AirDrop痴漢で全国発の書類送検~福岡市
AirDrop痴漢事件の書類送検について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市早良区に住む会社員のAさん(25歳)は、福岡市営地下鉄に乗車中、前に座っていた女性Vさんのことが気になり、Vさんに近づき、自身のスマートフォンに搭載されていたAirDrop機能を使い、自身の下半身を露出した写真画像をVさんが手に持っていたスマートフォンに送信しました。その後、Aさんは、こうしたAさんの行動を不審に感じた男性に声をかけられ、「今、女性に何か変な画像送りませんでしたか?」などと言われたことから、「送りました。」「すみません。」と自分の行ったことを認めました。その後、Aさんは男性やVさんとともに早良警察署に行き警察官に事情を話した後、福岡県迷惑行為防止条例違反の被疑者として事情を聴かれることになりました。Aさんは逮捕されることはなく、その日は自宅へ返されました。しかし、今後のことが不安になったAさんは痴漢事件の知識、経験が豊富な弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~ AirDrop痴漢で書類送検 ~
報道によると、福岡県警早良署は8月20日、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな行為の禁止)の疑いで、福岡市西区の男性会社員を福岡区検察庁に書類送検した、とのことです。
~ AirDrop(エアドロップ)とは ~
AirDropは、iPhoneやiPadなど米アップル製端末に標準搭載されている機能です。半径9メートル以内の通信可能な所有者の名前が画面に一覧で表示され、名前を選ぶと、すぐに写真や動画を送受信できる。メールアドレスなどを交換せずに写真や動画を送信できる手軽さから若者を中心に利用者が多い、と言われています。
~ AirDrop痴漢はどんな罪に当たる? ~
ところが、こうした手軽さを悪用した犯罪が
AirDrop痴漢
です。
AirDrop痴漢とは、AirDrop機能を利用して、全く見ず知らずの人のスマートフォン宛にわいせつな写真や動画を送信しこれを閲覧させる犯罪です。満員電車や人ごみの多い場所では誰が犯人か特定しづらく、AirDrop痴漢はこうした場所を中心に行われることが多いと言われています。
では、AirDrop痴漢がどんな犯罪に当たるのかみていきます。
まずは、福岡県迷惑行為防止条例(以下、条例)に規定されている「卑わいな言動の罪」です。この罪は、条例6条1項2号に規定されています。
条例6条1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 他人の身体に直接触れ、又は衣服の上から振れること。
2号 前号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
罰則は条例11条1項及び12条1項に設けられています。
条例11条1項は通常の痴漢行為に対する罰則で「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、12条1項は、常習として痴漢行為を行った際の罰則で「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
「卑わいな言動」とは、社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいうと解されており、卑わいな言語の例としては「おっぱい触らせて」、「下着見せて」などが挙げられます。卑わいな動作の例としては、臀部、太腿、膝頭に触る、「スカートをまくる、スカー卜のチャックをはずす、スカートの下からのぞき見する、などの行為が挙げられます。
今回は、Aさんが自身の下半身の写真画像をVさんのスマートフォン宛に送信し、これをVさんに閲覧させた行為が「卑わいな言動」に当たると判断されたのでしょう。
~ 不起訴処分獲得のための弁護活動 ~
書類送検されると、いずれは検察官の起訴、不起訴の刑事処分を受けます。
起訴されると正式裁判、あるいは略式裁判を受けなければなりません。もっとも、Aさんが初犯であったり、常習性が認められない場合などは、略式裁判を受けることが多いと思われます。略式裁判では罰金刑の命令が言い渡されます。
もしも、起訴されたくない、すなわち不起訴処分を獲得したいとお考えの場合は、被害者と示談交渉を始め、示談を成立させ、その結果を検察官に提示する必要があります。ただ、この手の犯罪の場合、当事者間で示談交渉することはほぼ不可能ですから、示談をご検討の方は弁護士に示談交渉をご依頼ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。