被害者との示談交渉が刑事事件に発展する危険性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
Aさんは福岡市博多区に住む専門学生です。
Aさんの高校時代の先輩に頼まれて、専門学校に通う後輩の女性(20歳)を紹介し始めたのですが、交際中に、この先輩が後輩の女性を殴ったという暴行罪で、福岡県博多警察署に逮捕されました。
先輩の逮捕を知ったAさんは、先輩が留置されている福岡県博多警察署に行き、先輩と面会しました。
そこで先輩から「何とか示談してくれないか」と懇願されたAさんは、後輩の女性と連絡をとり示談を申し出ました。
後輩の女性は示談交渉に応じてくれ、治療費等で50万円を支払う内容の示談書に署名してもらうことができましたが、その翌日に、Aさんは福岡県博多警察署に呼び出されました。
そして、刑事さんから「示談を強要している。」と言われて、取調べを受けたのです。
(この事件はフィクションです。)
証人等威迫罪
刑法第105条の2は、「自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。」と規定し、証人等威迫罪について定めています。
証人等威迫罪は、いわゆる「お礼参り」を防止するために、刑事事件の証人・参考人等に対する面会強請・強談威迫の行為を処罰して、刑事司法の適正な運用を確保しようとするとともに、証人等の私生活の平穏ないし事由という個人的法益の保護をも図ることを目的として、創設された罪です。
示談交渉は弁護士に依頼
証人等威迫罪は、被害者に対して面会を強請し、又は強談威迫の行為をした場合にも適用されます。
ご本人やご家族が刑事事件を起こしてしまった場合、被害者の方に対して謝罪をしたい、示談交渉をしたいと考える方は多いです。
しかし、謝罪や示談交渉のためとはいえ、ご本人やご家族が被害者と直接接触する場合、行き過ぎた示談交渉となってしまう可能性があり、場合によっては上記したような法律に抵触するおそれがあります。
また、証人等威迫罪は他人の刑事事件を対象とする者についても適用されるため、Aさんのように、逮捕されている方の代わりに示談交渉しようとした方が罪に問われることもあります。
証人等威迫罪などの犯罪に抵触しない場合でも、加害者が被害者に直接接触して示談交渉することはお勧めできません。
そもそも、被害者は加害者に対する怒りや恐怖から、加害者やその家族と連絡を取りたがらないことが多いです。
仮に、加害者が被害者に連絡をとれたとしても、当事者が直接話し合うと、被害者の加害者に対する恐怖や憎悪・怒りから交渉が難航したり、最悪の場合被害者の恐怖感や怒りの感情をさらに高めたりしてしまうおそれがあります。
また、無事に示談が成立したように見えるケースでも、法律の専門家ではない当事者による示談の場合は、示談に不備があって法的な効力が認められず、後日紛争が蒸し返されるということもあります。
被害者との示談に強い弁護士
福岡市博多区の刑事事件でお困りの方、福岡県博多警察署に暴行罪で逮捕されている方の示談交渉については、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
示談交渉に関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。