【少年事件解説】少年事件の弁護活動について

 少年事件(捜査対象者が20歳に満たない少年・少女である事件)の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

少年審判の対象とされる「少年」とは

 少年法においては、20歳未満の者を「少年」として扱います(少年法2条1項)。この点、民法の改正により成人年齢が満18歳となりましたが、20歳未満であれば「少年」として扱われます。

 少年法における「罪を犯した少年」「犯罪少年」といいます。)は、14歳以上20歳未満の者で、罪を犯したものが該当します。これは、14歳未満の者については、一律に責任能力を否定し、罪を犯し得ないとされているためです(刑法41条)。
 しかし、14歳未満の者で、刑罰法令に触れる行為(つまり、犯罪に該当する行為)をした少年「触法少年」として、少年審判の対象とされています。
 また、一定の事由に該当し、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある18歳未満の少年「虞(ぐ)犯少年」として、少年審判の対象としています。

 成人年齢が引下げになったことに伴い、犯罪少年のうち18歳以上の者「特定少年」とし、18歳未満の犯罪少年による少年事件の場合と取り扱いを区別しています。

 なお、犯罪行為をしたのが20歳未満でも、事件が発覚した際に20歳に達している場合や、少年審判開始時に20歳以上の場合は、成人の刑事事件として処理されます。
(同様に、犯罪行為時18歳未満でも、事件が発覚した際に18歳に達している場合や、少年審判開始時に18歳以上の場合は、特定少年による少年事件として処理されます。)

少年の身柄拘束について

 少年法は、「少年の更生を図る」ことを目的としていることから、成人事件とは異なった取扱いがなされる場面があります。

 まず、犯罪少年については、捜査段階では原則として成人の刑事事件と同じ手続きとなるため、逮捕され、捜査を行う上でやむを得ないと判断された場合、最長20日間、刑事施設に勾留される可能性があります。

 捜査機関による捜査が終了し、犯罪の嫌疑が固まった場合は、全ての事件が家庭裁判所に送致され、少年の性格・資質や精神状態、生活環境などを調べる必要があると判断したときは、「観護措置」として、最長8週間、少年鑑別所に収容された上で、少年審判を受けることになります。

 次に、触法少年については、捜査機関が刑事事件として身柄拘束は行えませんが、事件が警察から児童相談所に送致されると、調査のための「一時保護」として、最長2か月間、児童相談所に収容される場合があります。

 児童相談所による調査の結果、少年や保護者への訓戒や児童福祉士らによる指導継続、又は児童養護施設等入所といった福祉的措置が行われたり、場合によっては家庭裁判所に送致され、犯罪少年と同様に審判に付されます。

家庭裁判所の審判と保護処分について

 少年の場合、原則として懲役刑などの刑事罰を受けることは無く、家庭裁判所の審判において、少年の非行事実があるとされた場合、非行内容や少年の抱える問題性(要保護性といいます。)に応じて、処分を決定します(保護処分又は不処分の決定)。
 例外として、犯罪少年については、一定の重大な犯罪では検察官送致(逆送)され、起訴され刑事罰が科される可能性があります。

 保護処分(少年法第24条第1項)は、重い順に、少年院送致児童自立支援施設・児童養護施設送致保護観察処分、となっています。
 保護観察処分は前2者と異なり、少年を家庭や職場等に置いたまま、保護観察官による指導監督という社会内処遇によって、少年の更生を目指すものです。

少年事件の弁護活動について

 捜査段階においては、弁護士が、弁護人として、少年の身柄解放を目指したり、取調べに関するアドバイスなどの活動をしていく必要があります。

 また、事件が家庭裁判所に送られた後は、弁護士が付添人として、少年の更生に向けた活動をし、家庭裁判所対し適切な処分を求めることが考えられます。具体的には、少年の家庭や学校での普段の素行を踏まえ、少年本人への働き掛けや、ご家族と協力して、少年を取り巻く環境を整えるなどし、少年が再び非行を行う危険性がない事情などを、主張し・立証していくことになります。

 どのような段階で、どのような対応をしていくべきか専門的な判断を必要とします。特に、これまで話したように、成人事件とは異なる配慮が必要となってくるため、少年事件の場合、できるだけ早期の段階で少年事件の実績が豊富な弁護士に相談することをお勧めします。

福岡県の少年事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、主に刑事事件や少年事件を取り扱っており、少年事件における付添人審判対応の豊富な実績があります。
 ご家族が少年事件の加害者となるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

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