【事件解説】未成年の少女を自宅に連れ込み 未成年者誘拐罪で逮捕

 SNSで知り合った未成年の少女を自宅に連れ込み、未成年者誘拐罪で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要

 福岡県大牟田市に住む中学3年生の少女Vを誘拐したとして、福岡市在住の会社員の男A(25歳)が未成年者誘拐罪で現行犯逮捕されました。
 福岡県警博多警察署の調べによると、AはVとSNSで知り合い、Vが未成年であることを知りながらAの自宅で会う約束をし、Aの自宅の最寄り駅まで来たVを迎え、自宅に連れ込みました。
 Vの両親から警察に捜索願が出され、スマートフォンの位置情報からVの居場所が特定され、駆け付けた警察官にVは保護されました。
 警察の調べに対し、AはVを自宅に連れ込んだことは認めていますが、わいせつ目的等はなかったと供述しています。
(過去に報道された実際の事件に基づき、一部事実を変更したフィクションです。)

未成年者誘拐罪とは

 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する、と定められています(刑法第224条)。

 「誘拐」とは、欺罔または誘惑を手段とし、人を従来の生活環境から離脱させ、自己又は第三者の事実的支配化に置くこと、とされています。
 本件では、AはVと約束した上、最寄り駅まで来たVを自宅に連れ込んだとのことですが、判断能力が十分とは言えない中学生に自宅に来るよう誘うことは「誘惑」と認められます。
 また、Vの自宅から離れた福岡市内の自宅に連れ込んだことは、Vを「従来の生活環境から離脱」させ、「事実的支配下」に置いたものと認められるため、未成年者誘拐罪で逮捕されています。

 なお、未成年者誘拐罪は、営利、わいせつ、身代金要求等の目的がなくても成立しますが、これらの目的が伴う場合は、被害者が成人の場合と同様、営利目的等誘拐罪、身の代金目的誘拐罪等が成立します。

未成年者誘拐罪の弁護活動

 未成年者誘拐罪が保護する法益は、未成年者の身体の自由・安全のみならず、両親等の監護権も含むとされるため、未成年者の同意があったとしても、犯罪の成立は妨げられません。

 他方で、未成年者誘拐罪親告罪であり、両親等からの告訴(捜査機関に対し被害の事実を申告し、かつ犯人の処罰を求める意思表示)がないと起訴されないため、弁護活動としては、両親等との示談交渉により、告訴をしない又は告訴を取り消す内容を含む示談の成立を目指します。

 なお、告訴する権利を放棄することは判例では認められておらず、告訴しないという内容の示談が成立したとしても、両親等が翻意して告訴がなされるおそれは排除できないため、そのような可能性をできる限り減らすためにも、刑事事件の示談交渉の経験が豊富な弁護士により、双方が十分に納得した上での示談を成立させる必要があります。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、様々な刑事事件における示談交渉の経験が豊富にあり、未成年者誘拐罪の事件解決の実績もあります。
 ご家族が未成年者誘拐罪で逮捕されご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

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