この記事では、架空の事例を基に、凶器準備集合罪の成立とその弁護活動について、解説します。
事例:金属バットを持って喧嘩に参加したケース
対立する不良グループと喧嘩するために凶器を準備して集合したとして、不良グループに所属する男性A(21歳)ら8名が逮捕されました。
Aらは、対立する不良グループと喧嘩するために、北九州市内の公園で鉄パイプや金属バットなどの凶器を準備して集合していたとみられ、異変に気付いた近隣住民が警察に通報し、駆け付けた福岡県小倉南警察署の警察官に現行犯逮捕されました。
Aは、喧嘩に参加するために金属バットを持って集合したとして、凶器準備集合の容疑を認めています。
(事例はフィクションです。)
凶器準備集合罪とは
2人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する、と定められています(刑法第208条の2第1項)。
凶器準備集合罪は、他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的(共同加害目的)での集合を処罰の対象とすることで、後に予想される、殺人、傷害、暴行、建造物損壊、器物損壊など、個人の生命・身体・財産に対する危険からの保護とともに、公共的社会生活の平穏を保護するものとされています。
凶器準備集合罪における「凶器」とは、その性質上、又は使用方法によっては、人を殺傷し得る器具、とされます。
銃砲刀剣類のように、その器具本来の性質上、人を殺傷する用に供されるもののみならず、ゴルフクラブ等、使用方法によっては、人を殺傷し得る器具も含まれます。
なお、同罪における「準備」とは、必要に応じていつでも加害行為に使用しうる状態に置くこといい、「集合」とは、2人以上の者が共同の行為をする目的で、一定の時刻、一定の場所に集まることをいいます。
本件Aは、対立する不良グループとの喧嘩という「共同加害目的」で、身体に殴打すれば人を殺傷し得る「凶器」となる金属バットを準備して「集合」したとして、凶器準備集合罪が成立し得ると考えられます。
凶器準備集合事件で逮捕された場合の刑事弁護
凶器準備集合罪のように、共犯者や関係者が多数にわたることのある事件では、口裏合わせ等の罪証隠滅のおそれがあるとして、逮捕に引き続き勾留される可能性が高く、さらに、事件の全容解明のための捜査に時間を要することから、勾留が延長されるなど、身体拘束が長期化する可能性もあります。
弁護活動としては、身体拘束からの早期解放を目指して、検察官や裁判官に対し、勾留の理由(逃亡・罪証隠滅のおそれ等)や勾留の必要性がないことを主張し、勾留請求や勾留決定を行わないよう意見を申述することや、勾留が決定した後でも、その決定に対して不服申し立て(準抗告)を行うことが考えられます。
また、凶器準備集合事件では、共犯者間の役割等によって刑事責任の重さも変わってくると考えられますが、主導的な役割(凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた)を果たした者には凶器準備結集罪が成立し、3年以下の懲役と刑が加重され得るため、不当に重い責任を負わされることのないよう、弁護士が被疑者との接見に際し、取調べ対応についてアドバイスを行うことも重要になると考えられます。
福岡県の凶器準備集合事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、凶器準備集合などの暴力事件において、身体拘束からの早期解放、不起訴処分や刑の減軽を獲得した実績が多数あります。
凶器準備集合の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。