無免許でモペットを運転!!全国で摘発…逮捕されたケースも ~②~

昨日に引き続き、モペットの運転に関する刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

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警察が摘発した例

モペットの無免許運転等を警察が摘発した事例を紹介します。

(1)無免許運転で書類送検
今年の9月に、東京都品川区の路上で、モペットを、無免許であるにもかかわらず運転したとして、20代の男性が書類送検されています。
この男性は、「ペダルをこぐ乗り方なら許されると思っていた」などと供述しているようです。

※実際に無免許運転に該当するかどうかは、実際使用していたモペットの構造やその構造をどのように認識していたかといった点を詳細に検討する必要がありますが、いずれにせよ、乗る前に、どういう乗り物で、どういったルールに従う必要があるのかをきちんと確認する必要があります。

(2)ひき逃げ事件を起こして逮捕
過去には、モペットを運転中に歩行者と接触し、歩行者に傷害を負わせたにもかかわらず、救護措置をとらずに逃走したとして、モペットを運転していた男性が逮捕されています。
逮捕された男性は運転免許を保有していたものの、着用が義務付けられているヘルメットを着用しておらず、また乗っていたモペットには、ナンバープレートやブレーキランプ等の必要とされる装備が装着されていなかったようです。

※「原動機付自転車」に該当するモペットを運転する際は、原動機付自転車に装着が義務付けられている装備品がきちんと装備されているかを確認する必要があります。
また乗車にはきちんとヘルメットを装着し、交通ルールを守って運転しなければなりませんし、事故を起こした際は、どういった状況であれ、警察に届け出ましょう。
また事故に備えて、きちんと保険に加入することをお勧めします。

交通ルールはきちんと守ろう

これはモペットに限ったことではありませんが、交通ルールはきちんと守る必要があります。特に注意したい点は、次の点です。

(1)交通事故を起こすと怪我人や死者も
モペットを運転する際には、車と同様、「当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」という安全運転義務があります(道交法70条)。こうした義務違反し、不注意で、人にぶつかり、怪我人や場合によっては死者を出してしまうと、過失運転致傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)の罪に問われることになります。
自転車の場合にはこの法律の適用はありません(過失致死傷罪などに問われる可能性があります)が、モペットは原動機付自転車に該当しますので、この法律の適用があります。

(2)事故を起こした場合にはすぐに止まり必要な措置を
モペットに乗っていて交通事故を起こしてしまった場合、車のとき同様に、すぐに停止し、怪我人がいないか確認し、怪我人がいる場合には安全を確保し、救急車を呼ぶといった措置を、また警察へ通報など必要な措置を講じる必要があります
こうした措置をきちんと取らないと、いわゆるひき逃げをしたとして、刑事責任を問われることになってしまいます。

(3)自賠責に入っているか確認を
モペットが原動機付自転車に該当するということは、自賠責保険に加入する必要があります。
きちんとしたお店で購入した場合には、購入時に自賠責保険に関する手続をしてくれることが考えられますが、たとえば、友達から譲ってもらったといったような場合には、自賠責保険に加入せずに乗ってしまったということも考えられます。
自賠責保険に加入せずにモペットを運転してしまうと、無保険車走行として自動車損害賠償保障法5条違反として、刑事責任が問われることになります(法定刑は50万円以下の罰金又は1年以下の懲役です)。
なお、民事上の問題ですが、モペットを友人に貸し、その友人が交通事故を起こして被害者に損害が発生してしまうと、モペットを貸した人も損害賠償責任を問われることになることは注意が必要です。

(4)ヘルメットの着用を
モペットが原動機付自転車に該当するということは、ヘルメットの着用義務があります。
着用せずに運転した場合、刑事罰はありませんが、違反点数1点となります(行政手続上の問題になります)。
また、そもそも、モペットを乗った状態で交通事故に遭った場合、大変危険なので、ヘルメットは必ず着用しましょう。

刑事責任を問われることになってしまったら

これまで解説したところでも、法律に違反した状態でモペットに乗っていると、いくつかの刑事責任に問われる可能性があります。
どういった容疑かけられているのかによって、今後の対応は異なります。
たとえば、無免許運転であった場合でも、どのような状況・認識の中で運転していたのかを詳細に検討し、犯罪が成立するのかどうかをチェックした上で対応を考える必要があります。
また、過失運転致傷ひき逃げの容疑がかけられている場合において、事実関係に争いがなければ被害者と示談するという方法を検討するといったことが考えられます。
モペットに乗っていることで警察沙汰になってしまった場合には、まずは弁護士に相談しましょう。

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