院していた患者が看護師を脅した」と通報があり、事件が発覚しました。
調べに対し、Aさんは「一切そういう言葉は使っていません」と容疑を否認していて警察は動機や当時の状況などを詳しく調べています。
STVニュース北海道 3/24(日) 10:29配信のニュース記事を一部変更し引用しています。)

1,脅迫罪について

〈脅迫罪〉(刑法222条

1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

脅迫罪は、①生命、身体、自由、名誉又は財産に対して②害を加える旨を告知して③を④脅迫した場合に成立します。
脅迫罪における③「」とは、自然人を言い、④「脅迫」とは、一般に人を畏怖させるに足りる害悪を告知することを言います。
また、害悪の告知が相手方に伝わった時点で既遂となり、その結果として相手方が現実に畏怖したかどうかは問われません。
そのため、例えば、職場の同僚に殺害予告を内容とするメールを送ったところ、それを一読した同僚が豪胆な性格であったために畏怖しなかった場合でも、脅迫罪が成立することになります。
また、①加害の対象は、1項生命、身体、自由、名誉または財産であり、2項は告知の相手方の親族の生命、身体、自由、名誉または財産でなければなりません。
2項における「親族」は民法上の親族であるため、告知の相手方の恋人や内縁関係にある者に対しての加害の告知は2項の処罰の対象にはなりません。
(なお、1項の処罰の対象となる可能性があります。)
そして、②告知の方法については何の制限もありません。
そのため、文書、口頭、態度などいずれの方法でもよく、また、行為者が直接相手方に告知する場合でだけでなく、第三者を媒介にして間接的に告知する場合でも脅迫罪は成立します。

2,脅迫罪の成立を争う場合の弁護活動

上記の事例では、Aさんは「一切そういう言葉は使っていません」と脅迫の事実を否定しています。
そのため、犯罪の成立を争う場合の弁護活動の一つとして、脅迫罪に該当する行為を否定する客観的な事情や証拠の収集活動を行うことが挙げられます。
例えば、捜査機関の主張が十分な証拠や事実に基づいていないことを指摘することで、嫌疑不十分よる不起訴処分や起訴された場合には無罪判決の獲得を目指します。
また、脅迫罪で逮捕・勾留により身柄を拘束されている場合には、早期の身柄解放に向けた弁護活動を行います。
逮捕に対する不服申立てはできませんが、勾留に対しては不服申立てを行うことができます。
勾留に対する不服申立て手続きとして、準抗告刑事訴訟法429条1項)と勾留取消請求刑事訴訟法87条)があります。
準抗告とは、そもそも勾留するための要件が満たされていないことを裁判所に申し立て、勾留の決定を取り消し、検察官の勾留請求を却下するよう求める手続きです。
被疑者に勾留が認められるのは、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
そのため、それらのおそれが認められないことを証明する客観的な証拠や事情があれば、そもそも勾留は認められないことになるため、勾留の裁判の取消や変更を求めて準抗告を申し立てることになります。
勾留取消請求とは、当時は勾留が認められていたが、後発的な事情の変化により勾留を認める必要がなくなった場合に、裁判所に勾留の取消しを求める手続きです。
例えば、勾留の裁判により勾留が決定された後に被害者との示談が成立した場合などには、勾留取消請求をすることが考えられます。
身柄拘束が長く続けば、身体的にも精神的にも負担が増大することも考えられ、その間に職を失うなど社会生活に影響が生じるおそれがあります。
そのため、犯罪の成立を争う場合や早期の身柄解放をお望みの場合には、少しでも早く弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において脅迫罪の当事者となってしまった方、ご家族等が当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護に関する経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、脅迫罪の当事者となり在宅で捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

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