覚せい剤譲受事件の身柄解放活動
本日は、覚せい剤やおとり捜査、起訴後の釈放(保釈)について、あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します
福岡県糸島市に住むAさんは、福岡市内の路上において、「薬物の密売人」と言われる男からから覚せい剤を3万円で譲り受けたところ、突然、男から「警察だ。」と言われて、警察官数名に囲まれてしまい、覚せい剤取締法違反(覚せい剤の譲り受け罪)で現行犯逮捕されてしまいました。その後、Aさんの尿から覚せい剤成分が検出され、Aさんは覚せい剤取締法違反(使用罪、譲り受け罪)で起訴されてしまいました。
(フィクションです)
~ 覚せい剤取締法違反 ~
覚せい剤取締法(以下、法といいます)では、使用罪を
10年以下の懲役(法41条の3第1項第1号)
に、譲り受け罪も
10年以下の懲役(法41条の2第1項)
としています。ただし、営利目的が認められる場合は、
1年以上の有期懲役(法41条の2第2項)又は情状により、1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金
とされています。
~ おとり捜査 ~
今回、Aさんはおとり捜査で現行犯逮捕されています。
おとり捜査とは、
捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者が、その身分や意図を相手方に秘して犯罪を実行するように働きかけ、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕などにより検挙する捜査手法
と解されており、あくまで任意捜査として許容される、とするのが最高裁判所の考え方です(最決平成16年7月12日)。
被害者や目撃者のいない薬物犯罪では、通常の捜査手法では犯人を検挙することが難しい、というのが理由の一つのようです。
~ 覚せい剤と起訴後釈放 ~
覚せい剤をはじめとする薬物犯罪では、その悪質性や多数の関係者が関与している可能性があることから、逮捕されるおそれが非常に高く、しかも一度逮捕されると起訴されるまではなかなか釈放されづらい、というのが特徴です。
したがって、一日でも早く釈放されたい、という場合は起訴後の釈放を目指すことが現実的といえます。
起訴後の釈放とは、つまり、「保釈」のことを意味しています。
ここで、保釈とは被告人に対する勾留の執行(効力)を停止して、その身柄拘束を解くことをいいます。
起訴後の身柄拘束期間は起訴前に比べ長期間となることが想定されていることから、起訴後に限って「保釈(請求)」という制度が認められています。
~ 保釈の注意点 ~
保釈は、あくまで勾留の停止にすぎません(勾留の効力が消滅したわけではない)。また、メリットだけではありません。以下の点に注意する必要があります。
まず、多額の保釈保証金が必要となる。保釈保証金の額は、被告人の認否、事案の内容等に鑑みて裁判官(裁判所)が決めます。決して安い金額ではなく、通常の簡易な事件でさえ100万円~150万円を準備する必要があります。
次に、保釈条件を遵守する必要があります。裁判所が保釈を許可するにあたっては
・裁判所から呼び出された場合は必ず出頭する
・住居地を変更するには裁判所の許可を受ける
・被害者への連絡は弁護人を介する
・被害者、目撃者、共犯者などの事件関係者と接触しない
・薬物に近寄らない
などの条件を付けられ、仮に保釈中にこれらの条件を守らなければ保釈は取り消され、保釈金は没収されて収容されてしまいます。
ご家族が薬物事件で逮捕、勾留、起訴され、保釈をご検討中の方は弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの受け付けを行っております。