盗撮と欠格事由

盗撮と欠格事由

看護学生であるAさんは,通学中の地下鉄内で盗撮したとして福岡県中央警察署に福岡県迷惑防止条例(条例6条2項1号違反)で逮捕されました。逮捕の知らせを受けたAさんのご両親は,Aさんが逮捕されたことからAさんは看護師になれないのではないかと心配になり,盗撮事件に強い弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです)

~ 盗撮はどんな犯罪?罰則は? ~

福岡県では「福岡県迷惑行為防止条例」という条例の6条2項,3項で盗撮行為を禁じています。
6条2項と3項に書かれてあることをまとめると以下のとおりとなります。

★ 6条2項 ★

【禁じられる場所】→公共の場所,公共の乗物,その他の公衆の目に触れるような場所
【禁じられる行為】→のぞき見,写真機,ビデオカメラその他これらに類する機器(以下,写真機等)を用いて撮影すること(以下,盗撮行為)
         →盗撮行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること
【上記行為の対象】→通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着

★ 6条3項 ★

【禁じられる場所】→公衆便所,公衆浴場,公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けないでいつような場所
【禁じられる行為】→盗撮行為
         →盗撮行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること
【上記行為の対象】→通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる状態にある人の姿態

罰則については条例の11条2項により「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」,常習として行った場合は,12条1項により「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。

~ 盗撮と看護師の欠格事由 ~

ある職種に就くにあたり必要とされる資格を欠くことを欠格といい,その欠格の事由(理由)を欠格事由といいます。たとえば,国家公務員の欠格について規定した国家公務員法38条2号では

禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者

と規定され,国家公務員の職に就く能力を有しないとされています。

では,看護師の場合どうでしょうか?
この点,保険師,助産師,看護師,准看護師の免許,試験,業務等について定めた保険師助産師看護師法9条には次の定めがあります。

9条 次の各号のいずれかに該当する者には,前二条による免許を与えないことがある
  1 罰金以上の刑に処せられた者

「罰金以上の刑」とは,罰金刑,禁錮刑,懲役刑,死刑のことを指し,処せられたとは裁判を受け,その裁判が確定したことを言います。したがって,逮捕中の場合はまだ裁判すら受けていない段階ですので,逮捕された事実のみをもって看護師等になれないということはありません。また,9条は「与えないことがある」と免許を与えないことにつき任意的としています。つまり,罰金以上の刑に処せられたからといって,必ず免許が与えられないかといえばそうではありません。

ところで,上記でみたように,盗撮の罰則には懲役刑も罰金刑も規定されています。
よって,Aさんは罰金刑を受け,その刑が確定してしまえば「罰金以上の刑に処せられた者」として看護師の免許を受けられない可能性が出てきます。

~ 欠格事由に当たるのを回避するには? ~

では,欠格事由に当たるのを回避するにはどうすればよいでしょうか?
もちろん,裁判で事実関係を争い無罪判決を獲得することができれば回避することはできます。しかし,事実関係に争いのない場合,この手法はあまりにも非現実的です。むしろ,不起訴処分獲得を目指す方がより現実的と言えます。不起訴処分を処分を獲得するには,まずは何より被害者に謝罪し,示談交渉を始めて示談を締結することが何よりも大切です。示談締結により被害者の処罰感情が緩和されれば,不起訴処分獲得の可能性は高まると言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,盗撮事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。
福岡県中央警察署までの初回接見費用:35,000円)

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