交通事故(人身事故)を報じるテレビのニュースや新聞記事などで、被害者の怪我の程度を「意識不明の重体です。」だったり「全治●カ月の重傷です。」等と表現していますが、「重傷」と「重体」の違いはなんなんでしょうか?また怪我の程度が量刑にどのように影響するのでしょうか?人身事故の刑事弁護活動に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律福岡支部が解説します。
重傷と重体の違い
人身事故で被害者の怪我の程度を表現するのに使われるのは「重体」「重傷」「軽傷」の何れかであることがほとんどです。
脳や内臓などに損傷がおよんで生命の危険がある場合に使われることが多いのが「重体」です。
これに対して骨折等の大きな怪我を負っているが、生命に影響がない場合に使われることが多いのが「重傷」です。
「重傷」は完治するまでに1カ月以上を要する場合に使用され、全治1カ月以内であれば「軽傷」という表現が使われています。
「心肺停止の状態で病院に搬送されました。」という表現もよく耳にしますが、「心肺停止」というのは、心拍と呼吸がない状態を意味しますが、その後の蘇生措置によって一命を取り留める可能性があります。
交通事故の場合、事故現場で救急隊員が死亡確認をすることは珍しく、病院に搬送後に医師が死亡確認をする場合がほとんどなため、この「心肺停止」という表現がよく使われているのです。
怪我の程度が量刑に大きく影響する(量刑)
危険運転やひき逃げ等ではない、過失運転致死傷罪が適用される一般的な人身事故の場合、どういった刑事罰が科せられるかは
・過失(不注意)の程度
・被害者の怪我の程度
が大きく影響します。
少しでも過失が認められる場合、被害者が重体や重傷の場合は、初犯であっても略式起訴による罰金刑ではなく、公判請求(正式裁判)されて執行猶予判決となる場合があるので注意が必要です。
また被害者が死亡してしまった場合、運転手に過失(注意)が認められない等の特別な事情がない限りは公判請求(正式裁判)されるでしょうし、場合によっては、初犯であっても実刑判決が言い渡されることもあります。
人身事故の弁護活動
人身事故を起こしてしまった際に「被害者対応は保険屋に任せている。」と言って、被害者対応を加入している任意保険会社に任せきりな方が多いようです。
物損事故であればそれで十分かもしれませんが、人身事故の場合は刑事手続きとなるので、保険会社の行う被害者対応だけでは足りないことがほとんどなので注意が必要です。
人身事故を起こして罰金を支払ったり、刑事裁判で執行猶予付きの判決を受けた場合でもそれは前科となり、仕事や資格に影響を及ぼすこともあるので、そういった事態を回避したいのであれば、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
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